「女性運動の新たな高揚」①
かけはし 第2660号 2021年4月5日
決議 2021年2月 第4インターナショナル国際委員会
「生活の状況を変えるためには、女性の目を通してそれらを見ることを学ばなければならない」レオン・トロツキー『官僚主義に反対して:進歩と反進歩』(1923年8月6日)より
はじめに
われわれは、近年、多くの国における大衆的性格を帯びたフェミニスト運動の新たな高揚と、それと並行した広範な大衆的抗議運動・民衆反乱への女性の参加の増加およびその中での女性のリーダーシップの増大に注目してきた。この観点から、われわれは、19世紀末から20世紀初頭の闘いや60年代・70年代の闘いとは異なる闘争のパラダイムが生まれ、それが他の大規模な国際的動員のプロセスと同時に発展してきたことを考えれば、女性運動の新たな高まりに直面しているのであり、それはとりわけフェミニスト女性ストライキという新しい手段によって階級闘争の形態と要求に永続的な影響を及ぼすだろうと考えている。
1・状況
2020年の新型コロナウイルスのパンデミックは、情勢の本質的な特徴を浮き彫りにしながら、まったく新たな状況を生み出した。2018年の第17回世界大会議案は、今日存在する一般的な地政学的カオスと危機を強調していた。パンデミックは、世界的に急速に広がったグローバリゼーションとともに、すべての資本主義政府がパンデミックにともなう医療・社会・経済危機を管理できないことによって生み出されたカオスをはっきりと示している。
経済の緊急性と医療の緊急性の間で緊張した状態が生み出された。これは、この文明的危機の現段階の深刻さと根深さについて人々のかなりの部分を混乱・誤解させるために作り出されたものである。パンデミックが経済危機の原因であるという考えがかなり広まったのである。それは、実のところ危機にある資本主義がパンデミックの背後に隠れながら、自らを再編成しようとしたときのことだった。その結果、パンデミックの社会的影響に対して提案されている措置は、できるだけ早く「通常の」政策に移行すべき「特別措置」として提示されている。これは、資本主義が2007年8月以降も続いている(金融的・社会経済的・環境的・地政学的な)複合的危機を克服できていない中で、パンデミックが発生したという事実を隠すためである。新型コロナウイルスが引き起こした大規模なロックダウンや固有の隔離措置の背後には、この資本主義の危機があるのだ。
こうした危機は、現在進行中であるとともに相互に関連したものだが、とりわけ女性に影響を与えており、パンデミックの影響によってさらに強められている。それとともに、20世紀において女性の権利拡大をもたらした「もっとも長い革命」としばしば呼ばれるものに対する広範な反動(バックラッシュ)を引き起こしている。
一方では(若い)女性がやりがいのある生活を願望しているのに、他方では現実の状況が悪化しているという矛盾が、女性の動員の新たな高揚の根底にある。さらに、そうした矛盾が、しばしば登場するプラットフォームが包括的な性質を有していること、およびシステム全体の拒絶を象徴する行動方法として、地域・コミュニティにおけるフェミニスト女性ストライキや諸経験が発展していることを説明している。
1・1 新型コロナウイルスのパンデミック
新型コロナウイルスのパンデミックは、根底にあるエコロジー危機と社会的危機が交錯した産物である。すなわち、人間社会と自然との関係の歪み(森林破壊、生物多様性の崩壊、野生動物の取引、工業的農業、動物や食品生産における遺伝子操作)というエコロジー危機と、利益追求を原動力とする資本家政府が効果的な医療サービスやその他の公共サービスを構築・維持できないという社会的危機が交錯しているのである。また、パンデミックによって、医療や資源へのアクセスにおける世界的な不平等が露骨に示された。たとえば、利用可能なワクチンの90%はグローバル・ノースの国々に割り当てられているのだ。
各国政府は抑圧的なロックダウンや外出禁止令に頼ってきた。ロックダウンや外出禁止令はしばしば支離滅裂で正当性のない方法で実施されてきた。これは、パンデミックが続く中、医療サービスがすでに削減されてしまっていたため、パンデミックに対応できなくなったからである。[パンデミックの]第一波の後でさえ、不可避的な第二波(あるいは第三波)に備えて、新たな資金の投入はおこなわれなかった。このことによって、製造されたウイルスに関する陰謀論やその中で始まった反ワクチンキャンペーンがいくつかの国で医療への脅威となる機会もまた作られてきた。
