投稿 新型コロナウイルスの新変異株

差別とワクチンの闇を明るみに
たじまよしお

オミクロンは語る

 新型コロナウイルス新変異株「オミクロン」が検出された南部アフリカのポツワナ保健省は「最初に検出されたのは、ボツワナ国民ではなく、他国からの4人の外交官であること、その後の濃厚接触者の追跡では同株の感染者はいなかった」という声明を昨年11月11日に出しています。この声明を受けて、各国政府は4人の外交官の足取りを調べ国際協力のもと解決に向けて対応したのでしょうか。オミクロンは昨年11月24日に南アフリカで最初に検出されたとされていましたが、それより早い段階でオランダで検出されたという報告もあります。しかし、どこが発生源であるかは現在のところ特定できていないのです。
 すでに昨年、テドロスWHO事務局長はオミクロンが検出される数カ月前に「世界のアフリカへの差別により、コロナウイルスは長く広く繁殖し、その間にワクチンの有効性を減少させる新たな変異種が発生する可能性が高まる。ワクチン接種に関して、アフリカを最も軽視する国際社会は、実はアフリカのみならず国際社会全体を脅威に晒している」という趣旨の発言をしていましたが、このことが現実のものとなったのです。

差別は自分のためならず

 冒頭で述べたように南アフリカは、普段から変異株に注意を払い、WHОの規則にしたがっていち早くオミクロン株について国際社会に向かって発信したにも関わらず、各国政府の協力が得られるどころか、渡航制限を加えられる結果となったのです。これではまるで経済制裁に等しいではありませんか。「南アフリカの優れたゲノム解析技術や新しい変異株を他国より素早く検知する能力を罰しているに等しい。優れた科学は罰せられるのではなく、賞賛されるべきだ」と南アフリカ共和国の国際関係・協力省(外務省)は、渡航禁止の措置などをとっている各国政府の姿勢を厳しく批判しています。人の足を踏んづけている者には踏んづけられている者の痛みはわからないという例えもあります。しかし、先進国と言われている人々も、わからず屋ばかりではありません。英国の元首相ゴードン・ブラウンさんや、スイスの「適切なインターネット・ガバナンスのための協会」のリチャード・ヒルさんも、オミクロンが検出された後ではありますが、WHО事務局長のテドロスさんと同様のことを述べています。米バイデン大統領も、パニックに陥らないよう、国際社会へ呼びかけています。「情けは人の為ならず」という諺がありますが、「差別は自分のためならず」と、オミクロンは語っているように思います。

アフリカのワクチン接種状況

 アフリカのワクチン接種の状況は「かけはし(2021・12・3)の『韓国は、今』」に次のように記述されています。
 「ブルンジとエリトリアではワクチン接種が始まってもいない。コンゴ民主共和国では成人の0・01%だけが接種を完了し、タンザニアは0・37%、ナイジェリアは0・69%、エジプトは約2%にすぎない(アフリカではないが、ベトナムも接種率が2%余りにとどまっている)」…略…「国際統計サイト『アワワールドインデータ Our World in Data』によると去る8月17日までに世界の人口の31・7%がワクチンを1回以上接種した。逆に言えば、世界の10人のうち7人はまだワクチンを1度も打っていないということだ」。
 私は9月13日の「かけはし」で「アフリカや東アジアの途上国でワクチン摂取が本格化するのは今から1年半先の2023年の始めからと予測されています」
 「この秋の衆議院選挙の野党共闘の共通スローガンは『新型コロナ関係の知的財産権の免除』はどうしても譲ることができません」と述べました。昨年5月の国会の論戦では日本共産党の井上晢士さんらによる、当時の茂木外務大臣に対する的を射た質問があったにも関わらず、このあいだの衆議院選挙広報の隅から隅まで探しても、ワクチン等の知的財産権の免除等に関するマニュフェストは、1文字も見当たりませんでした。このマニュフェストは誰が書いたのか。

たたかうアフリカ大陸

 南アフリカはアフリカ大陸の最南端にあって面積は日本の約3・2倍で、人口は約5800万人ですから人口密度は日本の約6分の1ということになります。新型コロナウイルスへは、早い時期から素早く対応し、PCR検査は昨年8月の段階では日本の2・6倍となっております。
 米バイデン政権は2021年5月5日、新型コロナワクチンなどについての特許権の停止に「賛成する」声明を発表しました。製薬企業を含む産業界や欧州勢の反対で実現に至っていませんが、もし実現していたら多くの国でワクチンや医薬品が製造され今回の新型変異株「オミクロン」は防げたかもしれないと言われています。
 その米バイデン政権の「新型コロナワクチンなどについての特許権停止」賛成に関する糸口を作ったのが南アフリカとインドで、最終的に約百カ国の賛成を取り付け、全世界の良識ある組織・人々を動かし、バイデンに決断を迫ったのでした。日本では2月17日、アジア太平洋資料センター/国境なき医師団/アフリカ日本協議会の三者代表が外務省に対して「新型コロナに関わる知的財産権保護免除の要望書」を提出しています。
 一方南アフリカでは、同国のアフリゲン社がWHОの支援を受けて新型コロナワクチンの製造を試みています。「ペトロ・ターブランシュ社長は、1年以内にワクチン治験を行い、程なくして商業生産に向かうことを目指しているという。モデルナ版のワクチン製造に成功した場合、その情報はほかで利用できるように公開すると同氏は述べている(AP)。WHОは、大規模生産が可能になればアフリゲンを「技術移転のハブ」とし、低中所得国メーカーに製造プロセスを学んでもらう計画だという(NPR)。
(NewSphereより)

