自民勝利の参院選をどう見るか

今こそ改憲・軍拡阻止の正念場

現状維持の
ベクトル
 7月10日に投開票された参議院選挙は、岸田自公政権・与党の圧勝という結果となった。ウクライナ危機と円安による、エネルギーや食糧を始めとした深刻な物価上昇や、コロナウイルスの第7波到来によって生み出された危機意識は、消費税の減税など現政権に対する政策変更としてではなく、現状維持のベクトルとして作用した。
 しかし、すでに破綻が明らかになっている日本版新自由主義としてのアベノミクスの「アリ地獄」から抜け出すこともできないまま、日本資本主義は没落する。さらに岸田政府は、9条改憲と軍拡に突き進もうとしている。軍事費をGDPの2%まで引き上げるとしているが、その財源は示されてはいない。法人税や所得税・金融所得への増税をしない限り、そのための財源となるのは国債の発行と消費税の増税である。
 7月7日、日銀は今年6月の長期国債の買い入れ額が、月間としては過去最高の16・2兆円だったことを発表した。日銀は長期金利上昇の上限を0・25%に設定しており、金利上昇を抑え込むために国債を無制限に爆買いしているのである。すでに1000兆円を超える借金を抱え込んでいる政府は、借金返済のために金利上昇を是が非でも抑え込もうとしている。こうした政府と日銀の政策は、さらなる円安と物価上昇を容認するというものであり、日本社会の貧困と格差を拡大させることにつながる。
 7月5日の財務省の発表によると、2021年度の税収は67兆円でその内訳は、法人税が13・6兆円、所得税が21・3兆円、消費税が21・8兆円だった。ここから見えてくるのは、消費税を1%引き上げれば約2・2兆円を確保できるということだ。軍事費をGDPの2%に引き上げるためには、消費税を2~3%ほど引き上げれば可能だということである。政府にとっては「長期高齢化社会対策であり、できなければ年金削減と医療費引き上げ」だと、脅しをかければすむことである。まさに消費税は、為政者にとって「打出の小槌」なのだ。

沖縄の人々と
共に闘おう!
 9条改憲とさらなる軍拡との闘いは、消費税の引き上げを始めとした貧困と格差社会を拡大させるシステムとの闘いと一体である。そして私たちがめざすべき社会は、平和で平等なエコ社会主義の世界だ。世界中の誰もが明日を心配しなくてもよい社会を実現することである。
 今回の選挙では、沖縄の反基地・平和運動の先頭に立って辺野古新基地建設に反対する沖縄民衆の民意を背負って闘ってきた伊波洋一候補が、基地推進派との大接戦を制して再選を実現している。この勝利は、9月11日に予定されている県知事選における玉城デニー知事再選に向けた大きな前進である。全国で連帯と応援の声を上げていこう。
 また「得票率2%以上」の獲得に向けて、まさに背水の陣で今回の選挙を戦った社民党は、比例区で2・37%を獲得し、公職選挙法上の政党要件を維持するとともに福島瑞穂党首の再選を実現している。
 決して諦めることなく、沖縄の反基地・平和運動とスクラムを組んで、9条改憲と軍拡を総力で阻止しよう。日本を「戦争のできる国」にするな。テロという方法ではなく、大衆運動の力で岸田自公政権を打倒しよう。     (高松)
 

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