パンデミック下での危機集中に立ち向かい生命に対する民衆の力取り戻せ
支配階級に対抗する統一戦線を
2020年10月19日 第四インターナショナル執行ビューロー
はじめに
二〇二〇年は、いままでのところ大きな危機が集中した年となっている。もっとも特徴的なのは、第二波のピークを迎えたかに見える新型コロナウイルスのパンデミックであり、現在、再び前例のない感染レベルに達している。
これは気候危機のきわめて大きな影響と結びつくことで、カリフォルニアやブラジルでの山火事、アジアでの広範囲にわたる洪水、資本主義政府がロックダウン期間の損失を取り戻そうとする新自由主義的攻勢の強化、継続する地政学的覇権争いが背景にある局地的紛争(たとえば、地中海東部)の再出現などをもたらしている。同時に、アメリカ大統領選挙の結果の不確実性が国際情勢の要因の一つとなっている。二〇二〇年末に世界がどのような姿になり、どこまで大きく変化しているかを語るにはまだ早すぎる。
これらの危機の複合的な影響によって、貧しい労働者、その中でもとりわけ女性、黒人や少数民族、農村部の人々が、いかにこれらの危機すべてによって苦しんでいるかが次々と明らかになっている。生命、仕事、生計、教育、家庭の喪失が結びついて、世界中でますます貧困に陥り、財産を奪われた層が形成されている。
闘争と運動は、人々の健康に注意を払わない専制主義政府に挑戦し、資本主義経済の利益を目的とする「職場復帰」政策の危険な条件に異議を唱えながら発展してきた。その中では、必要不可欠な労働者(エッセンシャル・ワーカーズ)における女性と少数民族の特別な位置を強調してきた。
これらは、人種差別と警察の暴力の両方に異議を唱えた米国のブラック・ライヴス・マター運動で劇的な形で噴出した。これは連帯運動としてだけでなく、人種差別と警察の暴力が各地域で顕在化していることにも異議を唱えるものとして、世界中に急速に広がった。
パンデミックと民衆の苦境継続
新型コロナウイルスのパンデミックが発生してから五カ月が経過した六月初旬には、すでに世界で四〇万人以上の死者を出し、二一六カ国で六八〇万人以上の感染者が公式に確認された。そして、四月頃には三〇億人以上の人々が自宅に閉じこめられていた。
春先に中国と極東でパンデミックが収まったあと、ヨーロッパでもパンデミックが収束し始めた(しかし、とりわけ北米と南米では深刻なままだった)とき、感染の急激な第二波がどの程度のものになるのか、あるいはウイルスがより良性のものに変異するのかどうかという問いが提起された。しかし、不確実な状況が際立ったまま続いていた。
二〇二〇年一〇月中旬の時点で、世界の死者数は一二〇万人に達し、確認された感染者数は四千万人を超えている。死亡者数と感染者数の上位にはアメリカ、インド、ブラジルが続いているが、感染率はどこでも上昇しており、特にヨーロッパでは、イギリスで四万三千人以上、フランスとスペインではそれぞれ三万三千人以上の死亡者数を記録している。
多くの国では、感染者、病人、死亡者の数が過小評価されていることはよく知られているが、その理由は第一に、状況の深刻さを否定しようとする特定の指導者の政治的願望によるものであり、また新型コロナウイルスの検査、入院、集中管理をおこなう手段がないためでもある。
グローバル新自由主義の医療惨事に直面し、多くの政府は、医療専門家や世論からの圧力を受けて、強力な対策を講じることでコントロールを回復しようとした。その結果、中国と極東では春先に、ヨーロッパとニューイングランドでは晩春に、感染症の流行は明らかに小康状態となった。
これにより、伝染病の猛威と政府の措置によってトラウマを負った社会では、国境閉鎖措置を維持したまま、多かれ少なかれ封鎖の大規模な緩和がおこなわれた。北南米、インド、その他アジアやアフリカのほとんどの国では、パンデミックは非常に不均等な防護措置のもとでゆっくりと進行し続けた。アルゼンチンやフィリピンなど一部の国では、三月から途切れることのないロックダウンがおこなわれている。
