造船下請労組の地域ストライキ闘争 (中)

社会的連帯闘争をめざして

非正規職が80%の造船業種

クォン: しかし、細部的には自動車業種のベルトコンベアに比べて造船所労働者の関係や現場権力の性格などが少し違うのではないかと思うのだが。

キム:大宇造船工場は130万坪を超え、労働者間の物理的な距離が遠く、現場内の人間関係も遠い。だから意識的に結びつけるしかない。むしろ意識的に組織しなければならない。分かってみると、私たちも自動車も結局同じだと労働者に話しながら組織した。造船所の場合、作り出す生産物である船が大きく、労働者間の物理的な距離が遠いだけで、分かってみると自動車に左車輪右車輪があるように、私たちも大きな船の左舷と右舷がある。

クォン:造船業種で過去5~6年間、非正規職規模が急速に減少した。また減少幅が非常に大きかった。全体的に造船労働者の総規模自体も大きく減少した。このような雇用の不安定はどのように労働者と労働組合に影響を与えたか? あわせて、なぜ造船業種は非正規職化が急速に全面的に進み、非正規職が80%まで迫るほど非正規中心の事業場になったのか。同じ大企業の金属業種である現代自動車の場合、社内下請と外注化を並行しながらも正規職を一定規模で維持しようとする資本の傾向性があり、それに伴い非正規職労組も正規職転換闘争中心に闘いを進めてきた。

キム:理由は非正規職賃金が高かったからだ。事実、かつて造船所で正規職より非正規職の賃金が多かった時代もあった。正規職がむしろ非正規職に移ろうとする場合もあった。仕事がむちゃくちゃ入ってくるから。物量、仕事を正確に素早く片付けなければならないから。工場は多くなり、人材が不足するにつれてさらにそうだった。現代自動車の場合、自社工場内で車を作る。ところが巨済は本当に隣近所が大規模から中小規模まですべて造船所だ。仕事を片付けなければならないから、10万ウォンで使った人々を急ぎならば20万ウォン、30万ウォンで呼ぶ。下請労働者は昼間働き、夜間にも別の所を掛け持ちして一日30万ウォンをさらに受けとる。そんな仕事のことを「突発」という。そしてかつては事実、雇用安定面でも問題はあまりなかった。とにかく造船所では人材不足問題が深刻だった。そして造船業自体の景気がひどく落ち込んでもいる。結局、物動量と合わせて雇用規模が不安定になっている。

資本の目的は下請市会労組の破壊

クォン:だから、景気と物量に応じて人を急きょ募集したり、またその位また早く切ってしまったりしなければならないから、そんな業種に最もふさわしいのがたぶん非正規労働形態であり、正規職労働は何だかんだ言って硬直性を持っているからここまで数字を伸ばしてしまったのではないか。これも一種の雇用の安定形態の一つであるが、具体的に現在の大宇造船の正規職と非正規職の規模はどうか? 組合加入率は?

キム:巨済造船業種の労働者総規模が今は3分の1に減った。大宇造船だけでも一番多かった時は、6万人近くいたが、今は1万8千人余りだ。このうち現在生産の正規職は4700人で、このうち3分の1が「現場職」だ。正規職の多くは事務・管理職であり、実際の直接生産職の正規職は1500人程度に過ぎない。残りの65%が非正規職だ。その中で巨統コチョ下請支会に加入した大宇造船非正規生産職が500人余りになる。
 そして大宇造船内に約96の社内下請業者があり、そのうち21事業所に組織されたわが労組組合員が今年の6月2日にストライキを始め、6月7日に全面ストライキに突入したということだ。他の工場にも組合員はいるが、それらはまだ組合員の決意が少し不足していてまだ交渉ができていない所もある

クォン:造船所で正規職がそのように少数化されれば、非正規職が労組の中心となり、結局非正規闘争が造船所ストライキの主力となり、生産を中断できる唯一の集団となる。今の自動車よりもむしろ非正規中心で行く可能性が高まったという推論が可能だ。仮によく組織された労組が闘争の中心に立つことになればそうなるだろう。造船資本もそのような労使関係の脆弱性を理解している。だから今回の闘争から引き下がることはできないと考えているだろう。

キム:だから今、会社の目的は造船下請支会労組を壊すことだ。賃金引き上げ30%を要求しても賃金交渉は労使団体交渉の対象だが、会社が10%であれ、何も数字を提示していない。労組を認めなければならないというのが資本としては一番の負担だ。それで交渉もせず、ずっとストライキ中の拠点を攻撃してきた。しかし数百人が集まって攻撃しても、私たちはまたテントを打ち立てふんばった。暴力事態を誘発されるようにし、それを口実に公権力を要請するという腹づもりだから。私たちは対抗しながらストライキ拠点を死守してきた。正規職は今後5年ほど経てば、おそらく力がなくなるだろう。大宇造船も今正規職の数字がもう4千人台まで落ちていて、年に500人ほど退職しているが、新規採用はしていないから。

元・下請の共同闘争は失敗した

クォン:造船業種と自動車業種が金属労組の二大柱であり、かつては民主労組運動の二大軸でもあった。1994年以前の全労協を解消し、立場として産別労組論があり、どのような産別労組モデルで行くかで金属労組の造船労協と自動車業種が小産別と大産別の議論をそれぞれ代表していた。造船労協中心の小産別論が大産別主張に負かされ、全労協が解消されて、急速に民主労総に再編され、事務職まで含む一つの労総が作られた。しかし、民主労組運動の産別化は、様々な利害関係を統一させていく実践過程がなく、ずっと見せかけだけの産別であり、産別化議論の核心だった金属労組の場合、現代自動車労組が加入して一労組になったのが民主労総創立10年後の2006年だった。それも金属労組の旗の下で、事実は企業労組を維持するための方便としてだった。
 ところが造船業種の場合も、87年の労働者大闘争を切り開いた現代重工業の正規職労組がかつての金属労組から除名され、労使が無争議宣言で共生を公然化してから数年前に再び金属労組に入ってきた。大宇造船正規職労組はどうか? 特に7月2日、民主労総領南圏決議大会の時正規職労組は発言すらしなかったし、「夜明けのかん声」という現場ニュースには、はなはだしくも資本と造船下請支会の両方に自制を促す内容の文を載せたが。