女性は、パンデミックの社会的コストを負担することを強いられている。パンデミックは、誰が「エッセンシャル・ワーカー」なのかをはっきりと明らかにした。つまり、医療・ケア労働者、清掃労働者、食料の配送や生産に携わる労働者や農民、教育における教員や事務スタッフ、輸送労働者など、人間の生命の維持に必要な人々である。また、ロックダウンや外出禁止令の影響で壊滅的な打撃を受けた部門、すなわち接客業、商業、インフォーマル部門では、女性が多くを占めている。これらの部門はいずれも非白人に大きく依存しており、先住民労働者の割合が高いことも多い。こうした状況はまた、エッセンシャル部門やもっとも不安定な部門に過度に集中しているLGBTIQコミュニティに他の人々以上の大きな影響を与えている。
学校や保育所が閉鎖されると、女性の家事負担が増加するだけでなく、子どもたちが必要なときにオンライン教育を受けられること、それが十分におこなわれるために必要な設備や条件が整っていることを確認しようとするストレスや不安も増大する。提供される教材の不備が中退率の増加につながっている。病気や高齢の家族の介護者としての女性の責任が増大している。
新型コロナウイルス感染症の患者を優先している間に他の医療が制限されることは、多くの人々、たとえばガン患者のような慢性疾患を持つ人々、HIVと共存している人々や定期的な投薬を必要とするトランスジェンダーの人々に打撃を与える。妊娠している女性も出産前・出産時・出産後に定期的な医療ケアを必要としている。それは、望まない計画外の妊娠を中絶するために、すぐに医療の助けを必要とする女性に特に影響をもたらしている。
極度の貧困状態にある何億人もの女性にとって、生きていくために借金に頼るという絶望的な状況がさらに悪化している。二億五千万人にのぼるマイクロクレジットの顧客のうち、80%以上が非常に貧しい女性であり、彼女たちは高額な金利やしばしば法外な金利に悩まされている。
特に家事労働者や繊維部門で働く何千人もの女性を含む、国内外の多くの移民が流行前に働いていた場所から追放された。そもそも移住してきたのは国内で仕事が見つからなかったからであり、パンデミックによる経済縮小によってさらにその傾向が強まったため、彼女たちは多くの場合、国内のコミュニティにおける生活手段を失うことになったのである。
ロックダウンはまた、暴力的なパートナーや家族と一緒に閉じ込められている女性にさらなる脅威をもたらし、状況が悪化したことでドメスティック・バイオレンスの発生が明らかに大幅に増加した。いくつかの国では、第1波の中で、女性がそのような事件を報告して他の宿泊施設を見つけることができるようにするための措置が取られたが、こうした措置は不十分で短命だった。多くのLGBTIQの人々、とりわけ若年層の人々は、しばしば暴力やより広範な抑圧の結果として、実家に戻ることを余儀なくされた。
政府は基本的には抑圧的・権威主義的手段でパンデミックに対処しようとしてきたが、地方レベルでは、たいていの場合、女性のイニシアチブによって支援ネットワークが確立されてきた。支援ネットワークは、高齢者や弱者のための買い物やフェイスマスク作りなどの仕事をしたり、ロックダウンや在宅勤務による孤立感を解消したり、ウイルスに殺されるのではないかと心配する人々に精神的なサポートを提供したりしている。農村の女性生産者は、地域と都市の食料生産を支えてきた。
医療危機は、女性の社会的再生産活動の中心性を浮き彫りにし、ケア専門職の再評価を求める要求を反復する。また、医療危機は、医療と資源へのアクセスにおける国際的連帯・正義の必要性を前面に押し出す。
1・2 新自由主義
資本主義グローバリゼーション・金融化・生産ラインの国際化が進展することによって、政府が支配階級の集団的利益のために経済政策を実施する能力が低下した。帝国主義国は依然として資本蓄積のための有利な条件を確保しようとしているが、グローバル資本は以前よりも独立して活動している。1997年の金融危機と2007年から翌年にかけての金融危機は、資本主義グローバリゼーションに内在する矛盾を明らかにし、政治的・社会的・構造的に大きな影響をもたらした。その中には、債務爆発・組織犯罪の活性化・人身売買の復活が含まれる。大手民間銀行は、数億人の人々に、とりわけ銀行口座を持たない女性にマイクロクレジットを提供することで、新たな市場と顧客の獲得を目指してきた。
