ウクライナとの戦争に反対するロシアの科学者と科学ジャーナリストからの公開書簡    2月27日

 【ロシアの科学者と科学ジャーナリストからの公開書簡を紹介します。この書簡に対して、日本科学者会議大阪支部がこの書簡の支持・連帯、署名者の命と人権を守ることをロシア政府に申し入れ、賛同・支持を呼びかけています】

 われら、ロシアの学者・学術ジャーナリストは、わが国の武装兵力によってウクライナ領内において開始された軍事行動に断固として反対を表明する。この破滅的な一歩は甚大なる人的犠牲をもたらすであろうし、複雑化した国際安全保障の体系の根源を掘り崩すであろう。欧州において新たな戦争を勃発させた責任は、ひとえにロシアにある。
 この戦争には、理性的な正当性は一切ない。ドンバスにおける状況を今次展開された軍事作戦の端緒として利用しようとの試みは、まったく信用に値しない。ウクライナがわが国の安全保障にとっての脅威ではないことは、一目瞭然である。かの国を相手とする戦争は不公正なものであり、はっきり、無意味なものである。
 ウクライナはわが国に近しかったし、近しくあり続けている。われらのうちの多くがウクライナに住む親戚、友人、そして学術的な仕事の同僚をもっている。われらの父や祖父や曽祖父はナチズムに対抗して共に戦った。戦争の勃発はロシア連邦指導部――疑わしい偏向した歴史的幻想によって動かされている――の地政学的野望によるものであり、父祖の記憶をシニカルに裏切るものだ。
 われらはウクライナの国家保全を尊重する。それは現実に機能している民主的制度のもとで保持されてきている。われらはわが隣人のヨーロッパ寄りの選択を理解しつつ接している。われら両国間の関係におけるあらゆる問題が、平和的な道のりによって解決できるものであることを、われらは信じている。
 戦争を起こすことで、ロシアは国際的孤立に立たされ、つまはじき者国家という状態に置かれることになった。このことは、われら学者が自身の仕事にいまや通常どおり従事できなくなってしまうことを意味する。学術研究を遂行するということはなべて、他国の同僚たちと文字通り協働するということを措いては考えられない。ロシアが世界から孤立してしまうということは、わが国が明るい見通しを全く欠いた状態の中で、文化的技術的にさらに衰退してしまうということだ。ウクライナとの戦争、これは何にもならない。
 苦々しいことだがわれらは、ナチズムに対する勝利に決定的貢献をなしたわが国が、今や、ヨーロッパ大陸における新たな戦争を引き起こした張本人となってしまったことを自覚している。われらはウクライナに向けられたあらゆる軍事行動を即刻停止するよう要求する。われらはウクライナ国家の主権と領土一体性を尊重するよう要求する。わが国のために、われらは平和を要求する。

ロシア連邦 プーチン大統領
ロシア連邦政府 ミハイル・ミシュスティン首相

 私たちは、ロシアの科学者と科学ジャーナリストの反戦の表明を支持、連帯します。また、彼らの命と人権を守ることを申し入れます。

 旧ソ連時代のロシア人は、ヨーロッパにおけるファシズムの拡大の盾になり、2000万人の兵士と市民の犠牲者を出したと言われます。その尊い犠牲は、ロシアの平和を望んでいるはずです。
 私たちは、大日本帝国が侵略戦争を繰り返すことを止められなかった国民です。しかし、第二次世界大戦後、再び侵略国家にならないという決意をし、自ら進んで正義と秩序を基調とする国際平和を樹立しようと決意しました。そしてその目標に向かって不断の努力をする宣言である日本国憲法を、好戦的な政権から守ってきました。それは、大日本帝国が侵略したアジア太平洋の国々の被害者、そこで加害者となって死んだ皇国の兵士たち、国内では広島・長崎の原爆、大都市の空襲、沖縄の地上戦の被害者となった市民の犠牲を無駄に終わらせない方法は、唯一、私たちが平和な世界を築くことだからです。
 ロシアの科学者と科学ジャーナリストが、プーチン大統領の戦争という方法で問題解決しようとすることに対して、反対の意志を表明した行動を私たちは支持し、ともに行動します。そして、正義と秩序を基調とする国際平和のために声を上げたロシアの人々の生命と人権を守ることをプーチン大統領とミハイル・ミシュスティン首相に申し入れます。
 さらに、私たちは日本国内の科学者や市民にも、署名行動による連帯を呼びかけていきます。

2022年2月26日
日本科学者会議 大阪支部 代表幹事 今岡良子
賛同は以下からできます。
https://chng.it/9SqWBht4 

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