「構造的」な「政治とカネ」問題に楔を打ち込み自公政権を打ち倒そう!
大企業と金持ち優遇、軍拡を許さない! 消費税10%の撤廃・凍結せよ!
岸田「ゾンビ」政権は内閣を即時に解散して総選挙を実施しろ!
高松竜二
歴史修正主義を許すな
「政府の立場としてお答えは差し控える」。政治資金の議員個人へのキックバック(裏金)疑惑に対する質問に連日このように繰り返して答弁してきたのが松野博一官房長官であった。ひとりの政治家としての松野への質問に対して「俺は国家権力の一員なのだから個人の問題にいちいち応える必要などない」とするこの答弁には、有権者を見下してあざ笑う松野の姿勢が露骨に表れている。
昨年は関東大震災から100年の節目の年であったのと同時に、大震災直後から繰り返された6~7000人とも言われている朝鮮人・中国人ら大虐殺の歴史を振り返る絶好の機会でもあった。多くのマスメディアもこの朝鮮人ら虐殺の真実を報道した。それは当時の新聞が流言の真意を確認することなく記事として垂れ流したことで、虐殺を煽ったという反省も背景にあるからに他ならない。「朝鮮人が井戸に毒を入れている」などの流言が広がるなか、内務省警保局は震災2日後の9月3日に、朝鮮人が爆弾を所持し放火しているとして「厳密なる取り締まりを加えられたし」とする電文を流したのである。こうして殺気立った軍・警察・自警団を先頭に、銃・刀・とび口・竹やり・こん棒などで取り押さえた朝鮮人や中国人らを次々と虐殺し、遺体から金品などを強奪したのであった。これが歴史の真実なのであり、虐殺が行われた各地に報告書や手記などが残されているのである。
9月1日を前にして行われた記者会見で、朝鮮人虐殺について問われた松野官房長官は「政府として調査した限り、政府内で事実関係を把握することのできる記録は見当たらない」とする原稿をいつものようにさらさらと読み上げたのであった。
さらに松野官房長官は11月9日の参議院の委員会では、野党の質問者が示した当時の内閣が出した2つの閣議決定文書すら認めなかったのである。ひとつは石垣のりこ議員(立憲)が示した当時の閣議決定文書である。「大正12(1923)年9月の震災当時に於ける混乱の際、朝鮮人犯行の風説を信じ其の結果、自衛の意を以て誤って殺傷行為を為したる者に対しては事犯の軽重に従い、特赦又は特別特赦の手続きをなすこと」。
「殺傷行為がなかった」のならば、このような閣議決定を出す必要がなかったということがわかる。殺傷行為は間違いなく「あった」のである。
もうひとつは福島瑞穂議員(社民)が示した当時の閣議決定文書である。それは中国人虐殺に関連するものであり、当時政府は中国人虐殺を「徹底的に隠蔽する」としていたが、中国からの責任追及が強まるなかで以下の閣議決定をした。「支邦人傷害事件慰藉(いしゃ)金20万円責任支出」。
外務省に公文書があるのだから「官房長官の答弁は虚偽になるのではないか」とする福島議員の問いに対して、小泉龍司法相は明確な答弁を避けた。03年の日弁連の報告書によると、殺害された中国人の数は758人としている。朝鮮人と間違えて「誤殺」されたという説もあるが、現・江東区大島では9月3日に軍によって連行された中国人労働者300人以上が「銃殺又は撲殺せられたり」とする警視庁外事課の文書が資料として残されている。朝鮮人と同様に中国人に対する蔑視と警戒感が大虐殺の背景にあったことは間違いない。
安倍晋三政権は10年ほど前に「朝鮮人軍隊慰安婦」問題をめぐって、当時のパク・クネ政権と対立していた。その中で安倍は慰安婦問題自身を否定することはできなかったが、「政府と軍の主導的関与」はなかったとうそぶいた上で、すべては「65年の日韓条約で解決積み」だとして謝罪と賠償を拒否している。こうした安倍の政治姿勢に対して「歴史修正主義」だという国際的な批判が浴びせられた。これに対して安倍は「なぜ日本だけが何度も何度も批判されなければならないのか。他の欧米諸国も同じことをやっていたのではないのか」と反論し、そうした批判の根源として日本における「自虐史観」が問題だと主張した。
