第4インターナショナル女性セミナー2023 ②
トランスジェンダーの解放と社会主義フェミニズム
英/ソーシャリスト・レジスタンス
ミシェル・オブライエンは、2021年に出版された『トランスジェンダー・マルキシズム』の中の「トランス・ワーク:雇用の軌跡、労働規律、 ジェンダーの自由」という章で、ほとんどの労働環境における厳格なジェンダー化による労働市場におけるトランスジェンダーの人々がアクセス可能な場所における制限に関する影響について詳しく語っている。
「トランス・ワーク」の章においては、「雇用の軌跡、労働規律、ジェンダーの自由」が詳細に語られている。彼女はこう指摘する。「アメリカ人のトランスジェンダーに関する最も体系的な報告は、ナショナル・センター・フォー・トランスジェンダー・エクオリティによる2011年の調査によるものであり、6500人の回答者を含む。その雇用に関するデータは悲惨なものだった。アフリカ系アメリカ人のトランスジェンダー回答者の28%、白人のトランスジェンダー回答者の12%が失業中であった。それと比較して一般の人々の数字は7%であった。トランスジェンダー回答者全体の15%が年収1万ドル以下の極度の貧困状態にあり、それは一般人口と比較して4倍であった。」
英国の最近の状況
イギリスでの議論、特に左派における議論は、他のどこよりも長く先鋭化していた。鋭い対立を生んだのは、トランスジェンダーの団体や個人からジェンダー承認法(GRA)の改正を求める動きであったと推定される。2004年に同法が可決されたとき、それはそれまで存在したものから一歩前進したものであった。しかしそれは、他国で議論され、場合によっては可決されたものよりも急進的なものではなかった。
GRAのもとでは、ジェンダー承認証明書(GRC)を取得する前に、何年間も「もう一方の」性別としてフルタイムで生活していたことを医師に証明しなければならない。この法律は、医学的・心理学的モデルによって決定される単一のトランスジェンダーの道が存在するという理解不足に基づいており、1967年の同性愛者のための性犯罪法をめぐる議論と非常によく似ている。
実際、すべてのトランスジェンダーが性別適合手術を望んでいるわけではない。1990年代には「ジェンダークィア」、そして現在では「ノンバイナリー」という概念が生まれた。公式統計によると、男性、女性、その他の選択肢から選ばれたときに、ノンバイナリーであると定義する英国人口の割合は0・4%で、これは250人に1人の割合である(Titman, 2014)。トランスジェンダーのおよそ4分の1から3分の1は、性別の二元論から外れた何らかの形での自認を行なっている。
この時期、トランスジェンダーの組織や包括的なLGBTIQの組織が成長し、より多くのトランスジェンダーの人々が、GRAの道は屈辱的で、性別の二元論によって決められていると主張していた。
2000年代になると、例えばホルモン剤を利用できるかどうかは、伝統的な、つまり反動的な男女の役割観に従うことを医師に納得してもらえるかどうかにかかっているという屈辱的な方法について、(本当はまったく従っていなくても、従っているふりをしなければならなかったとしても)声を大にして語るトランスジェンダーの人たちがはるかに増えてきた。科学の世界では、ジェンダー・バイナリーは普遍的なものではないだけでなく、稀なものであることを示す、先に引用したいくつかの研究についての知識も増えていた。また、トランスジェンダーのアイデンティティが、特にアフリカやアジアのグローバル・サウスにおける多くの異なる文化にどの程度組み込まれているかについての研究も増えていた。
もちろん、性別の二元論や男女の役割分担についてステレオタイプな考えを持っているトランスジェンダーの人たちもいる(シスの人たちもいるように)。しかし、そうでない人たちの声も大きくなり、セルフ・アイデンティティをサポートするためにGRAを改正すべきだ、つまり、人々が自分のセクシュアリティを定義するのと同じように、トランスジェンダーの人たちも自分の性自認を定義する権利を持つべきだと主張するようになった。
ジュールス・グリーソンがここで指摘しているように、GRAの改革案は、インターセックスの人々の立場がさらにクローズアップされていない現状に対して、いまだに事実上何も提供していない。しかし、多くのトランスジェンダーの生活を改善する法改正に関する議論は、意識的であろうとなかろうと、これを阻止しようとする勢力によって利用された。
彼らの反動的な見解を暴露する能力は、当時のイギリスにおける社会主義フェミニストの思考と組織化の弱さによって強化された。例えば、アイルランドのフェミニストたちが、このような後れた思想を輸出しようとした試みに対して強力な反応を示したことは、示唆に富んでいる。また、ガーディアン紙やラジオ4の『ウーマンズ・アワー』など、主要なメディアでフェミニストたちに有利な偏向報道が行われたことも、その効果を高めている。そしてもちろん、『モーニングスター』はトランスジェンダーへの憎悪を煽るのに特に悪質な役割を果たしてきた。
