反資本主義的方向提起が必要
ミシェル・レヴィへのインタビュー
運動の進展と資本の強硬化見すえ
以下は、カナダにおけるエコ社会主義ネットワーク創立総会後、三月一二日に行われたインタビュー。
エコ社会主義
の展望今こそ
――今日エコ社会主義を語る理由は何か
われわれは、気候変動という形態で、この惑星の人類の生命を危険にさらしているエコロジカルな諸危機に直面しようとしている。この危機の底に横たわっているものは一つの文明――近代の産業資本主義――であり、それは、生産力主義、消費主義、商品物神崇拝、利潤の際限ない蓄積に基礎を置いている。際限のない拡張というその論理は、自然の保護とは原理的に両立不可能、ということをそれ自身で示してきた。
それゆえ必要なことは、反システムかつ抜本的で反資本主義的なオルタナティブ、つまりエコ社会主義を今日提起することだ。求められていることは決定的だ。それは、人類史上前例のないものになると思われる破局を防止するという問題だ。エコ社会主義は、社会主義の原理的な理念と最先端のエコロジカルな批判を柔軟に接合する独創的な挑戦だ。その目標は、社会的かつ倫理的な価値――連帯、平等な自由(エティエンヌ・バリバールが提起したような)――と自然の尊重を基礎とした、新しい文明、人生のいわばオルタナティブな送り方だ。
――エコ社会主義についての二〇〇一年国際アピール以後、その働きかけに続く動きはどのようなものだったのか? エコ社会主義がもつ現段階の影響力とはどのようなものか
二〇〇一年アピールは、エコ社会主義に関する討論をあらためて始めること、並びに国際的なエコ社会主義ネットワークの創出に寄与した。しかしエコ社会主義の影響力は今日、この働きかけを超えて広がっている。われわれは今欧州とアメリカ大陸(北と南)で、エコ社会主義に好意的ないろいろな表明を見つつある。それは、さまざまな左翼勢力、このオルタナティブをめぐる評議会やセミナーの組織化――二、三ヵ月前パリで、そしてまもなくキトとカラカスで――から出てきている。米国では、『資本主義』、『自然と社会主義』、『マンスリー・レビュー』、さらに『アゲンスト・ザ・カレント』のような出版物がますますエコ社会主義(あるいは社会主義的エコロジー)に言及するようになっている。
――欧州の事例――NPA、左翼党(フランス)、ドイツ左翼党――はたしかにある。そこで、諸政党であれ、あるいはラテンアメリカの先住民のような住民全体であれ、そのどちらをわれわれが対象にしようが、エコ社会主義は、今日より適切な展望として見えているのだろうか?
フランスでは、NPAと反資本主義左翼が、またそれだけではなく左翼党や社会党の青年組織ですらが、エコ社会主義に関わっているという事実が重要だ。しかしもっとも将来性豊かな進展は、ラテンアメリカにおける先住民衆の社会的でエコロジカルな諸闘争の高まりだ。これらの人々は、彼らの土地、彼らの川、そして彼らの森を、多国籍石油企業や資本主義アグリビジネスの破壊的強欲と対決して守るために今闘っている最中だ。これらの先住民運動指導者のある者たちは、ペルーのウーゴ・ブランコのように、自身をエコ社会主義者と自認している。この理念は彼にとって、集団主義的実践と「母なる地球」への崇敬に基礎付けられた、この大陸の何世紀にもわたって続いた先住民共同体の生き方に対応している。
――われわれは、ブルジョアジーと主要国政府の立場が強硬化しているさまを見つつある、とは言えないのだろうか(京都合意の破綻――地球温暖化に対抗する政策の放棄――タールサンド、シェールオイル、シェールガスといった、化石燃料採掘の再活性化)?
