「女性運動の新たな高揚」④

かけはし 第2663号 2021年4月26日

2021年2月 第4インターナショナル国際委員会

4  戦略的に重要なことは何か?

 近年、国際的な女性運動の役割に重要な変化があった。現在では、国際的な女性運動は、もはや部門別の問題(人口の特定の部分に影響を与える要求や提案)のみを取り上げるものとして理解することはできず、ある種の全体性を表現しようとする試みがおこなわれている。フェミニストとして、またマルクス主義者として、われわれはこの変化を分析し、正しい重要性を与え、フェミニスト運動に対するわれわれの戦略的理解を再考する必要がある。

4・1 全体としての支配階級に対する抵抗を主導すること

 2007~2008年の危機からの資本主義の回復プロセスの直接的な結果は、次の二つである。第一に、より多くの人々に影響を与える不安定な生活条件の一般化と悪化、およびより深刻な状況における不安定さと排除の間にあるすき間を縮小させたこと、第二に、「中心の周縁化」という現象に関連して、「南」の国々にすでに存在していたのと同様の社会的再生産の危機が「北」の国々にも現れたことである。多くの場合、この危機に耐え、最後の手段としてのセーフティーネットを作ってきたのは女性である。それは、自らの疲弊および完全で自律的な存在として成長する機会の生涯にわたる制限との引き換えによってである。現在重要な闘いが起こっていて、新たな闘争のサイクルが明確になっているのは、こうした空間においてであり、社会的再生産やますます不安定となっている生活の持続可能性と結びついた空間においてである。
したがって、われわれはフェミニスト運動の高揚だけでなく、「抗議行動の女性化」という現象についても語っているのだ。大まかに言えば、このことはパンデミックが始まって以来、さらに当てはまるものとなっているが、女性が闘争や反撃を主導しているのは次の五つの分野である。つまり、公共サービス(そしてヨーロッパでは、福祉国家の解体に反対する)のための闘い、満足できる住宅のための闘い、食料主権および土地と水の権利のための闘い(これはここ数カ月で気候正義を求め、資源略奪主義に反対する新しい運動と交錯している)、労働条件の改善を求め、これまでは「労働市場のすき間」であったが、資本主義危機の現在の段階では拡大してますます常態となっているもの(不安定部門、非正規、ゼロ時間労働、地理的離散など)における、さらには再生産労働における権利を獲得するための闘い、新たな新自由主義への抵抗の闘いという五つの分野である。しかし、パンデミックは、グローバルサウスの農村部の女性が組織する能力に特別な障壁をもたらしている。
これがおきていることの影響はさまざまであるが、顕著な反資本主義的意味合いを持つ社会的絆が大きく衰退・溶解する時期において、多くの国において基本的な動員のベクトルとしての強固なフェミニスト運動が登場できたのである。その主な影響の一つは、恒久的な動員とネットワーク作りのダイナミズムが、フェミニズムを多くの女性のための活動家教育の学校に変えたことであり、女性たちはすぐに政治化され、他の分野にも介入できるようになり、女性として参考にできる存在や強い女性を生み出し、彼女たちは多様な形でのリーダーシップを発揮している。それは、厳密にはフェミニスト的ではないが、よりグローバルな具体的要求や闘争を表現していることを強調する価値がある。すなわち、組織的な人道的虐殺の場としての国境、工業的農業、とりわけ家畜による土地の破壊、資源略奪主義的な多国籍企業に反対し、極右や権威主義的政府に対して市民の自由を擁護し、構造調整政策に対応・抵抗したりする闘いである。さまざまな国における国際女性ストライキのプログラムはこのことをよく示している。

4・2 それは女性運動の役割についての戦略的理解を再考することにつながるか?

