夏休みとプール

コラム「架橋」

 7月19日、自然災害に備えるための研究をしている「防災科学技術研究所」と気候変動や熱中症に関する研究をしている「国立環境所」は、連携協定を結び、「来年から『熱中災害』としてとらえる」と発表した。旧来学校の校庭などで直射日光を浴びるとめまいがしたり寒気をもようするといった一時的な健康問題として扱ってきたが、今やめまいや寒気は死に直結する症状として理解すべきだというのだ。今まではめまいや寒気は学校の保健室での対応で済んだが、死への一里塚として対応すると決めたのである。
 その要因となったのが、熱中症による死者数の急激な増加である。10年前には熱中症の死者数が年平均で880人であったが今や1150人に達し、さらに今後益々増加すると推測されるのだ。豪雨による災害も、増数、河の氾濫、土砂崩れと年々「複合災害」の形をとって増加しているが、熱中症の方が死者数では圧倒的に多い。7月の豪雨で九州、中国地方、東北の秋田などの死者・行方不明者は100人くらいで、秋の台風シーズンを含めても予想は200人~300人である。平均気温は今後10年間確実に上昇し、熱中症に加えて、山火事などの犠牲者も増える。
 さらに海水温の上昇が人間の生活にどれだけの影響を与えるか予想できないという。すでに北海道ではブリが泳ぎ、サケ·マスが減少し始めている。南は屋久島から、津軽海峡を泳いでいるサバが続くのが心配だ。当然にも海流の方向が変わり、海域が変更せざるを得ない場所ができ始めている。この間、世界の海洋学者はこのまま海水温の上昇が続けば大西洋に海流が存在しなくなりら、北極海の氷がどんどん減り、海面上昇が進むと警鐘をならし始めている。
 話は変わるが、隣の小学校はすでに夏休み。しかし非常にいいことに今年は午前中学童保育のプール。これは夏休み前の子どもたちのプール授業より少々うるさい。うるさいのは結構だがプールに来ているのにバスタオルをバックから出さない者や準備体操をやらない不心得者がいたりで担当者を悩ましている。
 午後からプール開きが出来ないのは、天気予報が落雷や突風があるからだ。担当者を増やせば安全というわけにはいかない。学童の動きを見ていると、今の低学年の子どもは明らかに泳げる子が少ない。コロナで水泳の授業が中止になったからだろう。水に親しむのは子どものうちだ。
 私たちの子ども時代、毎日のように海に出かけ、朝のラジオ体操の時間に結集場所と時間を決めていた。そのため欠席者はいなかった。海に遊びに行けば、あさりがとれ、それを魚屋に売り、雨が降った日の遊び代にもなった。    (武)

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