女性の声で政治を変える

第2回フェミブリッジ・ウィーク

自民でも維新でもない私たちの選択肢

 【東京】11月4日午後2時から、JR新宿駅東南口で「女性の声で政治を変える第2回フェミブリッジ・ウィーク」が行われた。フェミブリッジとは、造語で「女性の架け橋」。女性たちが「私が変える、政治を変える」と立ち上がり、行動するアクション。女性たちが高らかに声を上げて山を動かし、日本の政治の質を変えることをめざす。今回のフェミブリッジ・ウィークは「さようなら、マッチョ政治」「ミサイルよりも、笑顔で暮らせる日常を」「自民でも維新でもない私たちの選択肢」の3つのスローガンを柱にしている。

女性たちがマッチョ政治を変える

 最初に、5・3憲法集会で知り合ったという歌手の小笠原もずくさんが歌で「男性優位の社会になってはいけない」と発信した。
 主催者を代表して菱山南帆子さんがあいさつした。
 菱山さんはフェミブリッジについて説明した後に、「政治がすごく遠い所にあるように感じる。私が選挙に行かなくても世の中変わらないでしょう。政治に関心持たなくてもどんどん進み関係ないと思っている。生活は本当に苦しくなってきている。そうだからこそ、女の架け橋で、この世の中をもっと、楽しく明るくしていこう。そういう気持ちをこめて作った。市民と野党の共闘で、選挙を勝ち抜こうという市民連合の取り組みのひとつだ。都議補選でも野党共闘した所は勝った」と話した。
 そして「ガザで本当に心が痛むような虐殺が起きている。上川外相がイスラエルに行って、イスラエルの批判は一切せずに、ハマスのやっていることはおかしいと言って帰ってきた。日本は憲法九条を持ち、戦争をしてはいけないという国だ。私たちはマッチョ政治さようならと女性の声で政治を変えようと言っているが、その正反対のところにあるのが戦争だ。戦争は家父長制そのものだ。女性差別をやめよう、すべての人びとが平等に生きる権利を持とう」と訴えた。

紙の保険証
をなくす攻撃

 れいわ新選組の塚田ひさこさん(豊島区議)がマイナンバーカードの問題点を指摘した。
 「生きづらさを抱えた女性たちの相談が後を絶たない。究極的には苦しくて死にたいという声も聞こえてくる。虐待・DVが3年間で3倍以上に増えている。ありとあらゆる所が傷んでいる。どうしてか。これはあなたの個人のせいではない。30年間にわたる不況、これは社会・政治の責任だ。その政治を作ったのはオッサン政治だ」。
 「紙の保険証をやめて、マイナンバーカードに一元化することになっている。マイナンバーカードはもともとは任意だった。2021年に菅政権の時、デジタル改革法が通ってしまったゆえに、いま地方公共情報システム標準化が自治体の方で始まっている。これは私たちの個人情報、例えば国民健康保険、医療の情報とか、自治体は大事な情報をたくさん持っている。それを全部標準化のシステムに入れて、整えるというもの。国がガバメントクラウドにのせて一元化しようということ。ガバメントクラウドの会社はマイクロソフト、Google、ORACLE、Amazon。全部アメリカの会社だ。そこに大事な私たちの情報をのせてしまう。地方自治は分権が進んでいることに逆行する形で進められている。何で強硬にやっているのか。戦争と関係しているのではないか。女性の力で、戦争は絶対止めなければいけない」。
 ジャーナリストの竹信三恵子さんが発言。
 「最初にもずくさんが働くなと言った。私、昔ずっと女も働けと言っていた。それがどんどん変わってきて、働けば働くほど楽になると思ったら、私たちが払った税金とかが軍備などに使われていくすごく恐い社会になった。なぜなのか。これは憲法九条を軽視したことと関係がある。九条という蓋があったので、オッサン政治だったけど、一応税金もあまり軍備に使ってはいけないとかのことはしていた。それが安保法制あたりからおかしくなり、軍事費が5年間で43兆円、それを優先して貧困や女性対策も余裕があったらやってあげてもいいよとなっている。税金は私たちが幸せに暮らすために使ってもらうものだ」。
 「オッサン政治で、自民と維新が出たがそのような人がどのような政治をしているか、大阪の人からぜひ話してくれと言われたのでほっとけばこうなる恐ろしさ、維新政治下で何が起きているか。いま全国で勢力拡大をしている日本維新の会。突然吹田市で非正規職員の給料が高すぎると言って、維新議員は給料の上限設定を議会に提案。10日余りの審議で非正規職員の賃金上限29万円を可決。長い間労使交渉でちょっとずつ改善されてきた処遇が突然当事者の意見も聞かずに引き下げ強行。20年から30年働いてきた非正規職が最高で月額6万2000円も引き下げられた」。
 「こういう中で、一方では大阪万博開催。しょっちゅう、おカネが足りないというなら、生活を優先して取りやめにしたっていい。このような状況を人びとは、日本維新の会ではなくて、日本無心の会だと言っている。投票に行けばいいということではなく、下から運動を起こさない政治は政治ではない」。

