派閥裏金問題と総選挙をめぐる情勢について

年末総選挙が濃厚か!

野党共闘の大勝利と自民党の大敗北を実現しよう

「政局」となっている政治状況

 自民党派閥パーティー券の裏金問題をめぐって東京地検特捜部は、最も組織的で悪質だとして安倍派に対する立件に乗り出したが、結局のところ安倍派の歴代事務総長ら幹部議員の立件を断念した。同派幹部は裏金問題は「会長案件だった」と口裏合わせをして、すでに死去している細田と安倍にすべての責任をなすり付けたのである。時効5年の政治資金規正法違反は刑事告発の対象を会計責任者としており、議員に関しては会計責任者との共謀関係の立証が必要だとされている。
 派閥パーティー券裏金問題の発端は、報道によると、2001年に小泉政権が成立した後、森喜朗が派閥である清和政策研究会の会長に復帰し、派閥のパーティー券収入を議員個々人に還流する仕組みが作られたとしている。「戻し」とも言われてきた現金入りの封筒が派閥事務局から議員秘書に手渡されその後、領収書も収支報告書への記載も不要なものとして裏金化していった。
 特捜部が裏金問題でどこまで安倍派を立件しようとしていたのか、その「本気度」は分からないが、タイムリミットを1月26日の通常国会召集としていたのは確かである。しかし誰も予想していなかった能登半島地震による深刻な災害の発生は、間違いなく特捜部の捜索に影響を与えている。岸田首相は裏金問題の影響を軽減させるために、首相官邸から特捜部に対してかなりの圧力をかけたことは十分に想像することができる。「災害に全力で対処しなければならない時に、政府と自民党を壊すつもりなのか」と。またこうした圧力は岸田が安倍派に対して「貸しを作る」という思惑もあっただろう。
 しかし特捜部としてもメンツがあるわけで「それならば安倍・二階派だけでなく、岸田派も立件しますよ」とやり返したのである。そして岸田はいつものように思いついたかのように「岸田派の解散を検討している」と発言し、1月18日に派閥を解散したのであった。その後解散は二階派、安倍派と続き、森山派と谷垣グループも解散を決めた。安倍派は解散することで特捜部の捜索から「逃げ切った」と言うことができる。
 結局、特捜部としては罪証隠滅と逃亡の恐れがあるとして逮捕された池田衆議院議員(比例東海)に加えて、谷川衆議院議員(長崎3区)と大野参議院議員(岐阜)の起訴で裏金問題の幕引きをすることになった。3人とも4000万円を超える裏金が指摘されているが、派閥パーティー券を「がんばって売りさばいて来た」議員だけがとばっちりを受けたということになる。いわゆる5人衆や塩谷、下村ら派閥幹部が誰ひとりとして責任を取ろうとしていない。これでは安倍派内の不満は収まらない。
 こうして残った派閥は麻生派と茂木派だが、茂木派からは小渕、青木をはじめすでに複数の議員が離脱しており解散圧力が強まっている。そもそも岸田政権は最大派閥である安倍派を優遇しながら、麻生派・茂木派・岸田派の3派連合に谷垣グループを加えて自民党内派閥バランスによって成立し安定してきた政権である。派閥の解散は岸田政権の危機に直結しているのだろうか。それとも今年9月の自民党総裁選に向けて新たな「派閥的」グループができることを見越しているのだろうか。しかし現在の政治状況は間違いなく「政局」となっており、3月に来年度の予算を成立させ、4月に国賓として訪米し、4月28日に実施される3つの衆院補選の結果を見ながら、解散・総選挙に打って出るかもしれないと報道されてもいる。
 何をやっても、何を言っても内閣支持率は20%代と低迷し続けてきたなかでの岸田首相による解散・総選挙は、その結果がどうなるにせよ「ヤケクソ解散」「自己保身解散」「身勝手解散」などと呼ばれることになるだろう。