失業・不完全雇用や不安定雇用・基本的なサービス(住宅、教育、福祉など)の大幅な削減は、農業の危機とともに、何百万人もの人々の生存能力に大きな影響を与えている。
グローバル化した規制されない資本の成長・政府の腐敗と無能・大部分の人々の貧困化の結果として、組織犯罪は世界の舞台で主要な経済的・社会的なプレーヤーとして台頭してきた。麻薬の密輸や販売だけにとどまらず、性的搾取・労働力搾取を目的とした人身売買や違法な武器取引なども、二番目に大きな金儲けとして拡大しており、何千人もの若者を仲間に入れ、前代未聞のレベルの暴力を地域社会にもたらしている。
これらはすべて、賃金労働・無償労働いずれの女性にも影響を与えている。不安定な雇用・インフォーマル部門・失業率が急上昇している地域で働く女性が増えており、人身売買される人々の大半は女性である。サービスの削減は、家計を維持するために必要な家事労働の量を増大させている。そのうち不釣り合いなほど多くが女性の負担になっている。
1・3 極右、宗教原理主義、権威主義、反「ジェンダー・イデオロギー」の台頭
極右・権威主義・宗教原理主義潮流は、関連している場合が多いとしても、いつもそっくり同じというわけではない。そうした潮流の台頭は女性に対して明確で悲惨な結果をもたらす。
急進右派の復活は、女性とLGBTIQの人々の権利、つまり中絶、一般的な再生産の権利、家族法を侵食することを目的とする反動的な攻撃を強めている。そして、とりわけLGBTIQの人々に対する魔女狩りを引き起こしている。
そうした運動の中には、女性やLGBTIQの人々を明確に攻撃し、しばしば同性愛やLGBTIQの権利を帝国主義者によって輸出されたものとして描き出しているものがある。他には、女性やLGBTIQの人々を守るという口実を用いて、移民やムスリムを攻撃の的にしている運動もある。彼らは、ベールやハンカチをかぶるのを禁止することで女性を守ると主張し、レイプを非難したり、イスラム教は同性愛に反対していると主張したりしている。その結果、極右は、その基盤となる性差別や異性愛に訴えようとする者たちと、イスラム嫌悪や反移民の偏見のために女性やLGBTIQの権利を手段として用いる者たちとの間で緊張関係を経験することになる。しかし、実際には、彼らはお互いに補強し合っている。
こうした行動は、女性の身体と生命に抑圧的な力関係を押し付けている。宗教的な法規範は、女性の生命を危険にさらす家族単位と性的役割分業に大きく依存している。原理主義者は、女性が職場で働くこと、とりわけ工場で働くことを禁止させることを目標としている。
他の極右潮流は、すべての「大」宗教における宗教原理主義(またはシオニスト極右のような「国家的」宗教原理主義)として登場する。彼らはアメリカやブラジルのような重要な政府に大きな影響を与え、いくつかの東欧諸国では中心的な役割を果たしている。福音派であっても、ローマ・カトリックであっても、キリスト教過激主義潮流は、女性に関する深く反動的な政策によってラテンアメリカとアフリカに甚大な被害をもたらしている。それとともに、キリスト教過激主義潮流は、伝統的な男女の役割を下支えし、LGBTの人々の権利、とりわけトランスジェンダーの人々の権利を攻撃しようとする反ジェンダー・イデオロギーによって、LGBTIQの人々にも甚大な被害を与えている。イスラム世界は、イスラム国やタリバンのような「国境を越えた」運動をともなって、宗教原理主義における特定の国際的な側面を持っている。神政ファシスト運動は、自分たちが支配している地域で女性や未成年者に対する組織的な性暴力を用いており、そのほとんどがレイプや性奴隷の形でおこなわれている。彼らはこれを利用してメンバーを募り、他のグループと闘うのだ。
家父長制家族の強化を目指す新自由主義的保守主義は、女性に対する暴力を劇的に増加させた。加害者への免罪符に加えて、このような暴力を経験した人々への物質的支援の削減は、男性の暴力を助長する社会環境を作り出している。
1・4 気候災害
気候災害は未来に起こると言われていたが、すでに地球の多くの地域に存在している。気候変動・食料危機・水危機・環境レイシズム・領土とその資源をめぐる多国籍企業の進出・資源略奪主義(利益のために自然資源を搾取すること)・「生活の金融化」は、グローバル・サウスの現実の重要な部分を占めている。