 われわれは、フェミニスト的視点は、現代の搾取の状況を分析する上で非常に有用な観点であるという、女性運動の中でますます広まっている直観に同意する。フェミニスト的視点はまた、組織と闘争の新しい形態を試すための特別な観点でもあると付け加えてもよい。確かなことは、ここまでに分析されたすべてのものが、重要な戦略的影響を持っているということである。このように、フェミニスト・ストライキや女性ストライキは、女性だけでなく労働者階級の大部分をいかに効果的に組織化するかを考える上での中心的な経験であるという考えをわれわれは主張する。そして他方では、中絶の権利を求め、フェミニサイドやマッチョな暴力に反対するフェミニストの動員を明確にする方法は、全分野にわたる階級敵の国家や司法・軍隊・宗教的権威などの制度との直接対決を切り開くことになる。
フェミニスト運動は、長期的な結果をもたらすであろうストライキ手段の民主化プロセスを可能にする。つまり、正当なストライキ呼びかけを労働組合官僚が独占することから決別することである。2018年、2019年、2020年の3月8日の動員は、女性労働者のかなりの層がストライキを組織することを可能にした。それは、多くの場合、人生で初めてのストライキだった。自信・エンパワーメント・蓄積された経験・何千人もの女性たちによって確立されたネットワークは、時間の経過とともにしか評価できない階級全体にとっての質的飛躍を意味する。民主化のもう一つの要素は、伝統的な労働組合運動では忘れ去られがちだが、20世紀初頭の労働運動では重要であったケアや消費といった分野でのストライキの組織化である。物価高や家賃の高騰に反対するストライキが好例である。この意味では、ストライキの民主化によって、われわれは先に述べた労働市場のすきまでこの手段を経験することができるようになるし、こうした行動もまた、何よりも活動なのだという考えが強まってきている。
ストライキ手段の使用、社会的再生産のための闘争の中心的役割、生産と再生産の過程を統合的な全体として理解しようとする熱意、そして大衆の政治化と急進化のベクトルとしての機能は、この新しいフェミニスト運動自体を階級意識を発展させるプロセス(自分たちで階級になること)にしているのである。世界的規模では、フェミニスト運動は、対立関係を再定義し、フェミニスト階級闘争になりつつある。現在の歴史的瞬間にこの役割を果たす女性の可能性は、いかなる本質的なアイデンティティにも頼ることなく、社会的再生産の過程における女性の役割から始まるものであり、特権的な層だけでなく、すべての女性の権利を要求する限りにおいて、そのことは女性の利益を人類の利益と一致させる。
これは、以前のフェミニズムが階級闘争とは無縁であったことを意味するものではなく、また、マルクス主義とフェミニズムが単一のものとなり、後者の自律性を無効化していることを意味するものでもない。むしろ、現在の資本主義の危機的状況においては、資本の再生産の歴史的に具体的な形態は、世界のより多くの地域における生活の社会的持続性と対立し、基本的なフェミニズムの要求とは相容れないのである。そのことによっていかなるフェミニスト的意識も、結局は資本主義的蓄積の中心的部分と対立することになるのである。
現在の戦略的課題の一つは、いかにしてフェミニズムがワークシェアといったスローガンを再発見できるようになっているのかを熟考することであるが、今回は複数あげると、再生産労働の社会化と連動した労働時間の大幅な短縮、どの仕事が社会的に必要なのか、人や地球にとって破壊的であるという理由でどの経済活動を停止すべきなのかなどを再考することでもある。資本主義の非合理性と、それが生み出す資源と人間のエネルギーの浪費に直面して、われわれは、エコ社会主義的・フェミニズム的な方向への活動の再組織化を提案しなければならない。これは、われわれが置かれている段階での基本的な課題である。蓄積プロセスと新自由主義的ガバナンスの危機は、搾取・支配・抑圧のメカニズムを再定義しようとする新しく敵意に満ちた、多くの場合暴力的なサイクルを開いた。その再定義に異議を唱えることが、その結果の鍵を握ることになるだろう。

5 われわれの方向性と運動の中でのわれわれの任務とは何か?

 われわれは、広範な大衆的包括的な運動の構築を支持し、可能な限り広範な統一を維持するために闘う。

5・1 もっとも虐げられている/搾取されている人々のニーズに対応する要求。右翼に対するもっとも広範な女性の抵抗運動と99%のためのフェミニズム(女性ストライキなど)と革命家との間での統一の構築

 女性の権利を求める基本的な要求はすべての女性の利益にかなっている。女性の権利がすべての女性にとって現実のものとなるのを保証することは、もっとも収奪され、周縁化された女性やLGBTIQにとっても現実のものとなるように、必要な資金や資源の要求に注意を払わなければならないということを意味する。このようにして、われわれは、たとえば、とりわけ黒人・先住民・障がい者の女性に対する強制不妊に反対して、中絶する権利に関する法的成果をかちとるために、そして暴力の被害者である女性にとっての正義を求めて闘う。その一方で、われわれはまた、女性やLGBTIQが医療・法律・カウンセリングサービスにアクセスできるように、そうしたサービスのための資金を要求して闘わなければならない。われわれはまた、法的地位・資金・民族や移民という背景・セクシュアリティやジェンダー・アイデンティティを理由に女性を差別することなく、そのようなサービスにアクセスするための非差別的な権利を求めて闘わなければならない。
われわれはこのようにして、もっとも周縁化されたグループからの要求のために運動全体が闘うことができるように闘うとともに、そして運動それ自体の中での差別的な行為に反対する。われわれは、具体的な単一かつ普遍的な運動の条件として、特に差別された女性たちの自己組織化を支持する。
同時にわれわれは、女性による組織化が現在進行している政治化と急進化のプロセスとなるように、現在のシステムが女性の要求を真に満たすことができないことを実際に示すために闘う。