ガスライティング
これが、2017年9月にWomans Place UKが設立された背景である。関係者自身の言葉を借りれば、「GRAを変更する提案に関する協議において、女性の声を確実に届けるため、つまりトランス女性が女性であることを最初から否定するため」であった。それらの人々は5つの要求を中心に組織/行動しているが、その要求もまた、排除の原則を前提としている。それらの人々の焦点は女性たちとの議論であるが、左派の男性の間にも少なくない忠実な支持者がいる。
LGB同盟はその後に生まれたが、セクシュアリティのみに基づく運動を主張することに重点を置き、実際のクィア運動の歴史を否定しているが、同様のアプローチをとっている。
両者とも、公の場での発言ではトランス女性に焦点をあてている。トランス男性は一般的に無視されているが、「裏切り者」として特に卑劣な罵倒にさらされることもある。彼らはトランスジェンダーの権利を支持すると主張し、自分たちの要求や著作、スピーチのどれもがトランス嫌悪的だと言われることに大きな異論を唱えるが、実際にはトランスジェンダーの人々が出す要求のどれも支持していない。
彼らのレトリックの多くは、ほとんどスカトロジー的な方法で身体の部位に焦点を当てており、一般的に身体に対して不快感を抱く文化においては特にインパクトがある。
彼らのレトリックの一部は、性的暴力を含む暴力を経験した女性を道具化している。私たち全員がシスであると思い込んでいるだけでなく、私たち全員が自分たちに同意していると思い込んでいる。
特に、トイレに焦点を当てた姿勢は並外れている。多くの人々のプライバシーや健康は、そこで出会うかもしれない誰よりも、利用しやすく無料の公衆トイレがないことによって、はるかに大きな影響を受けている。女性(トランス女性を含む)を身体的および/または性的に攻撃しようとする者が、そのためにトイレに入ることを止めるものは何もない。若いトランスジェンダーの権利に対する攻撃は、前時代のLGBに対する攻撃を彷彿とさせる。
「ノー・プラットフォーム」という言葉が誤用され、騒ぎを大きくしている。それはメディアに大量に露出し、自分たちは沈黙させられたと主張するこれらのグループの好みの表現となっている! 労働運動の大量動員によるイベントの開催を物理的に阻止するため、実際の戦術がいつ使われるべきかについては、正当な、いや必要な議論があることを肝に銘じておく必要がある。私の見解では、このような戦術はファシストのために留保されるべきであり、効果的なピケッティングとの重要な類似性がある。これは重要な議論であり、少なくとも全国学生連合は、どのような場合に「ノー・プラットフォーム」の立場をとるかについて、より広範な立場をとっているからである。しかしそれは、労働組合や労働党、選挙運動の集会などに講演者として誰を招くかを政治的に選ぶこととは異なる。
一般的に、これらの組織とその主要な擁護者は、悪い/存在しない科学と、現代および歴史的な人類文化の多様性の否定に基づく、悪意のある議論を行っている。
さらに最近では、プレイド・シムルやSNP、アルバの結成前後、そしてスコットランド緑の党内でも、この話題はますます二極化している。
私たちの立場
第四インターナショナルの実践はトランス・インクルーシブである。(最も明らかなのは、私たちのユースキャンプを通じて長期にわたって実践がされてきた)。つまりトランス女性は私たちの女性スペースで歓迎され、女性運動に関する私たちの最新の決議は明らかにトランス・インクルーシブである。
これは、自律的な女性運動が階級闘争において必要な戦略的主体であるという私たちの立場を後退させるという意味ではまったくない。それは例えば、出産前ケアについての議論から女性についての言及を排除することに賛成するのではなく、包括的であることに賛成するということである。
ソーシャリスト・レジスタンスの多くの党員が携わったアンティキャピタリスト・レジスタンスの創設会議では、「トランスジェンダーの人々は現在、自分たちの存在を認め、自分たちのジェンダーを無条件に自己定義する権利に対するバックラッシュの最前線を経験している」とし、トランス嫌悪をACRが組織的に反対し、それを規約に明記することが圧倒的多数で合意された。この条項は、当時の「女性グループ」によって強く支持された。そしてその後「女性およびノンバイナリーグループ」への改名が満場一致で合意された。
また、ACRの中にLGBTグループを設立する動きがあり、そこには少なくとも一人のノンバイナリーであることを自認する同志が含まれる予定である。私たちはこれらの動きを支持する。ACRにおける私たちの活動はトランス・インクルーシブな立場に沿ったものであり、私たちは組織を構築する中でそのことを主張していく。 (了)
The KAKEHASHI
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