帝国主義の戦争と新自由主義グローバリゼーション、憲法改悪と「戦争国家」化に対決する新しい左翼政治組織の統合へ、討論を開始しよう

日本革命的共産主義者同盟(JRCL)中央委員会

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 二一世紀の始まりは、資本の新自由主義的グローバリゼーションの一層の深まりとともに、新たな戦争と破壊の時代の様相をいっそうきわだたせている。労働者・民衆が幾世代もの闘いを通じてかちとってきた諸権利は、グローバル化した資本の無制限で自由な利潤追求の論理によって大きな後退を余儀なくされた。「テロリズム」との闘いを名目にしたアメリカ帝国主義の先制的予防戦争が、2001年の「9・11」を決定的契機にして、アフガニスタンとイラクに対して発動された。国際法や国連憲章をもふみにじった一方的侵略戦争と占領が、「自由と民主主義」の名において強行された。
 「北」=帝国主義中枢と「南」の第三世界の間では、後者をグローバル資本主義の下に統合しつつ、いっそうの格差が進行している。「南」の世界は、グローバル資本主義の支配の下で、主権を侵害され、貧困と飢餓、生活の場と環境の破壊にさらされ、生存すらが困難な絶望的状況に投げ込まれた。エイズなどの疾病と内戦が、子ども、老人、女性などもっとも傷つきやすい「弱者」にとって、明日の生命もおぼつかない苦難を強制している。しかしグローバル資本主義がもたらす「底辺への競争」は北の先進資本主義諸国においても例外ではない。雇用の破壊と失業・貧困の増大、労働者・民衆の社会的諸権利の清算、民主主義の破壊と差別や排外主義の増大をともなった「優勝劣敗」の論理の下に労働者・民衆は駆り立てられている。
 ソ連・東欧のスターリニズム官僚独裁体制の崩壊と「社会主義」理念の信頼性の喪失は、資本主義の攻勢と既成の労働者政党、労働組合の後退を促進することとなった。戦後「福祉国家」の主要な担い手であった社会民主主義と労働組合運動は、資本の攻勢に協力し、新自由主義の下に統合されてその積極的推進者となっている。民営化と規制緩和、市場主義・競争主義の先兵となっている。それはブッシュの帝国主義戦争の忠実な同盟者となっているイギリス・ブレアの「ニュー労働党」だけではない。多くが政権党となっているEU諸国の社民党は、大資本の利害の忠実な担い手となっている。そして旧スターリニズム諸党の多くは、スターリニズムの真剣な克服の努力を放棄したまま、路線的にはますますこの「社会自由主義」化した社会民主主義に同化し、共通の運命をたどりつつある。

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 他方、1990年代の階級闘争の主体的危機をくぐりぬける中で、いま新しい労働者・民衆の闘いが世界的に始まっている。2001年から始まった「世界社会フォーラム」運動に体現される「反グローバリゼーション運動」(グローバル・ジャスティス運動ないしオルター・グローバリゼーション運動)は、今日のグローバル資本主義の新自由主義的攻勢とブッシュ米政権が解き放ったグローバル戦争に対する多様で大規模な抵抗の運動として発展しつつある。労働者、農民、失業者、都市貧困層、移民、女性、青年たちの運動をつなぎあわせ、自由、平等、平和とエコロジカルで公正な連帯社会をめざし、今日の資本の新自由主義的グローバリゼーションに代わるオルタナティブな価値を追求する政治・社会運動としての性格を明らかにしつつある。
 それは同時に、スターリニズムや社会民主主義に代わる新しい左翼政治勢力=反資本主義左翼の大衆的登場を緊急の課題としている。そのための挑戦がすでに始まっている。われわれがその旗の下に闘ってきた第四インターナショナル=国際的なトロツキスト運動は、この反グローバリゼーション運動の先頭に立ちつつ、自ら、多元主義的で民主主義的な新しい左翼勢力の形成のための闘いをめざそうとしている。
 われわれがここで「反資本主義左翼」という意味は、今日の新自由主義的なグローバル資本主義とアメリカ帝国主義の軍事的一極体制に対する「現実主義的」対案、すなわちより「公正な資本主義」に、「反グローバリゼーション運動」の展望をあらかじめ制限するのではなく、戦争と新自由主義に対する抵抗の中から、資本主義に代わる公正で民主主義的な社会、すなわちスターリニズムの一切の現れを徹底的に克服した新しい社会主義のための展望を切り開こうとするからである。
 第四インターナショナルは、現実の運動に基礎を置きつつ、その中でのさまざまな意見の相違を慎重に討論し、誠実な共同闘争の経験の上に立った、新しい時代が必要とする新しい左翼の組織的形成に貢献しようとしている。それは、われわれがその一部となるような、異なった潮流が多元的に存在する民主主義的な左翼組織のための闘いである。

