衆院補選で自民党全敗

自民党政治に終止符を
次期総選挙で自公政権倒そう
新しい政治を作り出そう

 4月28日に投開票された衆院3補選で自民党は惨敗した。東京15区と長崎3区には候補者を擁立することすらできずに不戦敗となり、唯一党員候補を立てた島根1区でも立憲の亀井亜紀子候補に2万5千票近くの差をつけられて大敗している。これが現在、選挙すら戦えない自民党の実情であり、有権者の自民党に対する深い不信の表明にほかならない。

自民党に「愛想をつかした」有権者

 島根1区は小選挙区制になって以来、細田の独壇場であった。しかし今回の選挙はその細田自身に対する審判でもあった。細田は派閥の会長を長らく務めてきて安倍派裏金問題の主犯格であり、また旧統一教会との親密な関係も暴露されていた。さらには円安の影響をうけて、23カ月連続で物価は実質賃金を上回る勢いで上昇しているのにもかかわらず有効な経済政策すら提示できないばかりか、次期総裁選をめぐって党内権力闘争に明け暮れている自民党に対して、有権者が「愛想をつかした」のは当然であった。
 また立憲候補の亀井は岩倉具視(ともみ)の来孫にあたり、政治家一族の出身であるとともに保守色の強い候補者でもあった。亀井候補は、島根1区のゴリ自民党員や献金を通して税金を食い物にしてきた地元企業・個人、そして保守右翼票以外の「なんとなく流されて自民党」だった有権者を切り崩して得票を積み重ねたと言えるだろう。

百田の日本保守党をどう見るべきか

 9人の候補者が乱立した東京15区は、立憲の酒井菜摘候補が2位以下を抑えての圧勝であった。2位に入った須藤元気候補(無)は地元出身で、19年参院選に立憲公認で当選したがその後、離党している。3位は維新の金沢結衣候補、4位は右翼論客の百田尚樹が代表を務める日本保守党から立候補したイスラム思想研究者で著名人の飯山陽だ。そして5位が小池都知事ら都民フが推した乙武洋匡候補だった。
 毎日新聞の出口調査によると、自民支持層からの得票は、須藤2割、金沢2割弱、飯山と乙武は1割5分程度だという。今回、自民候補不在の選挙で注視しておかなければならないのが、全体得票率の14・21%を獲得した日本保守党である。同党は今回が初の国政選挙への参戦であった。百田は殺された安倍晋三の大の支持者であった。そして何をやってもぱっとしない岸田政権と自民党に愛想をつかせたのか、23年9月に自身が呼びかけて日本保守党を結成している。
 その自民党はと言えば、1月に次々と派閥解散を決めながら、正式に解散届を提出したのは森山派(8人)だけだ。他の派閥はこぞって「残務処理」を理由に解散することなく、9月総裁選に向けて派閥の再結集をもくろんでいる。今回の裏金問題で岸田は、党内最大派閥であった安倍派の実質的な解体に乗り出したということができる。少なくとも次期総裁選までは勝手な手出しはさせないとことなのだろう。裏金問題で党内処分された39人の内、安倍派が36人(二階派3人)であり、塩谷と世耕には離党勧告、下村と西村には党員資格停止1年、高木には同6カ月であり、松野と萩生田を含む15人には党の役職停止1年~6カ月の比較的軽い処分内容であった。
 しかし安倍政権時代に安倍を崇拝するいわゆる保守右翼の「岩盤支持」層が、自民党支持率の3割を占めていたとも言われていた。岸田政権の政策と安倍派の解体状況のなかで、保守右翼の新たな受け皿として受け皿今回の国政選挙に初参戦したのが日本保守党であった。これまでにも参政党が保守右翼票を吸い寄せる効果を見せてもいたが、百田人気もあり、全国の草の根・ネット右翼らは総力で百田を応援したのであった。他の弱小右翼候補による維新・都民フへの露骨な選挙妨害もまた、そうした応援の一翼だったのかもしれない。
 9月総裁選に向けて党内権力闘争に明け暮れてきた自民党だが、保守右翼の結集軸をどうするのかという課題が浮上している。そんななかでも保守右翼の旗を守ってきたのが「保守団結の会」である。早々、2月8日に高市早苗を次期総裁選に出馬させるための勉強会を開催している。その日集まった14人のほとんどが安倍派であり「派閥再結集」基軸になりうるという声も上がっている。
 しかし有権者に愛想をつかされている自民党に代わって、全国の保守右翼の新たな受け皿として日本保守党が躍進してくる可能性はおおいににありうると言わなければならない。

岸田政権には何も期待できない

 今回の裏金問題で自民党が決めたことは実質、派閥パーティーの禁止だけであり、企業・個人からの政治献金の禁止や議員への責任の連座制などに踏み込む気はまったくない。また岸田政権は超低金利と財政出動のアベノミクスによって長期のデフレ状態に陥ってきた日本経済に対して、また円安と止まらない物価上昇に対してもまったく有効な手を打てない状況に陥っている。
 もはや岸田政権に「期待できるものは何もない」というのが多くの有権者の心情だろう。9月の自民党総裁選がどうなるのか予想するのは難しいが、次期総選挙で自民党を大敗させて自民党政権を終わらせることなくして、次に来る時代を想像することはできない。
(高松竜二)
 

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