歴史的大転換宿す世界 (上)
パンデミック危機は巨万の生命を脅し、地政学的危機をも加速中
2020年6月8日 第四インターナショナル執行ビューロー
パンデミック、経済不況、新自由主義が作り出した構造的格差と抑圧の可視化、世界システムの覇権をめぐる地政学的対立、差し迫った環境崩壊の詳細な未来像……こうしたものすべてが二〇二〇年に一度に起こった。われわれの世代にとっては前代未聞の世界的パンデミックに人間全体が直面したのである。
パンデミックは、世界中で四〇万人以上の死者(六月八日現在で四〇万一千人)を出し、公式に記録された感染者は二一六カ国で六八〇万人以上にのぼった。三月後半、ロックダウンがアジアに波及し始める以前に、三〇〇万人以上の人々が自宅に隔離されていた。
現在の時点で、どの程度まで流行の第二波があるのか、そしてウイルスが突然変異するかどうかを判断するのは不可能である。
医療問題以上のもの
これは長期的に続いている諸プロセスが凝縮した瞬間である。エコロジー危機、新自由主義の限界と格差、古い帝国主義と中国の間でのヘゲモニーをめぐる地政学的闘争といったさまざまなプロセスは、それぞれ相対的に自律的な発展を遂げてきたのだが、いまや爆発的に集中している。一九四五年に形成された世界を構造的に変えつつあるプロセスが生じており、相互に作用し合っている。それは間違いなく歴史の道程における分岐点であり、すべての政治的当事者にとって大きな賭けの瞬間である。
われわれは諸危機の集中点の中にいるが、それは危険に満ちていて、資本主義文明の危機であり、二〇世紀の世界大戦以降でもっとも深刻な危機なのである。これはグラムシが有機的危機と呼んだものである。すなわち、ブルジョア権力のまさにその構造の中に裂け目が現れはじめ、ブルジョア権力による普遍性の主張が崩れはじめる。そして、以前の覇権的主張がその本当の姿―資本主義の安定性を確実にする手段―を白日のもとにさらけ出すのだ。社会的合意は悪化し、資本家の主張はもはや公共の福祉に対応しているようには見えなくなる。「病的症候群」が現れはじめるとともに、政治的分裂が発生し、エコ社会主義的反資本主義者だけでなく、極右にも獲得の可能性がある政治的な空間が開かれていくのである。
われわれが連帯にもとづいた健康政策を提案するとき、その要求が資本主義によって設定された枠組みを超えることは明らかである。われわれの健康は生活環境次第である。それはきれいな空気を呼吸するかどうか、汚染されていない水を飲めるかどうか、高品質の食料を手に入れることができるかどうか、都市が居住に適した環境であるかどうか、などにかかっている。
手短に言えば、それはわれわれが良く生きるかどうか、われわれの賃金が良い生活を保障するに足るものであるかどうかにかかっている。健康は肉体・社会・文化・環境の問題であり、人間的に豊かな生活のための基礎である。資本主義によって生み出された生活状況のもとでは、われわれは社会・文化・環境の面で良い生活を送ることができないために、連帯にもとづく健康政策は資本主義によって設定された限界を超えるのである。
エコロジー危機
森林伐採、資源略奪、資本主義的生産性、エコシステムの破壊、監禁状態での動物飼育の増加、食肉需要の増加によって、ウイルスはより容易に、より頻繁に種の境界を跳び越えるようになった。一九六〇年以降に出現した新たな病気の四分の三は、動物由来感染症である。この中には、エボラ出血熱、エイズ、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、そして新型コロナウイルスが含まれる。貿易のグローバル化はウイルスの急速な世界的拡散を導いた。巨大都市とそれと結びついたスラムの増加は、人間間での伝染のスピードを加速させている。それゆえに、新型コロナウイルスのパンデミックはグローバリゼーションのさまざまな影響の相互作用の結果である。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、二一〇〇年までには世界の平均気温上昇が六℃に達すると予測している。