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 ブッシュ政権と軌を一にして登場した小泉政権の下での日本の現実は、とりわけ厳しいものがある。小泉内閣は、日本資本主義の長期にわたる危機の中で、新自由主義的構造改革の徹底的遂行の旗手として登場した。小泉内閣は、ブッシュ政権の「対テロ」戦争を無条件に支持して、アフガニスタン侵略に呼応して米軍支援のために自衛隊をインド洋に派兵するとともに、イラク戦争・占領においても自衛隊を占領軍の一員として派兵した。それは違憲・違法な参戦の既成事実化にほかならなかった。沖縄や「本土」の米軍基地の再編・再配置をふくむ「トランスフォーメーション」を通じて、米軍と自衛隊はグローバル戦争遂行のレベルでますます一体化しようとしている。そしていま、小泉政権は有事法制の確立、海外派兵の恒常化の上に、戦後憲法の改悪に踏み込んでいる。
 こうした憲法改悪・「参戦国家」体制づくりとともに、小泉政権の4年間で、社会・経済の新自由主義的再編は大きく進んでいる。郵政民営化攻撃を軸に公共サービスの民営化が拡大し、雇用の破壊、失業と労働力の非正規化による低賃金、無権利化がいっそう拡大している。年収300万円以下の労働者はいまや全労働者の半数に達している。社会不安の中で自殺者は3万人を越え、国家主義と排外主義・差別主義のキャンペーンが溢れ出ている。「日の丸・君が代」の強制、教育基本法の改悪は、そうした国家主義的キャンペーンの焦点となっており、こうした攻撃の中で天皇の「元首化」、天皇を日本の「国柄」の象徴とする自民党の憲法改悪案が浮上している。
 他の帝国主義諸国と比較しても、日本における階級闘争・大衆運動の低迷は深刻である。労働者階級の新自由主義的「構造改革」に対する集団的抵抗は、ごく少数の戦闘的労組を除けば、形をとった形で存在せず、社会生活に影響をもたらすストライキなどの闘争は、1975年のスト権スト、1978年末~79年初の全逓労働者の「反マル生」闘争以来絶えて久しい。こうした中で、国鉄労働者の分割・民営化に対する闘いは孤立を余儀なくされてきた。昨年のプロ野球選手会のストが、多くの共感を獲得したのは、こうした労働組合運動の現実に対する社会的不満が広がっていることをも反映している。われわれが述べてきた「階級の敗北」という現実がここに投影されている。
 1980年代から90年代にかけて、地域の市民運動・住民運動が環境・福祉などさまざまなテーマで発展し、多くの地方議会にも進出し、自治体行政にもその意見を反映させていった。また国際協力NGOも多くの青年たちの社会参加・国際連帯の意欲を引き出していった。それは市民・住民の民主主義のスペースを拡大する貴重な成果であったが、大衆的な社会的抵抗の運動が不在の中で、こうした試みはますます新自由主義的構造改革の枠内に統合されていく傾向に引きずられがちである。

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 戦後日本政治の中に大きな足跡を残してきた社会党(社会民主党)と共産党は、こうした全体としての「左翼の危機」の中で、急速にその力量と影響力を低下させている。2003年の総選挙、2004年の参院選挙において、「護憲・平和」勢力としての共産党、社民党は得票率において約13%、議席においては5%以下(衆院では3%)の極小勢力に落ち込んでしまった。ともに新自由主義的グローバリゼーションと憲法改悪、そして「国際協力」という名の自衛隊の海外派兵を原則的に肯定する自民、民主のブルジョア「二大政党」制の枠組みに、日本の議会政治は収斂されつつある。
 他方、1960年代後半から70年代初頭にかけた青年・学生の急進的闘争を主導した、われわれをふくむ広義の「新左翼」勢力は、内ゲバ主義とテロリズムによる腐敗を大きな主体的要因として、いっそうの周辺化と分散化をたどってきた。今日の大衆運動の低迷と「左翼の危機」をもたらした原因は、こうしたわれわれをふくむ急進主義的「新左翼」勢力の敗北もその大きな要素であることを、われわれは自覚している。
 旧第四インター日本支部は1980年代に露呈した女性差別問題を通じて、その深刻な政治的・組織的欠陥を確認せざるをえなかった。そして全体としての大衆運動の衰退局面と自らの急進主義的政治展望の破綻、そして世界的な「社会主義」の信頼性の崩壊の中で組織的に分裂し、その力量を大きく後退させた。こうしたことはわれわれの闘いの総括と、その限界の克服を迫るものであった。
 われわれは、その間、内ゲバ主義に反対する1980年代以来の共同行動を発展させながら社会主義政治連合に参加し、その一翼をになって、新しい政治潮流の形成にむけた努力をともに進めてきた。しかしながら、全体としての大衆運動の衰退局面を逆転させるイニシアティブを作りだすことはできなかったのである。
 こうした中でわれわれは欧州やラテンアメリカの第四インターナショナルの成功と失敗の経験に学びつつ、複数主義にもとづく左翼の新たな政治組織的再編・統合の実現を、戦略的追求目標として掲げてきたが、それはあくまで大衆運動の新しい攻勢局面のはじまりを土台にしたものでなければならず、新しい組織的統合のための政治的基盤はいまだ成熟していない、と考えてきた。
 スターリニズムや社会民主主義の歴史的没落にかわる新しい反資本主義左翼=オルタナティブ左翼の形成は、たしかにその運動的・社会的基盤の成長と軌を一にした形でしか現実のものにならないだろう。しかし問題は、その「基盤の成熟」を待つという態度では、そこに向かう一歩の踏み出しができないことである。われわれに問われているのはそのことである。
 新しい反資本主義的=オルタナティブな左翼政治組織の建設のための闘いは、今日の情勢の下で、大衆運動に献身し、平和・民主主義・人権・公正などの諸価値を実践し、戦争と新自由主義グローバリゼーションとの闘いを先頭に立って切り開こうとする政治組織間の、相互の信頼にもとづく共同の討論、行動の積み重ねによって、よりダイナミックに推進されるべきであるとわれわれは考える。
 それはたんなる組織間の共同行動・統一戦線や連合にとどまらず、組織的な統一の可能性をも追求するものになる。
 われわれは、現在の段階でこうしたオルタナティブ左翼の建設をめざす新しい政治組織的統合の可能性をふくめた具体的な討論を開始している。