「アラブの春」の10年後の今!


 2011年のアラブの春は、チュニジアで政権が崩壊、エジプトでムバラク政権、つづいて同年8月にはリビア、11月にはイエメンで政権が倒されましたが、革命には揺り戻しがつきもののようで、民衆は今も命がけで闘っています。
 しばらく前のことですが、日本政府が自衛隊を派遣した南スーダンの北隣に位置するスーダンでは、1989年以来バシール軍事独裁体制が続いていましたが、デモやストそして様々な非暴力的な粘り強い抗議活動で、この独裁体制は2019年に崩壊しました。しかし、旧体制の温存を狙う勢力と革命を担った市民・民主勢力のせめぎ合いは今もつづいていますが、暫定立法議会の議席の4割は女性が占めることが決定されていることなどを見れば、全く新しい段階に入っていると見て良いと思います。アフリカ大陸と日本列島は海によって隔てられていますが、地殻はひと続きで、たたかうアフリカ大陸の民衆の鼓動は、足の裏から伝わってきます。

新型コロナより怖いワクチン


 厚生労働省のホームページの「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」を見ますと、昨年12月5日までに報告された死亡例は1343件となっております。しかし厚生労働省に報告されていない事例もあることは、少し検索すれば多く確認できます。厚生労働省によれば、ワクチン接種が原因で死亡した事例はゼロと言い張っていますが、頭隠して尻隠さずとはこのことです。次に紹介するのは天笠啓祐著『ゲノム操作と人権』の「あとがきにかえて」の抜粋です。
 いまワクチンの開発は、すべて遺伝子組み替えやゲノム編集などバイオテクノロジーが用いられている。そのバイオテクノロジーで開発したワクチンの先駆けが、HTV(子宮頚がん)ワクチンで、このワクチン摂取によって重篤な副反応が引き起こされた。ワクチン開発もまた、より危険な方向に進んでいると言える。
 ワクチンと並んで開発が進められているのが抗ウイルス剤である。この開発も遺伝子組み替えやゲノム編集技術を用いた開発がほとんどになってしまった。抗ウイルス剤の代表がタミフルである。このタミフルは異常行動や突然死をもたらすなど、副作用の強さが指摘されてきた。今回実用化に向かって動き出した「アビガン」は抗インフルエンザ薬として開発されたものであり、「レムデシビル」は抗エボラ出血薬として開発されたものである。ワクチン同様、抗ウイルス剤もまた開発合戦が起きている。しかし、人間のDNAの半分以上がウイルス由来である。ウイルスは、外から遺伝子を持ち込み、人間の進化に貢献してきた。肺には170種類とも言われるウイルスが住み着いており、時には人間を守る重要な働きをしているウイルスもある。抗ウイルス剤は、そのため自分自身を攻撃することになり、重大な副作用を引き起こす危険性がある。アビガンでは、妊娠している女性に投与すると、初期胚を殺す可能性があり、赤ちゃんに影響をもたらす恐れがある。また精液に移行するため、次世代への影響が懸念されている。レムデシビルも様々な副作用が指摘されており、特に懸念されるのが肝臓への影響である。
 しかも、今回の感染症拡大時には、非常事態であるとして、国を挙げて医薬品とワクチン開発が支援され、臨床実験の簡略化など、異例の形で早期承認が進められてきた。これは副作用や副反応を激化することになりかねない。ゲノム編集技術が登場して、医療、医薬品開発、食料、農業など幅広い分野で応用が進んできた。その問題点は、なかなか見えづらいものだった。今回新型コロナウイルスの感染拡大が起きたことで、この技術の問題点がより鮮明になったともいえる。同時に、優生思想、差別と偏見、人権侵害との闘いの困難さを思い知らされた。だからこそ、声を大きくして言い続けることの大切さを、改めて知らされたのである。

