新型コロナワクチンについて考えるために⑤
投書 なぜ息子は死んだのか
たじま よしお
デモクラシータイムスの山岡淳一郎さんが、東広島市でワクチン接種後に息子さんを亡くされた父親を取材した動画が、4月25日に配信され、視聴数は10万回を超え、貴重なコメントが寄せられています。それを以下に紹介します。
ワクチン接種後の経過
岡本裕二さんの息子さん裕之さん(30歳)は昨年の8月22日に2回目のワクチン接種をして帰宅後高熱となり、翌日は会社(電気関係のメンテナンス)を休みました。翌24日は熱が下がったので出社し、一日勤務して帰宅し家族と食事をして自室で就寝しました。翌25日朝7時、起きてこないので母親が起こしにゆくと、布団でうつ伏せになってすでに硬直していました。別の場所で介護の仕事をしていた父親が駆けつけ、心臓マッサージをしていると警察が来て「触らないでくれ、解剖する」と言って遺体を引き上げようとしました。「もう一度顔を見せてくれ」と頼み、妻と泣きながら見送りました。
死亡5日後に広島大学で解剖され、警察に呼ばれ検案書を見せられました。それには「主要所見・特記すべき所見はない/直接死因・不詳」とだけ書かれていて裕二さんは「これは受け取れない」と言い、警察は「これしかない」と、押し問答の末仕方なく持ち帰りました。息子さんが8月22日に接種した2回目のワクチンはモデルナ「Lot 3004734(約52万回分)異物混入の疑いあり」ということで、厚生労働省が使用見合わせを指示していたのです。父親の裕二さんも8月16日に同じロット番号のワクチンを接種(2回目)して40度を超える熱に見舞われリンパが腫れて腕が上がらなくなり帯状疱疹の症状がありました。接種会場は2人とも、広島大学職域接種会場でした。
健康被害救済制度の申請
岡本裕二さんは9月13日「死亡一時金請求書」と「葬祭料請求書」を東広島市新型コロナ対策室へ提出しました。それから2カ月目に「これでは〈厚生労働省へ〉出せないから健康診断書を出してくれと言われました。警察からは「病理検査の結果が欲しいと言ってきている(多分厚生労働省からだと思われますが)、保存してある息子さんの検体を、広島大学に病理検査を依頼するために裕二さんの同意が必要」と言ってきたということです。そして病理検査には何カ月・2年3年かかるかもしれないと言っていたということです。
岡本裕之さんの死亡時の症例についての、専門家による評価(4月13日)─本症例の2回目の摂種に使用されたワクチンは、異物混入が確認されたロットと同時期に同設備で製造されたことにより、使用を見合わせたロットである。本事例は剖検の結果待ちとなっている。情報不足のため死亡とワクチン接種との因果関係は評価不能である。使用ロットに異物混入があったとした場合に異物が本症例の死亡に与えた影響についても同様に評価不能である。
その頃の田村厚生労働大臣がテレビで「もしもワクチン接種で副反応に遭ったら『予防接種後健康被害救済制度』がありますよ」って言っていたし、当時の安倍首相も「安全安心なワクチン」を強調していて、岡本裕二さんも安心して息子さんにワクチン摂種を勧めていたのでした。
そして岡本裕二さんはいまも社会全体を守るにはワクチン接種は必要であるし、その政策を進めるためにも健康被害救済制度の速やかな実施が求められているのであり、自分の権利だけを主張しているのではないと、淡々と語る言葉の端端から伝わってきます。息子さんを亡くしたからこそ到達し得た心境であり、このような人を孤立させてはこの社会はなりたたないと思います。
健康被害救済制度の考え方
第37回厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会・予防接種基本方針部会方針資料(令和2年27日)より抜粋
◯法に基づく予防接種は社会防衛上行われる重要な予防接種であり、極めて稀であるが不可避的に健康被害が起こりうるという特性があるにもかかわらずあえて実施しなければならないということに鑑み、健康被害を受けた者に対して特別な配慮をするために設けられた制度である。
◯本制度による給付を受けるためには、疾病・障害認定審査会の審査を経る必要がある。同分科会においては、申請資料に基づき、個々の事例ごとに※症状の発生が医学的な合理性を有すること※時間的密着性があること※他の原因によるものと考える合理性がないこと◯その上で、認定に当たっては「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることが否定できない場合も対象とする」という方針で審査が行われている。
