コロナは第8波で終わる
コラム「架橋」
コロナ19パンデミックが4年目に入った。国内感染者数は高止まりしており、死亡者数は高齢者を中心に連日4~500人を記録している。さらに新たな変異株も発生しているようだ。現在の状況はこれまでの規制を緩めての年末年始と、その後に続いた3連休で大勢の人が移動したことによってもたらされたものであり、1月下旬にはピークアウトしているであろう。
私は「コロナは第8波で終わる」と考えている。これは「仮説」ではあるが、それにはいくつかの根拠がある。
第1に、過去3年間まったく流行のきざしを見せなかった季節性インフルエンザが、流行期に入っているということである。コロナワクチンの効果がそれにどれだけ影響しているのかは分からないが、コロナの感染力の減少と関係しているのではないかと考えられる。
第2に、高病原性鳥インフルエンザが全国的に猛威を振るっていることである。1月13日現在、23道県で59件確認されており、また殺処分された鶏の数は1102万羽と、どちらも過去最多を更新している。それまでの最多はコロナの初年に当たる20年度で、18県で52件、987万羽の殺処分であった。現在は世界中で鳥インフルエンザが大発生しているようで、鶴の越冬地として知られている鹿児島県の出水市では、20年度の10倍超に当たる鶴1300羽以上が死んだり衰弱したりしている。これもコロナの感染力の減少が関係しているのではないだろうか。
これらが示していることは、コロナウイルスが「ウイルスの世界」(それがどういう世界なのかはよく分からないが)で、他のウイルスの活動余地を奪うほど圧倒的ではなくなったということを意味しているのではないだろうか。
第3に、ウイルスは「生き物」のように細胞分裂によって増殖することができないために、「生き物」の細胞に入り込んで遺伝子をコピーして数を増やすのだが、いわゆる「変異株」は遺伝子のコピーミスによって作られた「粗悪品」ウイルスだということである。短期間で流行する「粗悪品」ウイルスは、エラー・カタストロフ(ミスによる破局)という現象によって消滅する運命にある。次の「変異株」も出現しているようだが、もはやコロナに「ウイルスの世界」を制覇するパワーはないだろう。
しかしコロナウイルスによる感染が今年の春までに終息したとしても、その反動として季節性インフルエンザや鳥インフルエンザが爆発的に大流行する可能性はある。特に鶏の致死率100%と言われている鳥インフルエンザは、そうした可能性を先取りしているのかもしれない。
人類が自然環境を破壊し続ける限り、新たなウイルス感染症は次々と発生する。今回のコロナ19から何を学び取るべきなのか。それは気候危機と同様に「資本主義を終わらせる」ということだろう。 (星)