自民党・統一教会の運命共同体への途②

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たじま よしお

 次に紹介する「有田芳生さんのお話」は「肌感覚で知る永田町の統一教会(デモクラシータイムズ、7月17日配信)」からのものです。講師は元参議院議員の有田芳生さん、聞き手は山岡純一郎/司会が升味佐枝子さんでした。有田さんのお話は何と言っても、足で稼いだ情報の魅力です。

有田芳生さんのお話

 オウム真理教の地下鉄サリン事件(1995年3月20日営団地下鉄での猛毒サリン事件、死者12人重軽傷者5500人超。)の年の秋、有田さんは警視庁の幹部に依頼されて、東京の某所で目つきの鋭い30人ほどの人たちの前で、統一教会についての講演をしました。講演が終わってから「これは何のための公演ですか」と、警視庁幹部に尋ねたところ「サリン事件があったので、次には統一教会を捜査すべく準備を進めていて、統一教会の全体像を把握する必要があって有田先生に講演をお願いした」旨の答えであった。そして統一教会の幹部については既にかなり小些細な調査が進んでいるようだったということです。
 それから10年ほどして、警視庁の幹部と顔を合わせる機会があって「統一教会への捜査は、その後どうなりましたか」と尋ねたところ「政治介入で、潰された」という答えが返ってきたということです。
 合 同 結 婚 式 の そ の 後「1982年に岸信介さんが統一教会の合同結婚式で祝辞を述べ、1992年の合同結婚式には中曽根康弘さんが祝辞を述べ」ていたという合同結婚式のその後について、有田さんは韓国の山奥まで足を運んで取材をしています。それによると彼女らと結婚した韓国の男性は統一教会の会員でも何でもない、日本の女性と結婚できるということで合同結婚式に「応募」したということです。彼女の話は「貧しい農村での暮らしはとても苦しいけど、かっての戦争で韓国を植民地にして、韓国民衆に計り知れない苦痛を与えたその償いなんだから我慢しなさいという統一教会の教えに従っているのです」と。そしてこのような女性は推定6千人はいるであろうということです。
 この有田さんの話を聞いて筆者は胸にぽっかり穴の開いたような気持ちになりました。というのは、1980年5月、韓国の全羅南道で軍事政権に対して民主化を求める一斉蜂起があり「自由光州10日間!」は全斗煥の軍隊に一斉射撃で血の海に沈められ、その民主化運動の首謀者として捕えられた金大中に死刑判決が出され、私たちは「金大中らに自由を!」と叫び立ち上がったのです。その後金大中さんは無事釈放され、のちに韓国の民主化を求めるマグマに押し上げられ大統領となったのでした。
 このことが契機となって80年代中頃には、定住外国人の指紋押捺拒否闘争から90年代に入って従軍慰安婦の問題が浮上しました。私の場合は、かって従軍慰安婦とされた在日の宋神道さんの救援活動で、裁判が始まる前からの関わりであったと記憶しております。そして定住外国人の無年金のことも持ち上がり、かっての日本帝国の植民地支配によって被害を被った人々への戦後補償の問題に少なからず関わってきたのです。

統一教会問題を欠落させていた私の戦後補償運動

 しかし前回の「自民党・統一教会関係史」と有田さんのお話に触れて、私が生きてきたこの40と数年は、統一教会・勝共連合などの問題もほぼ同時並行的に進行して現在に至っているのですが、そのことは私の視野には全く入っていなかったのです。しばらくは茫然自失の状態でしたが、このところ大切にファイルしてあった一枚のビラのことを思い出したのです。それは、「沖縄・安保・天皇制を問う4・28・29連続行動実行委員会への参加参同の呼びかけ」文です。それには次のような記述が見られます。
 「誤った戦後日本のスタート サンフランシスコ講和条約は、冷戦の激化(朝鮮戦争)で講和を急ぐ米国主導のもと、最大の被害国である中国、また、ソ連、インド、ビルマなどが加わらない中で調印された。そこでは、日本の侵略戦争・植民地支配に対する賠償は経済援助方式によって切り縮められ、天皇制国家による侵略戦争・植民地支配の追及は果たされることはなかった。沖縄を含む南西諸島は米軍支配のもとに切り捨てられ、朝鮮半島や台湾など植民地であった地域の出身者は、一片の通達によって日本国籍を剥奪された。占領軍であった米軍は特権的地位を有した状態のままでの駐留継続が認められた。こうした米国による戦後の対日本政策は、占領政策を有効に進めようとする意図のもとで戦犯としての追求をせず延命させた裕仁天皇との米国主導の下での共同作業でもあった。共産主義勢力による戦争責任追及や革命を恐れる裕仁は、米軍の駐留継続を強く望み、そのために沖縄の切り離し(占領の継続)の提案を、日本政府の頭越しに行ったのである。こうした流れは、今日の『従軍慰安婦(日本軍性奴隷制度)』問題や『徴用工』問題、辺野古新基地建設に象徴される米軍基地の沖縄への押しつけ問題などにもつながっている」。

戦後政治の闇を切り裂くとき!

 前記の文章は、統一教会のことには触れていませんが、戦後のスタートをサンフランシスコ講和条約にまで遡らせている、特定の思想家の見解ではなく、さまざまな組織の共通する見解となっていることの意味は計り知れないほど大きいと私は思います。そして「一片の通達によって日本国籍を剥奪された」最後の勅令、つまり外国人登録令に触れていますが、私はこれを昭和天皇裕仁さんの仕業だと思っていましたが違うようです。このことの解明も統一教会と見えない部分で重なっていると私は見ています。
 多くの政治学者・ジャーナリストらによって統一教会について調査・研究がなされていて頭が下がるばかりですが、日本の敗戦直後にまで遡って歴史の闇を引き裂く共同作業が今こそ求められているのだと私は思います。ことは急を要します、誰かが始めない限り何事も始まらないのです。
      (8・14)

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