エコロジー社会主義めざす歴史的挑戦へ

かけはし 第2647・2648合併号 2021年1月1日

2021年の新年アピール
沖縄・東アジアの民衆と共に

菅義偉政権を打倒しよう

 菅義偉政権の最初の仕事は「学者の国会」とも呼ばれてきた日本学術会議に対するパージと思想弾圧であった。第2次安倍政権によって成立させられた、特定秘密保護法や安全保障関連法、共謀罪法に公然と反対の声を上げてきた学者6人を見せしめ的にパージしたのである。14年に設置された内閣人事局は、それまで霞が関幹部官僚の人事を一手に握って、安倍政権による官僚支配の手段として機能してきたことは知られていたが、これまでにも学術会議ばかりではなく、最高裁判事らの後任人事へも露骨な介入が行われていたことも明らかになった。それはいびつ化した行政権力による、司法権力に対する不当な統制である。
 68年10月、19歳の時に新宿騒乱事件に関連して警察に一時連行されその後、法政大学の夜間部を卒業した菅義偉は、いかなる経緯があったのかは不明ではあるが、26歳の時に神奈川1区選出の自民党代議士だった小此木彦三郎の秘書になり、87年に横浜市議に転身し、96年に衆院神奈川2区で初当選している。いずれにせよノンキャリアのたたき上げである。その菅が第2次安倍政権で官房長官に抜擢されて、警察・公安畑を歩んできた警察官僚の杉田和博(東大法学部出身)を官房副長官に引き入れて、14年以降は内閣人事局を通して1府12省庁の事務次官・局長・審議官をはじめとして部長級以上の霞が関幹部680人を人事権を通して震え上がらせてきたのだから、菅にとってそれはさぞかし快感だったろう。東大法学部出身でなければ「人でない」社会が霞が関の官僚社会であり、出世レースのトップを走るスーパーエリート官僚になることこそが目的化されている世界である。そうした世界で「人事権」を握るということは決定的なのである。まさに内閣人事局は官邸独裁の象徴であり、官房長官としての任を務めてきた菅義偉にとっては「権力そのもの」なのである。
 第2次安倍政権を支えた官邸官僚たち(首席秘書官で経産省出身の今井尚哉・杉田と共に強固な警察ラインを張った内閣情報官の北村滋・首相補佐官の和泉洋人)は、霞が関のスーパーエリート官僚ではなかった。安倍と政権NO2の菅を通して官邸官僚に抜擢され、安倍首相への忠誠を誓うことによって権威をふるってきたのである。
 内閣人事局構想は第2次安倍政権で初めて持ち上がったものではなかった。その構想は97年の橋本内閣時代の行革から始まっている。それは省益優先の縦割り行政の打破を目的として、各省庁の人事を一元化する仕組みを構想しようとするものであった。第1次安倍政権の時にも「内閣人事庁構想」があったが、政権短命のために実現されることはなかった。そしてその後の民主党政権で廃案となっている。
 14年に設置された現在の内閣人事局は、総務省の人事行政部門の人事局と組織管理部門の行政管理局が内閣官房に移管されて作られたものだ。当初は局長クラス以上と各国大使などを人事対象としていたようだが、現在では部長級より上を管理対象としている。ここまで官邸権力の手が伸びてくると、当初の設置目的であった「省益優先の縦割り行政の打破」ではなしに、官邸権力による霞が関官僚体制の支配の完成を意味している。こうした手法を米国政治システムに置き換えるならば、上院の承認なしに政府高官などの人事がすべてホワイトハウスによって恣意的に決められるということだ。そこにはもはや議会制民主主義すら存在しない。大統領による完全な独裁。これこそがトランプが理想としてきたものに他ならない。
 内閣人事局ではどのようなことが行われているのだろうか。まずは事務的な手続きとして、①各省庁に人事案を提出させる②所管大臣が承認して提出する③人事案の差し戻し―第2次安倍政権で差し戻しが頻繁に起きるようになった。次に官僚任用のプロセスに入る。①官房長官が各省庁から提出された人事原案に対して「適格性審査」と「幹部候補者名簿の作成」を行う(過去3年間何をしてきたのかの人事評価)②次に「任用候補者の選抜」と「任免協議」に入る。この「任免協議」に参加できるのは首相・官房長官・担当大臣の3人だけだ。17年から内閣人事局長を務める杉田官房副長官はその場には参加できないが、菅と杉田は完全にワンセットである。これが官邸人事のプロセスである。③「任免協議」の後に「人事検討会議」が開かれて④閣議となり最終的な発表ということになる。
 菅義偉政権が第2次安倍政権から引き継いだものは、こうした官邸独裁の手段である。そしてその使い勝手を最も熟知してきたのが8年間、政権NO2として官房長官を担っていた菅義偉本人に他ならない。行政権力を私物化して、霞が関官僚を人民支配の装置としてきた菅官邸独裁政権を一日も早く打倒しなければならない。