北半球における秋の到来とともに、ヨーロッパと中東では、大規模な感染の第二波が形成されつつある。そして、新たな規制がおこなわれ、それは旅行者の検疫期間の延長から、ヨーロッパの多くの国でのきわめて抑圧的なロックダウンや外出禁止措置の再実施(しばしば地域によって異なるが)にまで及んでいる。
経済危機そして新たな債務の罠
長期にわたって金融危機が起こりそうな状況を背景にして、財政的補償がないまま、あるいはまったく不十分な財政的補償しかないまま、人々を隔離する措置をとったことによって、経済減速が直接的・間接的に引き起こされたが、その結果が明らかになりつつある。つまり、二〇二〇年第2四半期においてOECD諸国(欧州、北米、日本、韓国、オーストラリア……)では平均一〇%の国内総生産(GDP)の低下(比較すると、前回の金融危機時の二〇〇九年はマイナス二・三%)が起きた。インドで二五%、イギリスで二〇%、メキシコで一七%、フランスで一四%、米国で九・五%、日本で七・八%の低下が見られた。第1四半期の生産の落ち込みはすでに二~三%に達した。
しかし、中国の指導者は、中国ではすでに第2四半期に回復が起きていると公言している(第1四半期のマイナス七%と比較すると、プラス三・二%、)。いずれにしても、現在の予測では、世界のGDPは現在のベースで二〇二〇年には約六%減少し、二〇二三年までに危機以前の水準に戻ることはないだろうと予測されている。その中には、パンデミックの状況がさらに悪化する可能性の予測は含まれていない。
中国では三月に数千万人、アメリカでは二〇二〇年四月に二二〇〇万人の失業者が出ている。この数字はその後数カ月で急減すると発表されていたが、再雇用された仕事は危機前よりもはるかに不安定な非正規雇用になっているようだ。アメリカでは現在雇用されている人の数が二月に比べて一一五〇万人も減っていると推定されている。欧州連合(EU)では、失業者数が七・八%に増加しており、しかも[ヨーロッパの]北と南では大きな格差があるのだ!
新たな負債の罠が迫ってきている。新型コロナウイルス危機で構造的困難が悪化している「南」の国々が増えつつあるからだ。その困難の中には、外貨準備高の減少、原材料価格の下落に伴う貿易条件の急激な悪化が含まれている。
対米ドルでの通貨安に陥っている南の一九カ国はすでに返済を停止しており、二八カ国では債務超過のリスクが高くなっている。G20諸国、IMF、世界銀行は、相変わらず債権者の方を支援している。そして、融資という形態をとった緊急財政支援で南の諸国の債務をさらに悪化させ、その一方で、新自由主義的な緊縮政策の適用を強化しているのである。
返済額は今後数年間でさらに大きくなり、労働者と労働者階級にますます重くのしかかるだろう。第四インターナショナルは、不当な債務の帳消しを求めて国際レベルで闘っている運動のさまざまな動員を支持する。
資本家とその政府による打撃
資本家とその政府にとっては、仕事に戻ること、および医療および公的財政という点で必要とされるものは何でも使い尽くすことが必要となっている。しかしその一方で、パンデミックとの闘いという名のもとに、多かれ少なかれ極端な方法で他の自由を制限しようとしている。つまり、適切な検査追跡隔離・支援システムにお金をかけないような方法で、移動したり、集まったり、楽しんだりするようにというわけだ。
?中国からアメリカやヨーロッパ諸国にいたるまで、企業のための大規模な援助計画(しばしば、それらの実際の危機とは無関係に)が制定されている。その中には、短時間労働、持続可能な生産への減税が含まれている。
そのレベルでは、EUは三年間で七五〇〇億ユーロの欧州復興計画を発表した。そのうちの半分強が(今後数年間にわたって各国の政策を支配することになる)相互債務という形をとっている(これは、実際には一%の公共支出に相当するため、部分的には宣伝効果である)。
?公共サービスは、ますます増大する圧力の下にある。医療、高齢者や子どものための教育的介護、障がい者への支援、健康危機が非常に困難な状況に置かれている他の部門への支援に、大規模な再投資はおこなわれていない。実のところ、少なくともヨーロッパでは公共部門の一部として運営されてきた部門に民間資本がさらに浸透してきている。
