気候変動 IEA(国際エネルギー機構)の変身(10月11日発行)
繰り返される資本主義救出策動民衆の大決起つくり上げ粉砕へ
化石燃料資本の番犬が新たなワナを仕掛けた
ダニエル・タヌロ
国際エネルギー機構(IEA)は1948年のその創立以来、化石燃料大資本の番犬となってきた。科学者たちの数々の警告にもかかわらず、それは何十年も、エネルギー多国籍企業への統制を緩め、したがって気候の大惨事の大変動に向かう転換に一直線に導く、そうした諸文書を衰えることなく作り続けてきた。
しかしながら今この機構は、石炭、石油、天然ガスの燃焼の厳しく極めて急速な削減を求める特別報告を公表するにいたった。IEAはパリ協定の一部として、再生可能エネルギーが大きく支配的なエネルギーシステムを支持して「急進的な転換」を訴えている。この機構は以下を突然認めたのだ。つまり、「1・5℃を超えないふたつにひとつのチャンスに基づき」2050年までに「ネット・ゼロ・エミッション」を達成するために従うべき道筋と政府間の約束の間に、橋をかける唯一の方法がこれだ、と。
IEAが転換したのは確かだが
転換点に争う余地はない、そしてそれはひとつの影響力をもつだろう。IEAが国内エネルギーの諸政策に大きく影響を及ぼすからだ。われわれはそれをどのように説明可能だろうか?
この報告は、以下に述べる事実のさらなる、また特別に意味のある合図だ。つまり、進行中の気候変動がもつ深刻さ、利潤に及ぼすそのブーメラン効果、さらに……主に若者たち内部に結果が現れると思われる体系的な正統性喪失という大きな危険、これらを大資本の支配的な諸界隈とその政治的な指導部ももはや否認できなくなっている、という事実だ。ジョー・バイデンのCOP21合意へのはせ参じに象徴された方向の再設定は、それゆえ孤立した現象ではない。
パンデミックにより幕を開けられた危機は、責任を負う者たちを、経済の再稼働をいかに行うか、という選択の前に置くことによって、その運動を加速中だ。われわれは今後の数ヵ月、特にCOP26の中で、市場の諸法則を通して経済をグリーン化することを目的にした「野心的な」諸々の約束を彼らが明らかにすることを、見ることになるだろう。
IEAは彼らに弾薬を提供している。そのシナリオ、は主張している。「気候を救い出し(1・5℃の一時的踏み越えなしに、とIEAは語る)、GDP成長を復活させ(IEAによれば、年4%)、エネルギー消費水準を引き下げ(8%分)、差し引き2500万の職をつくり出し、貧困を削減する(2030年に普遍的なエネルギー入手)だろう」等、等と。
諸政府はここからわれわれに印象を刻み込むに十分なものを引き出すだろう。それは、グリーンによる浄化と再生使用〔資本主義の:訳者〕の本物の祭典になるだろう。われわれはあなた方を理解している、恐れることはない、状況はアンダー・コントロールだ、との暗黙のメッセージをもって。
実際は、特に以下――遺憾ながら他にも事例はある――で証明されているように、かつて以上にアンダー・コントロールではない。つまり、グリーンランドの氷冠が解体の瀬戸際にあると評価している新しい研究(注1)、北極海の化石燃料の奪い合い、そして特に中国の排出が駆り立てている世界的排出の継続的な増大だ。この流れの中では、なだめるような議論を厳しく非難し、気候のための闘いを精力的に解き放つことが社会運動にかかっている。特に、労働組合の責任が大きい。IEAによってごまかされている「公正な移行」を通す職の大量創出という約束が、労組を「グリーン資本主義」につなぎ止めることを狙いにしているからだ。
エネルギー転換の急進的時間表
化石燃料使用の削減に関連するIEAの提案の急進的な性格を否定することはとうていできない。それは、提案された以下に示す諸方策のスケジュールから極めて明確だ。