「自虐史観」とは何なのか。ひとことで言えば明治憲法のもとで遂行された日本帝国主義の「アジア侵略戦争」に対する自己批判的総括である。天皇を「現人神」だとでっち上げて「神の国」である日本こそが「大東亜共栄圏」を樹立する権限があるとする「妄信」を否定し、日本人を含むアジアの民1千数百万人の犠牲者をだした根源が日本帝国主義のアジア侵略にこそあったとする歴史観である。
確かに米帝国主義もアジア人に対する「人種差別主義」を振りかざして、ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下をはじめとして、日本のありとあらゆる都市部への空爆、そして沖縄での地上戦など無差別殺りくをほしいままにした。そしてその後も朝鮮でベトナムで百万単位の無差別殺りくを繰り返し、アフガニスタンとイラクへの軍事侵略を実行した。そのことをハワイ(真珠湾)を除いて悲惨な戦場というものを体験していない米国政府と米国人がどのように総括するのか、それは米国人に課せられた歴史的な課題である。
しかしここでひとつだけ指摘しなければならないことは、米国が無差別殺りくしてきた人々は東アジアと西アジアの人々だということである。米国だけではないが現在も人種差別主義が世界中にはびこっている。アフリカの難民問題がそのことを象徴している。もしもウクライナ人が「黒人」だったとしたら、世界はウクライナの難民・避難民を快く受け入れたであろうか。ビートルズのジョン・レノンも「もしもビートルズが黒人のロックバンドだったら世界はそれを受け入れたであろうか」という発言を残している。
もしもユダヤ人が「黒人」だったら米国はイスラエルを支援したのだろうか。
ネタニヤフは無差別殺りくをやめろ
現在無差別殺りくを実行しているのは、軍事政権に抵抗する少数民族に対するミャンマー軍による空爆と焼き討ちであり、ウクライナに軍事侵略してミサイルや自爆型ドローンを打ち込んでいるロシアのプーチン政権であり、そして天井のない監獄に押し込められたパレスチナ・ガザ220万住人に対するイスラエル・ネタニヤフ政権による大殺りくである。高い塀に覆われた狭いガザにはすでに4万発を超える爆弾と砲弾が撃ち込まれている。さらにイスラエルがガザへのインフラを遮断したために、水・食料・薬・燃料などが極度に不足するという事態がつくりだされている。ネタニヤフはハマスに限らず、ガザ住民全体を爆弾と兵糧攻めで抹殺しようとしているのである。
「ハマスの基地がある」というのはイスラエル側の口実にすぎず、多数の負傷者と避難者であふれる病院も学校も避難所も容赦なく爆撃され破壊されている。それはガザ住人総体を「死の恐怖」のもとに追いやり、安全な所などどこにもないと徹底的に消耗させようとする戦術である。
こうしたネタニヤフ政権の残虐行為に対して、全世界で「即時の停戦」を求めて多くの市民が街頭に繰り出している。国連もグテレス事務総長が国連憲章の99条を発動し、12月8日の国連安全保障理事会で「即時の人道的停戦」を求める決議案への賛同を呼びかけたが、米国が拒否権を行使したために否決された。理事国15カ国の内、賛成したのは日本を含む13カ国であり英国は棄権している。米国はその翌日にはイスラエルに対する154億円相当の軍事支援を発表し、戦車用の砲弾1万4000発などを陸軍の在庫から融通させるという。米国バイデン政権はネタニヤフと同罪であり、悪らつなプーチン政権をあれこれと批判する資格もない。
そもそもユダヤ人問題は古代から現代までの2000年間を通してのヨーロッパの問題であった。ユダヤ人は人々がさげすんできたおカネを扱う仕事に従事することで、ヨーロッパにおけるある種の「商人階級」として存在してきたのである。ある時は地主や行政の代理として年貢や税の取り立てを行い、蓄えた財で金融(高利貸し)事業を手掛け、手に入れた土地で地主になる者もいた。しかしイタリアで始まったルネサンス以降、西ヨーロッパ各地で商業が盛んになり、各地にユダヤ人に替わる土着的な「商人階級」が生み出されることで、ユダヤ人はまだ封建的な社会体制のもとにあった東ヨーロッパへと移動するのであった。こうしてヨーロッパ全体に散在したユダヤ人のアイデンティティは、ユダヤ教であり勤勉性であった。
