眞子と小室圭の結婚について

「戦後象徴天皇制」の自壊か?
批判・廃止の論議を深めよう

「皇室の危機」とは

 10月26日、秋篠宮家長女の眞子と小室圭が結婚した。眞子・小室圭の結婚は、トラブルまみれであり、週刊誌を中心としたマス・メディアはことあるごとにスキャンダルに満ち満ちた2人の結婚を細部に至るまで取り上げ、大々的に報じることになった。スキャンダルの対象は、表面的には小室氏ならびにその母親がかかわる、金銭がらみの内容であったが、それは不可避的に皇室のあり方の危機をも焦点化することになった。言うまでもなく皇室典範に明記された天皇家の「男系男子継承原理」の下で、このままでは「天皇のなりてがなくなる」という危機についてである。
 天皇制尊崇メディアの代表ともいうべき産経新聞は10月27日の「主張(社説に該当」で次のように述べた。「本来、国民こぞってお祝いを申し上げたいが、結婚の一連の儀式が行われないなど、異例ずくめの慶事となったのは残念である」「秋篠宮さまは昨年11月の会見で眞子さまのご結婚を認めると言及した一方、『決して多くの人が納得し喜んでくれる状況ではない』とも述べられていた。その状況が最後まで払拭できなかったのは残念なことである。宮内庁は眞子さまへの十分なサポートができていたか、教訓としてもらいたい。皇室への敬愛の損なわれることがないよう、皇室を一層支える意識を新たにすべきだ」としている。
 他方「リベラル天皇主義派」とも言うべき朝日新聞10月27日の1面『視点』欄は「一人ひとりの人権や尊厳がないがしろにされるようでは、皇室をめぐる諸制度の『持続可能性』にも影響しかねない。皇族が減り、皇位の安定的継承の困難さが課題として浮上し、政府の有識者会議からは女性皇族が結婚後に身分を保持する案も示されている。皇室を構成する人たちが無理なくその地位を担える状況にあるのか、改めて議論した方がいいのではないか」と書いている。この点では、今回の「眞子・小室」結婚イベント評価の場合における「産経」と「朝日」の相違と同一性を捉えていく上で、興味深いとも言えるだろう。

「天皇主義者」の絶望


 ここで、反天皇制運動の中心的活動家である天野恵一にならって、「明仁・美智子」前天皇夫妻と共に歩んできたともいえる「女性週刊誌」の報道をざっと見ておこう。日本最初の「女性週刊誌」である『女性自身』の創刊は1958年。当初はアメリカの「セブンティーン」と提携したファッション誌だったが、1958年11月の「明仁・美智子」の婚約発表と翌年の結婚を契機とした「ミッチー・ブーム」に乗って、「皇室ネタ」を中心にした編集方針に転換することで売り上げを大きく伸ばすことに成功した。天野が名付けた「メディア天皇制」の始まりである。
 私も今回の「眞子・小室」結婚ストーリーを「女性週刊誌」の論調に沿ってごくごく一部ではあるが紹介する。中心的な焦点は小室母の前婚約者である男性からの数百万円に上る借金の返済が行われていない、という問題であり、その点では小室圭氏自身もこれにからんでいる、ということであるが、この真偽については私としては論じるだけの材料はない。しかし借金トラブルがあるという事実については小室も否定しているわけではない。
 さらに幾つかの雑誌メディアでの記事について。
 「文藝春秋」10月号は、御厨貴(東大名誉教授)と林真理子(作家)の対談「『大衆天皇制』の崩壊」を掲載している。林の「今後の皇室はどのようになっていくとお考えですか」という質問に御厨は次のように切り出している。
 「会議では、これまで安定した皇位継承についてのみを考えていればよかった。つまり皇族の数が減少していく中でいかに皇統を絶やさず次世代に繋いでいくかということです。しかし眞子さまの結婚をきっかけに世論がここまで二分され、『天皇家は何のために存在するのか』『現代における象徴天皇制の意味は』といった、かつてはタブー視されていた皇室の本質的議論に国民のほうが先に行き着いた。……しかし事ここに至っても、政府は皇位継承も含めて皇室の問題を深く掘り下げることから逃げており、総裁選という政局を経てすでに議論が始められるとも思えない。暗澹たる気持ちでいる、ということを最初に申し上げておきます」。
 御厨は現上皇夫妻(明仁・美智子)がかきたてた「大衆天皇制」という考え方がすでに崩壊してしまっている、と断じ、「今後の天皇制の在り方をどう考えていくべきか。問題はこれに尽きる」と強調している。しかし、御厨自身はこの課題について「いやいや自分ではできない」と、絶望的である。

行動を継続しよう

 「絶望」という点について言えば、伝統的な極右天皇主義派の雑誌『Will』12月号が「皇統の危機――最悪の末路へ」というセンセーショナルな題の「特集」を組んでいる。4本のリポートが掲載されているが、いずれも今回の眞子と小室圭の結婚を題材にしたものだ。竹内久美子「『ペテン師と駆け落ち』と報じられた恥」、竹田恒泰「天皇と国民の絆を断つ歴史的一大事」、谷本真由美「日本の命運は眞子さんと小室さんの良識頼み」、宇山卓栄「皇室破壊工作『ならぬものはならぬ』となぜ言わぬ」。
 ちなみにこの特集が掲載された同誌12月号の巻頭対談は、自民党総裁選をめぐる「高市早苗総裁にスイッチが入った瞬間」というテーマでの安倍晋三元首相と、櫻井よしこ(ジャーナリスト)の対談だった。
 私は、こうした伝統的な「天皇制=天皇主義」の危機をハッキリと見据えた上で、なおかつ象徴天皇制の危機がもたらす天皇主義の多様で新たな動きを過小評価することなく、論議し、行動することが重要である、と思う。「眞子・小室圭」の結婚に関するさまざまな言説について、どう考え、整理していくかという論議も折に触れて継続していくべきだろう。
 いずれにせよ、戦後象徴天皇制は、伝統的天皇主義の側からみても、そして反天皇制運動の側から見ても、新たな局面を迎えている。この変化の内実に迫る討論と運動を、「昭和代替わり」以来の経験を引き継ぎながら多くの人びととともに進めていこう。 (純)

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