プラスチックごみ問題
コラム「架橋」
NHKテレビで、プラスチックごみ問題について特集していた。海に流れ出たプラスチックごみが太陽の紫外線や波の作用など、外的な刺激を受けて極小化して、㎚(ナノメートルは10億分の1メートル)にもなり海洋を漂う。海流にのり、全世界を移動する。北極圏に留まる箇所が作られてしまい濃密化するという。日本近海も濃密化しているという結果が出ている。
魚はプラスチックごみを餌だと思い食べてしまう。20㎚から200㎚だと体外に排出するが2㎚だと体内に残り蓄積される。さらに人間がこの魚を食べれば体内に蓄積されてしまう。人間の器官にどのような影響があるかはまだ分かっていないという。
排気ガスなどのPM2・5などと同じように体内に入ってしまう。WTOはこうした有害物質によって、年間700万人もの人が死亡していると警告を発している。
海に流れ出るプラスチックごみの量は年間で800万トン。このペースでプラスチックごみが増え続けると、2050年には重量ベースでプラスチックごみの量が魚の量を上回るという予測もある。マイクロプラスチック(大きさ5mm以下)が海底に沈んでいる量は1400万トン。
世界では、年間約3・8億トンのプラスチックが生産されていて、過去50年間で20倍にまで急増している。日本は1人当たりのパッケージ用プラスチックごみの発生量が、アメリカに次いで世界で2番目に多い。
プラスチックごみの発生量の多い国ランキングは以下のとおり。1位中国353万トン/年、2位インドネシア129万トン/年、3位フィリピン 75万トン/年、ベトナム73万トン/年、スリランカ64万トン/年。
アメリカのプラスチックごみ発生量は11万トン/年で20位、日本は6万トン/年。日本は少ないように見えるが、実は年間150万トンのプラスチックごみを海外に輸出している。つまり、自分たちはプラスチックごみを出していないのではなく、他国に押し付けているということだ。
そして、プラスチックごみの内訳を数字で見みると、「漁網、ロープ」が重量で41・8%一番多く、飲料用ボトルが個数で38・5%で最も多い。漁業の在り方も問われている。
日本でも小泉環境相がレジ袋の有料化を打ち出した。しかし、その程度の削減ではプラスチックごみは右肩上がりに増え続け、地球環境を劇的に壊していくだろう。NHKテレビでは、リサイクルでは限界があるとして、循環型の取り組みを紹介していた。飲み物など液体の商品を瓶やステンレスの容器に入れ、それを家庭に宅配し、使い終わったら回収して、容器を洗浄し商品を詰め替えてお客さんに届けるいうものだ。また、衣服も2年間ぐらいで新品と交換し、古いものは材料として溶かしてまた使うというものだ。
しかし、これ程、有害となってしまうものを「便利・価格が安い」ということで、生産・販売していることを問い、止めるという決断をすべきではないのか。 (滝)