7.23東京五輪強行開催を糾弾する

都庁前抗議デモに300人 開催式反対デモに700人
破たん五輪を暴き出し菅政権・五輪推進派と対決
反五輪4団体が呼びかけ

聖火セレモニー
に抗議のコール


 7月23日、オリンピック災害おことわり連絡会/反五輪の会/アジア女性資料センター/東京にオリンピックはいらないネットの呼びかけで、東京五輪開催に対して「五輪は中止だ!抗議アクション」が行われ、300人が参加した。
 午後0時、都庁前では、警察・警備などによる重弾圧態勢に抗して午前11時10分から行われている「聖火リレーセレモニー」(都庁前の都民広場)に対する抗議アピールを行った。仲間たちは、「オリンピック即刻中止! 命が大事! 中止だ、中止!」などのプラカードを掲げ、シュプレヒコールを繰り返した。
 午後0時40分ごろ埼玉県の入間基地を離陸した航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」(6機)は、表向きは「東京五輪の盛り上げ」と称しているが、その本質は環境破壊、戦争賛美の煽動でしかない。しかもブルーインパルスの燃料費、スモークに使う発煙油、随伴機と整備員を輸送するコストなど合計約360万円もの無駄な税金の支出だ(20・6・1/防衛庁)。
 首都圏各地ではブルーインパルスのカラースモーク観たさに密状態が発生しており、コロナ感染対策どころではない。菅政権の民衆動員を煽りながら、「自粛」強要、人流抑制恫喝、非常事態宣言のインチキ・コロナ対策の実態が、またしても明らかとなった。こんな暴挙に対して仲間たちは、「ブルーインパルスは帰れ!無駄な税金支出を許さない!戦争のための軍隊はいらない!」の抗議をたたきつけた。
 引き続きシュプレヒコールを続け、午後1時に行動を終了し、夜の抗議行動について意志一致した。

命を救うために
は五輪は中止だ


 午後6時30分、原宿神宮橋に集合し、国立競技場で行われる開会式(20時)に向けて「Lock Downだ!東京五輪開会式抗議デモ」が行われ、700人が参加した。
 前段の集会では、次々と仲間たちのアピールが続いた。
 その中でも医療現場から大利英昭さん(東京都庁職員労働組合病院支部書記長/駒込病院看護師)は、「本日のコロナ感染者は1340人だ。このうち1週間後、30人が集中治療室にいかざるをえない重症になってしまう可能性がある。新型コロナウイルスには、今のところ特効薬はない。ワクチンも完璧に有効なわけではない。都内では2回のワクチン接種した人が自分の子どもに感染する、家庭内感染の事例が起こっている。予防することが重要だ。五輪を止めて人の流れを止めるしかない。命を救うためには、この道しかない」と訴えた。
 参加者全体でアピールを確認し、五輪開催式が行われる国立競技場に向けたデモに移った。千駄ヶ谷駅付近一帯は、「五輪反対!開催式やめろ!天皇出席の開催式反対!命が大事!」などのシュプレヒコールを響かせた。

