第94回メーデーアピール

大軍拡阻止、生活と地球の破壊食い止め
自立した団結と連帯の創造的拡大を
岸田・自公政権打倒!

日本革命的共産主義者同盟(JRCL)/国際主義労働者全国協議会(NCIW)

 第94回メーデーを迎えるに当たって、日本革命的共産主義者同盟(JRCL)と国際主義労働者全国協議会(NCIW)は、平等な社会の中での尊厳ある生活を願って闘い、日々を懸命に生きているすべての労働者のみなさんに、心からの連帯のあいさつを送ります。そして特に、労働者民衆の生活と地球の未来を今深刻に脅かしている世界の支配階級の危険な動きに、団結と連帯を国内外であらためて固め共に立ち向かい、その動きを止めるために立ち上がるよう呼び掛けます。合わせて、私たちもその闘いを率先して共に担う決意を表明します。

プーチンの侵略戦争を止めよう
  支配階級の大軍拡にもノーを

 世界の労働者民衆に深い衝撃を与え、心を痛ませたロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略の惨状は未だ終わりを見せていません。この戦争はウクライナ民衆に極度の苦難をもたらしているだけではなく、たとえば世界の貧しい諸国の食糧危機や経済混乱などの国際的な負の影響をもつくり出すと共に、地球温暖化との闘いにも大きな障害をもたらしています。一刻も早くロシア軍を撤退させ戦争を終わらせなければなりません。
 「プーチンはロシア軍を撤退させろ」の声を今こそ労働者民衆の国際的連帯を通して世界の巨大な声にし、プーチン政権に撤退を決断させましょう。その一環として、ロシアの侵略に不屈の抵抗を続けているウクライナの民衆を支えると共に、プーチンの嘘を暴く戦争の真実をさまざまな回路を通じて広くロシア国内の民衆に伝えることも含め、困難な中で抵抗を続けるロシアの反戦運動との連帯を強める行動を広げましょう。戦争を真に止めるのは、これまでの歴史でもそうだったように、利益の思惑を何より優先して動く世界の支配階級ではなく、民衆の連帯した行動であることをあらためて心に刻みましょう。
 それと同時に、このウクライナでの戦争を格好の口実に世界の支配階級が一斉に大軍拡に乗り出していること、日本の岸田政権もそこに便乗していることが世界に新たな危険を作り出しています。そして世界に対立を煽り緊張の中での偶発的な衝突のリスクを高め、平等と連帯の世界を求める民衆の希求を押し潰しています。
 しかしそれだけではなくそれは、直接的にも、民衆が生活再建のため今最も必要としていること、たとえば新自由主義が破壊した公共サービスの公的責任による立て直しや再生可能エネルギーへの抜本的転換などの不可欠な課題から、財源、資源、雇用を奪い取り民衆の生活に確実に打撃を与えます。加えて、危険を高めるだけで本来全く不要なこの行為は、莫大な二酸化炭素排出源となり、今切実な要求となっている脱炭素の取り組みを正面から阻害します。この世界的大軍拡は生活と地球の未来に対しても明確な敵対行為にほかならず、世界の労働者民衆は連帯してこの愚行に全力で立ち向かう必要があります。

未来壊す岸田・自公政権打倒

 日本の岸田政権が乗り出した大軍拡もまさにそのような愚行の典型です。「攻められたらどうする」などとの情緒的な宣伝が繰り返されています。果たして誰がどのような理由で攻めるのでしょうか。領土欲求にかられた周辺諸国というような、歴史的関係も客観的な現実も無視した、まるで戦国時代そのままの感覚の粗雑な議論です。歴史を振り返れば、侵略を繰り返したのは周辺諸国ではなく日本にほかならなかった、という事実も指摘したいと思います。
 しかしこの軍拡を推進している者たち自身がこのような議論を信じていないはずです。日本海沿岸には何基もの原発がたち並び、かれらはそれに加え原発の新増設まで狙っています。「攻められる」と本気で思っているならこんなことはとてもできないでしょう。あるいは軍拡推進派の維新も、かれらの表看板であるカジノの客として中国人富裕層を当てにしています。まさに支離滅裂です。
 このようなデタラメな宣伝への同調を断固として拒絶し、平等と連帯と民主主義を求める国境を越える草の根の民衆レベルの連帯構築をこそ、労働者民衆の道としてはっきり対置しましょう。そしてそこで不可欠な課題として、その闘いの先頭に立って不屈に闘っている沖縄の人々との連帯を全力で広げましょう。
 しかもデタラメで粗雑で無謀なこの大軍拡の根拠とされた安保関連3文書は、国会の議論もないまま閣議だけで決められています。行政権力のあからさまな独断専行であり、日本の民主主義をも危険なほど形骸化させました。
 日本の支配的エリートたちが踏み入れたこの危険な道を、労働者こそ先頭に立ってふさぎ、貧困と格差と分断の社会の立て直しと気候危機への真剣な対処へと、道の切り換えを迫りましょう。そこに向けて、この危険で労働者民衆の生活破壊を必然化する道を選択した岸田・自公政権を打倒しましょう。