▼2021年。新たな油田とガス田のさらなる開発、新炭鉱開設、稼働中の炭鉱の拡張、そして新規の石炭燃焼発電所建設、の禁止。
▼2025年。石油燃料ボイラーのさらなる売却の禁止。
▼2030年。「先進」経済内での石炭の放棄。毎年、1020ギガWの太陽光発電と風力発電の導入(ギガは10億、したがって上記は10億200万KW:訳者)。新車販売における電気自動車比率の60%到達。あらゆる新規の建物のカーボン・ニュートラルの達成。
▼2035年。全「先進」経済内での100%ゼロ・エミッション電力生産。内燃機関をもつ自動車の販売停止。新規トラック50%の電動化。
▼2040年。世界中での全石炭・石油燃焼発電所の閉鎖。全面的なネット・ゼロ・エミッション電力生産の達成。航空での50%低排出燃料の達成。
▼2045年。熱需要の50%がヒートポンプで満たされる。
▼2050年。電力における太陽光発電と風力発電由来の70%到達。建物の85%のゼロ・エミッション対応。重工業生産(セメント、鉄鋼。石油化学)の90%以上の低排出化。
われわれは、その「ネット・ゼロ・エミッション」(NZE)シナリオは、その特別報告1・5℃(2018年)でIPCCによって集められたほとんどのシナリオよりも野心的、と認めることで、IEAの議論における転換点の真価を十分に認めるだろう。
たとえばエネルギーと産業分野に関して、NZEによって2040年に予想された排出は、IPCCシナリオの過半における同時点で予想された排出よりも低い。
同じことは、2050年に化石燃料から依然生み出されると思われるエネルギー総量にも当てはまる。つまり、1・5℃の温暖化を超えない(あるいはほんのわずか超える)IPCCシナリオでは、その総量が約184エクサジュール(EJ)(エクサは10の18乗、ジュールはエネルギー単位:訳者)だった(注2)が、IEAのNZEはかなり低い――化石燃料の120EJ――。
『カーボン・ブリーフ』(英国を拠点とする、気候科学における最新展開を扱うウェブサイト:訳者)はこの数字を、シェルがその「スカイ1・5℃」シナリオ(もうひとつのグリーンによる浄化試論)で提出したものと比較した。つまり、多国籍資本は2050年に、化石燃料からさらに375EJのエネルギー(天然ガスからの115EJを含んで)を生産する可能性に賭けていたが、それはIEAのNZEシナリオより3倍になる、と(注3)。
石油と他の化石燃料企業は、IEAが今度ばかりは彼らが吹く笛に完全には合わせずに踊っていると、幾分驚いているように見える。この問題では、フィナンシャルタイムスが気候のシンクタンク、エムバ―のアナリストであるデイヴ・ジョネスを引用している。
彼によれば、石油やガスのあらゆるさらなる探査を即時停止するというIEAの呼びかけは「この機構の歴史を前提とすれば極度の驚きだ。私は、IEAからこれを予想したものは誰もいないと考える。これは彼らにとって巨大な転換点だ。彼らは常に非常な親化石燃料だった。だからこのようなものを提案することはまさに驚きだ。それは本当に、化石燃料産業に対する一種の裏切りだ」。
「裏切り」について語ることは言い過ぎかもしれないが、IEAの時間表が主に生産の制限と禁止に焦点を当てているという事実は、エネルギーの巨人たちを喜ばせるものではない。シェルの大ボス(CEO)であるベン・ファン・ビュルデンはそれを隠さなかった。彼はごく最近の年次株主総会で、排出を削減する目的ではわれわれは、「生産ではなく消費に焦点を当てる」ことでもっとうまく行えるだろう、と語った。彼はその部門として、シェルはメキシコ湾のようなそれが資格を得ている地域で掘削を継続するつもりだ、「需要を満たすため……もちろん」と語った(注4)。ありがとう、ボス!
カーボン・ニュートラリティ?
