妖怪退治の秋(10月11日発行)
コラム「架橋」
ウンザリする自民党総裁選報道。「マスコミ」も「ネット」も自民党に乗っ取られ垂れ流された根拠無き「約束」。PC画面に突如として飛び出す「高市早苗」には本当に驚いた。財政赤字なぞどこ吹く風と「自民党妖怪祭り」は誰が一番「カネ」をばら撒けるかの規模競争に。コロナ禍で苦しみ自民党政権の政治に不信を抱いている庶民に向けたまたぞろ感の「幻」を語り一方では「攻撃ミサイルの保有」防衛費GDP1%枠の突破を目論む。「経済政策」「社会保障」「外交」や「安全保障」そして「コロナ対策」等、「財源問題」には一切触れず「国債発行」にすべてを委ね将来世代に「負債」を付け回すつもりだ。「自国通貨を発行する政府は財政赤字を心配する必要がない」との発言も飛び出した。〈安倍、麻生、甘利〉トリプルAが暗躍し2、3位連合を作り「キングメーカー」として君臨する。狙いどうりの展開で「傀儡政権」が誕生した。
内輪で盛り上がる「自民党妖怪祭り」を横目に、天気も良いし散歩をかねて映画鑑賞に行った。「浜の朝日の嘘つきども」。関東大震災の年に開館した南相馬市に実存する「朝日座」を舞台にした映画である。
5年前の製作開始時に新聞に載り、少年期の想い出の場所の記憶が浮かんだ。復興期の苦しい時期、それでも人々は活き活きと生活していた。朝日座での「町民大演芸大会」は、束の間の娯楽を求める人々で溢れ、やんややんやの大喝采のなかで大いに盛り上がった。
稲刈りが一段落した頃に開く「秋市(あきいち)」は大通りを埋め尽くして屋台、出店が並び「押すな!押すな!」と言うほど近郊の村から人々が押し掛けた。朝日座の想い出は、時に「蛾」が黒い影を残して画面を横切ったり、スクリーンに突如として小さな黒点ができ、みるみる大きく広がり真っ暗な闇に・・当時は「可燃性」のフィルムで上映中に燃えることも多々あった。
戦災も震災も原発事故被害も受けても、なおこの地で生きている人々を100年も見つめ続けてきた貴重な遺産だ。観に行った映画館は「社会的距離」を取って前後左右の席は「空席」。画面に流れる景色を見て「あっ。あそこは○○だ」と隣の夫婦の小さな声。
南相馬からの原発事故避難者かもしれません。「南相馬にある朝日座という映画館を立て直してほしい」と言う恩師との約束を果たそうとする主人公と支配人と映画好きの街の人々との交流を描く。フレコンバックの黒い山、「飯館村生まれ」の台詞、ベトナムから来た外国人労働者、学校でのいじめによる心の傷・・さりげなく映し出されるなかに人が人を想う意味が包まれていた。
「映画って、フィルムだと、半分暗闇なんだって」と言う台詞があった。フィルム映画は、一連の静止画を高速でコマ送りし動く映像として認識させる「残像」を利用したという。一生懸命着飾って「国民のために頑張る」と悲壮感を滲ませ訴える姿は「映像部分」。「政治とカネ」「森友学園・財務省公文書改ざん問題」「赤木ファイル」「桜を見る会疑惑」「学術会議任命問題」等、口裏を合せて闇に葬り民衆の目から隠す「暗闇の部分」。妖怪の動きは手に取るように見えるのに、しらを切る姿は滑稽である。まもなく衆議院選だ。闇にまみれ永田町界隈に出没する妖怪退治の好機がきた。政治を民衆の手に取り戻すために力を合わせよう。 (朝田)