2021年東京五輪を中止せよ
かけはし 第2654号 2021年2月22日
オリンピックは終りにしよう
性差別と商業主義の「祝典」はごめんだ
利権・特権の
継承はやめろ
2月12日、元首相である森喜朗東京五輪・パラリンピック大会組織委会長が女性差別発言によって辞任に追いこまれたことに伴う、組織委員会の新会長を選出する会議が東京・晴海のトリトン・スクエアで開催されることになっていた。前日の報道では、森の意向を受けて元日本サッカー協会会長の川淵三郎が次期会長になる、と報じられていた。
しかし、情勢は急転した。事態は森の辞任にとどまらなかった。森によって後継として指名された川淵三郎元日本サッカー協会会長の就任も、女性差別で退陣した前任者による指名という余りにも露骨極まる「利権・特権後継図式」と男主義の極致ゆえに、批判に耐えうるものではなかった。とりわけ五輪の放映権を独占的に保有する米NBCテレビからの批判が大きかったと報じられている(朝日新聞2月12日夕刊)。
このNBCによる批判の記事を書いたのは米国の元五輪サッカー選手でもあり、一昨年7月に来日してオリンピック批判の講演を「祝賀資本主義とオリンピック」のテーマで行ったジュールズ・ボイコフだ。
ボイコフの講演会は2019年7月21日に東京五輪に反対する実行委が主催して東京の早稲田大学で、そして23日には「反五輪」の運動と「反グローバリゼーション運動」をテーマにATTACジャパンが主催して、文京区民センターでそれぞれ開催された(本紙2019年8月5日号)。ボイコフさんは「コストの上昇」「公共空間の軍事化」「普通の働く人びとの追い出し」といった現代資本主義のあり方とオリンピックが不可分の関係にあることを指摘した。
このように極めて具体的な形で行われる「グローバルな批判の運動」こそ、2021年東京五輪批判の闘いのベースであることを、私たちは再確認する必要がある。
女性差別祭典
などいらない
森喜朗元首相・東京オリ・パラ組織委員会会長は「女性がたくさん入っている理事会の会議は、時間がかかります」「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」というあからさまな差別発言を行った。
「女がいると面倒くさい」という差別意識を、男の同調反応を引き出しながら広げ、「嘲笑」を通じて女性の意見を封じていく典型的な排除と差別の論理だ。この悪質きわまる森の差別発言は、彼本人をはじめとする多くの男たちの「本音」であるからこそ、絶対に許しがたいものである。そして「オリンピック」そのものの中に、排外主義的ナショナリズムと共に、性差別が貫かれていることについても、われわれははっきりとさせる必要がある。
問題は1936年の「ヒトラー・オリンピック」だけではない。「近代オリンピック」こそ、排外主義的ナショナリズム、セクシズム、金儲けの「商業主義」に貫かれた「資本主義的能力主義」の展示場なのである。その意味で、森元首相の女性差別発言は彼流に解釈された、近代五輪理念の中核に居座った原理ということもできる。
森喜朗の発言が示した露骨な「性差別」に対する批判のアピールは、2月9日にふぇみん婦人民主クラブが呼びかけた、JOC批判の行動(本号掲載)の中でも明らかにされた。(K)
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