草の根から労働者の団結再生を


 そのような闘いを進めるに当たって私たちにはどうしても克服しなければならない課題があります。労働者の団結と労働者運動の明らかな弱体化という現実です。端的に労働組合の組織率、またストライキ数の低下は止まっていません。特に新自由主義が広げた非正規労働や「雇用によらない働き方」という名の無権利労働は、労働条件の劣悪化と並んで、労働者の分断を極度に悪化させています。
 今年の春闘では大企業の満額回答という見出しが各紙に躍りました。例年にない賃上げ水準と持ち上げられましたが、たとえばベースアップを見れば物価上昇率に届いていません。これで満額というのではその大企業労組の要求自体が問題になります。ところが連合の大企業労組はその水準でも早々と矛を収め、その賃上げが中小企業や非正規労働者にまで確実に波及するのを助けるそぶりさえ見せていません。日本に顕著なこのようなあり方が特に若い労働者に、労働組合への不信、さらに団結や連帯の価値や力そのものにまでの不信を広げても不思議ではありません。
 平等と人権や社会的権利の確立、民主主義への社会の変革を現実に進めたのは、団結と連帯を足場に支配階級の敵対と弾圧に立ち向かった労働者民衆の集団的闘争だった、という歴史をあらためて確認し、求められている闘いに向け、先の状況の逆転に向け、特に国家と資本から明確に自立した、また官僚主義を排した団結の創出に向けて今こそ挑戦を開始しましょう。
 現実はそれが可能であり挑戦に値するということを指し示しています。今世紀初頭以来世界ではその逆転に向けた闘いが粘り強く連綿と続けられ、そこでは旧来の労働者の典型には限らない、多様な主体による既成の労働組合とは相対的に別個な運動と組織の形態の試みなどさまざまな経験も蓄積されています。そしてそのような運動の積み重ねの上で、この1年、米国や欧州では既成の労組運動のレベルにも一定の復活傾向が現れ、具体的なストライキ闘争を展開する中で労組への新規加入を相当な数で実現していることも伝えられています。
 そしてここ日本でも、特に東日本大震災と福島の原発事故を契機に、全国に数多くの自立的な運動が芽生えました。その流れは水面下でしっかり続き、気候正義を求めたり、不公正な入管行政にはっきりノーを突きつける現在の若者の運動、性暴力に反対する女性の運動やジェンダー平等を求める性的マイノリティの運動、などにも引き継がれています。
 市民運動や労組運動に携わる先進的な労働者がこれらの多様な自律的運動を尊重しつつ、自らの闘いを率先して展開することを前提に、現実の労働者のあり方に沿った多様で水平的な団結形成のために創造的に挑むことが求められています。実際明らかに支配階級こそが労働者の団結の力を十分に認識し、それゆえ怖れてもいます。全日建関西生コン支部の産別闘争に前世紀のような大弾圧が加えられ、それに抗する闘いが足かけ6年にわたって続いていることにそれは端的に表れています。こうした支配階級に対して団結の拡大で応え私たちの要求の実現につなげ、さらに労働者民衆の希望が生きる社会の実現につなげていきましょう。

新しい社会の議論に挑もう

 上述したプーチンの暴虐、それを利用した世界の支配階級の大軍拡といった愚行、さらに民衆の強い反対をよそに一向に止まらない社会の貧困化・格差・分断と公共サービスの劣悪化、その上の脱炭素サボタージュ、これらの根源には生き延びすぎた資本主義の絶望的な行き詰まり、社会を組織する力の枯渇、いわばその生産力の破壊力への転化がある、と私たちは考えます。それゆえ平等と尊厳を求める世界の労働者民衆の闘いは、今客観的に、資本主義のくびきと衝突し、そのくびきを断ち切る道に踏み込む力学を内包せざるをえません。たとえばその一端は、荒廃した公共サービス立て直しの要求が公共サービス公営化要求として広がろうとしている現実に現れていると思います。
 そうであれば、現にある切実な要求を軸に労働者民衆のエネルギーが草の根から結集するとき、必ず資本主義の論理と常識を踏み越える動きが否応なく生まれ、新しい社会への道が求められると私たちは考えます。したがって、新しい社会とは何か、その議論を深め広げることも今、特に先進的な労働者には避けてはならない課題になっています。資本主義の危機の時代に資本主義に代わるものはないとの支配階級の精力的な宣伝を放置することは、労働者民衆に闘争の放棄とあきらめを広げることと等しいからです。
 私たちは、その新しい社会をエコ社会主義として提起し議論を呼びかけ、労働者の議論の活性化に貢献すると共に、その議論を闘いの一層の進展につなげる決意をもって共に闘いを進めます。
 第94回メーデー万歳。  