「派閥的政治団体」は復活する


 現在の政治資金規正法の骨格は94年1月、細川連立政権のもとで成立した「政治改革関連4法」だ。88年のリクルート事件を契機として「政治とカネ」の問題がクローズアップされて、自派の分裂騒動もあり自民党は下野していた。そもそも自民党の最大の資金源は、政治家個人に対する企業・団体からの献金だった。そのピークは91年で、政治資金収支報告書に記載されている額は約867億円だった。
 当時成立した政治改革関連4法は、政党助成(交付金)制度の導入や政治家個人への企業・団体献金の禁止、政治資金パーティー券購入者の公表も100万円から20万円に引き下げられるなどの成果を残したものの、政党や政治家の資金管理団体への献金禁止問題は、5年後に先送りされるなど曖昧にされたのである。その後自民党が復権することで「政治改革」は一気に後退することになる。
 ここではっきりしたことは、自民党政権のもとではクリーンな「政治改革」など不可能だということである。今回の派閥裏金問題もそうだ。自民党政権では何も明らかにされることもないし、すべてを統一教会との癒着問題同様に曖昧化されるだけだ。要するにこうした問題に限らず、自民党政治を終わらせなければ何ひとつ始まらないということである。
 自民党は通常国会召集直前に、自民党政治刷新本部による「党改革の中間とりまとめ案」を発表した。その内容は、派閥の政治資金パーティーの全面禁止。会計責任者が逮捕・起訴された場合、党として所属議員を処分する。問題とされた党所属議員に速やかな説明責任を果たし必要な対応をとる、というもので、議員への連座制の導入や派閥の解散も明記されなかった。そして実施されたのは、問題とされた85人の議員らからの2問からなる簡単な自主申告書の提出であった。こうしたやり方は統一教会問題をめぐる「自主申告書」提出と同様であり、そこからはひとつの真実も明らかにされることはない。
 「派閥とカネの問題」に関しては、以下の文書(毎日新聞2/2夕刊)が整理されているので抜粋して紹介したい。
 「派閥は、政治資金規正法においては、第5条の『政治上の主義または施策を研究する目的を有する団体』に位置づけられている。政党や政党支部とは異なり、『その他の政治団体』に分類される。…派閥は透明性の高い収支報告制度の対象となっていない。規正法19条の7で、派閥など『その他の政治団体』は除く、と規定したからだ。派閥は、経常経費については収支報告書に記載する義務はなく、政治活動費についてのみ1件5万円以上のものを記載し、領収書を添付することになっている。規正法19条の7を改正し、除外規定を削除すれば、派閥も国会議員関係政治団体のように透明性がかなり高まるはずだ」。
 しかし、こうしたまっとうな提言も自民党が執権を続ける限り実現されるはずがない。いったん解散した派閥は、この春以降にも「派閥的政治団体」として再編されながら再結集することになるだろう。すでに自民党右翼議員グループの「保守団結の会」は、9月の総裁選に向けて高市を持ち上げる動きを開始している。
 いずれにせよはっきりしていることは、次期総選挙で自民党を敗北させ自公に替わる新たな政権を誕生させない限り、日本の政治は労働者・市民にとって良い方向に進むことは絶対にないということである。

消費税大増税に反対しよう

 裏金問題と政治家の脱税、世襲政治と利権政治に対する世論の怒りと不信は、岸田内閣と自民党に対する支持率の低下として如実に示されている。
 毎日新聞が2月17~18日に実施した世論調査では、内閣支持率は14%(不支持82%)であり、自民党支持率は16%と過去最低となった。もはや岸田政権として早い時期に解散・総選挙を実施できる状況ではない。相当の重症である。衆院の任期は来年11月であるが、来年の1月に召集される通常国会は「大増税国会」となるのは必至であり、自民党としてはさらに傷口を広めるその前に解散・総選挙を実施したいはずだ。9月の総裁選で選挙に向けた「新たな顔」(岸田派に所属していた上川陽子外相か!)をすげ変えてイメージチェンジして、年末あたりに総選挙というシナリオが濃厚である。
 すでにエコノミストや大学教授らによる「消費税大幅増税」の大合唱が始まっている。「財政破綻を回避するための絶対条件として、消費税を17~18%まで引き上げること」「消費税の15%以上の引き上げは不可避」「1000兆円を超える国債発行残高水準を維持するだけでも消費税を20%以上に引き上げる必要がある」などだ。
 彼らはこぞって「高齢化社会と金利上昇圧力」をその理由としているが、なぜ消費税だけが増税のターゲットにされるのだろうか。消費税は税金を徴収する側にとっては「打出の小槌」だからにほかならない。しかし消費税は納税義務のない子供や貧困層からも税金をむしり取る「悪徳税」であり「不公正税制」なのである。しかも現在の税収の4割近くを消費税が占めている。それを20%にまで引き上げたならば、どれだけ税収がいびつ化してしまうのか彼らはそれを想像することができないのだろうか。
 現在、一律23・2%となっている法人税の引き上げや累進税化、一律20%となっている金融所得課税の累進税化、年収103万円から課税され5~45%(4000万円から)まで7段階の累進税となっている所得税累進率の抜本的な見直しなど、富裕層と大企業からより多くの税金を取り立てることが公正な税制への道なのである。そしてもうひとつは「政治とカネ」の問題として指摘され続けてきた、税金の使われ方を正すということである。誰が1000兆円を超える借金を積み上げるほど税金を食い物にしてきたのか。ここにメスを入れない限り「政治とカネ」の問題が明らかになることはない。自民党政権は絶対にそれをやらないし、できない。今回の裏金問題はその結果の一部が明らかになったにすぎないのである。
 次期総選挙の最大の焦点は「消費税大増税」に反対することである。そして少なくとも、食料品・日用品・生活必需品など8%に軽減されている部分の廃止、減税を実現することである。また「台湾危機」を煽る大軍拡をやめさせて、憲法の平和主義を無条件に守り抜くことである。さらに最低賃金の大幅引き上げと公務員をはじめとするエッセンシャルワーカー非正規職の廃止、地震の巣の上での原発推進政策をやめさせること、気候危機・食糧危機への民主的な取り組み、差別・抑圧に反対する課題などを上げることができる。
 総選挙は自公、維新、野党共闘候補の三つ巴の戦いとなるだろう。連合の顔をうかがいながらグラついている立憲民主党候補を最大限引き込んで、野党共闘候補の大勝利を実現しよう。自民党に大敗北を。大阪・関西圏で維新と自公に競り勝とう。
       (高松竜二)
 
 
 
 

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