新型インフルエンザ特措法改正絶対ノー
強権対応で感染拡大は防げない
惨事便乗型政治許すな
根拠曖昧なまま
極度に人権制限
安倍政権は新型コロナウイルス肺炎の感染拡大を利用して、新型インフルエンザ特措法の改正を三月一三日までに成立させる方針を固めた。二〇一二年に成立した新型インフルエンザ特措法は、社会防衛を目的として人権を制限する条項を含んでおり、成立当初から日本弁護士連合会が反対声明を出す等強く批判してきた悪法である。それを今回の新型コロナウイルス感染の拡大に対応できるように改正するというわけである。
新型インフルエンザ特措法は、「検疫のための病院・宿泊施設等の強制使用(29条5項)、臨時医療施設開設のための土地の強制使用(49条2項)、特定物資の収用・保管命令(55条2項及び3項)、医療関係者に対する医療等を行うべきことの指示(31条3項)、指定公共機関に対する総合調整に基づく措置の実施の指示(33条1項)、多数の者が利用する施設の使用制限等の指示(45条3項)、緊急物資等の運送・配送の指示(54条3項)という強制力や強い拘束力を伴う広汎な人権制限が定められている」(1)。それにもかかわらず、どのような事態になればこの法が適応されるのか極めて「曖昧不明確であって、過度の人権制限を招来する危険性が高い」(1)と指摘されている。
安倍の絶対権力
阻止が不可欠だ
九条改憲を目論む安倍政権にこのような絶対的権力をもたせてはいけない。改憲に反対する市民・労働者の運動のすべてが感染予防を口実に中止される可能性がある。いま襲いつつある不況に対し労働組合が闘おうとすることさえも弾圧される可能性がある。
現在、検査体制の不備のために感染の実態は不明である。これは、今後いかようにもデータを操作して感染の拡大を演出することが可能であること意味する。そして不明であるから多くの人々は不安に駆られ、トイレットペーパーがなくなるなどのデマにも動揺している。特措法の改正を許せば、安倍政権は終わりのない危機を演出し、そのすきに様々な悪法を通してしまうことが可能になる。このような惨事便乗型政治を許してはならない。
三月五日現在、安倍政権は「中国、韓国からの入国者全員に、検疫法に基づき『停留』などを行う方向で調整する。水際対策の抜本強化策を打ち出す」ことを明らかにした。国内で感染が拡大している現在、全く無意味な対策である。それどころか日本で暮らす多くの中国、韓国人に対してヘイトを煽る対策で危険な政策である。明日、首都圏を巨大地震が襲ったら。中国、韓国人の命が危険にさらされてしまう。無意味でヘイトを煽る水際対策を撤回させよう。韓国より日本が感染制御されているように見えるのは、ただ単に検査する能力がない結果でしかない。
新型インフルエンザ特措法では、新型インフルエンザのように極めて病原性が高い疾患が想定されている。今回の新型コロナウイルスは不顕性感染といって感染しても症状の出ない人が多数いることがわかっている。つまり病原性は極めて低い。だから感染が広がるのである。「基礎疾患がある人、高齢者には危険」なのは、今回の新型コロナウイルスだけでなくすべての感染症に言えることである。死亡率は一%以下と言われているが、正確な感染者数が把握できればもっと下がるだろう。
つまり今回の新型コロナウイルスが極めて危険であるとは到底言えない。新型インフルエンザのような五〇%を超す死亡率には到底及ばない。その新型インフルエンザの死亡率も迅速診断キットと治療薬が普及した現在では疑問視されている、つまり新型インフルエンザ特措法の立法事実自体が揺らいでいるのだ。
今すぐ求められているのは、すべての人に保険証を提供すること。子どもたちをケアすること。自粛不況から非正規労働者を救済することであり、特措法の改正などではない。今すぐ行動しよう。SNSで#特措法、#新型コロナウイルスのタグをつけて特措法の危険性を訴えよう。一三日の特措法改正法案の成立をストップさせよう。
(矢野 薫)
注(1)新型インフルエンザ等対策特別措置法案に反対する会長声明 日本弁護士連合会
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