9.3虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する

政府の責任を認めさせよう

 9月3日、墨田区の木下川橋下の荒川河川敷で「関東大震災99周年韓国・朝鮮人犠牲者追悼式」が行われた。一般社団法人「ほうせんか」と関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会の共催。参加者は主催者発表で320人だった。
 追悼式開会前に、参加者一人一人が花を一輪ずつスタンド型の花かごに刺し、追悼の花束づくりを行った。つづいて「ほうせんか」代表の西崎雅夫さんが主催者あいさつを読み上げた。その中に、前代表の絹田幸恵さんの1982年の会結成の呼びかけ文が書かれていた。
 「殺された朝鮮人の遺骨を、できるだけ早く発掘し、その霊をなぐさめ、真実を明らかにし、再びこのようなことの無いように、消えない記録を残したいと思います。そして、民族や、平和の問題を、私たち一人一人の大事な問題として、これからも考えていきたいと思います。埋もれていく歴史を掘り起こし、良心の光をあてていく『共同のしごと』に、どうかみなさん、お力をかして下さい」。
 会は40年、河川敷で毎年追悼会を行い、証言を集め、記録として本を刊行し、私有地に慰霊碑を建立した。本は、ほうせんか編著の『増補新版 風よホウセンカの歌をはこべ』(ころから/2021年)や『証言集 関東大震災の直後―朝鮮人と日本人』(ちくま文庫)などがある。慰霊碑は京成線八広駅近くにある。
 主催者あいさつは「来年は若者たちがここでの追悼式の内容を新たに考えリニューアルしてくれます。皆さん、来年もここに集い、ともに新たなスタートを切ってくださいませんか。お待ちしています」とまとめられている。
 その来年の追悼式の準備をはじめている20代から40代の若者が7人登壇し、準備状況を報告した。昨年12月から1~2カ月に1回のペースで集まり、フィールドワークを行ってきたという。つづいて、武田裕美子さんの伴奏で、李正美(いじょんみ)さんが追悼の歌を披露した。閉会後にも、李正美さんらのミニコンサートと伝統芸能の「プンムル」による「ミニほうせんかの夕べ」が行われた。
 追悼式のさいごに、今年7月、40あまりの市民団体が集まりソウル市で結成された「関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会(推進委)」の共同代表からの連帯のあいさつをもらった。推進委には現野党の国会議員も参加しており、日本に対する国家賠償の請求や国家責任を問う立法も視野に入れていると報じられている。
 朝日デジタルは9月1日、「2008年の政府の中央防災会議の報告書によると、震災後に周辺住民や警察、軍などによる殺傷事件が多発。犠牲者は震災による死者約10万5千人の1~数%に当たるとされ、朝鮮人が『最も多かった』と指摘している」と報じている。8月29日に放送されたNHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」では、「内務省資料では233人、他に約2600人という説もある」と中央防災会議の数字を意図的に少なく紹介している。中央防災会議は、当時の上海の大韓民国臨時政府の機関紙『独立新聞』社長の金承学の調査による6661人という数字も併記している。私たちはこの「6661」という数字を記憶しておく必要がある。99年前の関東大震災時の虐殺の真相解明を行わなければ、緊急事態条項をはじめとした改憲を語る資格はない。
 自公内閣と東京都は、この虐殺には関東大震災当時の政府に責任があることを認めなければならない。来年9月に向け、国家責任を認めさせよう。  (KJ)

朝鮮人犠牲者を追悼し伝統芸能「ブルムん」も(9.3)


 
 

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