声明 Covid19との闘い強化へキューバ封鎖を即時解除せよ
2020年4月20日 第四インターナショナル・執行ビューロー
教育(保育園から大学までの公的かつ無料の)への権利と共に、医療はキューバ革命の偉大な成果の一つだ。それは、諸困難、過ち、またいくつかの後退にもかかわらず、今なお適切さを保っている。キューバの医療制度がもつ強さを知る上では、いくつかの決定的なデータを比較するだけで十分だ。一人あたりGDPが年に五万八四六九ドルになる国であり、医療への投資がGDPの一四・三二%にあたる米国の中でわれわれは今、医療における実際の崩壊を目撃している。そしてそれを理解するのは難しくはない。つまりそこでは、住民一〇〇〇人あたりで三人の医師しかいないのだ(それは、この社会を特徴づけている残酷な社会的不平等に関し十分な情報を与えるものだ)。キューバは、一人あたりGDPが僅か年七四七〇ユーロにしかならないが、医療にGDPの一〇・九二%を投資し、住民一〇〇〇人あたり九人の医師を抱え、二〇一九年の公式データによれば、本国における感染症に対処できているだけではなく、海外に支援を与えることもできている。
確固とした公的
医療と対外支援
二〇二〇年四月一九日時点で、キューバでは今回のコロナウィルスによる感染者が一〇三五人、また感染の始まり以後で死者が三四人だった。当局は、感染の広がりについて警告を発し、勝利を誇るような姿勢はとっていない。
死者数は相当に高まりそうであり、対キューバ封鎖は、それがこの感染症に対応するために必要になる一定の装備と医薬品の輸入を妨げているがゆえに、一つの腹立たしい要素になっている。
しかしながらはっきりしていることだが、キューバにおける諸資材の割り当ては他の諸国におけるよりもはるかに平等だ。その上にキューバ民衆の国際主義的連帯の伝統が、一〇〇%公的であるシステムのおかげで、特に医療の分野でこれまで示されてきた。
この間いくつかのEU諸国が、この感染との闘いにおいてキューバの助けに頼ることを迫られた。住民一〇〇〇人あたり約四人の医師を抱え、一人あたりGDPが年二万九六一〇ユーロになるイタリアは、一人あたりGDPが年三万五九七五ユーロになるアンドラ公国(フランスとスペインの間にある:訳者)と共に、このカリブ海の国に助けを求めざるを得なくなった。EUの麻痺状態と彼らを助ける隣国の無能力が理由だ。
公式データによれば、二〇一九年、海外のキューバ人医療要員は六〇ヵ国で二万八〇〇〇人を超えていた。
キューバは現在まで、二〇ヵ国の全国的、また地方的な努力に加わるために医療専門家からなる二一の部隊を派遣してきた。この二〇ヵ国はこの間、このコロナウィルスとの闘いのためにキューバの医療支援を求めてきたのだ。これらの二一の部隊は、それらが前からサービスを提供していた六〇ヵ国における医療協力部隊を強化するもの、あるいはそれに追加されたものだ。
感染症対処経験
と医薬品開発
キューバの医療要員は過去五〇年にわたって、アフリカ、米州、中東、さらにアジアの一六四ヵ国で数々の使命を果たしてきた。
キューバの医療要員は、この島を周期的に揺さぶるデング熱との闘いにおいて、加えてシエラレオネ、ギネア・コナクリ、リベリア(二〇一四―二〇一五年)におけるエボラ感染、ハイチのコレラ感染において、大量の経験を蓄積してきた。それはまた、カリブ海の国に加えてパキスタン(二〇〇五年)やネパール(二〇一五年)での数回の地震で犠牲者を助けるために、また中米とカリブ海での洪水やハリケーンに対して、効果的な役割も果たしてきた。世界保健機構(WHO)は、国際レベルにおけるキューバの医療支援の重要性と質を認めてきた。
キューバはさらに、いくつかの感染症に対する処置と高度に有効な医薬品生産をも発展させてきた。Covid19を生み出している新しいコロナウィルスのSARS―CoV―2に対する予防ワクチン、あるいは特定的な処置はまったくないとしても、キューバの製薬工業は、インターフェロン・アルファ2bのような折り紙付きで極めて有効な薬剤の生産を保証している。そこには、今回の疾病と起こる可能性のあるあらゆる合併症に襲われている患者に対する処置の一部である他の薬剤が加わる。
発展途上諸国
の重荷を除け
キューバに敵対して米国が課している禁輸は一つの犯罪行為だ。それが、キューバとさまざまな諸国間の自由な保健協力を妨げることをもくろむものだからだ。そしてそれらの国は、キューバの支援を求めてきたか、このカリブ海の島国との協力を強化することを願っているのだ。
キューバの当局は四月一六日、外務省声明の中で、正しくも以下のように言明した。すなわち「発展途上諸国が、特に医療の分野で、高度に工業化された諸国民がたいていは利用できている、そうしたテクノロジーの利用を保証されないならば、また彼らが妨害のない無私のやり方で科学の発展とその成果を共有できないならば、世界人口の圧倒的多数は、一層相互に結びつくようになった世界で、今日同様、あるいはもっとひどくさえ危険にさらされるだろう」と。