第94回メーデースローガン

◦戦争と搾取・差別の元凶であるG7広島サミットいらない!
 ◦ロシアはウクライナから無条件に撤退し、侵略戦争を終わらせ、ウクライナの賠償要求に応じよ!
 自己組織化を通じ不屈の抵抗を続けるウクライナ民衆を支えよう! 抑圧に抗し、プーチン政権の戦争に抵抗しているロシアとベラルーシの反戦運動との連帯を広げよう!
 ◦世界の諸大国はこの戦争を自己の覇権追求に利用するな! 世界に対立と分断を煽る諸大国の軍拡追求を労働者の国際的連帯で押し戻そう!
 ◦欺瞞と偽善の「民主主義」対「権威主義」図式をきっぱり拒絶しよう! 支配階級の覇権争いを拒否し、連帯と協力の世界を求めよう!
 ◦岸田政権は米国の中国敵視・封じ込め戦略に協力するな! 生活破壊と脱炭素敵対の軍拡を止めよ! 憲法9条を事実上侵犯し、戦争に道を開く「反撃能力」保持の追求を直ちに撤回せよ! 
 ◦9条改憲阻止! 兵器輸出反対! 戦争法廃止! 東アジアに軍事的緊張をつくるな! 韓国民衆の「徴用工」補償要求に真摯に応じよ!
 ◦沖縄を再び軍事的前線にすることを止めろ! 沖縄の人々を支える連帯を大きく広げ辺野古新基地建設を断念させよう! 琉球弧諸島への自衛隊とミサイルの配備を止めさせ引き上げさせよう! 普天間の米軍基地を直ちに運用停止に!
 ◦日米安保条約を破棄し、世界における善隣友好を追求する主体的な外交への転換を!
 ◦クーデターに反対して決起し暴虐を極める軍政に抵抗を続けるミャンマー民衆に連帯! 日本政府は軍政と関係を絶ち、ミャンマーへのODAも止めろ! 日本の大企業は軍政が関与する事業から撤退せよ!
 ◦まだ終わっていないコロナパンデミックでの対策引き下げ反対! 第5類への拙速な転換反対! 感染状況把握に科学的に適切で透明性のある体制を確保し、感染状況監視を緩めるな! 今後を見据え、政府から独立した科学的で透明性のある体制の下でコロナパンデミックに対する政府対応の真摯な検証を!
 ◦新たな感染症をも予期し、医療の営利産業化路線を転換し、医療を基本的に公的運営に移せ! 病院・保健所の全国的整理・統合計画、および都立病院の独立法人化を直ちに中止せよ! 医師、看護師を含む医療スタッフの大幅拡充政策への転換を!
 ◦福島の原発被災者支援の打ち切りをやめろ! 原発再稼働反対! 汚染水海洋投棄を止めろ! 六ケ所村の放射性廃棄物再処理施設建設を直ちに中止し、核燃サイクル構想から完全に撤退せよ! 可能な限り早期に原発ゼロ社会へ!
 ◦自然破壊とエネルギー浪費のリニア建設を直ちに中止せよ! 世界の石炭火発取り止めの動きを邪魔するな! 効果のない技術開発で脱炭素をごまかすな! 再生可能エネルギーへの早期転換を! 住民を追い出し土地所有者に不労利益を与えるだけの都市再開発をやめろ!
 ◦24春闘勝利! 残業ゼロでまともに暮らせる社会を! 大幅時短で全労働者に正規の職を! 最低時給1500円の全国一律最低賃金の早期実現を! 有期契約労働者の無期転換逃れを許さない! 有期契約労働者に同一労働同一賃金を保証せよ! 派遣労働への派遣先の雇用責任逃れを許さず、派遣労働の抜本的規制を! 非正規労働者の差別的処遇是正を! 裁量労働制の不法拡張のもくろみ糾弾! 不当解雇の金銭解決方式の導入を許さない! 高齢再雇用労働者へのフリーランス適用を許さない! 過労死水準の時間外労働の法的容認を直ちに止めろ! 職場に人権を! ジェンダー平等の実現を! あらゆるハラスメントを許さない!
 ◦技能実習制度の廃止を! 移住労働者に権利保障を! 移住労働者の御都合主義的利用を止め、道理ある移民政策への転換を!
 ◦人権無視の「入管法改正法案」再上程を許さない! 同法案を直ちに廃案にせよ! ウィシュマさんの死亡に対する入官庁の責任解明が先だ! 外国人敵視と排除に貫かれた入管行政を解体的に転換せよ!
 ◦全日建関西生コン支部への弾圧を労働運動総体の闘いではね返そう!
 ◦個人の国家統制と企業の個人情報利用をもくろむデジタル政策を全面的に見直せ! スーパーシティ構想反対! マイナンバーカード強要を止めろ! 健康保険証を廃止するな!
 ◦消費税廃止! インボイス制導入強行をやめろ! 大資産家と大企業への累進課税や金融所得課税などの抜本的課税強化を軸とする課税制度の根本的転換を!
 ◦災害、パンデミックに対する社会的抵抗力の再構築を! 売りものとしてのサービス提供ではなく権利保障として、公的責任による公共サービスの再建を! 公務非正規労働者の正規化を! 公務雇用の大幅増強を!
 ◦天皇制関連諸行事の取り止めを! 天皇制を終わりに!
 ◦生活と地球の未来を壊す道を選択した岸田自・公政権を打倒しよう!
 ◦世界の労働者民衆と連帯し、成長に依存しない持続可能で平等で民主的かつ公正な抑圧のないエコ社会主義の世界をめざそう!
 2023年5月1日

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