そうしたユダヤ人を死と暴力の恐怖に陥れたのが1880年代初頭のロシアにおけるポグロムであり、その後のナチスによるユダヤ人の根絶を目的とするホロコーストであった。レオン・トロツキーはユダヤ人国家の建国について「ロシアのように広い国土を有する国が国土の一部を提供するしかないのではないか」と提言していた。しかし米国が主導する国連は1947年に、当時英国が委任統治領としていたパレスチナをユダヤ人とアラブ人双方が分割統治するという決議を採択したのである。その背景には第1次世界大戦時に英帝国主義がユダヤ人とアラブ人双方とかわしていた「2枚舌外交」があった(アラビアのロレンスとして有名な話だが)。それはユダヤ人とは莫大な戦費と引き替えに、アラブ人とはオスマン帝国と戦うことと引き換えにオスマン帝国からはぎ取った領地を国家建設のために提供するという内容だった。しかし戦後英国は双方との約束を反故にして、オスマン帝国の領地をフランス帝国主義と分け合ったのである。
そして1948年にイスラエルが建国されると、もともとその地で暮らしていたパレスチナ人70万人が追放されて難民となったこと(ナクバ「大惨事」と呼ばれている)でユダヤ人とアラブ人との対立関係が深まり、その年に第1次中東戦争が勃発するのであった。それ以降75年間の戦争と対立が続くのである。
ユダヤ人問題は2000年間を通してヨーロッパの問題であった。それを国連(米・英・仏)は、アラブ世界に丸投げしたのである。異教徒であり、異人種であり、言葉も通じないユダヤ人の国家をその地に作ることのリスクは十分すぎるほど認識していたはずだ。そこには民族として国家をもたなかったユダヤ人に対するナチス並みの蔑視があったのは間違いない。
現在パレスチナはイスラエルの占領下に置かれている。種子島ほどの面積しかないガザに220万人が押し込められ、ヨルダン川西岸には50万人の違法入植者が入り込み、パレスチナ人を次々と追放している。抵抗する者には容赦のない暴力と銃口が向けられる。
ネタニヤフはアラブ諸国との国交正常化を進めることで、パレスチナ問題の勝者としてのイスラエルを「承認」させようとしてきた。もちろん米国の政治的軍事的な力を後ろ盾とするものだが。近隣国であるエジプトとヨルダンに加えて、20年にはトランプ政権の下でUAE・バーレーン・スーダン・モロッコ4カ国との国交正常化を実現している。そして仕上げはサウジアラビアだった。サウジアラビアもイスラエルとの国交正常化の前に、中国の仲介でイランとの国交正常化を23年に実現するという段取りをとっていた。
しかし今回のイスラエルによるガザでの無差別大量殺りくは、アラブ社会に激震を巻き起こしたのである。アラブ諸国はイスラエルとの国交どころか「断交」と報復的制裁を求める圧力にさらされている。世界中から「イスラエルの虐殺中止」と「即時停戦」の声を上げるのと同時に、戦争犯罪のテロ国家であるイスラエル・ネタニヤフ政権の打倒・「即時退陣」を要求し、イスラエルに対する様々な制裁を強めなければならない。
オスプレイ配備を中止しろ
米国バイデン政権はヨーロッパにおけるウクライナと中東唯一の信頼できる国家であるイスラエルでの事態を受けて、早々と緊張緩和のために動いたのが米中関係であった。ペロシの訪台などの演出によって作り出されてきた「台湾危機」なるものが、どれほどペテン的で薄っぺらなものだったのかということを証明したかのようである。台湾に対する軍事攻撃はあくまでも「中国の意志」次第であり、米国や日本が外周からとやかくわめきたてたからといってどうこうなるというものではない。しかも現在の中国がそのような行動に出るのはほぼゼロに近いと言わなければならない。