そのことは、大陸域のほとんどや北極海でのそれ以上の気温上昇と著しい海面上昇を引き起こし、熱波、森林火災、干ばつ、洪水、破壊的なハリケーン・台風のような異常気象がますます頻繁に、激しく発生することを意味している。これにより、三五億人の人々が海岸地帯や熱帯地方を含む陸地の一九%から離れざるをえなくなるだろう。気候破局は、それ以外の環境的なティッピング・ポイント(臨界点)(訳注)―生物多様性の著しい喪失、森林伐採、きれいな水の不足―とともに、新型コロナウイルスの影響よりもずっと恐るべき結果をもたらすだろう。しかし、パンデミックは、そうした災厄の世界的犠牲者がどうなってしまうのかをわれわれに教えてくれている。
世界には、アグリビジネスが、パンデミックの瞬間を、自然破壊を引き起こす資本主義プロジェクト推進のために利用している地域がある。これが起きている一つの例はブラジルである。ブラジルでは、今年三月と四月にアマゾン熱帯雨林の伐採が、昨年同時期と比べると二九・九%も増えた。この森林破壊の進行は、アマゾンの諸民族、とりわけ先住諸民族の集団殺戮の進行でもある。先住諸民族はすでに新型コロナウイルスによってもっとも影響を受けている集団の一つなのだ。エコ社会主義組織であるわれわれが、アマゾン熱帯雨林およびパンデミック期間中における先住諸民族の健康の国際的な防衛を繰り返し述べることは必要不可欠なことなのだ!
(訳注:ティッピング・ポイントとは、それまで小さく変化していたある物事が、突然急激に変化する時点を意味する語。環境破壊や地球温暖化に関して使われる場合、それがある地点=ティッピング・ポイントを超えると、不可逆的・爆発的に進行して、取り返しのつかない事態となることを示す)。
地政学的・地理経済的影響
アメリカ合衆国と中国の双方が攻撃的に作り出している二極対立の中で、ヘゲモニーをめぐる議論が明確となり、それは好戦的なものとなっている。
中国は、半世紀にわたって、アメリカ合衆国との戦略的パートナーシップの中で発展してきた。オバマ政権はすでに、二〇一五年に締結した環太平洋連携協定を通じて、その土台を掘り崩そうとすることにより、中国の恐るべき発展に対処しようとしたのだった。しかし、トランプ・プロジェクトによって推進された地政学的再配置の一部として、トランプ政権は二〇一七年一月にその合意を非難し、北京が主導権を発揮できる空間をそのまま残した。北京はワシントンの国家主義的保護主義に直面して、自由貿易と経済グローバリゼーションの旗手としての位置を占めはじめた。
この同盟関係の崩壊は国際社会のすべての領域に影響を及ぼしてきた。それゆえ、アメリカ合衆国とヨーロッパ連合(EU)は、この面から弱体化しつつある。EUはすでにブレグジットによって打撃を受けていたが、もっとも大きなダメージを被ることになるだろう。危機に際してヨーロッパ全体として医療手段を動員できなかったことは、EUに打撃を与えることとなった。つまり、危機がヨーロッパに及んだときに加盟国は協力して行動しなかったばかりか、一方的に国境を閉鎖し、自由な移動を中断し、調整もなしに運輸ネットワークを停止してしまったのである。何週間もの間、イタリアは、フランスや(医療用品や設備の輸出を停止した)ドイツのような近隣諸国からも、EUレベルにおいても、いかなる援助も受け取ることがなかった。備品供給に関しては、中国がもっと多くをおこなった。キューバはアメリカ合衆国による犯罪的な封鎖にもかかわらず、二〇カ国以上に医療団を派遣した。
スペイン、ギリシャ、イタリアのような債務国は、二四〇〇億ユーロのパンデミック危機特別支援枠をもつEFSM(ヨーロッパ金融安定化メカニズム)の方に誘導されている。このメカニズムは、借金と引き換えに、緊縮政策や公共サービス削減を強制するのである。
アメリカでは六月初めには四千万人が失業手当を申請し、(IMFによると)年末にはアメリカ経済の減少幅が五・八%にまで達すると予想されている。社会危機(と現在進行中の人種差別に抗議する反乱の波)を背景として、アメリカでは一一月に選挙が予定されており、それは国内および国外の政治状況の道筋を示すものとなるだろう。
