新型コロナウイルス発生
コラム「架橋」
3回目の新型コロナウイルスワクチンを接種して3週間が過ぎた早朝、急に腹痛と寒気を覚えベッドの毛布と布団を肩までたくしあげた。コロナなど人ごとだと思っていたボクにもとうとうウイルスがやって来たかと一瞬我が身をうたがったのは言うまでもない。
一昨日のことである。まったくコロナに無縁だった我が事務所にも陽性者が発生した。それは小学生の娘がいる社員の学校から、子どもに熱があるので迎えに来るようにと連絡があり早退したのが始まりだった。そういえば、周りの新聞記者や印刷会社の社員もワクチンを接種しているにもかかわらず小学校や幼稚園に通う子どもたちから、クラスター感染したという例を多く聞いていていた。そして、早退した彼女も午後から発熱したことから念のためにPCR検査を受けた結果、保健所から陽性反応が出たとの通知があり、当分自宅待機になると事務所に連絡があった。
また、追い打ちをかけるかのようにその隣席の社員の妻が濃厚接触者だったことから夫婦で検査を受けにいくという。
その夜半のこと、ボクはこの事務所の事態に鑑みベッドの中で「これはまずい」とすぐさま翌日配達のネット通販で「新型コロナウイルス抗原検査キット」を10セット注文。社員に簡易検査だけでもやってもらおうと考えたのである。少人数の事務所が社員総崩れとなり休業ともなれば、それこそ目もあてられない。
そしてその翌日の出来事がボクの寒気だから笑えない事件だ。まん防などどこ吹く風で、あちらこちらほっつき歩き呑み屋めぐりをしていたボクだからこそ、他の人より十分感染している恐れが濃厚である。寒気は止まらない。そのうち関節の節々も痛みを感じるようになった。これはまずいと体温計を取り出し、熱を測ると何と37度5分もあるではないか。これは風邪に違いないと自分に言い聞かし「○○三錠」を飲んでじっとしていたが、ねっとりした汗が身体を包み寝苦しいことこの上ない。
朝9時過ぎに、その旨を事務所に電話し、届いているはずの検査キットを自宅まで届けてほしいと長女に懇願したが、「車がない」とか「自転車のサドルが高くて乗れない」など要領を得ない。押し問答の末、「歩いて持って行く」ということになり一安心。
しばらくしてやってきた長女は、検査キットをボクに渡してすぐに帰ろうとするのを引き留め、検査結果を現認するように頼み、駄賃として千円札を握らせた。過去2回ほど検査キットを使ったことがあるが、今回のキットはそれとは構造が異なり要領が得ない。説明文の文字も小さく娘に指導を仰ぎ検査終了、その結果をまった。リトマス試験紙のごとく検査キットのCで赤い色素が止まれば陰性。その下に表示されているTで止まれば陽性であるとのことだった。結果が出るまで10分間。色素はCそれを見た娘は事務所に報告するため飛ぶように帰って行った。
再度熱を測ると36度一分に下がっていた。布団を蹴飛ばし、下半身丸出しで寝ていたため単に風邪を引いたのだと自分を納得させたが、コロナ感染は人ごとではないと改めて実感した体験だった。のそのそ身支度をして昼には出社。もちろん社員も陰性で事なきを得たが、東京をはじめ大都市では、感染者数は高止まりしており、ロイター通信の集計によれば世界全体で感染者数は5億人、死者665万人を超えたと伝えている。コロナウイルスは変幻自在に置き換わり、終息は見えない。実生活や経済に及ぼす影響は拡大の一歩をたどっている。
そんなボクも夜の街に呑みに出かけることはほとんどなくなった。家呑み一番、昼酒一番が現在のモットーである。 (雨)