キム:正直、「民主労組」が何なのか分からない。民主労組を言いながらも、これはとても難しいね。大宇造船の正規職労組は民主労総所属ではなかったことがなく、執行部も民主派が当選した。今回の執行部も全国会議所属で進歩党に近い。言及した「夜明けのかん声」は労組のお知らせだが、そのような内容がしっかりと載っている。
 もちろん私たちも元・下請連帯の試みはしなかったわけではなかった。元・下請交渉も試みたし。だが、現代重工業など元・下請共同闘争の例などで見るように、元・下請の共同闘争は失敗したとみている。だから私たちの立場は正規職労組は力もなく、ただ私たちの闘争から脱落して、邪魔だけはしないということだ。7月2日、決議大会の時も発言は、そう思っているからしなかったのだ。(笑)

クォン:「夜明けのかん声」の内容を見ると、造船下請支会と会社の両方に2万人の構成員がいるのでそれを考えて自制を促すという内容であり、その後も同様の立場を続けているようだが、それならそんな発言は事実上ストライキへの破壊的な行為だ。金属労組はこれを傍観しているだけではないかと思われる。

(大宇造船支会は7月10日には造船下請支会が7月12日まで座り込み、産業銀行を相手に共に闘おうという提案を「夜明けのかん声」に載せた。大宇造船支会所属でもある一部の代議員たちは造船支会に対して非正規ストを統制できなければ脱退すると圧迫を加える一方、ストライキろう城者と高空ろう城者たちは物理的なストライキ破壊行為に対して慌てずに公然と持続している)

派遣法それ自体をなくす闘いが必要だ

クォン:要求条件と闘争方式に関連する2つの課題について質問したい。今、下請支会の提案は、下請集団交渉団を作り、下請業者と集団交渉をしようというものだ。そしてストライキの争点も「非正規職の正規職転換」ではなく、30%削減された賃金の回復引き上げだ。そしてこれも下請業者と集団交渉団を作って交渉して妥結しようとする。

 一方、今までほとんどの非正規闘争は不法派遣闘争と元請を相手にした正規職転換闘争だった。現代起亜車の事例で見られるように、不法派遣闘争は結局組合員だけの正規職転換であったりし、彼らがいなくなった席は非正規職で埋め合わされ、非正規職の撤廃ははるかに遠かった。また、むしろ「不法派遣」を問題とする闘争によって、勤労者派遣法がむしろ制度的に強められた側面がある。
 これまでこういう点などを討論会などでしきりに提起して批判してきた研究者であり活動家の立場から今回の造船下請支会闘争が喜ばしくもあり、その要求が正しいようだ。しかし、下請業者との集団交渉は、下請業者との関係、元請ではなく下請の雇用主が認める問題、その過程で非正規職を固定化するというまた別の闘争になるのではないかという危惧もあるかもしれない。どう考えるか?

キム:話したいことはたくさんある。しかし闘争形式やそういうものだとしてあらかじめ内容を前提とすることはできないと考える。形式とか、それらの事柄をあらかじめ想定する必要はなく、どれだけ自分の計画を持って闘争できるのかという意志を持っているのか、そしてそのために労働者の意志をどれだけ集められるかが重要だと、考える。非正規職と正規職、それは事実上形式の問題だ。さっき話したように以前の造船所では、正規職が非正規職になろうとしていた時代もあった。これが事実として資本が作った区別だ。
 実際私も金属労組に行っていつも話をするのが、もう違法派遣訴訟をやめようと、お金と時間がかかっても労働者を自ら戦わせなければならないし、その闘いの中で労働者の階級性を生み出さなければならないし、そうして労働者が社会的問題まで進むと。また派遣法をなくそうと考えるのではなく、なぜ不法派遣訴訟をするのか、資本家たちが作った法の枠組みの中でなぜ私たちが身分上昇闘争をするのか、これを言葉にできるのか。派遣法をなくす闘争をしなければならない。
 それで私たちは違法派遣闘争はしないと言う。派遣法をなくそうとするならば、どうしなければならないのか? 私たちに力がなければならない。どんな力かというと、現場を止める力だ。現場で生産を止める力ができれば派遣をしたくてもまともにできない、それが不可能になるので結局派遣法は意味を持たなくなるだろう。(つづく)
チャムセサン(7月13日)

産業銀行が責任を取れ! 大宇造船が解決せよ! と総ストライキに決起


【訂正とおわび】前号の「造船下請労組の地域ストライキ闘争(上)」の記事の見出しの位置が間違っていました。「地域労組として闘争を束ねる」を「非正規職が80%の造船業種」の位置に移動し、「非正規職が80%の造船業種」を「闘争から脱落する正規職労組」の位置に移動します。「闘争から脱落する正規職労組」は削除します。訂正しおわびします。

朝鮮半島通信

▲朝鮮戦争休戦協定締結69周年にあたり金正恩総書記は7月26日、祖国解放戦争参戦烈士墓を訪れた。27日、平壌の祖国解放戦争勝利記念塔前で記念行事が開催され、金正恩総書記が出席した。28日、金総書記は中国人民志願軍を讃える友誼塔を訪れて献花した。
▲韓国軍は7月29日、独島の防衛を想定した定例訓練を行った。

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