トランプは(詐欺行為を含む)すべての可能な手段を用いて、再選をかちとろうとするだろう。しかし、彼の目標は達成困難である。国民の半数の間での彼の威信は大きな影響を受けている。アメリカにおける現在の急進化した広範な動員の爆発は、歴史的な社会的・人種的格差、新たな世代によって蓄積された政治的不満と経験、(黒人コミュニティに対してより大きな影響を引き起こした)トランプ政権によるパンデミックへの破滅的な対応という状況の中で発生している。
より貧しい国々では、人々は健康被害と経済的影響の両方に同時に直面している。ブラジル、ペルー、チリ、メキシコでは、感染者数が実際に増加している。ブラジルでは、医療専門家は六月に新型コロナウイルスの感染爆発が起こると予見しているが、それはボルソナロの犯罪的行動によって増大している。ブラジルは急激に悪化しつつある医療危機と経済不況・深刻な構造的危機とが結びついている。ボルソナロはさらに孤立を深めているが、彼のファシスト・イデオロギーという基本的支持基盤に訴えかけている。彼は国家警察、軍隊、武装集団に支援され、あからさまな独裁的方法で支配するために議会と最高裁判所を閉鎖している。
アフリカと中東においては、医療システムは最悪のレベルにあり、それは戦争状態によってさらに悪化している。病人数が少ない中でも、エピデミックのリスクが既存のリスクに加重されている。アフリカにおいては、たとえば、二〇一八年にマラリアによって三八万人、結核で六〇万七千人、栄養失調で二~三百万人が死亡した。
各国人民は、より強化された緊縮策、低開発・食料依存・債務の深刻化、多国籍企業・国内大企業による経済・資源支配に深刻に直面するだろう。これらはアラブ地域での革命的プロセスの引き金を引いたのと同じ要因であり、新型コロナウイルス後の新しいサイクルにとって新たな原動力を与えるだろう。
V字型回復が起こるかはまったく不確かなため、資本家グループや政府はより攻撃的になりがちである。資本主義が打倒されない限りは、さまざまなより良い「次の世界」は単なるユートピアになるだろう。「次の世界」はより不平等にさえなるだろう。反資本主義的オルタナティブのための闘いはますます緊急のものとなっているのだ。
新自由主義的モデルの危機
この危機はグローバリゼーションにその根拠を持っている。以前からある危機はすべて、このパンデミックの後には深刻化しているだろう。その上、新型コロナウイルスは、(バリュー・チェーンを通じた、そして被支配国の生産を大企業集団の利益に適応させることを通じた)最大価値の追求や成長とはほとんど無関係な利益率の追求に深く規定されているグローバル化した資本主義生産システムのもろさを暴露した。にもかかわらず、次の数カ月間における資本家の目標は、できるだけ早く「いつも通りのビジネス」を推し進めることなのである。
ここ数年で、グローバリゼーションと緊縮政策を強調することの限界はすでに明らかになっていた。二〇〇八年の金融危機以降、主要中央銀行は、アメリカ連邦準備制度、ヨーロッパ中央銀行、イングランド銀行を含めて、経済システム全体を持ちこたえさせるために巨額の資金を民間銀行に注入した。同時に、実質ゼロ金利あるいはマイナス金利にすることで、各国と資本主義企業の負債額はアメリカとヨーロッパの両方で急増した。
銀行やそれ以外の部門の資本主義大企業は、中央銀行が豊富に分配した財政手段を生産的投資には使わなかった。それらは金融資産を取得するために使われたのである。このことによって、株式市場、債券市場(たとえば債務の債権化)、そしていくつかのところでは不動産部門において、投機的なバブルが作り出された。すべての大企業はこの危機の当初において過重債務状態となっていたのだ。
深刻な社会危機
新型コロナウイルスは、生産・製品輸送・需要の急激な中断という影響を与えた。
