スーダンでの傑出した役割

闘争継続への国際的支援を

ナダ・ムスタファ・アリ

女性の重要な
役割に暗雲も
 オマル・アル・バシルの打倒に導いたスーダンの抗議行動から出てもっとも広まった映像の一つは、ひとりの若い女性の大学生、アラー・サラーのものだ。群集に向かって演説する彼女の映像は、この蜂起で女性が果たした役割とその存在をはっきり照らし出した。
 このビデオ映像は世界のメディアにはびこっている物語り――時としてアフリカとムスリムの女性を代弁者のいない犠牲者と描く――に異議を突きつけたが、アラー・サラーの勇気はしかし、スーダンの歴史を通じて女性が果たしてきた役割の延長なのだ。
 スーダンの古代クシュ王国とその首都メロエ(およそ紀元前一〇六九年から三五〇年)では、戦士の女王と女王の母が決定的な権力を保持していた。女性は、詩人のミヘラ・ビト・アッバウドのように、一九二〇年代のトルコ・エジプトによる植民地主義的侵攻に対決して、また一九五〇年代の英米・エジプト支配に対決して男たちを決起させた。
 女性はまたバシル体制への反対においても、その三〇年という支配を通じて主な主体だった。その反対は、選出された大統領に対して彼が一九八九年に軍事クーデターを率いた時に始まったのだ。この抵抗は、女性に対する体制の法と実践両者における差別を前提とした時、尋常なことではなかった。そこには、戦争におけるレイプの利用、および若者の運動における女性活動家に対する暴力行使が含まれていた。
 現地と海外双方で、スーダンの女性は、女性が人権侵犯に異議を突きつけ、指導部のスキルを高め、抗議し決起することを助ける諸組織を率いた。たとえば、バシル政権が二〇一三年と二〇一六年に緊縮諸方策を押しつけた時――基本的商品と医薬品の価格暴騰を引き起こして――、女性は市民的不服従に決起した。
 バシル打倒は女性の状況の変化に導くだろう、との期待が高まった。しかし今、暫定軍事評議会の下で諸々の懸念がある。この評議会は権力を自分のものにし、抗議に立ち上がった人々を暴力的に弾圧したのだ。この評議会は、女性のもっと幅広い参加を唱え、女性の人権やジェンダー平等に力を傾けることは困難、という雰囲気をつくり出した。情勢悪化の中で、これらの課題は優先度が低くなっている。

前進と後退
二つの教訓
スーダンは隣国の諸経験から学ばなければならない。エジプトを考えてみよう。二〇一一年のアラブの春に続いた文民支配への移行は、女性の人権における逆行、性暴力とセクシャルハラスメントの高まりを伴ったのだ。
私は、抗議行動が展開中だった中で、北アフリカの諸蜂起(アラブの春)について教え始めた。スーダンの場合と同様、二〇一〇年と二〇一一年の抗議行動では、女性が中心的役割を演じた。エジプトのフェミニストたちは当初、エジプト人たちが夜通し占拠したタハリール広場を、たとえば公共空間における女性に対するセクシャルハラスメントが消え去った一つの「ユートピア」と表現した。不幸なことだが、女性は後になってさまざまな形態の街頭における性暴力とハラスメントに直面した。政府もまた女性の諸組織に攻撃を加えた。
エジプトの女性運動指導者たちは、逮捕と拘留に直面し続けている。女性研究のまとめ役であるモザン・ハッサンは、政府が課した旅行禁止令のために、今年の「女性の地位に関する国連委員会」出席のためにニューヨークに向かうことができなかった。
しかしながら、この大陸における紛争終結諸国での部分的成功から学ぶことも可能だ。そこにはルワンダとリベリアが含まれる。ルアンダは女性議員数が世界最高である国の一つだ。この国はまた、女性の権利を促進する法もいくつか取り入れた。
リベリアでは、幅広く生気に満ちた女性の平和運動が、チャールズ・テイラーの抑圧的政府への抵抗において鍵となる役割を演じた。これが戦争を終わらせ、リベリアでのアフリカ諸国で初の女性大統領選出に向け道を清めた。前大統領のエレン・J・サーリーフは、彼女の任期中に女性の権利を守る重要な法と政策を取り入れた。

軍部の暴虐に
国際的抗議を
スーダンの人々が先頃の弾圧と虐殺の中で命を落とした人々を追悼している中で、人権侵害に反対する即座の行動――独立した調査の形態をとった――への差し迫った必要がある。
将来を見越した場合、私が自分の著作『ジェンダー、人種、そしてスーダンの国外追放政治:われわれすべてはこの国に含まれるのか』で強調しているように、スーダン人は、強力で自立した女性運動を、多様な優先性、現実、またスーダン人女性の考え方を反映するそれを建設する必要がある。
そしてこの国が移行の可能性に向き合っている中では、支配権を主張している暫定評議会は、最低四〇%の代表権をもつ市民主導政府に権力を渡さなければならない。決定的なことは、あらゆるレベルにおける意味のある参加権を女性が確保し、ジェンダー平等や女性の人権への注力が憲法改革、司法改革、政策改革に行き渡ることを、確実なものにすることだ。
▼筆者は、マサチューセッツ大学(ボストン)の「統治・持続可能性センター」研究員であり、女性のジェンダー・セクシャリティ研究の講師。(「インターナショナルビューポイント」二〇一九年七月号)

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