日米はこの数年間を通して対中国封じ込め戦略として、九州から奄美・沖縄・与那国島にいたるいわゆる南西諸島の軍事基地化を推し進めてきた。そんな中で11月29日に屋久島沖で発生したオスプレイ墜落と搭乗員8人全員の死亡事故は、極めて大きな影響を与えることになった。事故直後米軍は、日本政府や沖縄県の全面飛行停止要請を無視していたが、12月6日になって全世界ですべてのオスプレイの飛行を停止すると発表したのである。現在米軍が運用しているオスプレイは、今回墜落した空軍のCV22が51機、海兵隊仕様のMV22が約400機、そして海軍のCMV22が27機であり、米軍以外でオスプレイを運用しているのは日本の陸自14機(17機導入する計画)だけである。
今回墜落したオスプレイは18年に横田基地に配備されたもので、3機編成で岩国基地から沖縄の嘉手納基地に向かっていた。そしてその内の1機に不具合が発生して屋久島空港への緊急着陸を要請していたのである。すぐ目の前で墜落を目撃した釣り人や漁師の証言によると「空港に向けて下降してきたが、突然機体が180度ひっくり返り、左側エンジンから火が出て『ドカーン』というものすごい音で爆発し、機体は旋回しながら海に落下し黒煙を上げた」。10秒ほどの出来事だったという。
オスプレイは垂直離着陸ができ、飛行中は固定翼機のように飛ぶことができる画期的な輸送機だとされ、07年から海兵隊で運用が始まり、その後空軍と海軍が導入してきた。輸送ヘリの2倍の速度で飛行し、航続距離も3倍長い。しかし開発段階から事故が相次いだことで「空飛ぶ棺桶」などと揶揄されてもきた。主な墜落・死傷事故だけでも、12年にモロッコとフロリダ州で、15年にハワイ州、16年に沖縄名護で、22年にノルウェーとカリフォルニア州で発生している。そんな訳で各国が導入を見合わせてきたが、日本だけが14年に安倍政権が正式導入を決定していた。また当の米軍すらオスプレイの新規調達を見送っており、23年5月に国防総省が海軍向けとしてCMV22オスプレイ4機だけ製造依頼し、26年にも生産が終了する計画だったとされていたのである。
今回の墜落事故を受けてすべてのオスプレイの飛行停止を発表した米軍は「初期的な調査によって、機材の不具合」が原因している可能性について明らかにしている。空軍特殊作戦司令部は22年にCV22でクラッチ事故が相次いだために調査しているが、根本的な事故原因を見つけることができずに、安全飛行と飛行技量の向上で対応してきた。しかし今回の墜落事故によって、オスプレイは棺桶がいくらあっても足りなくなる「欠陥機」の烙印を押されることになるかもしれない。
そうなった場合、防衛省が18年から進めてきた「日本版海兵隊」として位置づけられてきた陸自の「水陸機動団」への影響は大きなものになるだろう。現在佐世保の相浦(あいのうら)駐屯地の島しょ防衛部隊としての水陸機動団を24年3月までに3000人体制に増強し、25年7月の完成をめざして現在工事が進められている佐賀駐屯地に17機のオスプレイを配備して、部隊を海上や離島などに常時展開させようとする方針への影響である。
さらには現在工事が進められている佐賀駐屯地への影響である。防衛省は23年5月に予定地の登録名義人であった佐賀県有明海漁協と土地の売買契約を結んでいるが、この売買契約は不法・不当なものであるとして地権者でもある漁師らが佐賀地裁に工事差し止めの仮処分を申請している。こうした漁民らの動きに対して、政府は公正取引委員会を使って圧力を加えている。有明海の3漁協に対して「所属する漁協に収穫したノリ全量を出荷するよう求めている」ことが独占禁止法違反だというのである。福岡は恫喝に屈服したが、佐賀と熊本は「問題はない」としたために、排除措置命令を出すというのである。もし正式に命令が出されれば漁協に対する初のケースとなる。政府防衛省はこうした漁民への弾圧とともに佐賀駐屯地建設の既成事実化に躍起になっている。