先住民族・農民・若者は環境保護の闘いの最前線におり、女性はこれら三つのセクターで主導的な役割を果たしている。この状況は、非本質主義的なエコフェミニストが明らかにしたように、生物学的性の産物ではなく、彼女たちに特有の抑圧の産物である。家父長制は、「ケアすること」に直結する社会的機能を女性に押し付け、環境問題の最前線に女性を置いている。
「南」の国々では、女性が基本的な食料のほとんどを生産している。したがって、彼女たちは気候変動・資源略奪主義・アグリビジネスによる荒廃に直接向き合っている。同様に、女性は子育てや家庭の維持管理の大部分を担っているため、環境破壊や環境有毒化によるコミュニティの医療・教育への影響に直接向き合っている。気候カオスの犠牲者が自己組織化すること、および彼女たちを防衛することは気候闘争の一部であり、コミュニティにいる女性たちはこうした動員の中心にいる。
1・5 大規模な移住
大規模な人口移動が存在している。2億5千万人の国境を超えた移民、7億5千万人の国内移民は、多くの場合、地域格差の大きい経済構造の変化によるものである。また、戦争や組織的犯罪による暴力、そして現在では気候変動による恒久的な強制的移住もある。国境を超えた移民の3分の2は、同等の開発レベルの国同士の間での移動である。
女性は、国際的にも国内的にも、自分自身や家族のためのより良い生活条件を求めて移住したり、政治的迫害のために移住したり、戦争や地域における暴力・家庭内暴力の結果として移住したりする。危機的状況下では、移民は抑圧を強め、女性の搾取に影響を与える。女性は極端な貧困と権利の喪失に苦しみ、ジェンダー差別・人種差別・搾取に直面している。女性はまた、監禁・売春・人身売買など、奴隷制に近い「新しい」形態の労働にも苦しんでいる。
工業国では、正規部門と非正規部門の両方で移民労働者を必要としている。それにもかかわらず、移民はしばしば、移民を敵として提示する外国人嫌悪キャンペーンの標的となっている。移民を制限する抑圧的な法律は家族を分断し、男性の家族が移住する際に女性に家族の世話をする唯一の責任を負わせるか、逆に家族のために収入を得るために移民労働者になることを強制している。そして、移住の連鎖は、移住してきた女性の家族に、出身国に残された家族の世話をするための負担を増大させる。
1・6 再生産の危機
資本主義は、それなしでは機能しない労働力の再生産を常に確保しなければならない。労働力の再生産は、資本の価値実現サイクルの不可欠な部分である。
家父長的な資本主義的家族形態は、「稼ぎ手賃金」の概念によって強化され、家族内の女性に再生産という仕事の責任を負わせ、資本主義が最小限のコストでこの再生産を確保できるようにした。
これが不均等なプロセスだった理由は、資本主義の成長自体が不均等であったため、今日では世界のいくつかの地域に資本主義以前の残存物が残ったままになっていること、および経済的・政治的な理由から、異なるパターンが異なる状況のもとで発展したことにある。
多くの女性を労働力の一部として必要としたとき―とりわけ第2次世界大戦中や先進資本主義諸国の戦後好況期―には、資本主義は、力関係と地域経済の性格の両方に応じたさまざまな方法で、教育・医療・住宅・育児などのサービスを国家を通じて提供せざるをえなかった。その結果として生まれた賃金労働は、それが家族における女性の役割に対応するという理由で女性のものと見なされ、過去も現在も低賃金であり、圧倒的に女性によって担われており、少数民族や移民の女性によって担われていることも多い。
しかし、深刻な経済危機に陥ったため、資本主義は緊縮財政を通じて、これらのサービスや権利そのものを攻撃せざるをえなくなった。このようにして解き放たれた矛盾は、多くの女性の負担を増大させ、以前は国がカバーしていた仕事をしなければならなくなった。また、多くの女性を労働市場から追い出したり、さらに不安定な仕事に就かせたりしている。さらに、他の女性たちが労働市場で場所を確保できるように、この仕事をするもっと低賃金でもっと不安定な―不法移民を含む―女性の需要を増加させている。(つづく)
The KAKEHASHI
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