同じ声明が次のように述べたことも全く正しい。すなわち「発展途上諸国に敵対する政治的な動機による威圧的な経済方策が解除されなければ、またそれらの国が負担となり返済不可能な対外債務の返済を免除されず、国際金融機構の容赦ない監督から自由にならなければ、われわれは自らを欺いて次のように考えてはならない。つまり、感染症が一つもなくてさえ、子ども、女性、高齢者を含んで毎年何百万人もの人びとを殺している経済的、社会的不均衡に対応する上で、これからわれわれはもっと良好な位置にいることになるだろう、と考えてはならないのだ」との言明だ。
キューバの対外
支援妨害するな
コロナウィルス危機は、コロナウィルス感染への十分な対応の背骨は公的な医療システム、ということを示すことになった。全体としてのこの四〇年の新自由主義諸政策、および特にこの一〇年の緊縮は、命の重大な喪失に責任を負ってきた。何と言っても、切り詰めがもっとも過酷となったところで、医療システムの崩壊はもっとも劇的になっているのだ。米国では混沌状況は他の諸国よりも大きい。理由は、政府の超反動的な性格だけではなく、何らかの無料で普遍的な公的医療ケアシステムに似たものの不在にもある。
その上米国は、犯罪的な法の形でキューバの支援を拒絶してきた――それは、数百、あるいは数千の命を犠牲にさせることになろう――だけではなく、キューバからの支援を求めた諸国にそれを断念するよう圧力もかけてきた。ブラジル、エクアドル、ボリビアの反動的諸政権はともかくも彼らで、キューバ人医療派遣団を追放した。
トランプはこのすべてでも十分ではなかったかのように、今年四月一五日、この国連機関がコロナウィルスとの闘いで一つの重要な役割を果たしている最中に、WHOへの米国の拠出を停止する決定を行った。
キューバはこのゆえに、予防活動、もっとも傷つきやすい人々の保護、また社会的管理の諸行為の分野で、科学的研究を共有し発展させるために、また様々な国の経験を交換するために、政治的な偏見のない国際的な努力が絶対に必要、と主張している。それは、感染期間と人命の損失率を引き下げることを可能にするだろう。
したがって第四インターナショナルは、すべての革命的、進歩的、また民主的諸勢力に、キューバに対する封鎖に反対する闘いを強化するよう、そしてキューバ民衆との連帯を強めるよう訴える。われわれは、キューバの医療労働者が与えている国を超えた援助を全面的に支持する。この危機からの出口は唯一、国際連帯および民衆内部の国際主義の発展だ。彼ら自身の民衆の命を軽視し、危機からの出口として民族主義、レイシズム、さらに戦争に力を貸す反動的政権を打倒しよう。
キューバ敵視の封鎖を解除させる闘いを強化しよう!
連帯、自己決定、国際主義を!
われわれの命はやつらの利益よりも価値がある!
(「インターナショナルビューポイント」二〇二〇年四月号)
東南アジアの左翼組織・労働者組織の2020年メーデー共同声明
複合的危機の時代において労働者人民のよりよい未来を共に創り出そう
以下に紹介するアピールは、新型コロナウイルス・パンデミック下のメーデーに向け、マレーシア社会党が呼びかけ、インドネシアのいくつかのグループの賛同を得て出された。(「かけはし」編集部)
この数カ月、東南アジアをふくむ全世界は、コロナウイルス・パンデミックの深刻な広がりの影響を受け、機能不全状況に陥っている。
パンデミックが引き起こした大衆の健康危機は、社会的不平等と不公正を引き起こしたグローバル資本主義の深刻化する危機の本質的産物である。パンデミックは気候危機や、解き放たれたさらなる経済危機の一部であり、それは現代における最悪の景気後退と一体のものである。
労働者階級と貧しい人びとは、今日のコロナウイルス・パンデミックと、それがもたらす事態から最も深刻な影響を受けている。一般の人びとが受ける健康と生活への脅威にくわえて、この地域の労働者階級と貧しい人びとは、危機の中で労働時間の縮減、レイオフ、賃金カットにさらされ、多くの人々は清掃などその時かぎりの仕事や、パンデミックからの適切な保護もない仕事につかざるを得ない。移住労働者、難民、インフォーマルセクターで働く労働者、日雇労働者たちなど多くの人々は、この危機に対処できない支配階級の無能の犠牲者なのである。
さまざまな社会的支援プログラムが、パンデミックの影響を受けた諸国で導入されたが、それらは勤労民衆や貧しい人々の苦境をやわらげるものにはならなかった。
公共事業の私物化と商業化を促進した新自由主義政策、金融資本の代表は、社会的危機に対する社会的免疫をいちじるしく弱体化させた。医療・保健システムをふくむわれわれの公共サービスの浸蝕は、今日の危機に効果的に対処するわれわれの能力を縮減させてしまった。
