投降 障害者政策から「れいわ新選組」を考える

参院選2022
(7月11日 KJ)

「優生保護法」をどう考えるか

結党時の「れいわ新選組」

 私は本紙2020年3月9日号に「〝山本太郎現象〟をどうみるか」、これへの追記として「れいわ新選組の組織論」の小文を投稿した。前者は、当時入手ができた一般書『#あなたを幸せにしたいんだ―山本太郎とれいわ新選組』と『「れいわ現象」の正体』から2019参院選の立候補者と政策、支持者らについて知ることを目的とした。後者は同党の規約を読むことで、多様な政策と候補者を擁立しながら、〝党代表の個人商店〟であることを示した。
 当時の規約第四条(構成員)には「本党は、国会議員及び国会議員予定候補者で構成する」とあり、第八条には「予定候補者は、代表が選定し、総会の承認を受ける」とある。投稿時点で公認された衆院選の予定公認候補者も紹介した。来るべき次の総選挙、あるいは次の参院選まで同党が存続していれば、私たちはどのようにすべきかの討論のベースとなる知識・情報として投稿したつもりだった。
 S・Tさんが本紙6月15日号に「『れいわ』を投票先に加えるべき」という投稿があった。S・Tさんは、本紙が「れいわ」への投票のよびかけを除外するのは同党を「ポピュリスト政党である」という評価をしているからではないかと問う。
 私は「ポピュリスト政党である」とは思わない。山本太郎がポピュリズムを標榜しているとすれば「山本は自称・ポピュリスト」であろう。政党を「ポピュリスト政党」と評価するのは歴史的な作業であって、よっぽどの証拠がなければ短期に評価はできないだろう。私はこの投稿をまとめながら、「れいわは小沢一郎の別動隊・選挙互助会」という側面が強いとの印象をもった。ネット上で情報を調べ続けると、画面上には山本太郎の動画配信の広告が頻出、同党情報は紙情報に重心をおいた(最大の理由は、元号を模した同党の名称をみるのもかたるのも嫌だからだ。なので、そんな党名を書くという行為を友人たちにはすすめられない)。

政見放送をみて

 同党の比例代表の政見放送で、山本同党代表は特定枠の候補者を次のように紹介した。「一般社団法人代表理事、立命館大学専門研究員。世界で最も障がいの重い研究者の一人、天畠大輔です」。れいわは、街頭演説や記者会見などを文字起こしし、動画と合わせてホームページに公開する。この、天畠候補の紹介もそのひとつだ。
 「世界で最も障がいの重い」という山本の表現に嫌な記憶がもどった。
 2020年7月3日、前年の参院選のれいわ新選組比例代表候補10人のひとり、大西つねき元候補が「命、選別しないと駄目だと思いますよ。はっきり言いますけど、なんでかと言いますとその選択が政治なんですよ」と自身の動画チャンネルで話した。この発言に対し、除名を求める意見など批判が同党に集まった。
 山本が大西発言を知ったのが7日。大西が山本から「れいわを離れるか、謝罪・発言撤回の二択だ」と告げられると、ブログで謝罪し発言を撤回した。山本は大西の撤回を受け、「立党の精神と反する」としながらも「大西氏を除名するという判断はこちらにとっても簡単なことではあるが、それでは根本的な解決にはならない」と大西を擁護する声明を発表した。この甘い姿勢に、さらに批判が高まった。
 10日、山本は動画の生中継で、16日に党の臨時総会を開き、除籍処分をはかることを明らかにした。臨時総会は約5時間におよび、大西氏は「コロナウイルスの流行がきっかけで〝命の選別〟を語るようになった」と説明し謝罪を撤回したという。除籍処分の提案は賛成14、反対2で採択された。
 この1年前は参院選の真っ最中、山本が「死にたくなる社会から、生きていたい社会に」とうったえた政見放送の動画サイトでの再生回数は一時、安倍晋三の自民党政見放送の13万回を上回る84万回になったという。
 7月21日の投票では比例区特定枠で舩後靖彦と木村英子が当選した。難病のALS患者と重度障害者のふたりはともに介助が必要な車いすユーザー。ふたりとも患者や障害者〝団体〟と関係者から推薦され、ともに地域で生きてきた。当選で、こうした人と地域を国会にまでつなげた。選挙互助会という側面を超えて、同党はラディカルな難病者や障害者を代弁する政治組織ではないかという考えが強くなった(団体と書いたのは、当事者が設立・運営する自立生活センターなどの事業体が生活と活動のベースだから。代弁と書いたのは、政治代行主義ではなく、後述する〝先読み〟と意味は類似しているだろう)。
 本稿では、「世界で最も障がいの重い」という山本の表現に対する警戒感は杞憂であった、と書いておく。この表現は天畠大輔本人が自ら使っていたからだ。自身のブログ「天の畠に実はなるのか」のプロフィールにそう書いてあるはずだ。

左翼に対する宿題


 2020年8月19日、同党は市野川容孝東大教授を講師とした「命についてのレクチャー」を行った。「優生思想について考える」と題した講演で、市野川は「優生学≠ナチズム」「優生思想としてのナチの安楽死計画」「日本の優生政策──敗戦後の本格化」などをテーマにしたはなしをした。同党らしく、講演の文字起こしはHP上に公開されている。
 市野川は3項目の「私から、れいわ新選組の皆さんへの質問」をだした。1は2005年制定の「障害者自立支援法」の完全撤廃について、2は旧優生保護法下での強制不妊手術について国会で対応する。3は「2020年2月、緊縮を掲げるポデモスと社会労働党が与党として提出した安楽死法案が承認されました。同じく反緊縮を掲げる、れいわの皆さんやその支持者の方々は、ポデモスのこの安楽死法案について、どうお考えですか?」というもの。
 同党は1についての答えは、2021年総選挙で公表した課題で構成するマニュフェスト「れいわニューディール」に示されていた。10項目目の障害者政策は9つのテーマで構成、1ー1に「障害者総合支援法を見直し、障害者基本法の定義である『身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう』に合わせ、難病等制度から抜け落ちてしまっている人を含める制度に拡充します」とまとめている。私は全面的に支持する。同党はこのマニュフェストを2022年参院選でも使用し、14項目の緊急政策を全面にだしていた。2については、本紙2022年5月23日号に投稿した「優生保護法問題の早期・全面解決を」をひとまず参考にしてほしい。
 3の安楽死に対する対応は、2020年7月に医師2人が逮捕された嘱託殺人事件を受けてのものだろう。市野川は講演のテーマに「優生学≠ナチズム」をとりあげるように、ナチズムを批判する左翼ですら安楽死を肯定する、では同党はどうだったか、という問いだろう。同党はその答えを出したか、私はそこまでは調べていない。本紙編集部に問いたい、ヨーロッパの第4インターはどう考えているのか。市野川の視点に沿って、同党を国際的舞台にのせて評価する必要があるだろう。

追記:天畠の映像をみたら、口を大きく開けている。これは緊張による不随意運動と、本人が大笑いしている場合があるそうだ。そのため、あごの関節がはずれやすく、介助者らの手は常にあご近くにある。また、学者らしくみせるため、だて眼鏡をかけているのだそうだ。

れいわ新選組「命のレクチャー」で使用された市野川容孝東大教授の図

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