パンデミックによる打撃が比較的小さな地域でさえ、たとえばアフリカ(六月七日現在において五一二五人の死者、そのうちアルジェリア・カメルーン・エジプト・モロッコ・ナイジェリア・南アフリカ・スーダンだけで三五〇〇人以上)においてさえ、中国での危機やアメリカ・EUの危機が経済・社会レベルでの深刻な影響をもたらしている。世界食料計画は二〇二〇年一年間に、深刻な食料不安が憂慮される人々の数は、とりわけアフリカと中東において倍増すると予想している(二〇一九年には戦争と気候変動のために一億三五〇〇万人が食料不安に陥っていた)。
この危機の影響は、いくつかの国における労働者階級のもっとも貧しいセクターに飢餓の亡霊を呼び戻している。この中にはとりわけ、労働世界から排除されている人々、あるいはまったく労働権を持たないまま不安定なやり方で労働世界に参入している人々、いつも民族的・社会的条件によって排除されている特定の人種の人々が含まれる。
それが、飢餓と闘うための階級連帯の呼びかけを組織しようとする社会運動のイニシアチブが決定的に重要である理由であり、そのイニシアチブが貧しい地域における政治組織にとっての能力に直接的影響を与える理由である。(とりわけブラジル、アメリカ、ヨーロッパにおける)黒人コミュニティや移民コミュニティによる運動が、こうしたイニシアチブを主導してきた。そのことはパンデミックに対する大衆的抵抗を組織する上で決定的役割を果たしている。
食料生産は、現在では、各部門で支配的な一握りの大企業の手に集中している。生産されているものの多くは人間の健康にとってかなり有害である。安価で満腹感を得られるため、ジャンクフードは貧困層にもっとも悪影響を及ぼす肥満や病気の大きな原因となっている。
労働者の雇用と生活条件劣化
労働者階級(われわれはその中に貧しい農民を含めている)は、直接的には死者の数によって、間接的にはレイオフ、雇用喪失や活動停止、賃金カットによって、新型コロナウイルスの主な犠牲者となっている。
たとえばアメリカ、ブラジル、フランスでの最初の研究によれば、どの研究においても、民衆諸階級が新型コロナウイルスによる死者という点で主な犠牲者となっている。ILOの推計によれば、三三億人におよぶ勤労人口のうち、五分の四以上が労働現場の全面的閉鎖、あるいは部分的閉鎖によって影響を受けてきた。アメリカでは、四月に二千万人の雇用が失われ、三月からの新たな失業保険申請は三千万人にのぼった。イギリスでは、三月一六日から三一日までの間に九五万人の失業保険新規申請があったが、これはいつもの一〇倍に達するものだった。ヨーロッパでは、短時間就業の割合が急増した。ドイツでは、五〇万社近い企業が三月に短時間就業を採用した。これは二〇〇八年金融危機後の一カ月間の二〇倍以上になる。
アフリカ、ラテンアメリカ、アジアでは、仕事場のかなりの部分はインフォーマル経済の中に存在している。それはインドでは九〇%にも及んでいる。こうした「正規のルートによらない」労働者は、新型コロナウイルスで収入を失い、実質的に社会的保護を受けておらず、失業手当の対象でもなく、医療サービスもほとんど利用できないでいる。
多くの国々で、こうした労働者のかなりの部分は移民であり、農村部から都市へと流入した国内移民(インド、アフリカの多く)か、あるいは他の国からの移民(湾岸諸国ではアジアから、アメリカでは南アメリカ・中央アメリカから、など)のどちらかである。こうした労働者は、経済破壊だけでなく、レイシストによるスケープゴートにもされるという意味で二重に弱い位置にある。
ILOは、世界中で一六億人の人々―世界のインフォーマル労働者の四分の三にあたる―が、第二四半期に自らの生活手段を失うリスクがあると予想している。ILOの推計では、世界の労働時間の六・七%が第二四半期に失われ、これは一億九五〇〇万人のフルタイム労働者が週四八時間働くのに相当する。このうち、一億二五〇〇万人分はアジアで、二四〇〇万人分は南北アメリカで、二〇〇〇万人分はヨーロッパで失われるという。アフリカ連合による調査によれば、二〇〇〇万人の雇用がアフリカ大陸で失われ、債務が増加するとされる。
差別は一段と悪化させられた