気候運動は、まかり間違ってIEAのネット・ゼロ・エミッションのシナリオを褒めそやしたり、それを「正しい方向への1歩」と見る、と決めたりすれば、途方もない間違いを犯していると思われる。
なぜか? それがまさに「ネット・ゼロ・エミッション」であり、「ネット・ゼロ・エミッション」は「ゼロ・エミッション」を意味していないからだ。
「ネット・ゼロ・エミッション」――われわれは「カーボン・ニュートラリティ」とも言う――は、諸政府が巨大な手品を隠す目的でパリ合意で採用した定式だ。これはまったく単純に、排出を資本の利潤(こうして極めて神聖なGDP成長)と両立可能な範囲でのみ削減することで、1・5℃以下(あるいは何と2℃以下)にとどまるために必要な排出削減の軌道を尊重しないということに、そして……一連のごまかしによって必要なこととの違いを隠すことに、本質がある。
ボルソナロや僅かな他のファシストの気候否認派を除けば、地球上のほとんどの政府は今、この「カーボン・ニュートラリティ」論を差し出すことによって、民衆をだまそうと挑んでいる。ところがこのいわゆるニュートラリティは現実には、「私の利潤に干渉するな」「気候よりも利潤」を意味しているのだ。
ジョー・バイデンは、「彼の」気候サミットの組織化を、そして米国は2050年に「カーボン・ニュートラル」になるだろうと厳粛に公表することを主導した。他のほとんどすべては今まねをしつつある(注5)。
なぜか? 一方ではそれが、資本主義のよろめく正統性の、したがってその社会的安定性の救出に関わっているからだ。そして他方では、非常に大規模に化石燃料を置き換える(非常に大規模だが、しかし完全にではない。ここには後で戻るつもりだ)ために必要とされる「クリーンな」あるいは「低炭素の」技術に向けた市場、という途方もない経済的展望が賭けられているからだ。
それらが表しているこれらの政府や資本家グループの精神において、COP26は、その中で彼らがこの政策の上で合意に達しようと挑む大会議になるだろう。その合意とは、山賊の間の合意であり、その中ではその全員が可能な限りほとんど何もしないように試み、……他方で彼らが他の者よりも多くをやっているという印象を与えつつ、というような合意だ。
グリーン資本主義のごまかし
グリーン資本主義のごまかしは、破局を止めるために行われる必要のあることと、資本主義の枠組み内でそれを限定するために行うことが可能なこと、このふたつの間にある違いを「隠す」よう練り上げられているが、それにはいくつかのタイプがある。われわれは、以下のものが主なものと心にとどめなければならない。
▼「マイナス排出技術」(NET)、つまり、大気中から炭素を取り除き、それを地下に蓄える機械や装置、の展開(蓄えられたものがいつの日か大量に再出現することはない、との保証はまったくないまま)。これが、炭素捕獲・隔離(CCS)と呼ばれるものだ。
▼これらのNETとCCSの組み合わせ、すなわち、炭素捕獲・隔離と一体的なバイオエネルギー使用(BECCS)。つまり、石炭を燃やす代わりに、それらはCO2を吸収することで成長するバイオマスを燃やし、、CO2を捕獲し、それを地下に蓄える。時間をかけて大気中CO2濃度は下がるはずだ。問題は、バイオマス耕作に必要な途方もない面積だ。
▼カーボンフリーエネルギーだけではなく、「低カーボン」あるいは「低排出」エネルギーについても話すことで、議論を変化をさせること。そこには、IPCCが核専門家に屈して以来の数年があった。つまり突然、核エネルギーが今や「低カーボン」と公式に分類されている。同じ進展が、「青い」水素に関して、つまり天然ガスから得られる(したがってCO2を排出する)水素に関しても進行中だ。
▼光合成を通したCO2の自然吸収の増大(生物多様性への影響を考慮することのない……、またその吸収はほんの2、30年しか続かない……という事実を考量しない、さらに森林火災の際の排出も考慮しない樹木の大量植樹)。
