投書「『福田村事件』を観た」

SM

 「被差別部落問題に朝鮮人虐殺という二つのタブー」(映画パンフ、5ページ)にふれた映画「福田村事件」(監督 森達也)を観た。
 私がこの映画で最も印象に残ったシーンの1つは、沼部新助(永山瑛太)が「朝鮮人なら殺してええんか」と叫ぶシーンだ。朝鮮アメ売りの少女(碧木愛莉)が「アタシノナマエハ、キム・ソンリョ」というシーンも印象に残った。真実を書こうとする新聞記者の恩田楓(木竜麻生)も印象に残った。映画では、内務省からの通達の結果、自警団が組織されたことも描かれている。
 ただ宮田仁さん(書籍編集者)は「日本人が『日本人も虐殺された』と言うことには慎重でなければならない」(『映画芸術』第484号、25ページ)とのべている。加藤直樹さん(ノンフィクション作家)は「衣装や所作が奇妙」だといって「朝鮮人の描き方」を批判している(『映画芸術』第484号、23ページ)。
 また、『解放新聞』(部落解放同盟中央機関紙)は「地元との合意形成がないままに、映画の冒頭で、行商の人たちの出身地がテロップで出されたことや、それと関連して、上映開始後に地元で大きな混乱が起きていることについて、制作側にあたっての事前の取材や話し合いが十分でなかった点がある」などの赤井書記長の批判を紹介している(2023年10月25日、第3080号、6面)。
 行商団の描き方について、「被差別部落と悪徳商法を結びつけるような描き方」には問題はないのか。演じる人の人権を考えれば、性的なシーンはアニメ等で表現するべきではないか。私はそれらのことも考えた。
(2024年2月9日)

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