五輪は中止だ命が大事
コラム
ゴールデンウイーク期間を焦点にした「短期集中」の第3次非常事態宣言が延長することになった。変異株による感染の急拡大で地域医療の崩壊が顕在化しワクチン接種は遅々として進まない。菅政権の場当り的な感染対策に人々の不安が拡がっている。「17日間の短期集中」宣言。当初から医療関係者から批判の声があがっていた。
「17日 尾身(帯)に短し 政府(襷)に長し」と言う川柳は、「何かやっているふり」の姿を見事に表現した。
宣言延長と同時にバッハ来日も中止。東京都3度目の非常事態宣言に「東京オリンピックとは関係がない」と言い放った張本人だ。「短期集中」の背景にはバッハ来日が絡んでいた。来日前に「宣言」を解除し世界に「安全・安心な日本」を印象付け、会長自ら被爆地広島での聖火リレー式典に参加し高らかに平和の祭典「東京オリンピック」を訴えるシナリオだった。
ワクチン接種開始をテコにオリンピックを開催し、その高揚の中で総選挙を勝利し権力基盤を強化する。菅政権はこんな道筋を描いていた。
改めて第1~第3波迄の感染者数をグラフで眺めてみた。第1波を「百メートル級」の小山と仮定すると、第2波は「4百メートル位の山」、第3波は「千五百メートル級」、第4波はそれを遥かに凌ぐ「感染力(スピード)」をもった「変異株」の猛威が全国に拡大している状況だ。
第1次が全国規模で49日。第2次が73日。第3次が37日。第1次は「人との接触8割削減」、第2次は、感染抑止の急所として飲食店での「会食」自粛要請。第3次は、大型連休中の短期集中「人流抑制」だった。
しかし、解除後数カ月で感染が急拡大し「再宣言」に進んできた経過を見ればいかにも「行き当たりばったり」と言うしかない。
この頃、菅首相は「国民の生命と健康を守るのが政府の役割」と枕詞に好んで使っている。そして「専門家の先生方、分科会の提言を頂くなかで判断した」と強調する。責任逃れの「逃げ道」作戦?と疑ってしまう。今回の宣言前にも「短期間で効果が見極められるのか?」「何を解除の目安にするのか?」等の声は専門家から上がっていた。
連日、関西圏の医療崩壊の状況が報道されるが、政府がどう対処したのかは全く見えない。「変異株」が地方でも広がり治療にたどり着けない「自宅待機者」が急増している。生命を守る為に身を削って働く医療従事者の声が本当に聞えているだろうか?
「医療は限界 五輪やめて!」「もうカンベン オリンピックむり!」と張り出された医療従事者の悲痛な訴え。コロナ感染と闘いながら命と向き合う介護労働者。「大人食堂」「フードバンク」に「食」を求める人々の長い列が写しだされた。10万人超の労働者が解雇・雇止めで仕事を失い、貧しい人はより厳しい生活状況に追い込まれている。
一体この国のセーフティネット「公助」はどうなっているのだ!《震災からの復興?》「聖火の見栄え」の為に瓦礫をブルーシートで覆い、「フレコン」を遮蔽壁で隠し、放射能汚染水を「処理水」と呼び福島の海に流すと菅が決めた。
《人類がコロナに打ち勝った証?》嘘で繕った「五輪」に何の意味があると言うのだ! こんなオリンピックは止めちまえ! 「ぼったくり男爵」(IOCバッハの異名)に「大金」をかすめ取られる前に「中止」だ! 金は、国民の生活を守り生命と健康のために使う。それこそが今やるべき道と言うものだ。 (朝田)