マイナンバーカードにNO!
コラム「架橋」
国会が閉会したいまもなお、マイナンバーカードのシステムミスに端を発する杜撰さと国民からのクレームに慌てふためいた政府は、そのあり方について閉会中審査を行うなどその行方は不透明極まりない。
連日、新聞、テレビをはじめ各マスメディアは、マイナンバーに紐付けされた健康保険証に、まったく他人の病歴が記されたカルテが表示されるなどの不祥事があとをたたないことを報じている。その数は2021年10月から22年11月までに全国で約7300件あったという。また、この他にも「公金受け取り口座の誤登録」「証明書交付サービスで他人の住民票が発行される」など、そのトラブルは枚挙に暇がない。河野太郎デジタル大臣は、これらはすべてみんな人為的なミスと開き直るが、以前発生した「消えた年金問題」と、その根幹はまったく変わっていない。
マイナンバーカードとはその文字面の通り、顔写真と数字12桁の個人番号を表記した身分証明書を指し、国家権力による国民統制管理の手段と言い切れる。これは、いわば以前あった国民基本台帳の電子版であり、健康保険証をはじめ自動車免許証、厚生年金など国民のプライバシーを政府・総務省・デジタル庁などがそのすべてを管理・監視する途方もないカードである。デジタル庁は、ホームページで「行政手続き等における特定の個人を識別するための制度です。行政機関の情報連携により、各種の行政手続きにおける添付書類の省略などが可能となります。また、マイナンバーカードは、民間サービスでの本人確認などにも利用できます」と記しているが、ここに書かれているようにつまりは行政に都合のよい制度だと自らが認めていることが何より証左だ。さらに、このカードに興味を示すのは国民の金融資産の動きに関連して、強制的に納税を迫る税務当局もそのひとつ。銀行口座や証券口座をつくる際、マイナンバーの提出が義務づけられているのも機を同じくする紐付けである。
また、法務省や警察・公安権力は各個人の犯歴や検挙歴などを、密かにカード情報に潜り込ませてくるのは必然であろう。
政府は国民のマイナンバーカード取得を促すために、2万円相当のマイナポイントを付与するなどその手段を選ばないが、度重なる不祥事の波紋を受け、いまだ普及率は68・9%に過ぎない。不安を感じる取得者から返納する動きも増えているという。さらに今度は、必須だった暗証番号を高齢者が使いにくいとの理由をつけ任意にするなど、そのなりふりかまわない施策変更は笑止千万だ。
政府はマイナンバーカードと健康保険証を一体化し、現在の保険証を2024年の秋に廃止することを目論んでいる。なぜ国民の不安を払拭、理解も得ないままにごり押しするのか。徴兵制に備えた施策であることが透けて見えるのはボクだけだろうか。
そのうち頭のかしこい「オレオレ詐欺集団」がマイナン詐欺を仕掛けてくることだろう。笑。(雨)
【訂正とおわび】かけはし9月18日号8面コラムの「ブラックカード」の表現について、読者から問題があると指摘がありました。見出しの「ブラックカードにNO!」と本文2段目、「これは、いわば以前あった国民基本台帳の電子版であり、健康保険証をはじめ自動車免許証、厚生年金など国民のプライバシーを政府・総務省・デジタル庁などがそのすべてを管理・監視する途方もないブラックカードである」。5段目、「徴兵制に備えた施策であることが透けて見えるのはボクだけだろうか。健康保険証の廃止、一体化はブラックカードの前段階にすぎないのだ」。
この「ブラックカード」の表現について、「ブラック」をマイナスイメージで使っており、「レイシズムによる差別」を想起するものでした。これを削除し、「マイナンバーカードにNO!」、本文の「健康保険証の廃止、一体化はブラックカードの前段階にすぎないのだ」を削除します。
そして4段目、「姑息にも2万円相当のマイナポイントを付与するなどその手段を選ばないが、度重なる不祥事の波紋を受け、いまだ普及率は68・9%に過ぎない」、の「姑息にも」も女性に対する差別的表現ですので削除します。訂正しおわびします。(かけはし編集部)