エコ社会主義のオルタナティブを

メキシコ
COP16と偽りの回答を拒否する

 二〇一〇年一二月八日、COP16に反対する結集の枠組みの一部として、カンクンで記者会見が開かれた。ここには、ボリビア、カナダ、その他から結集した同志と並んでPRT(労働者革命党)の代表も参加した。労働者革命党政治委員会の同志ルイス・ランゲルはここで以下の声明を読み上げた。(IV編集部)

 今カンクンで開かれている共犯者連中の会合は、昨年のコペンハーゲンと同様、新たな失敗を明るみに出している。それは、グリーン資本主義のもくろみの、並びに環境的な惨害によってこの地球上に引き起こされている気候危機(それには大資本とその利害が唯一責任を負っている)からの出口を見つけようとする国連の失敗だ。そして先の会合は何百万人という人びとの生命を危険にさらしている。
 そうなっている理由は、人は火をもって発熱を治すことなどできないからであり、さらに、他のあらゆるものを犠牲にする後先かえりみない利益追求が気候の危険という凶悪な問題を生み出している一方で、COP16とそこにいる政府代表団の多数が今日、気候問題からの出口を見出そうとしないばかりか、いわゆるREDD(注)を通して、ある種の収益性のあるビジネスに乗り出そうとしているからだ。主に森林に基礎をもつ天然資源を処分する権利を月の宮殿(COP16会議場と思われる―訳者)に立てこもっている企業や政府に与える正当性など何もない。それらの資源には所有者など存在せず、何よりも商品化など許されず、それらに価格を付けることもできない。なぜならば、自然と市場はまったく異なった論理にしたがっているからだ。
 したがって、現在の環境危機が、多数の住民、特にもっとも守られない人びと、労働者、小農民、女性、先住民その他の生気を活発化させていることには、何の秘密もない。しかしCOP16から排除されている主なグループこそこれらの人びとなのだ。オルタナティブを提出すべき人びとが、民衆を恐れている小グループのテクノラートではなくもっとも被害を受けているまさに先の人びとでなければならないときに、これは印象的なことだ。そしてテクノラートたちの民衆に対する恐れは、たとえば過剰な警備作戦が示している。それは、COP16が秘密厳守の下に開催されることを確実にするために展開されたのだ。
 逆にわれわれPRTは、気候危機に対する回答とオルタナティブの探求は徹底的に民主的であるべきだ、と主張する。この信念こそが、今日われわれをここに、このテーブルに引き出している。それはまた、カンクンに来ている環境の、地方の、そして社会的かつ政治的運動と、われわれの力と考えをもって行動を共にするためにだ。それは、草の根の経験や考えや提案を交換するために他ならない。公式サミットに平行して開催されている諸会合だけが、気候変動に反対する大衆運動の建設に向かう唯一の最初の一歩である、そのようにわれわれは信じている。それゆえにわれわれは、今年早くにボリビアのコチャバンバで開かれたサミットから出てきた諸要求を、特に気候変動に関する世界規模の一般投票の必要性に関する要求を支持する。
 気候問題に対する回答は今この時、衆知の諸政策、REDDのような計画に閉じ込められるわけにはいかない。ましてや、「社会的責任を志向する」企業の活動に限定されてはならない。われわれはそのように確信する。何よりも回答は、政治的、経済的、そして思想的である。発展と進歩に関するわれわれの原理的枠組みを変えることこそが必要だ。そして、基盤からこの社会を変えるために、人びとは自分自身の生活に対する支配権を与えられることこそが火急を要する。このためにわれわれは、回答は必然的に反資本主義的であり、オルタナティブはエコ社会主義である、と言いたい。なぜならば、あれやこれやの政策や巨大プロジェクトを停止あるいは変えることを政府に願うだけでは不十分だからであり、もう一つの権力、もう一つの政府、他の政策、そしてこの目的のために、選挙に取り組むだけではなく多数の利害にも取り組む、もう一つの左翼が差し迫って必要とされているからだ。抗議と考えを深める日々である今回の行動に参加していようといまいと、すべての諸運動と諸組織にわれわれは、環境的惨害と気候変動の進展に反対する統一と継続性を与えるように訴える。われわれは、気候ではなくシステムをこそ変えなければならない。それゆえもう一つの左翼は可能であり、必要であり、火急を要する。もう一つの世界は可能であり、それはエコ社会主義の世界だ。(「インターナショナル・ビューポイント」二〇一一年一月号)

注)Reduced Emissions from Deforestation and Forest Degradationの略語であり、「森林減少・劣化からの温室効果ガス排出の削減」が日本語訳として使われている。先進国が途上国における森林減少・劣化防止活動に資金を提供し、それに成功した場合は、排出削減分に相当するクレジットの創出を認め、先進国がそれを獲得できるようにする仕組み。ここでいうクレジットとは、先進国がそれを自国削減分として使うことができる排出枠(権)を指す。しかしそれは必然的に第三者に売り渡すことも可能な「権利」ともなる。

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