投稿 医薬品特許をめぐる対立(2)

医療・医薬品製造技術の共有化を
すべての特許権を廃絶し社会主義への道を!
たじま よしお

 本紙6月28日付のたじまよしおさんの投稿に続いて、「医薬品特許をめぐる対立」についての続きの投稿を掲載します。「私有財産権」を優先する「特許」のあり方は、資本主義のシステムが、健康や生命の権利にカネで差別をつける非人間的なものに他ならないことを明らかにしています。(編集部)

バイデン政権の知的財産権免除支持に日本も賛成

 「かけはし」6月28日号掲載の「医薬品特許をめぐる対立」にさらに補足させていただきたいと思います。それはアフリカ日本協議会(AJF)の6月1日「グローバルヘルス、国際保健とCOVID-19」の見出しに「バイデン政権の知的財産権免除支持方針に日本も賛同」とあり、茂木外務大臣は5月19日、米国バイデン政権のキャサリン・タイ通商代表と電話会談を行っており、その内容が記されているのです。
 それによると、タイ通商代表は米政権の知的財産権免除支持方針に理解を求めたということです。外務省のプレスリリースによると、それに対して茂木外相は「日本としても、ワクチンの国際的な生産拡大と公正なアクセス確保を迅速に実現させることを重視していることを強調し、WTOを中心とする国際的な議論に建設的に関与していくことを表明」とあります。
 一方、5月25日の参議院の外交防衛委員会で日本共産党の井上哲士参議院議員の質問に答え茂木外相は、「日本として、その他の国が(WTOの提案について)前向きに取り組む中で、日本だけが待ったをかけるつもりはない」と発言、更に『国際的にもどうやったらボトルネックを解消できるかを議論してゆきたい』と述べ、WTOの交渉に積極的に関与することを表明した」とあります。これら一連の茂木外相の発言は従来の(反対の)立場からの大転換であり、後戻りしないように私たちは監視してゆかなくてはならないと思います。
 アフリカ日本協議会は、ODA政策協議会や財務省との協議会にも出席しており、2月17日にはアジア太平洋資料センター、国境なき医師団とともに外務省に対して「新型コロナに関わる知的財産権保護免除の要望書」を提出しています。私たち市民も、それらの動きと連帯し情報を共有することによって、国の動きを監視してゆかなくてはと思います。

欧州連合各国の見解


 5月7日に開催された欧州連合(EU)首脳会議(サミット)で各国の同提案への態度は明らかになりました。
 「同提案への賛同を政府として明確にしたのがスペインである。スペインのカルメン・カルボ第一副首相は5月6日、WTOの提案およびこれに支持表明した米国バイデン政権を擁護し、『こうした保健上の危機には、例外的な措置が必要だ。それによって私たち全員が救われるか、さもなければ、誰も救われないかのどちらかだ』と述べた。イタリアも基本、これに同調する方向だ」。同国の外務大臣、保健大臣そして首相もおおむね好意的な姿勢です。ギリシャも米国の提案賛同を支持する立場を明らかにしました。「フランスのマクロン大統領は、バイデン政権の方針転換を受けてすぐ、、ワクチンに関する知的財産権免除を支持すると述べた」。
 しかしその後、もっとも否定的な態度をとっているドイツなどと波長を合わせてか微妙に軌道修正をしています。そのドイツの主張は私にはわかりづらく、理解できない文章を紹介するのは気が重たいので省略させていただきます。反対に回った欧州諸国は「米国は知的財産権免除を支持しつつ、英国と共に、原材料やワクチンに関する実質上の輸出規制を行っている」そのことに不信感を持っているということのようです。しかしその欧州諸国も今後議論・交渉を進めることにまで反対しているわけではなく、一歩前進と言えるということです。
 しかし、ここで問題にしなくてはならないのは「知的財産権の免除」もあくまでも「一時的or例外的」なのです。バイデン政権もどこの政権も「資本主義」を手放そうとはしません。彼らにとってのそれは、一時の治安対策にすぎないと、それはちょっと言い過ぎかもしれませんが、「命が大切」という発想から出発しているようには思えません。

ワクチンは救世主となるか?