退任・辞任は五
輪体質の結果だ


 7月22日、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は、オリ・パラ開会式と閉会式のショーディレクターを務める小林賢太郎が「過去にホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を揶揄したコントをしていた」ことが発覚し、米ユダヤ系団体「SWC」の抗議を受け、解任した。菅首相は、アメリカのバイデン大統領の連れ合いのジルが来日中であり、あわてて政治介入し、解任に追い込んだ。もはや東京五輪の「平和の祭典」が虚像であることが全世界に知れ渡ってしまったが、組織委員会は居直り、予定通り開会式を強行した。
 すでに東京五輪関係者の退任や辞任が相次いでいた。竹田恒和(日本オリンピック委員会会長)は東京五輪招致贈賄容疑で退任、森喜朗(組織委員会会長)は女性差別発言で辞任、佐々木宏は(五輪の企画・演出統括)女性タレント侮蔑演出発覚で辞任、小山田圭吾(五輪楽曲制作担当)は障がい者に対する暴力発覚で辞任した。
 これほどの退任・辞任の続出は、報道は「身体検査の甘さ」などと言っているが、そんな表面的なレベルの問題ではない。オリンピック・パラリンピックそのものが「セクシズムであり、ナショナリズムであり、優生思想であり、人種差別であり、能力主義・競争主義であり、自然・環境破壊、金持ちのためのジェントリフィケーション、ミリタリズム、警察国家、監視社会化、人権侵害、祝賀資本主義」(「オリンピック災害」おことわり連絡会)に貫かれた体質そのものだからこそ、五輪関係者の一連の退任・辞任はその結果なのである。
 そもそもこんな破たん五輪は、安倍晋三元首相の国際オリンピック委員会(IOC)総会(2013年9月)での東京招致に向けたプレゼンで福島原発事故は「アンダーコントロールされている」という大嘘から始まっている。その後も福島第一原発の事故処理が遅々として進まず、「汚染処理水」を海洋放出する方針を菅政権が決定してしまうなどによって証明されている。こんな五輪は民衆にとって災害であり、即刻中止しかない。
 民衆の命よりも東京五輪開催強行ありきの犯罪性はこれだけではない。新型コロナウイルスの感染の再拡大によって、ほとんどの会場が無観客開催に追い込まれたが、すでに選手や関係者19人(選手3人/7・23)が感染し、累計で106人に達している。菅政権が繰り返す「安全・安心な大会」の看板倒れは明らかであり、感染防止対策と称する「バブル方式」のザル状態の結果が選手村でのコロナ感染者の増大傾向なのである。
 だがこんな状態は想定ずみだったようで、中村英正大会開催統括は、「(感染者をゼロにする)完璧な対策は、世界中のどこにもない。何重にも検査をし、陽性者が出れば隔離した上で、ほかに感染者の可能性のある人を迅速に調べて押さえ込む」(産経7・19)などと強がっていたが、選手村からの感染者続出でウソがバレてしまった。
 しかも丸川珠代五輪相にいたっては、コロナ感染者の濃厚接触者は通常14日間の自宅待機になっているが、五輪選手の場合は濃厚接触者でも試合直前のPCR検査で陰性が確認されれば出場を認める特例ルールを言い出した。「抑え込む」ことなんか最初から設定していなかったことを披露する始末だ。当然にも「なんで五輪だけは特別なんだ」などの抗議が殺到している。
 バッハ(国際オリンピック委員会会長)の立ち振る舞いも同様だ。警備も含めて大人数で広島を訪問し、バッハ歓迎会(迎賓館)では菅総理や小池知事ら40人余りが参加した。菅は、民衆に対して「不要不急の外出を控えていただく」などと言っていながらバッハ一行の移動を認め、三密の集まりを強行する、いい加減なことをやっているのだ。バッハは、民衆の五輪反対、バッハに対する抗議に打撃を受け、東京のIOC総会(7・20)で「延期を決めてから15カ月間、非常に不確実な理由で日々の決定を下さなければならなかった。私も未来がどうなるか分らなかった。……五輪はバラバラになっていた可能性がある」(朝日/7・21)と弱気を吐露したが、結論はオリンピック・マフィアの利権死守のためになんとしてでも開催しかなかったと叫ぶしかなかった。バッハも即刻IOC会長を辞任し、破たん五輪をデッチ上げた犯罪に謝罪しろ!オリンピック・マフィアの利権死守と無駄金の貪りをやめろ!

「元首」に便乗
した徳仁の突出


 破たん五輪の開会式に天皇徳仁は大会名誉総裁として参加し、象徴天皇制下の「元首」を押し出し、開会宣言を読み上げた。徳仁は、菅政権との合意のうえでこの日のために民衆統合装置を強化していく立場から宮内庁の西村長官に「国民の間で不安の声があるなかで、ご自身が名誉総裁をおつとめになるオリンピック・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないかご懸念されている、ご心配であると拝察をいたします」(7・8)と言わせている。つまり、民衆に対して「心配」ポーズでアプローチし、からめとり、菅・自公政権の政治獲得を達成するための任務を担っていくことの決意表明であった。
 前天皇明仁の「代替わり」表明ビデオ強行(2016・8・8)など天皇家存続に向けた憲法違反の政治的発言、政治的行為をこの間、路線的に全面化させている。五輪憲章には「開催国の国家元首が開会宣言を行う」と明記しているが、徳仁と菅政権は合意のうえでこの規定に便乗して「元首」として立ち振る舞ったのだ。つまり、憲法改悪と天皇の「元首化」をセットで実現するためのプロセスの一端を東京五輪の政治利用によって切り開いたのである。
 菅政権は、東京五輪テロ警備とデッチあげて警察・自衛隊を大量に配置し、監視のためのテレビ・GPS機能をふる回転させ、次の弾圧のための資料の蓄積が狙いだ。国家権力は、東京五輪反対・聖火リレーに抗議する市民に対して茨城、東京・武蔵野でみせしめ不当逮捕を強行している。弾圧をはね返していこう。
 7・23反五輪行動、菅政権・自公らの政治的目論見を暴き出し、真っ向から対峙し、跳ね返していくバネを指し示した。この闘いの成果を確認し、今後の反五輪・命が大事の闘いを創意工夫に満ちた戦術を組み合わせて展開していこう。
       (遠山裕樹)

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