一般的に言って、労働者階級の中でもっとも不安定な人々がウイルスによって直接・間接に一番大きな影響を受けた。ニューヨークでは、ブロンコスに住む黒人であり、アメリカ全体ではネイティブ・アメリカンであり、黒人である。パリ地区では、セーヌ=サン=ドニ県に住む特定の人種の人々であり、ブラジルではスラム(ファベーラ)の黒人である。インドでは、街頭で暮らしたりスラムに住んだりする人々の相当部分がムスリムであり、彼らはモディ首相が非常に急いで、残忍なロックダウンを強制したとき、地主や州当局によってただちに追い立てられた。その結果、人々の巨大な移動が生み出された。フィリピンでは、七万人以上の海外出稼ぎ労働者が、パンデミックの結果として帰国せざるをえなくなるだろうと推計されている。この中には建設現場で働いていた人々もいるが、多くはクルーズ船を含む接客業で働いていた。
こうした人々はすべて、より高い罹患率、より不安定な食料・居住状況、働き続けるためにあちこちを動き回る必要性の犠牲者だった。
ヨーロッパ、アメリカ合衆国、カナダ、ラテンアメリカ、インド、中国、中東では、女性に対する暴力とフェミニサイド(男性による女性の殺人)がそれ以前と比べると三〇%から一〇〇%も増加した。
アメリカ合衆国、カリブ海沿岸地域、南アメリカ(とりわけブラジル)では、アフリカ系の人々が、その大多数が貧困な状態にあることを考えると、パンデミック、失業、インフォーマル部門からの収入の喪失、国家による暴力でもっとも被害を受けている。
すべての国外退去させられた人々、難民、シリア人、パレスチナ人、ウイグル人、バングラデシュのキャンプにいるロヒンギャの人々はこの状況によってさらに大きな影響を受けている。
アラブ湾岸諸国では、南アジアからの何百万人もの移民労働者が、仕事や収入がないもっとも不安定な状況に置かれている。
貧しい家庭出身の生徒や大学生は、教育機関が物理的に閉鎖され、コンピューターやインターネットへのアクセスを全員に保障するという動きがないままに授業がオンライン化されたことによって大きな被害を被ってきた。もっと年少の子どもたちにとっては、特に家庭環境において十分な支援がないことによって、被害を受ける可能性が高い。
民主主義的自由への攻撃も助長
多くの国が緊急事態を封じ込めるという観点から、民主的権利に対する規制を導入してきた。多くの国において、特例法が制定され、反対する者は逮捕されている。たとえばフィリピンでは、ドゥテルテ大統領が新型コロナウイルスを人民管理の抑圧政策を拡大するために用いた。同じことが香港でも起きている。北京政府は民主的権利への新たな制限を導入しつつある。ラテンアメリカでは、たとえばブラジル、チリ、エクアドル、ボリビアでこうした例が見られる。多くの国では、実行されている抑圧・管理措置は、新たな追跡技術や監視技術をともなう新たな政策手段を実験する機会となっている。
明らかに、その目的はこれらの手段を永続化させることにある。資本主義的政策がもたらしたさまざまな結果に反対する数多くの動員があったあとで、新型コロナウイルスが多くの国に達したので、ますますそうなっているのだ。たとえば、香港、アルジェリア、チリ、フランスがそうした例である。社会的に不公正な状況を拡大させたために、支配階級は当然にも社会的動員の再燃を恐れているのだ。
それでもやはり、新型コロナウイルスにもかかわらず、すでに香港では人々が北京政府の反民主主義的な法律に反対して街頭に出ている。ブラジルでも広範な運動がボルソナロの弾劾を要求して組織されつつある。われわれは次の数カ月間において多くの社会的・政治的動員が起きることを予期できる。
ミネアポリス市警の警官によってジョージ・フロイドが処刑されたことに反応したアメリカでの現在の爆発は、トランプの対ウイルス政策によって黒人コミュニティがより大きな影響を受けている中で、そして「黒人の命は大切」運動が展開されているという状況の中で起きている。
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