コロナへの無策の極み

 菅義偉首相は政権誕生40日目にあたる10月26日に開会された臨時国会で所信表明演説を行った。政権誕生当初、政権支持率が高いうちに早期解散かとささやかれてもいたが、解散総選挙は早くても来年の春以降ということになった。そうした政治日程は所信表明演説のなかからも読み取ることができるし、菅政権としてこれからの日本資本主義をどのように変革・改造していこうとしているのかということも同時に読み取ることができる。
 菅政権の新型コロナ対策は、感染防止と医療支援ではない。新型コロナ対策の基軸は、GoToトラベルに象徴されているように、コロナの感染拡大で集中的な打撃を受けた旅行関連・交通関連・飲食業関連・小売り関連・スポーツや娯楽関連などへの救済政策である。その大義名分となっているのが、「季節性インフルエンザよりも死亡者は少ない」「GDP低下による自殺者増加よりも、経済活動の再開によってもたらされる死亡者数は少ない」という論理だ。確かにこれまでは、原因が良くわからないが、日本を含む東アジア圏(旧中華圏)は他の地域や文化圏と比較しても新型コロナの感染も死亡率も著しく低い。
 例えば、英国とフランスの人口を合わせると日本の人口とほぼ同規模になるのだが、12月9日現在で両国の感染者の合計は412万人(日本の24倍)、死亡者の合計は11・8万人(日本の47倍)である(日本で第3波が始まってからはその倍率は10数倍から20倍くらいにまで縮まっている)。これまでの日本の現状は、この良くわからない現象によって救われてきたというほかにない。いわば「ラッキーだった」のである。菅政権もこの「ラッキー」を前提として、新型コロナ経済対策を提言している。しかしその「ラッキー」が、今後も継続するという保障はどこにもないのである。また日本がそもそも感染者数が少ないのは、医療崩壊を避けるためにPCR検査を「積極的に実施しない」というコロナ対策を続けてきたからでもある。だから欧米などのように感染者数が、1日数万人から10数万人という数字が上がってくることはない。
 現在、低温・低湿度の本格的な冬の到来によって、北半球を中心に新型コロナウイルス・パンデミックの第2波、第3波が猛威を振るっている。12月9日現在で全世界で6800万人以上が感染し、155万人以上が死亡している。欧米では再び都市のロックダウンが実施されようとしている。日本においても17万人以上が感染し、2500人以上が死亡している。第1波の時にも明らかになってはいたが、日本の医療体制は感染症拡大に対して極めて脆弱であり、医療崩壊の一歩手前という事態を目にしてきたのではないだろうか。そして今、第3波の全国的な感染拡大によって、北海道・大阪・沖縄などでの医療崩壊が現実となっている。人が動けばコロナウイルスも拡大することはわかりきったことであった。GoToトラベルやGoToイートは、感染予防策とは真逆の政策であり、菅首相がどう理由付けしようが税金まで投入した「人命よりも経済を優先」する、「アベノマスク」以上の愚策だと言わなければならない。
 またGoToキャンペーンと同時進行させたのが、スポーツやイベント・娯楽施設への観客人員数の意識的な拡大である。「密を避けよう」などと言っておきながら、プロ野球・Jリーグ・Bリーグ・大相撲などの観客人員上限率は次々に上げられた。室内競技もおかまいなしで、横浜・阪神の最終戦はその上限までも取っ払ってしまい、横浜スタジアムはほぼ満席になった。映画館も「鬼滅の刃」の大ヒットで、相当込み合っているのだろう。これらは菅政権による人々を動員した「人体実験」に他ならない。もちろんそれは、7月23日から開催予定とされている東京オリ・パラを意識した「人体実験」でもある。菅政権はこの「人体実験」によって感染したり死亡した人たちやその遺族に対してどのように責任をとり、補償をするのだろうか。「自助」「自己責任」の論理で逃げ切ることは許されない。
 8月以降、自殺者数が急増している。8月は前年同期比で19%増加して1910人であった。特に女性の自殺者の増加が目立っている。7月(662人)、8月(669人)は過去最多を記録し、10月は前年同期比で83%増の852人であった。新型コロナの感染拡大によって、非正規雇用が多い女性の失業による貧困の拡大や、家庭内における父親や夫や兄のストレス発散のための暴力の被害者になっている可能性が高いという。また家庭の中で居場所を失い、行き場のなくなった未成年者などは、性搾取のターゲットにされやすく、8月の10代の女性の自殺者数は前年同期比で4倍(40人)という数字も出ている。このように深刻な状況にある人たちにこそ、手厚い「公助」の手が一刻も早く差し伸べられなければならないのではないだろうか。
 しかし菅政権では「自助」「自己責任」という「無責任政治」の論理が新型コロナ対策の「基調」とされている。無責任なGoToキャンペーンを実施しながら「感染したやつが悪い」、失業したり生活苦に陥った非正規や女性労働者・外国人移住労働者たちには「自助努力が足りない」と切り捨てる。医療崩壊の危機にある医療現場にも十分な支援は行われておらず、医師や看護師らは「燃えつき症候群」となり肉体的にも精神的にも疲弊しきっている。医療崩壊がまん延すれば死亡者がうなぎ登りになるということは、欧米での例からも明らかだ。