 私は6月始めに2回目のワクチンを接種して数日後、左目の視力がひどく落ち脈拍が127にも跳ね上がりもう駄目かと思いました。1日安静にしていたら徐々に回復に向かいましたが、こんなことは今まで体験したことはありませんでした。その後テレビを見ていたら、ワクチンによる死者が186人、それから数日後に194人という報道がありました。その時、亡くなった女性のお連れ合いがその時の様子を悔しさをにじませながら淡々と説明し、接種した医師も死因はワクチン以外考えられないとコメントを寄せていました。
 私は命拾いをしたという実感を持ちました。もちろん私のその時の症状がワクチンによるものだという証拠はありませんが。しかしもっと恐ろしいことに、その後ワクチンによる死者数の報道がピタリとなくなってしまったのです。実はこのことをある医療関係者に話したところ、困ったような表情でノーコメントでした。この世の中は一体どうなっているのでしょうか。
 それで、4月の末に京都のロシナンテ社から頂いたハガキのことを思い出しました。「天笠啓祐著/ゲノム操作と人権〜新たな優生学の時代を迎えて」という本の宣伝で、「コロナ禍で進められているワクチン接種。ゲノム操作等の未知の科学技術を使って製造されたワクチン。ゲノム操作の闇を説き起こした書。ワクチンを打つ前に購読を」となっております。実は5月の初め頃だったと思いますが天笠さん出演のテレビ動画をネットで見ていたら「新型コロナより怖いワクチン」と言った言葉が耳に入ってきました。それで前回「かけはし」に掲載して頂いた「医薬品特許をめぐる対立」の中でも「ワクチン神話」とならないように気をつけました。
 このコロナ禍には出口はないだろうと考えたほうが良さそうです。というのは、一昨日届いた月刊世界8月号の特集は「サピエンスの減少」で、この新型コロナパンデミックが世界人口減少の折り返し地点になるであろうという趣旨の論調がまず目に留まりました。実際にこのところのアメリカの平均寿命は1年から0・5年(ヒスパニック系は3年)ほど縮減したという記述が見られます。人類の未来に立ち向かうためにも、医療・医薬品製造技術などの地球規模での共有化は何としても急がなくてはなりません。その上でワクチンなどを受け入れるか否かはあくまでも個人、そして地域の自由が保証されなくてはならないと思うのです。

地球上40億年の生物界の歴史


 月刊「世界」2月号の特集は「大絶滅の時代」でした。五箇公一さん(国立環境研究所整体リスク評価・対策研究室長)の「生物多様性とは何か、なぜ重要なのか」の抜粋を次に紹介します。
 「美しき青き地球と生物圏 1961年にボストーク1号によって、人類で初めて有人での宇宙軌道飛行に成功したソ連(当時)の宇宙飛行士ガガーリン少佐が、大気圏の外から地球を眺めたとき、『地球は青かった』という言葉でこの美しい惑星を賛美したエピソードは有名である。
 地球は、我々が知り得る限り、太陽系で唯一生命が繁栄する惑星である。その表層には青く美しい海と緑あふれる大地が広がり、そこにはさまざまな生物種が生命活動を営んで生物圏を形成している。生物圏は一様ではなく、地域ごとに異なる環境が展開し、地域特有の生物相が存在する」。
 この青き美しい地球では「生物進化の歴史40億年の間には地球上の生命の70%以上が死滅する大絶滅というイベントが最低でも5回は起きているとされる」。
 「過去の大絶滅の中でも、最も大規模な絶滅はペルム紀末期(2億5000万年前)の大絶滅で、地球上の生物の95%が死滅したとされる。その原因は、シベリアトラップという現在のシベリア大地の4分の1ほどを占める大規模な火山噴火とされる。割れた大地から200万年間にわたって溶岩と温室効果ガスが放出され続け、この時に大気中に排出された炭素量は累計14兆5000億トンにも上ったと推定されている。この大量の温室効果ガスによって地球温暖化が進行し、海水温が14〜18℃も上昇したことで多く(95%)の生物が死滅したと考えられている。
 ところが、現在の温室効果ガスの1年当たり排出速度はこのペルム紀の大絶滅時代よりも速いとされており、このまま放置すればペルム紀末期以上の悲惨な気候危機が引き起こされる恐れがある」。
 地球上の生態系の天敵は 私たちホモ・サピエンスか。
 「そもそも、霊長類の中でも比較的体重が大きい人間という動物が、本来の自然体系の中で生きられる個体数は、極めて限られた数値となる。人間に最も近い霊長類であるチンパンジーやゴリラの野生集団における個体数をもとに概算しても、人間という動物が自然生態系において生息可能な個体数は、地球全体で多く見積もっても500〜1000万頭が限界ではないかと推測される」。
 なんとまあ、人間という生き物は地球上に1千万以上は存在してはいけないという。もう少し手心を加えてもらえないものか。しかし、10倍に水増ししてもらっても1億人ということになります。
 「今、人間は77億人という巨大バイオマスで生態系のトップに立ち、地球上の資源を過剰に消費し、環境を悪化させることで生態系のバランスを崩す存在となっている。これだけ過剰に密集した動物集団は、まさに病原性ウイルスたちから見れば格好の獲物と言っていい。生態系のレジリエンス(回復力)機能として新興感染症が人間を襲ってくる現象は、起こるべくして起こった自然の摂理と言えるのである」。
 この場合の自然の摂理とは自然淘汰を意味しており、まず弱者から順次淘汰され強いものが生き残ることを意味し、到底受け入れられるものではありません。

