過渡的諸要求の体系

〔『トロツキー 労働組合論』(三一新書、1971年)訳注〕

酒井与七

過渡的諸要求の体系については、一九一七年、事実上の過渡的要求の綱領を提起していたレーニンの『四月テーゼ』と『さしせまる破局、それといかに闘うべきか』を参照し、研究しなければならない。

 ローザ・ルクセンブルグは、一九一八年のドイツ共産党創立大会の演説(「綱領について」、現代思潮社版『ローザ・ルクセンブルグ選集』第四巻所収)において、『共産党宣言』の十ヵ条の要求やエルフルト綱領に言及し、次のようにのべている。
 「(われわれの綱領は)エルフルト綱領が基礎にしている立場に意識的に対立する。緊急の要求を最小限と称し、社会主義の最終目標の立場から遂行する経済的政治的闘争を最大限と名づけて、両者をわけ隔てることに断固として反対する。まさに意識的に反対することによって、過去七十年の経過の結果(とくに、その直接的結果たる世界戦争)を清算することができるのである。われわれには最小限綱領と最大限綱領という区別はない。社会主義は一つである。社会主義こそ、今日われわれが達成すべき最小限である。」

 コミンテルン第三回大会(一九二一年六~七月)の決議『戦術にかんするテーセ』では次のようにのべられている。
 「共産主義インターナショナルは、改良主義と中間主義の最小限綱領とことなり、ブルジョア権力の解体を促進し、プロレタリアートを組織し、プロレタリア独裁のための闘争の段階を形成し、たとえ大衆の意識がプロレタリアート独裁を望むにいたらなくとも大衆の欲求を表現する独特な要求をふくんだ諸要求の体系をかかげる闘争をはじめる。」
 またコミンテルン第四回大会(一九二二年十一~十二月)の『共産主義インターナショナルの綱領にかんする決定』では次のようにのべられている。
 「三、各国支部の綱領は、明瞭かつ断固として過渡的要求のための闘争の必要をかかげ、具体的な時と場所の状況に応じた要求を提出すべく留意しなければならない。
 「四、過渡的・部分的要求を理論的に基礎づけているのは、あきらかに全般的綱領である。第四回大会は、部分的要求でもって根本的な革命的任務をおおいかくしたり、とってかえたりする企てはもちろんのこと、過渡的要求を綱領にふくめることを日和見主義であるとみなすことにも絶対に反対する。
 「五、全般的綱領において、たとえばイギリスとインドのように各国の経済的政治的構造の基本的差異に応じて、各国支部の過渡的要求の基本的な歴史的パターンを明瞭に解明しなけれはならない。」
 以上いずれも現代思潮社刊『コミソテルンードキュメント』第一巻所収。
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