■WHO:予防接種と有害事象の因果関係に関するマニュアル
◯個別事例について予防接種後に生じた有害事象の因果関係を厳密に証明することは不可能である。そして「厳密な医学的因果関係まで求めずに評価」した「平成30年度健康被害認定」の内訳としては、「申請された件数の46%を予防接種に起因することが否定できないものとして認定した」。となっていますから、申請が出されたうちの46%は国家により補償金が支払われたことになります。このWHOの報告は「平成30年」と言いますから、新型コロナパンデミックより以前のことです。
ここからは私(たじま)の感想ですが、厚生労働省の健康被害救済制度の考え方やWHOのマニュアルと、岸田政権のワクチン副反応被害者に対する冷酷な仕打ちとの、想像を絶する乖離は一体なんであるか、そこにはなんらかの意図が隠されているのではないかと思うのです。かっての田村厚生労働大臣もテレビで「もしもワクチン接種で副反応に遭ったら『予防接種後健康被害救済制度』がある」ことを明言していましたし、このまま健康被害救済制度を全く無視するつもりもないだろうと思います。この健康被害への救済を「隠し弾」としてとっておいて、政治的に最も効果的に活用することを考えているのだと思います。政権にとって好都合なことにメデイアもそのことに積極的には触れようとしないし、野党各党も若干の温度差はあるけれども、メデイアと五十歩百歩と言ったところです。政権が最も恐れている市民運動もほとんどこのことに触れようとしないのです。おそらく「憲法九条改正」と、「緊急事態条項」を憲法に加えるためには内閣の支持率をあげる必要はありますから、その辺りでこのワクチンによる健康被害者への救済を使うタイミングを狙っているのかもしれません。
私は新型コロナに関しては遺伝子工学の知識を共有する必要があるのではと考えて、「ゲノム操作と人権・天笠啓介著」と「食品の安全と企業倫理・神山美智子著(遺伝子組み換えとは何か)」の抜粋などを編集して、地元の集落320戸に新聞折込をしたところ、意外な反響がありました。たまたまスーパーで買い物をしていた同級生に「難しくてよくわからなかったけど面白かったわ」と言われました。末尾に(つづく)と記しておいたところ「読んでやるから早く続きを書け!」とこの山の中へわざわざやってくる人までいました。遺伝子工学のことですからどうしても専門用語は外せませんし、自分自身しっかり理解できてはいない内容でしたが気持ちは伝わったようです。
7月の参議院選挙について
私は6月6日号のかけはしに掲載された「7月参院選で何が問われているか(3)外国人の人権を防衛しよう」を基本的に支持しますが、さて、技能実習生や在留資格を失った外国人の皆さんの中にもワクチン接種を受けた後亡くなった人はいるのではないかと心配になってきました。それと定住外国人の選挙権についてですが、それは公民権と繋がっています。
かつて定住外国人の年金問題に関わっていた頃、朝鮮総連は選挙権獲得に反対、居留民団は選挙権獲得に賛成という構図でした。それは徴兵制に応じる義務もくっついてきますから、当該の人々の要求を私たちがどのように支えるか支えないかという、大変厄介な問題をはらんでいます。
7月の参議院選挙には新型コロナやワクチンについて、各党はどのような見解を示すのか、ワクチンに依存する国際社会には大いに疑問を抱いていますが、議会政党の視野の中には、78億人と言われている地球上の民衆が入っているのか。この社会のあらゆる問題が地球規模で考えなくては解決不能であることを今回の新型コロナパンデミックが明らかにしています。
前回の参議院選挙は西日本が暴風雨に見舞われる中、各党のマニュフェストには地球温暖化・地球環境の破壊に関することはただの一文字もありませんでした。食の安全に関する文字もなく、国会議員は台所に立ったことがないのだろうかと思いました。
棄権する自由も利敵行為などと非難できない危険水域に私たちは生きているかどうか、選挙公報をよく読んで考えたいと思います。この文章が掲載される頃には参議院選挙は多分終わっていると思いますが、新型コロナとワクチンのことは生身の人間の、今日明日の命に関わることですので、選挙後も変わることなく考えてゆくことにします。(つづく) (2022年6月26日)
The KAKEHASHI
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社