 (5)

 日本帝国主義支配階級の攻勢の当面の政治的焦点は、有事・派兵国家化の既成事実の上にたった憲法改悪に定められている。ここ数年間をかけた憲法改悪の政治過程は、新しい左翼の形成にとっても決定的に重大な位置を占めている。
 2003年のイラク反戦運動は、ベトナム反戦運動以来、30年ぶりの規模の大衆的な結集を実現した。「反グローバリゼーション運動」(グローバル・ジャスティス運動ないしオルター・グローバリゼーション運動)もまた、ATTACジャパンなどの闘いを通じて確実にその意義が社会的に浸透する状況を迎えている。
 われわれはこの新たな可能性を、憲法改悪阻止の闘いと結びつける左翼的イニシアティブを共同の力で作りだしていかなければならない。
われわれがめざす反資本主義的左翼政治組織とは、帝国主義の戦争と資本の新自由主義的グローバリゼーションに反対し、平和・人権・公正・民主主義のグローバルな実現に基礎を置いた新しい社会主義のために闘う政治組織である。
それは、起源を異にする多様な潮流・個人の存在を認め、共同の討論と学習と闘いを作りだしていく複数主義的な民主主義を組織の基本原則とする。
それは、共同の課題に向けた大衆的で闘争的な統一戦線、共同闘争を真摯に追求する。
それは、全世界、とりわけアジアの労働者・民衆や、その中で進歩的役割を担っている政治組織と連携し、共同の闘いを実現していく国際的な展望に裏づけられた政治組織である。中国の「資本主義大国」化、民衆に飢餓、人権抑圧を強制する朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)・金正日独裁体制の危機の進行の中で、東アジアのグローバル資本主義体制に対する労働者民衆の連帯した闘いこそが求められている。

 われわれがこれから呼びかけ、ともに作りだそうとする政治組織は、いますぐには大衆的基盤を持った新たな左翼イニシアティブとはなりえないだろう。それは、当面、過渡的な性格を持った将来に向けた「先行投資」であり、大衆的な新しい左翼政治組織のための共同推進者という性格を持っている。しかしそこにおいても、組織の多元主義と民主主義が貫かれなければならない。内ゲバ主義・テロリズムを批判せず、その「正当性」に固執するグループは、共同の政治組織を建設する対象にはなりえない。
 この新たな政治組織は、革命運動の歴史的アイデンティティーの共有を前提とするものではない。われわれは第四インターナショナルの綱領的アイデンティティーに踏まえ、その今日的豊富化と刷新を追求していこうとするが、共同で作りだされるべき新しい政治組織は、「トロツキスト」的伝統を共通の背景にしたものではない。
 歴史的経過と潮流を異にする、他の社会主義政治組織との統合は、われわれにとっても初めての経験である。したがって、その目標を実現するには多くの試行錯誤と困難がつきまとうだろう。しかしわれわれは、あえてこの課題に挑戦する。新しい時代における社会主義と革命運動の刷新・再生のためには、この挑戦は避けがたいものである。
 「左翼の危機」の中での、政府・支配階級の憲法改悪・「参戦国家」体制作りと、新自由主義的「構造改革」の加速化は、新しい左翼イニシアティブに登場に向けた闘いを緊急の任務としている。こうした政治組織的統合は、あらかじめわれわれの側からの一方的プログラムに基づくものではない。共通の原則、課題を討論し一致させていく過程そのものが、具体的な統合の条件を規定する。
 社会主義の再生、新しい左翼政治組織の建設のためにともに討論し、行動しよう!
(2005年2月) 

The KAKEHASHI

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