新型コロナパンデミックはグローバル新自由経済が産みの親

 しかし、五箇公一さんはこの月刊「世界」の文章で最後次のように締めくくっています。「もちろん、今の社会構造を一気に変えることは容易ではないが、残された時間はかなり限られていると考え、理想ではなく具体的な行動に移す必要がある……略……まずは個人レベルで始められること、そして始めるべき第一歩は『地産地消』であろう。地方で生産されたものを地方で循環することで、地域固有の経済・社会・文化が育まれ、自立経済のもとで地域間・国家間の連携へとつなげていく。地球上のあらゆる生物との共生が可能な、持続性の高い社会を実現する道は、個人の一歩から始まる」。
 つまり、新型コロナパンデミックはグローバルな新自由主義経済が元凶であるということです。巨大なダムの堤防も蟻の一穴で崩れ去るという例えもあります。「個人の一歩」がこの新自由主義経済の変革に繋がるというこの五箇公一さんの結びの言葉は魅力的ですが、今こうしている間に全世界で1日に1万5000人もの命がコロナで失われていて、5月4日調べで320万人、日本国内での死者は1万人を超えたということです。

この小さな集落で意見広告を!

 6月28日の「かけはし」に掲載していただいたものから現在執筆中のこの文章は、自分が生まれ育った350戸ほどの集落で、特許権免除に関する意見広告を出したいという思いから綴り始めたものです。それには医薬品特許以前の特許とは一体全体なんだと、回りくどいようですがそのことをみんなで考え共有することが必要だと思って書き進めるうち、どんどんと長くなってしまいました。これは、意見広告運動を始めるにあたっての仲間を募るための「呼びかけ文」です。意見広告の文章は、わかりやすく誰にも受け入れてもらえるような内容のものを箇条書きに整理したものをと考えています。
 この350戸の集落の皆さんが日々生を営んでいる日常感覚から出発しなくてはなりませんが、ワクチン接種による死者数に報道管制が敷かれているのではないかという疑念も互いに共有しあいながら物事を進める先駆性も求められると思うのです。最近考えていることなど、回りくどい文章となりましたが、最後に特許というものの本質を考えるための考察を加えて終わりにしたいと思います。

特許は誰のもの?


 以前テレビで「そのとき歴史が動いた」という番組を観ていて、これは司馬遼太郎の英雄史観に通じるものがあると感じました。私も司馬遼太郎の書いたものの多くを読みましたが、その折々の時代の転換点に優れた人物が現れ、彼の決断力で社会を変えてゆくストーリーは読者を魅了します。しかしそれらの時代背景には読み書きもできない老若男女の喜怒哀楽があり、時代変革のマグマとなって、雲仙普賢岳の溶岩が噴き出すような勢いでその折々の時代を変革してきたというのが歴史的真実で、決して特定の英雄が時代を動かしたのではないと思うのです。
 特許権についても同じことが言えるのではないでしょうか。労働現場の人々が、もの作りに際してなかなか解決し得ない問題を、優れた研究者・技術者が解決するという筋書き、寝食を忘れて問題克服に向けて奮闘する研究者らの姿は尊敬に値しますが、特許権はそこのみを強調する英雄史観と重なるものがあると思うのです。多くの労働者の営々辛苦の営み、そしてそれを支える子供を含む家族たち、そうした存在をすべて否定するのが「特許権」であると私は考えます。冒頭の見出しに「すべての特許権を廃絶し社会主義へ」と書きましたが、大げさな表現でもなんでもありません。知的財産はみんなのものです。それををどのように扱うかはその都度77億の民衆が車座になって話し合って決める、これが私の社会主義です。あなたの社会主義はどんなですか。
(7月10日記)

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