気候 IPCC6次報告(9月20日発行)
急進的変革へ民衆的決起を
NPA(フランス反資本主義新党)環境委員会
IPCCの科学者たちは明快だ。「気候変動は広がり、加速し、激化中」と。ロシア、トルコ、ギリシャ、フランス、さらに米国の大火、ベルギー、ドイツ、中国そしてインドの破局的な降雨と洪水 がこれを証明している。
IPCCの第1グループが今夏その報告を出した(1万4000件の科学論文の総合を提供する1400ページ)。66ヵ国の234人の著者がその作業にあたった。また、広範な読者に向けて「政策策定者向け概要」も公表された(注1)。
IPCCは初めて、その数が上昇中の極端な事象を綿密に調べた。われわれは今や、特に海面上昇が5メートルになり得るという形で、今後「不可逆的転換点」が現実化する、と分かっている。総意は一層固まっている。つまり「曖昧さなく」、大気、陸地、海洋を1750年以来温めてきたのは人間の活動であり、「この40年の各々は、1850年以後のどの10年よりも連続的により暖かだった」と。
今夏も頻発
豪雨と烈火
夏から夏へ、ひょっとしたらわれわれは慣らされてきたのかもしれない。しかしそれでもわれわれは、現象の規模に驚きを覚えている。ケルンでは6月半ば、2、3時間で例年の7―8月と同じ程の雨が降った。ドイツの同地域では200人が死に見舞われ、政治生活は非常に強く揺さぶられることになった。気候問題をめぐる論争が猛威をふるっている。
山火事が再度地球を燃え上がらせた。ギリシャでは、大火に先行した熱波、社会的破壊、土地投機、さらに公共サービス破壊があらゆることを悪化させていた中で、諸々のできごとが国民的惨事の性格を表した。すべてが織り合わされている。数百に上る生物種が山火事によって危険にさらされていると報告されている。たとえば、ギリシャの赤鹿やヴァール県(フランスの地中海沿岸)のヘルマンリクガメがその例だ。
資本主義との
衝突を回避し
IPCC・グループ1は、2022年にその報告を提出する予定のグループ2と同3に送られる諸々の勧告作成の任務と合わせて、固い科学的な基礎に基づく発見を確証することを委任された。この6次報告は、ただひとつのシナリオで満足はしていない。つまりそれは、異なったCO2排出削減に基づいていくつかの「あり得る気候の未来」を検証している。
しかし、産業資本主義の中核部に入り込むことによって18世紀に始まったと同じ程の根底的な方向転換を勇気をふるって深く考えないことで、文明化における転換に対する必要を大胆に強調しないことで、検討されている対応の諸々の筋道はすべて、技術的かつ資本と両立可能なものだ。つまり、「マイナス排出技術、TEN」(大量のCO2の捕獲と地下への隔離)であるが、それはこれまでのところ試作段階にあるにすぎず、社会的、環境的レベルにおける恐るべき危険な結末を伴っている。あるいは「低炭素技術」であるが、端的にいえば原発のことなのだ(注2)。
急進主義…
が絶対必要
しかしながら、何人かの著者は、たとえばフランス人のクリストフ・サッコウ(トゥルーズ大学の研究者)は、根底的な諸方策に対するこの絶対的な緊急性を表明している。すなわち「温室効果ガス排出における即時の強力で持続的、かつ大規模な削減なしには、われわれは、地球温暖化を2℃以下にとどめることはできないだろう。われわれは、迂回することなく、遅滞なくそこへと動かなければならない」と(注3)。そこでは、これは生産力主義、大量消費、大グループの私的所有権に異議を突きつけることになる、ということがわきまえられている。
ダニエル・タヌロが語るように、「オルタナティブは劇的に単純だ。人間が資本主義を清算するか、それとも、台無しにされたそしておそらく生きることが不可能な地球上でその残忍な方向を続ける目的で、資本主義が何百万人という無実な民衆を一掃するか、のどちらかだ」。
幅広い行動へ
今から全力で
今から、グラスゴーにおけるCOP26の6日前にあたる11月6日の地球的決起を目標に定めよう。ここに行動の集約日を決めることはわれわれにとって、民衆とエコシステムを大切に守り、社会問題を環境化し、エコロジーを社会化することに目標を定めた、そうしたわれわれの提案を前進させる好機になる可能性がある。もうひとつの社会、エコ社会主義の輪郭はその時現れるだろう。(週刊「ランティカピタリスト」2021年9月2日号より)
(注1)「気候変動2021年、地球物理科学的基礎、IPCC6次評価報告に対する作業グループ1の答申」中の政策策定者向け概要。
(注2)ダニエル・タヌロによる同報告分析「瀬戸際上で―IPCCが形にしようとしないシナリオ」参照。(注3)ミカエル・コレイアによる「メディアパート」(フランスの政治・社会問題情報紙)記事で引用された。(「インターナショナルビューポイント」2021年9月号)
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