?この機会に、ますます専制主義的な政策が実施されている。テロリズムとの闘いのあとで、自由を破壊する措置を正当化するために、つまりどこにでもいる警察、隔離や(その効果については見解がコロコロ変わった後で義務化された)マスク着用を守らない人に対する法外な罰金、社会生活を不可能にするロックダウンや外出禁止令などを正当化するために、パンデミックとの闘いが使われている。
こうした政策は、若者や大衆層、とりわけ人種によって特徴付けられる人々(長期にわたって定着したコミュニティであろうと、もっと最近の移民に起源を持つ人々であろうと)に、あたかも彼らが自らを守りたくないかのように、思慮が足りないとか無責任だとかの烙印を押すことと並行して主張されている。
?労働法はいたるところで再編されている。例外的な経済状況という名目で最初に課された柔軟性が永続化している。企業閉鎖が容易になっている。
?労働組合、結社、デモの権利はロックダウン期間中に抑圧されたが、まだ制限されたままであり、しばしば非常事態に近い規則に従わなければならない。
――同時に、われわれは、とりわけアメリカ南部国境や地中海を超えて来た移民に対する弾圧を目の当たりにしている。
しかし、この多次元的な危機という激変はまた、大国間や諸国間(米中間、トランプのアメリカとイラン、プーチンのロシアなど世界の他の国々との間、エルドアンのトルコとその近隣諸国の間)の競争を悪化させる一因にもなっている。たとえば、トルコとギリシャとの紛争は加熱しつつあり、マクロンのフランスのようなヨーロッパの大国が紛争の炎を煽っている。
腐敗したアゼルバイジャン政権は、専制政治を維持するための財政的手段を失い、トルコ空軍とシリアの傭兵の支援を得て、カラバフのアルメニア人に対する攻撃を開始した。それによって、民衆からの[政権の]正当性を獲得し、民主化プロセスの可能性を先送りにしようとしている。
最後に、環境危機について言えば、春に世界生産が減少したことは、汚染レベルと気候温室効果に、短期間だがプラスの影響を与えたかもしれないが、環境被害が増大する傾向はいまだに強く存在している。オーストラリア、ブラジル、アマゾン全域、アメリカにおいて、二〇二〇年に発生した巨大火災は、気候変動によって引き起こされた干ばつの増加、新自由主義的な土地管理、ときには直接森に火を放つ農業システムの結果である。
健康と社会をむしばむ影響
コロナウイルスのふるい分け政策や検査の種類、保護政策(マスク、アクセス制限、検疫……)、病院での医療や設備、ワクチン研究などについては、競争と自由主義的な誤った政策、官僚的な非効率性が、新たなトラウマとなるロックダウンや新たな病院の危機とともに雪崩のように押し寄せている。その一方で、医療従事者は疲弊しており、とりわけ多くの場合コロナウイルスの影響を受けている。
このように、われわれは、(アメリカなどの)豊かな国が、(ベトナム、キューバ……のような)貧しいと考えられているが地域医療の伝統を持ついくつかの国よりも、伝染病と効果的に闘えていないのを目の当たりにした。
われわれはまた、パンデミックに直面して、社会・人種・年齢・ジェンダーにおける強い不平等を見てきた! 以下のような人々がその中に含まれる。
しばしば女性や特定の人種に特化されている医療・清掃・輸送部門の基礎的従業員。
自らの仕事を止めるというぜいたくをする金を持たず、多くの場合、病気にさらされる機会が非常に大きく、収入のほとんどを失うことになる不安定労働者や非正規労働者。
しばしば特定の人種に特化されているが、過密な生活条件やジャンクフードのもたらす結果に苦しんでいる労働者階級。
海外からの移民や労働者。「南」の国々の農民や先住民族。六五歳以上の脆弱な人々。より一般的には、慢性的な病気に苦しんでいる人々。
著名人、芸術家、政治指導者もまた、新型コロナウイルスに襲われた。もっとも重い貢ぎ物は疑いなく、貧困と多重抑圧の犠牲者である人々によって支払われている!