政府のこうしたやり方は、半世紀以上前に三里塚(成田)の農民に対して行ってきたやり方と同様である。「農地死守」「空港よりも緑の大地を」と掲げる農民に対して国家権力の暴力を差し向ける卑劣なやり口は、何も変わっていない。普天間と横田の基地に配備されている米軍のオスプレイと、木更津から佐賀の駐屯地に配備されようとしている陸自のオスプレイは、日本のどこに飛来してきてもおかしくない。墜落するのは海上だけだとは限らないのである。もしも民間人に犠牲者が出た場合誰がどのような責任を取るつもりなのだろうか。
内閣解散・総選挙を即時実施しろ
11月に実施された各メディアの世論調査でこぞって政権発足以来最低となる20%代の内閣支持率を記録していた岸田政権は、東京地検特捜部による自民党に対する政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)容疑の刑事告発によって完全に「死に体化」している。しかしだからと言って岸田の首をすげ替えるとか、解散総選挙を実施するといった動きが出ているわけでもない。現在自民党の幹事長を務める茂木ですら松野に替わる内閣官房長官のポストを固辞したぐらいであり、党それ自身が大火に見舞われているなかで首相に手を上げるものなど皆無なのだ。また総選挙を実施すれば自民党は大敗北する結果になるだろう。その一方で岸田も首相の座を絶対に手放そうとはしていないのである。
今回問題とされているのは自民党派閥の政治資金パーティーをめぐるもので、過去のロッキードやリクルートといった個人の政治家と企業との「政治とカネ」をめぐる疑惑ではなく、国政執権党としての自民党総体をめぐる「構造的」な「政治とカネ」の問題なのである。構造的とはどういうものかというと、簡潔に言ってしまえば、税金を食い物としてきタックス・イーターと自民党との関係である。それは国税だけではなく地方税の隅々にまで広がっている。自民党の周りにはそうした企業や団体・個人がひしめいているのである。
はたしてどれ程の税金がタックス・イーターの食い物にされているのかは分からないが、公共事業に群がる土建屋ばかりではなく、兆単位の税金が注がれてきた核燃料サイクル関連事業や電力エネルギー関連事業、軍需産業、そして様々な補助金などを引き出そうとする団体・個人などだ。法人税減税を引き出してきた大企業もまた形を変えたタックス・イーターだと言えるだろう。そして大口をパックリと開けているのが米国軍需産業であり、在日米軍であり、コロナワクチンで巨額の利益を上げてきた米国製薬企業である。
そして税金で稼がせてもらった企業や団体・個人がその利益の一部をパーティー券を購入することで自民党派閥に還元しているのである。要は税金が企業などと自民党との間をくるくると還流しているようなものであり、その意味で自民党も立派なタックス・イーターである。「税金泥棒」なのである。
東京地検特捜部は自民党派閥の内でも党内最大派閥である清和政策研究会(安倍派99人)が特に組織的で悪質だとして、担当秘書らに対する集中的な事情聴取と捜査に乗り出している。特捜部のこれまでの事情聴衆によると「自民党の派閥の中でも安倍派は悪質性が突出しており…他派閥では議員側への還流資金分が収支報告書に記載されていたという。…安倍派では…記載されておらず、裏金化していた。額も5年間で約5億円に上る…還流資金は…現金でやりとりされ、所属議員側は派閥側から収支報告書に還流資金分を載せないよう指示を受けていたという。ある元秘書は『銀行振り込みにしたら裏金は作れない』と明かす。特捜部は…政治資金規正法違反容疑での立件も視野に全容解明を目指す方針だ」(毎日新聞12月14日)。
政治資金規正法によるとパーティー券は20万円を超えると氏名・金額の記載を義務付けている。寄付金は5万円以上なっていて、規制がかなり緩いことがわかる。実際に派閥の中で総額にしてどれ程の資金が還流していたのか掌握することは困難なのではないかと考えるが、特捜部はすでに安倍派内での資金の流れが記載された派閥側作成のリストを入手しているという。これではもはやウソも言い逃れも通らないということになる。ただし政治資金規正法の時効は5年であるために、捜査は過去5年に絞られることになる。