オリ・パラは絶対やめろ

 東京オリ・パラの実施は、新型コロナパンデミックの世界的な再拡大によって「風前の灯火」となっている。「ひょっとしたらできるのでは」と思っているのは、世界中で日本人の一部とIOC幹部だけなのかもしれない。日本の世論も中止と延期が過半数になっているし、実施にこだわっているのは2割ほどに過ぎない。パンデミック下での東京オリ・パラの実施は「集団自殺行為」だということを世界の日本の多くの人々が理解しているからに他ならない。しかしIOCは「大会はウイルスがあろうとなかろうと来年7月23日に開催する」(9月7日のジョン・コーツIOC副会長の発言)というのが本音である。莫大な資金が流れ込むオリ・パラの中止は、オリンピックマフィアの巣窟であるIOCの死活問題となるからだ。IOCにとっては大会強行開催によって日本人が何人死のうが、そんなことはまったく眼中にない。
また菅義偉首相も自らの自民党総裁と首相再選に向かって、9月5日までの東京オリ・パラの実施は決定的に重要な政治日程として組み込まれているはずだ。9月30日、自民党総裁任期満了。10月21日、衆院議員の任期満了。菅義偉にとっても東京オリ・パラは、首相再選のために是が非でも実施にこぎつけたいものとなっているのだ。地方自治体などを巻き込んで「命と人権を脅かす」東京オリ・パラ反対の声と運動を拡大させることは、菅政権の「人命無視・人権無視」の本性を暴き出すためにも決定的に重要な闘いである。何としても東京オリ・パラを中止させよう。

