「しゃくにさわる日々」

コラム「架橋」

 年末から寒い日が続き雪景色が拡がった。深々と降る雪のなか、妹と「雪つり」をして遊んだことを想いだした。「炭」を紐で結び雪をくっつける何でもない遊びだが雪明りの時のチョットばかり「優雅」な遊びとは思えないかな。
 秋田の友人から年賀が届く。「毎日毎日の雪下ろし。体が絞れました」としたためてある。半端じゃないほど今年は雪が降っているらしい。人懐っこい笑顔を振りまきながら、近所の人と一緒に雪と格闘する友へエールを贈る。
 年末に「処理水放出前に賠償基準作成へ」という記事が載った。「23年春の海洋放出」に向け関係閣僚会議の行動計画をまとめたという。政府は「放射能汚染水」を「処理水」と言い換え、あたかも安全な水のように「偽装」し世論を誘導している。東電は「タンク増設の余地なし」「このままでは廃炉計画に齟齬が出る」と様々な御託を並べているが「お前たちが言えた義理か!」と怒鳴りたくもなる。
 東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と福島県漁連と文書を交わしてきた。その陰で政権と東電は「海洋放出」を「政治決断」する時期を探っていたのだ。見え透いた猿芝居でしかない。「被害者」に更なる犠牲を強いる政治と社会構造を許してはならない。
 そんなさなかに「対話型全国説明会」と大書したチラシが郵便受けに入っていた。三世代家族のイラストの下に「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する」対話型全国説明会参加を呼び掛けるNUMO(原子力発電環境整備機構)のチラシだ。
 「地層処分」の仕組み、処分地の選定方法、実現に向けた取り組み等を少人数対話形式で「ご説明」と書いてある。汚染水、高レベル廃棄物の解決策は『放射能ゴミを自然界に投棄する』のが安全で唯一の方法とオルグしまくるつもりだ。〈核の大地プルトニューム物語〉「こんな危険なものを引き受ける所などない」から「大金が動くのだ」と!原発利権に群がる原子力村の住人たち。どこまでも騙し続けると言うことだ。
 そして国内に拡がる第六次コロナ感染。沖縄を始め全国の米軍基地で「大規模クラスター」が発生し市中に拡がり〈日米地位協定 水際対策の穴〉と報道されている。だが、本当は「日米安保条約」が根っこにあり、米軍が「目的達成のため必要とする基地を日本が提供し、すべて米軍が思いどおりに運用できる」とした。米軍に日本の法律を適用しない「治外法権」を認めたことにある。
 基地からの感染拡大に政府は慌てて申入れたが「強制力」は全くなく米軍の「胸先三寸」で決まるのだ。岸田政権が「国民の命と健康を第一」と言うなら、まず不平等な関係を絶ち主権を取り戻すのかだ。
 日米地位協定は「結ばれるけど、守られない取り決め」と言われている。一体、この国の政府はどこの国の政府なのだろう。不平等を覆す道はある。「締約国は他方の締約国に条約終了の意思を通告できる。通告後一年でこの条約は終了する」と安保条約第10条は記す。
 福島も沖縄も本当に「法律に基づいて守られているのか」と言ったら否である。法の下における平等とは本当なのかという「疑問」である。
 友人に「大雪で大変でしょう」と言ったら「これで今年は水の心配はないな」と返ってきた。
 聞く耳自慢の岸田首相に先を見る目はあるのだろうか?    (朝田)

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