また政治資金規正法違反は、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金と定められている。そして処罰の対象者は会計責任者とされているが、今回の安倍派の場合、組織的に裏金作りが上から指示されており、歴代事務総長をはじめ派閥幹部らも同法違反に問われる可能性があるだろう。岸田首相は内閣と党への打撃を最小化するために、すでに安倍派所属の4閣僚(松野官房長官、西村経済産業相、鈴木総務相、宮下農相)と5人の副大臣を解任した。また安倍派所属の3人の党役員(萩生田政調会長、高木国対委員長、世耕参院幹事長)も実質上解任している。
岸田政権のこの2年間というものは、これといった政策を提示することなくとにかく党内派閥政治の安定にむけられてきた。安倍派とは争わないこと、一方では安倍派と数で対抗する党内勢力として麻生派・茂木派・岸田派に谷垣グループまで加えて、できうる限りひとつに束ねようとする政治であった。しかし今回の安倍派に対する東京地検の手入れによって、こうした党内派閥バランスによる政権の維持というものが完全に破綻した。岸田政権はもはやいつ倒れてもおかしくない状態なのだが、倒れない。倒せない状態なのである。まさに「ゾンビ化」しているのである。
最新12月の世論調査(毎日新聞)によると、岸田内閣の支持率は16%(不支持79%)にまで下落した。そればかりではなく自民党の支持率も17%(前月24%)まで下落しているのである。そうした状況にもかかわらず岸田本人はいつものようにひょうひょうとして、毎晩飲み歩いているというのだから面白い。安倍晋三のような権力への執念を表に出すこともなく、世襲3代目にして岸田家から首相が出たという「誇り」だけが彼の支えになっているのかもしれない。1月にも通常国会が召集されるが、裏金問題をめぐって野党からの厳しい追及が予想される。岸田首相はこれまでのように煙に巻くという風にではなく、柳の枝のようにこれをかわしていくつもりなのだろう。
岸田首相の自民党総裁任期満了は24年9月だが、それ以前に「解散総選挙はできない」だろうという声が党内で上がっているという。24年は1月13日の台湾総統選から始まり、4月の韓国総選挙、11月の米国大統領選挙など重要な選挙が続く。現在の衆議院の任期満了は25年10月であり、その年の7月には参院選挙が実施される。次の自民党総裁と首相が誰になるのかは分からないが、当面自民党は強烈な逆風を受けながら耐え忍ぶほかないのだろうと考えているに違いない。
一方で庶民の生活は疲弊し続けている。家計の食糧費の割合を示すエンゲル係数は約30%で、これは過去40年間で最高水準に達しているという。円安などの影響による物価上昇によって、実質賃金は18カ月連続で約3%の減少を記録している。ガソリンの小売価格も3年前と比較すると約4割も高騰しているという。庶民感覚からすれば今回明らかになった自民党派閥裏金問題だけを問題にしているのではない。軍事費の2倍化や少子化対策などによる税金のバラマキは、見え透いた言い訳をしたところで結局は増税として庶民の側に跳ね返ってくることが明らかだと考えているからである。カネ持ちと大企業、そして株などの金融所得でカネを蓄えている連中により多くの税金を課す不公正税制改革に乗り出さない限り、こうした庶民の不満と怒りが収まることはないだろう。
まさに「新しい資本主義」は、格差是正と弱者救済のためにここに手を付けない限り始まらないのである。派閥の懐に回りまわって来る「税金」を入れている場合ではないのだ。現在食料品にかけられている消費税10%の撤廃・凍結の「爆弾政策」でも実行しない限り、岸田政権の浮上はないだろう。しかし首相官邸では閑古鳥が鳴き続け、官僚丸投げの政治・政策を実施してきた岸田政権がそんな冒険をするわけがない。
岸田「ゾンビ」政権は内閣を即時に解散して総選挙を実施しろ!
イスラエルはガザ大虐殺をやめろと4000人が渋谷をデモ(23.11.10)
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