「デジタル社会実現」とは

菅首相が所信表明演説のなかでアピールしていた「デジタル社会の実現」は、菅義偉が描く将来の日本資本主義の姿に他ならない。「マイナンバーカードについては、今後2年半のうちにほぼ全国民に行き渡ることをめざし、来年3月から保険証とマイナンバーカードの一体化を始め、運転免許証のデジタル化も進めます。こうした改革を強力に実行していく司令塔となるデジタル庁を設立します」。
要するに、個人情報が満載されているマイナンバーカードを持たなければ、まともに生活することができない社会を強引に作り上げようとしているのである。まず実行したことは、紙を媒体としたアナログ文化の象徴でもある「印鑑文化」を葬り去ることだった。「電子印鑑」なるものも登場してきたが、これは印鑑のデジタル化に他ならない。
しかしマイナンバーカードに対する人々の警戒心は少なくない。それは個人情報のいっさいがっさいが、国家権力によって掌握されてしまうことへの不安と不信だ。要するに多くの人々が国家権力を信用していないということだ。政府は新型コロナパンデミックに便乗して、5000円のプレミア付きでマイナンバーカードの普及を推進させようとした。しかし10月末現在での交付率は23%である。これまで個人情報を盾にして、政治家や官僚などに関連する情報開示を拒んできたのは安倍政権であり、菅政権だったのではないか。いや、国会での虚偽答弁など、それ以上の暴挙を平然と繰り返してきたのである。そんな奴らに個人情報をくれてやる必要などまったくない。
またデジタル庁の設置は、インターネットを使ったすべてのデジタル情報が国家権力によって一元的に掌握されるということを意味している。現在、官房副長官として内閣人事局長として霞が関官僚のトップに立って人事を取り仕切る警察・公安畑出身の杉田と、菅首相、そして行革相に抜擢されて鼻息の荒い河野太郎が主導して、日本社会の監視・治安・危機管理体制を一気に推し進めようとしている。菅政権の着地点がどこにあるのかということについて、労働者・市民に対して強く警鐘を鳴らさなければならない。国家権力による「脅し」をはねのけて、デジタル庁設置に反対して、マイナンバーカードの普及を阻止して、今後予想される「義務化」措置を打ち砕かなければならない。
菅義偉が「デジタル社会モデル」としているのは、世界でデジタル化社会のトップを走る中国に他ならない。中国で人々がデジタル社会で生活していくためには、個々人がスマホを持たなければならない。スマホを持たずに、現金決済しようとする高齢者などは「難民化」している。スマホは実名制なのでID、顔情報、銀行口座などの情報が組み込まれているので、日常におけるほとんどすべての取引が可能なのである。菅義偉が「スマホの値下げ」にこだわっているのは、デジタル社会実現のための手段が「スマホだ」と考えているからに他ならない。スマホの全国民的所有と、これでもかとばかりの監視カメラの設置、そして強権的な警察・公安支配社会の実現。これこそが「中国モデルのデジタル社会」なのである。
中国のアリババグループ創設者である馬雲(ジャック・マー)は、9月に開催された中国国際スマート産業博覧会でスピーチを行い「事業のすべてのプロセスをデジタル化すべきであり、デジタル化に遅れた企業は10年後おそらく世の中に存在していない」と話している。これはデジタル化社会のトップランナーとしての経験と直感にもとづいた発言だ。菅義偉のデジタル後進国である日本資本主義に対する危機感は、こうした現実を実感しているからに他ならない。