参加した国会議員たちの訴え

 田村智子さん(共産党・参議院議員)が発言。
 「ガザの攻撃やめろというスローガンが立っていることに心強く思う。女性たち声上げて当然。女性の暴力を許さない。女性の命を守るということ。私たちはロシアに対しても、ウクライナから出て行け、戦争やめろと声をあげた。日本政府は国連の121カ国の即時休戦決議に対して棄権した。とんでもない姿勢だ。市民と野党の共闘の土台は戦争をする国を許さないということだ。ジェンダーギャップの社会を変えること。そのためには女性たちが政治の架け橋になることだ。平和と人権、抑圧からの自由の一致点で野党の共闘を広げよう」。
 大椿ゆうこさん(社民党・参議院議員)が発言。
 「大阪はマッチョ政治をやっている地獄のような社会で生きている。たった6カ月の万博のために、2350億円、当初予算の倍以上の予算をかけようとしている。辺野古の海と同じように、軟弱地盤だ。そこに万博を作ってやろうとしている。その先に考えているのは2030年、万博会場の跡地にカジノを作ろうとするのが目的だ。だから、これだけ予算が上がっても申し訳ないと受け入れる態度をとる。しかし、大阪はコロナ感染で多くの方々が亡くなった。全国最多だ。生活保護受給者の人々もたくさんいる。生活が苦しいのは大阪も同じだ。それでも多額の税金がつぎ込まれる。府・市・財界が三分の一ずつ負担することになれば一番損をするのは大阪市民だ。箱もの事業、イベント事業に男たちはこれほどまでに関心を示すのか。マッチョ政治の象徴的なものだ。これをぜひ止めたい」。
 「私は首を切られた非正規労働者として、この間すべての人たちが安心して働き続けられるような社会を、非正規雇用を正規化へと訴えてきた。岸田さんは所信表明演説の中でも、非正規雇用や非正規労働者とは一言も言わない。なぜこれほどまでに少子化が進んだか、なぜ女たちが子どもを産みたくないのか、産めないのか。これだけ不安定な雇用を増やしておいて、子どもを産めというのは無理だ。マッチョ政治打倒」。
 吉田はるみさん(立憲民主党、衆議院議員)は「憲法審査会が始まった。委員が50人いる。3人しか女性がいない。憲法を守ろうとしているのは私ひとりだ。岸田総理が任期中に憲法改正をやるんだと言った。国民投票法はインターネットがない時代のものだ。インターネット広告はおカネをかければかける程浸透していく。この法律の下で絶対に憲法改正やってはいけない。桜田元オリンピック担当大臣が女性は発言しない人が多い、と発言した。発言しないような空気作っているだろう。『何が悪いのか』とネットで反論してくる。これが日本の置かれている現状だ。私たちはしたたかにいっしょにがんばろう」と発言した後、平塚らいてうの、女性文芸誌『青鞜』創刊号に日本の女権宣言といわれる「元始、女性はじつに太陽であった」の一節を紹介した。

福島そして「沖縄戦の図」から見えること

 福島からやってきた二瓶由美子さん(市民団体「ダイバーシティふくしま」 )が訴えた。
 「福島原発事故以後、女性たちはなかなか声を出せずにいる。例えば避難した人、自主避難をした人たち、福島で生きる覚悟をしている人たちに対するバッシングもある。声を出してもいいんだよとこのフェミブリッジに協賛している」。
 「昨日福島市にある小さな映画館で、『沖縄戦の図』というドキュメンタリー映画が上映された。原爆の図を描いた丸木俊さん、位里さんこのご夫妻が描かれた図。二人は長い間、沖縄に通いそして沖縄に暮らし、沖縄の人たちから聞き取りをして、地上戦の悲惨な状況を大きな絵に描いた。14作ある。それを丁寧に取り上げているドキュメンタリー映画だ」。
 「絵を所蔵している宜野湾の佐喜眞美術館の館長さんから福島へのメッセージが届けられた。それを引用したい。『丸木夫妻は人類が初めて体験した未曽有の原爆から南京大虐殺、アウシュビッツ、水俣、原発、三里塚そして沖縄戦、足尾鉱毒と不条理な中で人間が殺されていくことへの怒りと亡くなっていった人たちと平和の実現への祈りを込めて、過酷な現実を芸術作品へと昇華させ、半世紀近い共同制作を貫いてこられた。そして最後はチェルノブイリ原発を描いている。また生前お二人は能登原発へも何度も通っていた。生きて3・11を目撃されたなら、福島の原発も連作に描かれていたことでしょう。福島でのこの映画の上映をめぐって、私は深い感慨にとらわれて、皆さんへのメッセージを送りました。そして丸木ご夫妻が共同制作で貫いていたのは沖縄の命こそ宝というその哲学をアートで表現したとおっしゃっています』」。
 「私はこの映画を観て、しみじみと思い出したことがあります。私は20年ほど、短期大学での国際平和論という授業を担当していて、学生たちと沖縄研修に行っていた。福島原発事故の起こる前のある年、辺野古で案内をしてくれた人が学生たちに『沖縄はいつまでも平和学習の場でいたくないんだ。基地をもらってくれないか』と問いかけた。学生たちは言葉を失った。その時、私はせいいっぱいこう言った。福島も同じなんです。たくさんの原発を抱えています。危険と背中合わせで暮らしているのは沖縄と同じです。私たちもがんばって闘っていきたい。こう答えたことをありありと思い出している。この国の差別、不平等、世界を見れば紛争、貧困さまざまな問題が起きている。こうした時に平和憲法を守り、人権を尊重する社会を作っていく。平和的生存権の実現をめざしていく。その運動の一つとして女性たちが声をあげた。これに福島からも連なっていきたい。新しい時代を子どもたちに託してそして生きていきたい」。
 都内各区の女性連合の女性たちの発言が続いた。           (M)
 

「さようならマッチョ政治」をアピール(11.4)

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