下痢と禁酒
コラム「架橋」
3カ月以上続いていた下痢は、禁酒6日目で止まった。止まったどころか今度は便秘気味となり、クリニックで下剤を処方してもらう。現在も禁酒を続けているが、1日1回の快便は実にそう快だ。
しかし予想していた通り、肝臓が相当に傷んでいるようだ。もちろん原因は連日の深酒である。相当な覚悟を決めて大病院でMRI検査を受けたが、結果は「ガンなし、肝硬変なし、脂肪肝も問題なし」のなしなし尽くしだった。しかし血液検査の数値が悪い。飲酒・食事・運動などの生活習慣病に関連するAST、ALT、γ︱GTは標準上限値を桁違いに上回っていて、特に酒飲みが一番関心を寄せるγ―GTの値は24倍も上回っているのである。
「肝臓君ごめん」。酷使しても悲鳴すら上げられない肝臓に謝罪しながら、数値を標準値に下げるまで禁酒の継続を決意する。次の血液検査は禁酒1カ月目になる。明日から4週目に入るが、これまで一滴の酒も飲んでいない。
それでも酒飲みにとって禁酒はつらい。駅からの帰りの夜道、無性に缶酎ハイが飲みたくなったりするのである。ノンアルコールビールなどが出回っていることは知っていたが、今回初めて手にすることになった。一通り試してみたが、A社の0・00ビールが最高傑作である。きめ細かな泡立ち、のど越し、そしてほど良い苦みなどノンアルコールであることを忘れさせるうまさがある。「脳をいかに騙すのか」、とことん研究された絶品だと思う。しかも酒税がかからないので安い。近所のスーパーでは1缶88円で、私は毎日6缶パックを購入して朝から飲んでいる。
禁酒が1カ月で終了できるのか、それとも2~3カ月かかってしまうのか、それは血液検査の結果が出てみなければ分からない。そして介護している叔母との関係性も考え直すことにした。ウイスキーにまで手を出した深酒は、間違いなく介護ストレスが一番の原因だったからだ。叔母と甥という関係から、できるだけストレスをためないような水平な関係性と思われる「疑似親子関係」としてやっていくしかない。これが今回の下痢と禁酒から学んだ私の結論である。 (星)