▼「クリーンな」投資、あるいは南の諸国における森林強奪(現地住民、特に先住民を犠牲にした)を源とするいわゆる「排出権」購入……。一方、多数の研究は、これらの権利の過半は現実の排出削減には対応していない、と示してきた。▼宇宙空間に太陽光放射をはね返す軌道物体(ジオエンジニアリング)。それは、これらの「魔法使いの弟子」的解決策の中で最悪だ。それが、大国の地政学的戦略に奉仕する形で設置される可能性があるからだ。その上にそれは、大気中のCO2量を減らすわけではない(したがって海洋酸性化は続く)。それは当面排除されているように見えるが、しかし、上述の他のごまかしが惨害を止めないと分かれば、机上に戻るだろう。
やはり悪魔は細部に宿っていた
IEAのNZE計画は、実行行程に結びつけられたこの政策の体系的な具体化だ。この計画が化石燃料資本が確保している確かな付与済みの利益を乱すという事実が、それを、人類に対する受け入れ可能なオルタナティブにはしていない。われわれがこのシナリオに込められたさまざまな具体的な意味を確かめるならば、これは非常にはっきりしている。言われているように、確かに悪魔は細部に宿っている。
▼世界のエネルギーミックスにおける原発比率は、主に南の諸国で、2050年までに2倍以上(2020年の29EJから2050年の61EJへ)にならなければならない。つまり、原発はそれゆえ再生可能エネルギーに次ぐ第2のもっとも重要なエネルギー源になるだろう(エネルギーミックスの約10%)。IEAによれば、「諸国は現存原発の寿命延長や新規開発に急がなければならない」。
▼IEAは、2035年には再生可能エネルギーが主要エネルギー源になるだろう……と力を込めて強調している。しかしこの事実は、もうひとつのことを呪文で追い払う役に立っている。つまり、NZEによれば、2050年には、世界のエネルギーの5分の1少しは依然、特にセメント、鉄鋼、石油化学工業に供給するために、化石燃料起源だろう。
▼化石燃料の5分の1は明白に5分の4(現在の比率)よりはよい。これは世界の年間CO2排出を、36Gtから7・6Gtへ引き下げ、この7・6Gtは地下(繰り返そう、不浸透性の保証が不可能な貯留層)に注入するために捕獲されなければならない。
▼バイオマスの使用は、2050年までに6倍化されるだろう。それは、102EJのエネルギーを生産することになる(ちなみにこの数字は、IPCCが設定した100EJの、バイオマス使用に関する持続可能性限界よりも高い)。石炭燃焼により生産される電力の重要な部分は、炭素捕獲・隔離によるバイオマス燃焼(これがBECCS)により生産されるだろう。こうして、産業内のCCS使用のおかげで地下に注入される7・6Gtに、毎年CO2の1・3Gtが加えられるだろう。
▼バイオマス比率のこの増大は、エネルギー作物に当てられる面積の増大を求めるだろう(IEAは特に、柳やススキ類などの工業用作物の短期回転を主唱している)。それは、330メガヘクタール(Mha)(メガは100万、したがって上記の数字は、3兆3000万haを表す:訳者)から410Mhaまでの拡大を必要とすると思われる(約25%増)。これは、永久的耕作地(1500Mha)である農地の3分の1近くに匹敵する。したがって、生物多様性に対し、水資源に対し、さらに土地利用に対し圧力が深刻に高まるだろう。社会的には、もっとも弱い者(特に農民コミュニティと田舎の人々)が対価を払うことになるだろう(注6)。
▼巨大公園建設を通した風力とソーラーエネルギーが再生可能エネルギーの柱になるだろう(なぜならば、これらの無料天然資源の集中と資本による専有こそが、他国籍資本の超過利潤を条件付けるからだ!)。ソーラーエネルギーに対する目標は、2030年に現在の日量エネルギー全体の供給に匹敵するものの導入となり、その後の年月ではそれ以上にすらなると思われる。
それですべてではない。すなわち、水力発電部分は2050年までに倍化するだろう。IEAはそれを明記してはいない。しかしわれわれは、それは主に大規模ダム建設に依拠していると決めつけることができる。しかしながら、これらは再生可能資源になるわけではないのだ(それらは時間と共に流送土砂で埋められる)。かまうものか、核エネルギーが「低炭素」だと言われるのであれば、巨大ダムが「再生可能」となぜ言えないことがあろうか、というわけだ!