パンデミック危機のさなかで、われわれは多くの国々の政府がこの危機を利用して、軍隊や警察の権限を強化し、勤労民衆や弱者への圧力を増大させるのを見てきた。また国家警察機構の強化も見られる。それは政府の権威主義的性格を強化するものである。われわれはパンデミック危機を利用して、われわれの民主主義的スペースを縮小し、民衆の運動を弾圧する口実にするのを認めることはできない。
複合的な危機が国際的レベルで解き放たれている中で、情け容赦のない資本主義にとって「いつものやり方」は存在しないだろう。われわれにとっては、金持ちと貧しい人びとの大きなギャップを作り出し、また危機の時代に勤労大衆へのさらに悪化した衝撃を生み出した現在の経済モデルを再考する時である。
われわれにとって、国境を越えて勤労人民の連帯を構築し、すべての人びとの生活の質を確保・改善するために社会―経済的方向で意味のある変革を押し進めよう。
グローバルな危機のさなかで迎える今年のメーデーは以上を確認する日であり、全世界の労働者に公正で、より安全で、すべての人びとにとって、よりよい世界は、真の社会的変革を求める勤労民衆の組織化と動員ぬきには不可能なのだ。
われわれここに署名した組織は、次のように呼びかける。
1 ASEAN諸国の政府は、すべての公共・民間の資源を使って、勤労民衆と貧しい人びとを焦点にコロナウイルス・パンデミックの影響をコントロール・緩和せよ。移民や難民をふくむすべての人びとに無料で普遍的なヘルスケアを保障せよ。政府はコロナウイルス・パンデミックとの闘いの先頭に立つ医療労働者への特別の保護を確保せよ。
2 公共保健制度、教育、社会的住居、電力供給、清潔な水、公共交通などの社会的インフラを大企業やスーパー・リッチ(大金持ち)への進歩的課税を通じて確保すること。
すべての人びとへの無償教育を。ASEAN諸政府は、地域のための進歩的課税制度に向けて行動を。こうした公共制度は民衆のコントロールの下で国有化・民主化されるべきだ。
3 政府の投資を通じた社会的インフラの建設・維持、持続可能な農業と食糧生産、再生可能エネルギー発電、社会的住宅建設による職と勤労者の所得の保障。われわれはこの地域の多くの勤労民衆への職と収入を必要としている。利潤優先の資本主義システムにはそんなことはできない。われわれは意味のある政府介入を必要としている。ASEANは、企業の利潤のためではなく民衆の生活の改善のために働く経済を構築するために「社会主義アジア」への「ニューディール」をめざして活動する。
4 ASEAN諸国政府は、低賃金労働政策と賃金抑制政策をやめ、地域全体で労働の公正なシェアを享受するために地域的に適切な賃金メカニズムを導入する。
5 危機の時代に基礎的食糧の不足に取り組むために、食の安全を高める包括的プランを発展させ、小規模農民の生活のプロジェクトをつくり出す。
6 危機の時代において、住民に向けた社会的プログラムを実施する目的で配分されるファンドを増やすことを可能にするために、政府に押しつけられた不当な債務の支払いを拒否する。
7 すべての追い立てをやめる。政府は、すべての人びとへの適切な住居を保障しなければならない。家賃と貧しい人びとの抵当の支払いを凍結しなければならない。借家人の安全を保障し、住民の負担を軽減すること。もっと多くの社会的住居の建設を。
8 すべての政治囚の釈放を。暴力犯罪に関わっていない囚人、あるいは社会にとって脅威とはならない囚人は仮釈放されるべきである。なぜなら満杯になった刑務所は、パンデミックの拡がりをもたらすからだ。
9 隔離や拘禁という措置は、公共的協力の下でパンデミックと闘う場合においてのみ有効である、ということを認識すべきだ。政府はロックダウンの必要性、感染した人の追跡について語るべきではない。パンデミックに対する措置の実施は民主的監視の下での健康問題にかかわる専門家の指示によるべきであって、軍や警察によってではない。政治への軍事による介入があってはならず、パンデミックを抑えるという口実での政治介入があってはならない。権威主義に向けた国家の動向には注意深くあるべきだ。
10 ASEANの諸国政府は、女性や少女に対するドメスティックバイオレンスの増大に注意を払わねばならない。それはロックダウンの結果である。
11 帝国主義諸国(とりわけアメリカ)によって、キューバ、ベネズエラ、イランなどアメリカの利害に沿わない国に対して、制裁が一方的に押し付けられている。われわれの抵抗、そして、われわれの即時の要求のための闘いは、資本家の利益のためではなく、人類の生存と環境保護を優先する資本主義システムへのオルタナティブ――社会主義オルタナティブを準備するものでなければならない。それは資本家の利益ではなく、人間の生存と環境の保護を優先するものだ。われわれの社会主義的ビジョンは連帯と生存の必要性に基礎を置いたものである。
The KAKEHASHI
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