女性の解放と社会主義革命:第四インターナショナル決議文 (注1)
かけはし 第2652号 2021年2月8日
書評 著者:第四インターナショナル
編集およびまえがき:Penelope Duggan
出版社 : IMG Publications
本書は2010年10月に出版された。第四インターナショナルは1960年代より女性の抑圧、搾取に反対する国際的な闘争を展開してきた。本書は主に女性運動が展開され始めた初期の1960年代から主要な決議が採択された1979年までの第四インターナショナルの決議文書を収録したものである。
1960年代から今日まで第四インターナショナルは女性に対する搾取、抑圧に反対し、マルクス主義の立場からの分析を継続して行ってきた。女性に対する抑圧と搾取は階級社会に由来するため、階級闘争によってのみ女性解放が達成される。
本書に収録された各決議文は、21世紀はじめの帝国主義国、そして発展途上国における女性の立場に焦点を当て、新自由主義的攻撃に直面した女性たちの国際的かつ個別に分断された運動の再統一と組織化の重要性も示唆している。
そして2020年に発生したCovid-19のパンデミックは、現実に広範囲にわたる地政学的混乱やさらなる危機を女性に強いている。
世界的に急速に拡大してしまった新自由主義のもとで資本主義政府の健康、社会、経済の管理における危機的な脆弱性がさらにあらわになったいま、ロックダウンに象徴される閉鎖的な社会の影響は広範な女性への抑圧という形で現れている。
女性に対する家庭内の暴力は数値的に上昇の一途をたどっており、男性による女性に対する暴力がより顕在化している。マルクス主義者として、社会主義的フェミニストとして生きる女性たちの孤立化、運動の後退を防ぐためにも、個別の女性運動の国際的な組織化と緊密な相互連帯が今こそ望まれる。
第四インターナショナルは今日、エコフェミニズム、また女性運動単体ではなく労働運動、気候運動関連の運動、平和運動とも一体となった新しい国際的で集約的に組織化された新しい女性運動を模索している。個別化された個々の運動の緊密な連携を図るためにも、また地政学的に広範囲に点在しつつある女性運動の経験の集約の場としても、本書に掲載された最後の決議文以降、今日までの決議文の掲載された書籍の一般の女性労働者が入手しやすい形での続刊が望まれる。
(注1)原題は
『Women’s Liberation & Socialist Revolution Documents of the Fourth International (Notebooks for Study and Research)』
(山中かれん)
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