ジャニーズ考
コラム「架橋」
関ジャニを「せきジャニ」と読んで、娘に大笑いされるくらい芸能界事情に疎い私だが、ジャニー喜多川による半世紀にわたって繰り返されてきた数百人の少年らに対する性的虐待犯罪について一言意見を述べたい。
9月7日に開かれた記者会見は「ジャニーズファン」だという叔母と二人で最後まで見た。社長を辞任したジャニー喜多川の姪にあたる藤島ジュリー景子が、ジャニー喜多川の姉のメリー喜多川の一人娘だったということも後日の新聞で知った。この姪はジャニーズ事務所の株100%を保有しているばかりでなく、たぶん母親と叔父の残した遺産を山のように積み上げているに違いないと思った。姪は代表取締役には残るという。そして以前のインタビューではジャニー喜多川の性犯罪について「知らなかった」とうそぶいていたのである。
記者会見には新社長に就任した東山紀之と、系列会社の社長を務める井ノ原快彦も同席して発言していたが、ほとんど「操りピエロ」にしか見えなかったのは私だけではなかっただろう。会見では事務所の継続を明らかにしたが、被害者救済と補償のための具体策は示されることはなかった。
また問題は、ジャニー喜多川の個人的な犯罪に止まらないということだ。一連の問題を調査してきた「再発防止特別チーム」の報告によると、いびつな権力構造により事務所ぐるみで、長期にわたり被害を放置・隠蔽してきた「企業体としてのジャニーズ事務所」は「深刻なガバナンス不全の問題があり」「解体的な出直しが必要だ」としている。
すでにジャニーズ事務所所属タレントとの広告・宣伝などの契約を見送る企業や自治体の動きも加速しているようだ。毎日新聞(9/26)が実施した取材によると、103組織(81組織が回答)の内「大手企業を中心に少なくとも25社が見送る方針」だという。また「契約満了時に更新する」企業はゼロだったが、福島県だけが「TOKIOとの連携を継続する」方針を示したという。
NHKも9月27日の記者会見で「所属タレントの番組への新規採用を控える」「紅白歌合戦も現状では出場を依頼しない」方針を明らかにしている。テレビ東京も同様の方針を明らかにしているようだ。これまでメディアに対して露骨な脅しをほしいままにしてきたジャニーズ事務所とメディアや企業との関係は、こうして完全に逆転してしまったのである。
ジャニーズにいると仕事がもらえない。ジャニーズはすでに死んでいるのである。企業としてのジャニーズは、数百人の被害者の救済・補償のためだけの組織として残すべきであり、全株式を保有して、莫大な遺産を相続してきた藤島ジュリーらの資産を凍結させて、そのための資金とするべきである。
キムタクがテレビから消える日がやって来るのだろうか。 (星)