原発への依存許すな

 菅義偉首相は所信表明演説で「50年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする……鍵となるのは、次世代型太陽電池、カーボンリサイクル……安全優先で原子力政策を進める」ことを明らかにした。しかし「鍵」としている次世代型太陽電池も、CO2の排出と吸収を均衡させて実質ゼロにするカーボンニュートラルも未完の技術であり、菅の打ち上げた「ゼロ宣言」は絵に描いた餅であり、まったくやる気がないということの宣言に他ならない。結局は福島原発事故で行き詰まっていた原発再稼働を強行するという政策に舵を切らなければならないということになるのだろう。これこそまさに無責任で無策な方法ではないのか。原発の再稼働に反対して、実現不可能な核燃料サイクルにしがみつき、湯水のように数兆円規模の税金を使い続ける原発推進政策を完全にストップさせよう。
日本資本主義の持続可能なエネルギー政策への転換は、第2次安倍政権で破綻した「原発と石炭火力の輸出」政策によって完全に一周遅れとなっている。当時、日本の最先端企業が開発した太陽光や風力発電の技術も、国内で大々的に実用化されることなくその多くが朽ち果てることになった。現在、太陽光発電の世界シェアは中国が圧倒しており、風力発電も欧州企業などが世界シェアの多くを握っている。日本の風力発電市場は、09年に2513億円あったが、18年には100億円にまでしぼんでしまった。その結果、日立などの有力企業が事業から撤退し、三菱重工は欧州企業との合併によって事業を継続するしかなかったのである。
菅政権の気候危機に対する政策は、CO2を最も排出する石炭火力発電に対してどのような政策をとるのかが試金石になる。7月3日に梶山経産相は、国内にある114基の石炭火力発電所の約9割を削減して、60~100KWの新型発電所の建設を進めていることを発表している。18年度の全発電量に占める石炭火力発電の比率は32%だったが、旧型の1割と新設する17基をすべて稼働させると、石炭火力発電の比率が40%にまで跳ね上がるという試算も出されているのだ。石炭火力発電からの撤退。まずはここから始めさせなければならない。
メガソーラーやメガ風力を含めた巨大な発電施設はいらない。各自治体を基礎にした地産地消の公共の網の目のような持続可能なエコ社会を実現していこう。余剰電力は隣接自治体や水素エネルギー生産工場に送電できるようにすればよいのである。既存の地域電力独占と対抗する、各自治体を中心とした市民・住民によるエコエネルギー供給のシステムを作り上げて、エネルギー供給をめぐる公・私の「二重権力」状況を実現していこう。

エコ・フェミ社会主義へ

英国、中国、ロシア、そして米国などではそれぞれ独自に遺伝子操作で作られたRNAワクチンの接種が始まってはいるが、その効果や副作用またその生産能力などは未知数である。現在の世界の人口は77億人だ。開発されたワクチンは数週間開けて2度摂取しなければならない。世界中に行き渡るためには154億回分のワクチンが必要だということになる。それは半年やそこらでできることではない。日本にだっていつごろ送られてくるのか分かったものではないし「安全第一」で作られている国産のワクチンも東京オリ・パラには間に合わない。一方、中国は22年開催予定の冬季オリ・パラ実現という思惑も含めて、ワクチンを世界中に届け始めている。専門家らの予想によると、今回のコロナパンデミックは23年ごろまでは継続するだろうとされている。そして多分、一般的な風邪ウイルスのひとつになるのだろうと指摘されている。
「生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)の発表によると「哺乳類や鳥類が保有する未知のウイルスは170万種類と推定され、うち63万1000~82万7000種類はヒトも感染する恐れがある。ヒトの間で毎年5つ以上の新たな感染症が起こっており、パンデミックのリスクは急速に高まっている。
「森林伐採をはじめ土地利用の変化や、食用や薬用のための取引・消費などによって、野生生物や家畜、ヒトとの間で接触が増えているのが原因」だとして、「パンデミック防止に向け、各国に必要な情報を提供する政府間組織の立ち上げや、消費や農業、貿易の抜本的見直しなどを提言」している(11月6日 毎日新聞)。また報告書は、感染症による経済的損失は毎年1兆ドル以上で、予防するためのコストは毎年200億ドルほどで済む可能性があるとしている。ワクチン開発は必要なのだろうが、それ以上により根本的な解決策として感染症予防のための世界的な取り組みが必要なのである。第二・第三の新型ウイルスパンデミックは、もうすぐそこまで忍び寄っているのだから。
自然環境破壊、気候危機を人類は食い止めることができるのだろうか。しかし食い止めなければ、人類は確実に滅亡に向かう坂を転がり落ちてゆくことになる。ほんの一握りのカネ持ちが支配する世界。信じられないほどの格差社会の底辺では、明日を生き延びること以外に何も考えられない絶望的な世界が広がっている。国家間の格差、国内での格差、ジェンダーと世代間での格差……人類はこうした格差によって重層的にズタズタに分断されているのだ。トランプは世の中に蔓延する「格差への怒りと不安」を、排外主義と差別主義を煽動することによって組織してきたのである。その手法はナチス・ヒトラーのやり方と同じだ。
われわれは知っている。この絶望的な格差と差別がまん延している原因を。新自由主義的な資本主義社会だということを。ほんの一握りのカネ持ちが支配する世の中に終止符を打たない限り、人類の多くが明日を心配して暮さなければならないのである。カネ持ちを徹底的に収奪する、カネ持ちが暮らしにくい平等で自由な社会を作り上げなければならない。エコ社会主義・フェミニズム社会主義のための闘いを、菅政権との対決を通して推し進めていこう。
(高松竜二)

