コラム やるせない痛み

 昨日の朝、普段よりもかなり早い時刻に目が覚めた。「また悪い夢でも見ていたのだろう」と思いながら、トイレに行こうと上半身を起こそうとすると、右の脇に「ズキーン」と激しい痛みが走った。「またやってしまったか」…睡眠中の圧迫による肋骨の骨折(ひび割れ)である。コラムと他にも原稿を抱えていたので、本当に泣きたい気分になってしまった。
 肋骨は肺呼吸との関係で柔軟性のある骨である。外部からの物理的な衝撃や圧迫によって骨折することもあるが、激しい咳やくしゃみによる内部からの圧迫が原因で、折れたりひび割れたりすることもある。特に睡眠中に片側の胸部が圧迫されている状態で激しい咳などをすると、肋骨はその圧力を本来の柔軟性で吸収することができなくなり損傷するのである。
 外部と内部の原因を合わせて、今回で何度目になるのだろうか。すっかり肋骨骨折の常習者になってしまったようだ。医者に診てもらってもレントゲンと痛み止めだけで、これといった打つ手はない。痛い部分をコルセットや包帯などでギュッと圧迫しておけば少しは痛みも和らぐが「しばらく我慢するしかない」、「耐えろ」というのが「治療方針」なのだ。今は市販の痛み止めを服用しながら、伸縮性のある幅広の包帯を胸部に四重巻きにして固めている。それでも、やるせないような痛みが続いている。只々、1週間ほど耐えるしかないのである。
 5月から続いていた腰痛もどうにか収まったようだった。しかし7月に入ってから内痔からの排便時の出血が止まらない状態が続いていた。これが痛くもかゆくもないからたちが悪い。これまでも2~3カ月の周期で何度も出血を繰り返してはいたが、座薬をぶち込めば2~3日で出血は止まっていたのである。このまま出血が続けば、間違いなく貧血になるだろうと危機感を募らせていた。そんな時ふと、15年ほど前に簡単な痔の手術を受けたときの医者のアドバイスを思い出した。「トイレは力まずに3分以内で」…。
 私のトイレの実態はといえば、新聞と赤ペンを手にして短くても10分は腰かけていた。もうすっかり出てしまっていても、痔持ちの人にはどうしても残便感があるようだ。それでついつい長居をしてしまう。それで速攻戦に打って出ることにしたのである。腰かけたらスポーンと「一本勝負」。穴を拭いて立ち上がるまで30秒。残便感があってもやめる。その後したくなってもまた30秒で。この「30秒ルール」で、排便時の出血はぴたりと止まってしまったのだった。
 しかしこの喜びもつかの間のものにしてしまったのが、昨日の肋骨骨折である。だが、それでコラムのネタが浮かび上がったのも事実である。やるせない痛みを抱えながら喜んではいられないが、それはそれでまた事実なのだ。     (星)

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