IIRE(第4インターナショナル系の国際研究教育機関:在アムステルダム)女性セミナー2023

組織内における性差別的暴力、それもノーだ!
ペネロプ・ドゥガン/エルザ・コロンジェ

 今年、IIREにて開催された女性セミナー2023には、以下のプログラムが含まれた。
 「女性に対する暴力と闘うために、どのような選択肢があるの─私たちが活動する運動や組織における制度的な脱父長制化、紛争の自己解決、暴力に対する予防的/懲罰的な法律について」
 上記のプログラムは、「トランスインクルーシブ:なぜ、そしてどのように」とともに前回の女性セミナー2021に引き続き提起が行われた。
 ローザ・ルクセンブルクが指摘したように、資本主義社会にはプロレタリアートのための学校となりえない場面がある。急進的な反資本主義の社会主義組織のメンバーでさえ、彼らが住んでいる社会の影響を免れない。私たちが生きているのは性差別、人種差別、同性愛嫌悪、イスラム恐怖症、障害者に対する差別など、あらゆる差別が蔓延している社会である。しかし私たちは、あらゆる形態の抑圧と差別に対して同一の政治的立場をとる組織に参加している。私たちは自由意志によって党に参加しており、抑圧と差別が行われたとき、加害者はあらかじめ設定された基本的なプログラムや規則を受け入れているとみなされる。それは事実上、効果的な民主主義のための唯一の条件であり、党は最初からすべての問題を議論し始めることはできない。性差別主義者(またはあらゆる種類の他の抑圧的または差別的な行動を行った者)は制裁を受けなければならず、必要に応じて加害者は党から除外されなければならない(1997年IIRE ワーキングペーパーより引用)。
 とりわけ政治団体内での性的暴力やジェンダーに基づく暴力(物理的・言葉によるもの)の問題は深刻である。閉鎖的な政治団体の環境内における卑劣な物理的・言葉による暴力、また政治団体内外での加害行為に対する対応を考える上でNPAの機関紙L’Anticapitaliste 594号(2021・9・12)に掲載された記事を参考資料として掲載する。
 記事は、NPAも賛同の署名を行った2021年11月23日にフランス/CGTが発表した声明「共に、組織における性差別と性的暴力に反対しよう!」の発表に伴って執筆された。声明は女性に対する暴力に反対する国際デーを記念して出された。当該記事の執筆者の一人のペネロプ・ドゥガン同志は第4インターナショナル執行ビューローのメンバーであり、また執行ビューロー発行の機関紙『International Viewpoint』の編集者である。同志はまた、アムステルダムのIIREの運営に長年携わってきており、特に女性に関するプログラムを担当してきた。

 女性に対する暴力に反対する国際デーを記念して、2021年11月23日に「共に、組織における性差別と性的暴力に反対しよう!」題する声明が出された。NPAは当該声明の署名団体である。
 CGTの主導で、フェミニストの労働組合・政治指導者たちが、暴力事件や性差別・セクシュアル・ハラスメントへの組織の対処方法、手続き、被害者支援、制裁措置などについて話し合った。

労働組合と政治組織のためのフォーラム


 私たちは同じような問題に直面してきた。時には暴力の加害者に直面することもある。この交流は生産的であり、重要なものであった。このようにトピックを出し合い、関係を築くことは、ある組織から別の組織へ移動したり、2つの組織(組合と政党)に存在したり、あるいはデモや労働運動の他の共通分野に存在したりする加害者に対処するのに役立つだろう。このフォーラムはまた、人的・物的連帯(法的連帯を含む)を通じて内外の被害者をケアするとともに、被害の予防を優先することの重要性を強調している。そこには、フェミニストの反暴力団体との連携や、彼らへの資金援助も含まれる。
 当該CGTの声明に署名した団体はそれぞれ性質が異なり、戦略やプログラムも異なるが、特定された連帯の要素は、活動家の環境における性差別や性的暴力との闘いという観点から興味深いものである。
 同時に、2021年11月15日には、多くの女性選出議員や学者が署名した意見書が発表され、「性的暴力やジェンダーに基づく暴力の加害者を、政治生活から排除する」ことを求めている。その中で、「エリゼ宮の3人の候補者、または候補者となりうる人物が、すでに性的暴行の数々の証言で名前を挙げられている」と指摘している。この2つの記事と現在の動員は、性的暴力やジェンダーに基づく暴力の問題がいかに重要なものになっているかを示している。

私たちの組織においても、性差別や性的暴力と闘うことは必須の課題である

 より良い世界のために闘い、生活環境を改善しようとする組織の中で、そのような行動に対処しなければならないというのは、逆説的に思える。しかし残念ながら、私たち全員が暮らす社会は性差別的、人種差別的、あるいはLGBT恐怖症的である。そして組織を構成する活動家もその影響を免れることはできない。
 NPAはその創立以来、女性解放のための闘いを、資本主義に対抗し、社会を革命化するための闘いの不可欠な部分として認識してきた。またこれらの問題について教育的な努力をする必要性を、その仲間内で認識してきた。
 創設時のLCRと同様、NPAは、言葉によるものであれ肉体的なものであれ、あらゆる形態の暴力の告発を調査するために招集できる委員会を設置した。この選挙で選ばれた委員会は党指導部から独立しており、その勧告は加害者の関係する基本委員会に宛てられる。罰則はしっ責のみならず、活動家の権利の全部または一部の停止、また除名まで、多岐にわたる。私たちの内規においては、苦情が受理され次第、調査が終了するまで加害者を停職処分に処すると定めている。これは調査の結果を予断するものではないが、私たちは、苦情を申し立てた人の権利が何よりもまず優先的に守られるべきであると考えている。
 また私たちは、被害者に対して加害者と同じ空間で活動することを求めない。私たちの目的は、すべての同志、とりわけ具体的な抑圧に苦しむ同志が、組織の中で安らぎを感じ、そこで連帯を見出すことである。そのためNPAは当初から、抑圧に苦しむ同志の発言の強化のため、例えば、男女別の会合を設けてきた。
 社会運動に開かれた組織は、#MeTooのような運動の影響を受けるであろう。私たちは、よりよく理解し行動するために、そのような運動の貢献を私たちの思考に反映させ、それをマルクス主義的な思考の枠組みに統合し続ける。具体的な抑圧、エコロジー、社会的権利などの根本的な問題で闘うこれらの運動を構築し、また私たちの思考を前進させるために利用可能な他の勢力との協力関係を継続していく。

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