2021 闘争スローガン

●GoToキャンペーンをただちに中止しろ!
●十分なコロナ感染予防措置をただちに実施しろ!
●医療現場と医療従事者への十分な支援を実施しろ!
●予防医療を重視して、都立病院・保健所の全国的整理・統合計画、および都立病院の独立法人化を即刻撤回せよ 公的医療・保健所の強化を!
●失業・減給などコロナの影響を受けたすべての労働者への100%の賃金保証を行え!
●高齢者・女性・障がい者・母子家庭・移住外国人労働者などの社会的弱者への十分な公的支援を!
●コロナで死亡、重症化した被害者の医療費と手厚い見舞金の保証を!
●エッセンシャルワーカーに感謝を込めた十分な一時金を給付せよ!
●大学授業料の完全な無償化を!

●8時間働けば暮らせる社会を!  非正規労働者の差別的処遇是正を! 過労死水準の時間外労働認めない! 技能実習制度廃止! 移住労働者の権利保障を! 全国一律最賃制を! 最低時給1500円の早期実現を! 職場に人権を! パワハラ・セクハラを許さない!

●政府は東京オリ・パラの中止を宣言しろ!
●JOCはIOCから脱退せよ!

●マイナンバーカード制を廃止しろ!
●デジタル庁設置反対!
●監視と治安・危機管理社会はごめんだ!

●石炭火力発電をただちに停止して、解体・撤去しろ!
●原発再稼働反対! 福島原発汚染水の海への放出をやめろ!
●北海道・寿都町などへの核廃棄物最終処分場建設阻止!
●核燃料サイクル計画を破棄せよ!
●福島原発事故の責任をとり、十分な補償を継続しろ!
●地域電力独占を打ち破ろう!
●地産地消型の持続可能なエネルギーシステムを作り上げよう!

●自然環境と生態系の破壊を押し止めよう!
●辺野古新基地建設をただちに中止しろ! 琉球弧への自衛隊配備反対!

●成田空港第3滑走路建設反対! 人権・環境破壊の三里塚空港を廃港へ! 闘争拠点・一坪共有地を守り抜こう!

●憲法改悪反対
●内閣人事局は解散せよ!
●霞が関官僚体制打倒!
●菅義偉自公政権打倒!

●天皇制解体!天皇制賛美祝日反対!戦争神社「靖国」NO!

●一切の差別と排外主義に反対しよう!

●人類滅亡に向かわせる資本主義体制を打倒しよう!
●全世界で気候危機に立ち向かおう!
●エコ社会主義、フェミニズム社会主義の実現めざして共に闘おう!
●グローバル資本主義と闘うアジア・世界の労働者・民衆と共に!

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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