▼「低炭素」水素部分は2030年に16倍、2050年には57倍にならなければならない! 2050年の最終エネルギーの13%に達するためだ。IEA計画にしたがえば、2030年におけるこの水素の半分は「グリーン」、つまり水の電気分解から(あるいはCO2を排出しない他の源――たとえば藻類――から)生産されなければならない。「グリーン」水素の比率は2050年に62%に達しなければならないだろう。これらの目標が達成可能だと仮定すれば(ありそうではないが、後でそこに戻るつもりだ)、「低炭素」水素の38%はCO2排出の下で生産されるだろう、ということになる。
シナリオの現実化は不可能
「技術の奇跡」をおかげとする「ネット・ゼロ・エミッション」のごまかしを最大限まで展開してさえ、特に技術的観点から、IEAシナリオの現実化は明白であることからはほど遠い。これに関して当機関は、2つの局面を区別している。その言では、2030年まで、NEZに必要な技術は存在している。しかしその先では、鍵となる役割がCCSと「グリーン」水素により果たされなければならない中で、累積的排出削減の55%は各々、今日実演宣伝段階で存在しているにすぎない、あるいは試作の存在にすぎないこれらの技術が当てにされている。つまりわれわれは、それが機能する確実さをまったくもっていない。
加えてすでに見てきたように、特にソーラー発電、風力発電、建物の断熱改築の展開の点において達成されるべき目標は、極度に限定的だ。資本の論理から離れないとしてさえ、これらの目標に達する目的では、公的計画化、公的投資、公的部門の発展、公的研究、さらに本物の市民参加に力点を置くことが合理的だと思われる。
しかしそれはIEAにとっては問題外だ。当機構の場合「市民参加」は、「消費者」を導くために政府が奨励金や諸規制を利用する、ということを意味している。資本家に関する限り、彼らは過大に心配する必要はない。なぜならば、NZEシナリオが特に2つの新自由主義的原理を基礎に置いているからだ。つまり一方では「技術の中立性」(諸々の技術はコストにしたがって、市場法則に従って実行に移され、研究コストはコミュニティに、利潤は私的部門に)、そして他方で「整然とした移行」(可能な限り減価償却以前の資本破壊を回避する)(注7)という原理だ。
われわれの闘いを解き放とう
われわれは今全体として、パンデミック対応の中で加速したように、権威主義的新自由主義が内包する犯罪視/抑圧という論理の中にいる。この論理はIEAシナリオでは、資本主義の特徴であるやり方で、急場しのぎの技術的解決策の幸運な到来を当てにすることと組になっている。
しかし今回の場合、先の解決策が間に合って到来するということはありそうにない。それは、水素論争で極めてはっきりしている。水の電気分解からの生産は確かに「グリーン」な解決策であろうが、しかしコストは非常に高くなる。事実として「技術の中立性」は、資本家がそれゆえ「青い」水素に頼ることを求めるのだ(注11)。
つまりIEAの「ネット・ゼロ・エミッション」は、1・5℃の「一時的踏み越え」を回避するシナリオにはなっていない。むしろそれは以下の事実を隠すもくろみだ。
1.人間が新自由主義市場と資本主義的生産力主義の両者と決裂しなければ、この「踏み越え」は不可避だ。2.この踏み越えは、「一時的」にすぎないどころか、逆に、人間を想像できないような規模の惨害へと投げ込む大きな可能性を内包する。
まさに今こそ、われわれの闘いを解き放つときだ! たとえばベルギーでは、原発の疫病とガス燃焼発電所のコレラの選択を拒否する、「コミテ・セントラーレ」連合の呼び掛けに応じることによってだ。(2021年5月21日、「反資本主義左翼」より)
(注1)ガーディアン2021年5月17日、「グリーンランドの氷床が大転換点の瀬戸際、研究が語る」。
(注2)中央値。
(注3)「カーボン・ブリーフ」2021年5月18日、「IEA:1・5℃目標達成には5年以内に再生可能エネルギーが石炭を追い越さなければならない」。
(注4)フィナンシャル・タイムス、2021年5月18日。
(注5)時に喜劇的に。たとえば日本の首相は、2030年の排出削減を26%から46%に進めると、完全に即興的なやり方で約束した。これは彼の国では驚きで受け止められた。そこでの政治家はこれまで、この目標にふれたものは1人もいなかったのだ。
(注6)今3000Mha以上が家畜用牧草地に振り向けられている。常識は食肉産業への攻撃を命じると思われるが、しかしそれは強力なロビー団体だ。つまり、IEAの論理である資本家の論理では、多くの場合ブルジョア法下の資格証書をまったく保有していない遊牧牧畜民の土地を奪う方がもっと容易いだろう。
(注7)「座礁資本」という表現で言及されて。
(注8)この問題ではEU委員会の政策に意味がある。それは、化石資源から水素を生産――CO2を排出する――したがっている、そして水素燃焼は水しか生み出さないと繰り返す――それは正しいが、水素生産段階でのCO2発生を隠している――ことで世論を欺いている、化石ロビーを前に完全に怠慢だ。(「インターナショナルビューポイント」2021年8月号)
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