仕事や家事の負担に束縛される中で、そしてパンデミックやロックダウンが生み出し、増幅させた男性による暴力の中で、とりわけ女性にリスクと苦痛が集中してきた。
閉鎖やロックダウンによって急速にもたらされた社会的大惨事に直面して、多くの(すべてではないが)政府は、またしても中国からヨーロッパ諸国・アメリカまで、緊縮財政のドグマと一時的に決別し、基本的な社会的給付をおこなった。こうした数百ユーロの給付は、一回払いまたは月払いで支払われ、最小限の社会的ショック吸収剤としての役割を果たした。そして、ブラジルのボルソナロに起こったように、一部の民衆が政治指導者を少しだけ支持する助けにもなった。
しかし、これらの新たな社会的セーフティーネットの政策は一時しのぎであり、ブルジョアジーのかなりの部分にとっては、新ケインズ主義的な転換点に明確に対応したものではない。公的債務の爆発は、労働契約、労働組合の権利、社会保障制度を対象とした構造的反改革を深化させる口実となるため、長期にわたる深刻な結果をもたらすであろう。
政府は公的債務をすぐさま返済し、競争力という言説を再確認する(とりわけ公共サービスで残っている部分に対して)新自由主義的な法案を提案する準備をしている。実際に資産を増やしてきた高所得者や富裕層から取り立てている政府はどこにもない。製薬会社が、まさに必要とされているときに国有化されているところはどこにもない。
デジタル貧困の影響は、パンデミックの間に激化している。
――オンライン授業へのアクセス。オンライン教育によって、物理的な距離感やバリア対策の尊重に適応していない教育施設での対面教育のリスクを軽減するための、あらゆるレベルでの教員の闘いはいくつかの勝利を獲得した。それとともに、教員はインターネット、デバイス、ワークスペースへのアクセスについて、学生のための闘いを展開しなければならない。
――政府や地方自治体のサービスへのアクセスはますますインターネットのみとなっている。
――インターネットショッピングは、インターネットにアクセスするために必要なツール(インターネットやクレジットカード)を持っていない多くの人たちをますます困難におとし入れ、流通業(たとえばアマゾンや郵便サービス)で働く人たちの搾取をますます増加させている。
政治と闘争、決算は今後次第
政治権力の正当性および利益という支配的論理は、この一般的状況の中でますます侵食され、このような大惨事に対処することができなかったと見なされている。労働者、とりわけ「下から」の「最前線」にいる労働者が象徴的に再評価されてきた……。しかし、疾病、失業、抑圧の複合的な恐怖により、闘争の道は、多くの人にとって、現時点では非常に困難なものとなっている! 抵抗運動は、[参加者の]数を増やすことも、六月の希望のきらめきに続くこともできていない。
(ほとんどではないにせよ)多くの国で、主要な労働組合はパンデミック危機の中に完全に沈んでしまっている。労働組合はさらに寡黙になり、いかなる大きな対立をも避けているだけでなく、支配層の危機政策について何も言うことができないことが多い。それでも労働組合は、労働者階級の日常的な防衛闘争において重要な役割を果たしている。したがって、将来的には、多くの国で、労働組合で階級闘争政策にとりくむこと、組合や[組合内の]潮流がとる限定的なとりくみをより戦闘的なアプローチで一般化することが(過去においてよりもさらに)重要になるだろう。
パンデミック以前にわき起こっていた、あるいはまだ水面下にあった社会政治運動の多くは、香港、アルジェリア、エジプトでの弾圧の激化によって抑え込まれている。社会運動や民主主義運動もまた、チリ、イラク、フランス、カタルーニャ・・・などで、感染流行のもとで中断されてきた。これらの国々では、急速な復活は可能だろうか?
パンデミックの間に構築された民衆の連帯にもとづくボトムアップの構造がどうなっているのか、より詳細に分析する必要があるが、これらの構造はいくつかの国で発展する可能性がある。
幸いなことに、晩春以降、いくつかの大衆運動が、異なる基盤の上ではあるが、民主主義を求め、社会の競争的機能に反対する闘争という共通の背景を持って登場してきた。
――アメリカで始まった人種差別と警察の暴力に反対する運動は、いまだに非常に強力である。ヨーロッパでは、より限定的ではあるが、本質的な基礎にもとづいて、移民と連帯した運動(ドイツでの最近のデモのような)がある。
――レバノンにおける、ベイルート港の爆発に端を発した告解的体制の腐敗に対する反乱の復活。
――マリでの蜂起。
――ルカシェンコによる支配と彼のいつもの不正選挙に対するベラルーシの蜂起。
――信用を失った王家に対するタイの若者の蜂起。
――大衆動員の結果として、ボリビアにおける選挙の第一ラウンドでのMAS[社会主義運動]の勝利。
――チリの大衆的反乱は、ピノチェト独裁政権の憲法に関する一〇月二五日の国民投票を余儀なくさせた。[国民投票でこの憲法を]拒否することは重要な勝利となるだろう。
どのような新たな高揚が起こりうるのかはまだわからない。気候変動と大規模な汚染に反対する運動、より一般的にはエコロジー的な闘争のために、パンデミックの教訓を統合する必要がある。
近年、闘争の最前線に現れてきたフェミニストの運動にとって、どのような復活があるのだろうか?