国際気候評議会のまったくの大失敗――リオを間に挟んだコペンハーゲンからドーハまでの――と京都合意の破綻、加えてより「汚い」、環境破壊的で気候の観点からは惨害を呼ぶようなもの――たとえばタールサンド――を含んだ化石燃料の恐ろしく高ぶった採掘の再開は、単純にこのシステムの論理の帰結だ。ビジネス、銀行、諸政府、そしていわゆる「国際諸機関」(WTO、IMF、世界銀行)は、資本主義の命令、すなわち、「拡張」、収益性、最大限の利潤、競争力、市場シェアのための情け容赦ない闘争、こうしたものに応じて行動する。彼らの「冷酷さ」は、無慈悲であり後先を考えない、システムそれ自身がもっている冷酷さだ。資本主義の一握りの支配者たちは、ルイ一五世時代に表明された古い原則、「わが亡き後に洪水は来たれ」によって鼓舞されているように見える。
資本との激突
に備える任務
――このようなことを背景とした時、クライメートジャスティスを求める運動の新たの挑戦とエコ社会主義者の提案とはどのようなものとなるのだろうか?
エコ社会主義者の提案は、一つの事実から出発する。それは、エコロジー危機と特に地球温暖化に対する回答は、資本主義的な世界システムが強要する限界の枠内では達成不可能、という事実だ。しかしわれわれは、エコ社会主義に向けた闘争を、クライメートジャスティスを求める運動の目標のように、具体的で直接的目標を軸に、今ここから始めなければならない。この運動にとっての挑戦は、それが間に合う内に、気候変動と社会的公正という課題を軸とした大衆的決起と集団的自覚に貢献することだ。そのためには、もう一つの政策は何百万という「みどりの雇用」を生み出すだろうということを説明しつつ、若者、女性、労働組合活動家の支持を勝ち取ることが基本となる。
――米国によるエネルギー自律の追求、そして石油とガス採掘の再開が進行中の北米では、この課題はかつてよりも重要となっているのだろうか?抵抗の道筋はどのようなものだろうか?
北米の資本主義的工業化が進んだ国は、気候変動の進行に対する、中でも大きな責任者だ。この惑星のエコロジーという観点から見た時、カナダは、もっとも逆行的な政府の一つを抱えているという特徴を持っている。われわれは今、その一つ一つに恐るべき環境的結末を伴う、化石燃料採掘の本当に後先考えない突進を目撃している。
まさに、シェールガス、タールサンド、深海原油(メキシコ湾!)という事例がある。北米の二つの国のエネルギー政策にとっては、短期的収益性が一つの、そして唯一の基準だ。XLパイプライン(タールサンドオイル採掘の主要地域であるカナダのアルバータ州から、米国の石油精製産業拠点地帯であるメキシコ湾岸まで、北米大陸を縦断するパイプライン計画:訳者)反対闘争は、もっとも重要な即時的課題であり、この有害な計画に反対する米国内の動員の成功を見ることは、勇気づけられることだ。 一握りの化石支配者のこうした新たな破廉恥行為と対決する、米国とカナダの住民間の共同抵抗を構築することが必要だ。
――現在の国際的文脈において、エコ社会主義者が直面している主な任務とは何か?
われわれは、社会的決起とエコロジー決起の合流をつくり出すことに挑みつつ、システムの生態破壊的な力学を阻止しようと挑むすべての闘争、すべての運動に参加しなければならない。
同時に、グローバルジャスティス運動やクライメートジャスティスを求める運動に加えたこれらの諸決起の内部で、討論に向けて、われわれの反資本主義的分析とエコ社会主義の綱領、いわば新しい文明の具体的ユートピア(エルンスト・ブロッホ)を提起する。任務は巨大であり敵は極めて強力だ。しかし、ベルトルト・ブレヒトが語るように、闘うならば君は負けるかもしれない、しかし闘わないならば君はすでに負けている……。
▼ブラジル出身の哲学者、社会学者であるミシェル・レヴィは、フランスNPAと第四インターナショナルのメンバー。アムステルダムのIIREの評議員、科学研究フランス全国評議会の元研究指揮者である彼は、『チェ・ゲバラのマルクス主義』、『マルクス主義と解放の進学』、『ファザーランドかマザーアースか?』、『神々たちの戦争:ラテンアメリカにおける宗教と政治』を含む多数の著作を著している。エコ社会主義の国際マニフェストの共著者(ジョエル・コヴェルと共に)であると共に、二〇〇七年パリで開催された、第一回エコ社会主義国際会合の組織者の一人でもある。
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