水俣事件の教訓を生かそう


 水俣病についてはみなさんご存知と思いますが、当初から地元の窒素工場から排出される水銀が原因ではないかと言われていました。疑いの段階で処置すればよかったのですが、科学的に立証された時には、湾を超えて天草の方面まで被害は拡大してしまったのです。個人の人権に関わる刑事事件などは疑わしきは罰せずを大原則とし、公害など社会的な事例については、疑わしきは断固罰せよを大原則とすべきであると私は考えます。 
 前に紹介した天笠さんの文章は「危険性がある」「可能性がある」に終始し断定を避けているように見えますが、そこにこそ事の重大さを見るべきであると思います。
 天笠さんが各地で行っている公演を動画で配信すると、何者かによって即時に削除されています。私も、もう一度動画をみようとした時には削除されていました。言いたいことがあれば堂々と反論すれば良いのに、反論できないから削除という暴力行為に出るのだと思います。
 少しマイナス面についてのみ語ってしまいましたが、希望はあります。デモクラシータイムスで、昨年の7月15日に配信された「山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち/ワクチン接種と副反応」は現在の視聴数は59万2316で他の動画とはダントツで1802件のコメントが寄せられていて、それをみますとワクチン接種後の死亡例で、厚生労働省へ報告されてない事例が多々あることが読み取れます。

 私は自分の及ぶ限りの情報を集めて、新型コロナパンデミックについて考えてみましたが、アフリカやアジアなどの発展途上国へのワクチン接種の遅れは、果たして不幸なことなのか、もしかして不公平が幸いに転じることってあり得ないことではないと思うようになりました。この際ワクチンの暗部にも光を当てることはとても大切であると思いますが、どちらに比重をおきすぎても問題は残る厄介な話です。さて、天笠さんの前述の論文の中に次のような記述があります。
 「今回の感染症拡大時には、非常事態であるとして、国を挙げて医薬品とワクチン開発が支援され、臨床実験の簡略化など、異例の形で早期承認が進められてきた。これは副作用や副反応を激化することになりかねない」。
 つまり、先進国とされている私たちは2回3回のワクチン接種で、人間モルモットにされているというのが、事の本質なのです。すでに多くの人の命がワクチンが原因で亡くなっているのです。事実、私はワクチン接種後に一時、脈拍数が1分間127にも跳ね上がり、左目の視力がひどく落ち込み、現在眼科に通っております。ワクチンが原因という証拠はありませんが、実感としてこの問題は副反応による被害者を中心にして考えないと、実のある解決へ向かわないように思います。

新型コロナ&ワクチンの闇の部分に光を!

 すべての皆さんに要請します。厚生労働省のホームページを開いて見てください。検索の手順は「新型コロナワクチンの副反応疑いの報告について」→「報告された事例と評価について」→「死亡例の報告について」→「資料1─3─1」です。今年1月2日までに報告された死亡例は1372件です(ワクチンの接種回数は1億6802万9634回)。この死亡例のうち「ワクチンとの因果関係が認められないもの9件」となっています。
 高齢者などでワクチンを摂種してもしなくても死亡することはまるまる否定できませんから、この数字はとりあえず受け入れることにして、次は「情報不足等によりワクチンと死亡の因果関係が評価できないもの 1363件」と、これはワクチンとの因果関係を渋々認めているようにも読めます。
 しかし、補償などに関する訴訟などを防ぐために、あいまいな表現で煙幕を貼っているという風に感じられます。デモクラシータイムスの山岡淳一郎さんによると、厚生労働省はワクチン接種後の死亡者の症例の報告は簡潔にするよう指導しているとのこと。「情報不足等により」という表現と矛盾しているのではありませんか。
 そして最後「ワクチンとの因果関係が否定できないもの0件」となっています。これは、昨年の7月7日の厚生労働省のホームページには「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの1件」という記述が見られました。
 しかし、その後この「1件」が削除されたのです。この文書改竄は半端なものではない。私はこれには森友・加計学園・桜を見る会と同等、否それ以上の問題を孕んでいると考えています。人の命を一体なんだと思っているのか。そうまでして、何を守ろうとしているのでしょうか。ワクチン副反応による死亡者の個々の症例は「資料1─3─1」を検索しますとその最後のコーナーにA4・137ページを使って一覧表にしてあります。
 厚生労働省のこれらの報告の、見えない部分・隠された部分を見える化することが、新型コロナ&ワクチンの闇の部分に光を当て、オミクロンとその後に備える一里塚であると考えます。
 個々の副反応の症例を総合的にまとめ、より安全なワクチン開発・医学の発展のために役立てるというのが、死者に対する礼儀ではありませんか。副反応による死者の家族のコメントからは、なんとか家族の死を社会のために役立てたいという「人はゼニカネにのみ生きるにあらず」という心情が伝わってきます。
 厚生労働省・岸田政権は、賠償要求をいかに食い止めるかということで頭の中はいっぱいであるという風に、私には思えてなりません。
 前川喜平さんは「あったことを無かったことにはできない」と言いましたが、私は半歩進めて「あったことを無かったことにしてはならない」と、言いたいと思います。私のつたない文章を、最後まで読んでくださりありがとうございました。
  (2022年1月31日)

The KAKEHASHI

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