支配的な秩序に対する闘争と反乱のための潜在的可能性はまだ存在している。支配的秩序は、利益が危機にさらされ、[秩序の]正当性が否定されていく中で、専制主義を一般化させることによって自らを強化しようとしている。ときにはブルジョアジーの観点から見ても非常に冒険主義的な指導者によってそのことをおこなおうとしている。
しかし、パンデミックの恐れとそれをもとに戻すための方策が混乱している中では、これまでのところ、こうした潜在的可能性が現実のものとなるのは困難だった。パワーバランスを変え、資本主義に対するオルタナティブをより信憑性の高いものにすることは、今のところできていない。
この状況では、もっとも反動的、独裁的、陰謀論的、人種差別的なイデオロギーが極右として現れ、自らを組織している。そして、闘っている被抑圧・被搾取人民を攻撃するために、権力の座にいる、あるいは権力にしがみついている政治指導者の中に、代わりとなる人物や政治指導者を見出している。それは、トランプ、プーチン、ボルソナロ、習近平、モディ、ドゥテルテ、ロハニ、ネタニヤフ、エルドアン、オルバン、カチンスキーのような連中である。
その一方で、より「体裁の良い」指導者たちは、民主主義的原理に対して、何十年も自らの国では前例がなかったような攻撃を自分たちがおこなうことによって、彼らを励ましているだけなのだ。
一一月三日のアメリカでの選挙は決定的な出来事になるだろう。もし、トランプが(おそらく違法な)再選を果たすことになれば、状況はさらに緊迫したものになりうる。極右が優位に立ち、大衆的反乱の危険性が高まるという二極化が起こりうるからである。もう一方で、トランプが職を追われれば、極右と専制主義的政府との関係において、重要な結びつきが取り除かれるだろう。そして、バイデンが表現しているもの、意図していることには幻想を抱くことなく、世界中で闘っている搾取され抑圧されている人々にとって新鮮な変化を表現することになるだろう。
革命的反資本主義活動家の任務
労働運動、社会運動、(そしてわれわれ自身)は、一方では健康に配慮してパンデミックから身を守る必要があり、もう一方では社会保護と医療システムを破壊した政府によって課せられた自由を制限する措置に反対していくということの狭間で、武装解除され、引き裂かれている。
革命家と反資本主義活動家は大きな課題に直面している! われわれは、専制主義的政府や超自由主義的プログラムと対決して、搾取され抑圧されている人々の統一戦線の形成、強化を助けなければならない。
われわれが経験している緊急事態においては、無料でアクセスできる公的サービスに大規模な再投資をおこなうことが、どこにおいても必要不可欠である。それは医療制度から始まって、社会扶助と住宅プログラムを大規模に再起動させることである。そのための資金は、富裕層や[企業の]利益に課税すること、および配当をさせないことによって調達されるべきである。製薬産業およびエネルギー、銀行システム、水道などの公益産業を社会化することが必要である。生産システムは、武器、汚染化学物質、贅沢品などの産業のためではなく、巨大な社会的ニーズを満たすために再転換されなければならない。農業は、土壌作りと自然資源という持続可能なシステムへと再転換されなければならない。差別的な政策は停止されなければならない。危険にさらされている人々を保護するために国境が開かれなければならない。人々を競争の中に置いたり戦争を誘発したりするのではなく、人的交流を蓄積しなければならない。
われわれは、民衆と医療・介護労働者の自己組織化に中心的な場所を与えなければならない。パンデミックと闘うためのもっとも効果的な対策がもっとも人々に受け入れられるだろう。それらは、医療・介護従事者とともに、民衆自身によって定められるからである。それは、われわれの生命に対する力を取り戻すという問題なのである。
この道筋の中に、その闘争の中に、そして破壊的資本主義に反対し、民主主義とオルタナティブで持続可能な経済政策をめざす抵抗の中に、今日の好ましくない国内力関係を変え、人類のためにエコ社会主義的オルタナティブをより具体化する可能性があるのだ。
(『インターナショナル・ビューポイント』一〇月二一日)
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