5.2 大規模な自己組織化行動

 このような政治化・急進化のプロセスは、近隣地域であれ、農村部であれ、職場や学習の場であれ、草の根の自己組織化の経験によっても強化されている。したがって、われわれは、関係者によって組織された集団行動を重視する。
フェミニスト女性の小さなグループや集団によってキャンペーンが開始されるとき、われわれは、手を伸ばせる適切な手段(リーフレット、街頭シアター、フラッシュモブ、公開討論、請願、ソーシャルメディア)を用いて要求を大衆化させ、あらゆる女性に開かれ、女性すべてからの参加を促す行動(ピケ、デモなど)を提案することによって、そうしたキャンペーンを近隣地域や職場などにいる多くの女性に向かうようにするために闘う。
われわれは、女性が国家によって抑圧されることを支持しない。それとともに、ほとんどの女性を排除・疎外し、大衆運動に参加できなくさせる傾向を持つ暴力的な前衛主義者の行動を支持しないし、そうした行動を組織することもない。[公的]機関と接触することが必要な場合には、われわれは、代表者が民主的に選ばれ、その代表者が民主的な場で関係する女性に報告することによって説明責任を果たすように闘う。
フェミニスト/女性ストライキを提案することによって、そうした方向性を持つ大衆的行動は、生産労働と再生産労働における女性の生活についてあらゆる側面から関わることによって、すべての女性、労働現場・インフォーマル部門・家庭で働く女性に話しかけることができる。われわれは男性に対して、彼らのパートナー・友人・同僚がその日に計画されたすべての行動への参加を制限されないように、可視化されないケアの仕事を―少なくとも3月8日には―引き受けることによって、女性ストライキを支援するよう呼びかける。職場では、そうするためにはストライキに参加することを意味する。革命的マルクス主義者として、われわれはまた、有利な力関係を構築するために、闘いにおける職場での集団行動の重要性を説明するし、実際にそれを示すことを望んでいる。

5・3 国際的協同の重要性

 われわれの敵対者―資本主義システム、台頭している権威主義勢力・極右勢力・原理主義勢力、多国籍の気候破壊者―が国際的に組織されている世界では、女性運動もまた、国際的なつながりを構築し、強化しなければならない。
公式的な構造を持たないことは、急進的な運動の強みになりうるが、資金と資源を必要とする国際的協同を達成することを困難にしている。したがって、今日発展している急進的で自己組織化された運動の中で真の国際的な協同を構築することは、依然として達成すべき課題である。われわれは、一つの国際的潮流として、結びつきを構築し、国際的協同に向けたあらゆる機会を促進する最前線にいなければならない。

5・4 他の社会運動との交錯(接合)

 われわれは、あたかも女性運動が労働者運動、気候運動、平和運動、アルジェリアやスーダンで進行中の革命プロセス、レイシズムに反対する運動などと切り離された無関係なものであるかのように、運動のカタログを作るという罠に陥ってはならない。女性たちはこうした運動の最前線にいて、運動の中における女性の位置という問題を提起している。
同一の願望―少数の人々ではなく、多くの人々が利益を受けるような社会を作るために、社会を変えること―を共有するすべての人々の間でつながりを構築することは、他のすべての運動においてだけでなく、女性運動においても必要である。このことは、気候変動・レイシズムや移民政策・帝国主義戦争・緊縮財政政策・民主主義や労働者の権利の否定・LGBTIQの人々に対する差別や暴力が、とりわけ女性に対して非常に深刻な形で影響を与えていることを指摘した上で、女性運動やその一部がそうした行動に加わることを追求するということを意味する。
女性固有の要求がそうした運動の要求でもあると示すことは、他の運動の中で、とりわけ労働組合運動の中で、そして異なる方法ではあるがLGBTIQ運動の中で闘うことをも意味する。われわれは、平等主義的な混合闘争の条件として、全体的な社会的・労働組合的・政治的闘争・組織の中で、(さまざまな形態の)女性の自律的な組織化を支持する。

6 われわれの内部的任務

 女性解放という活動は、それ自体一つのセクターの活動であるというだけではなく、われわれの活動や組織全体の他のすべての分野に影響を与えるものでなければならない。特にLGBTIQ委員会や反レイシスト委員会、エコロジー/気候変動委員会との緊密な連携が必要である。
われわれは、女性の問題を真剣に取り上げるという点で、革命的マルクス主義者の先頭に立ってきたと正当に主張することができる―1979年の[第11回世界大会]決議に始まり、党内の女性メンバーに関するものを含む1991年[第13回世界大会]決議、そしてそれに続く貢献―としても、これは非常に多くの場合、少数の同志による非常に自発的な努力の結果である。
われわれの女性の活動は、地域(大陸)的協同や国際的協同を組み合わせた国際的な基盤および国際的な指導機関との強い結びつき―国際委員会の女性委員会や定期的な女性セミナーやその他の適切な形態を通じて―組織され続けなければならない。これは、各国レベルでの組織的な活動を反映したものでなければならない。
われわれの歴史は、女性の活動を組織することに特化した機関がなければ、運動の力が衰退するとともに女性の活動も衰退していく傾向があることを示してきた。社会主義の未来をめざす綱領における女性解放の重要性に対するわれわれのとりくみは、この問題に関するわれわれの隊列内での政治活動と教育を継続するというわれわれのとりくみと一致しなければならない。 

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