第17回世界大会決議

ホンジュラス出身の先住民活動家、エコロジスト、フェミニストであり、二〇一六年三月三日に多国籍企業の手下に暗殺されたベルタ・カセラス、および環境正義を求める闘いにおける殉教者を偲んで

1.序章

1.1. 人間が地球システムに及ぼす圧力は、一九五〇年代以降さらに急速に高まってきている。地質学者は、われわれがいまや新たな地質学的時代、つまり人新世にいると考えている(訳注:「人新世」とは、人間が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった、一八世紀後半の産業革命以降の時期を指す)。二一世紀初頭には、それはきわめて警告すべきレベルに到達した。そして、ほとんど全ての領域において高まり続けている。限界値はすでにいくつかの領域において超えられており、とりわけ大気中の温室効果ガスはそうである。この増大しつつある量的圧力は、あらゆるところ、ほとんどの分野で突然に(数十年以内に)大部分は不可逆的になりうる質的転換へと導いている。地球システムは、その後、非常に異なった地球物理学的状況と生物多様性の一層の減少によって特徴づけられる新たな動的均衡の状況に入るだろう。少なくとも、この新たな状況への移行は、他の生物種に対して及ぼす結果だけでなく、数億人の貧しい人々、とりわけ女性、子どもたち、高齢者の生命を危険にさらすことになるだろう。最大限、それは人間という種の崩壊の原因となる可能性がある。

1.2. その危険性は日々増加している。しかし、破局は回避することができるし、少なくとも限定し抑制することはできる。脅威の決定的要因であるのは一般的な人間の存在ではなく、この存在の生産様式・社会的再生産様式なのである。それはまたその分配・消費・文化的価値の様式も含んでいる。約二世紀にわたる暴力的様式、つまり資本主義は持続不可能である。なぜならば、その原動力である利益追求競争は、なりふり構わず限度のない量的成長を目指す傾向を含んでいるからである。二〇世紀の間、「現存する社会主義」諸国は、生産第一主義による環境破壊に対するオルタナティブを提供することができなかった。それら諸国も重要な方法で環境破壊に貢献していたのだが。二一世紀初頭に、人間は、これまで自らの発展を包容してきた環境の制約と安定に適合させるために、あらゆる分野において自らの発展を制御する義務に直面している。いかなる政治的プロジェクトも「地球変動」についての科学的研究の結論を無視することはできない。逆に、あらゆる政治的プロジェクトの評価にあたって、まず、それがもたらすリスク、それに伴う全体的な反応、それらの反応が人間の尊厳のための根本的な要件に適合するかどうか、そしてそれらの要件が他の領域、特に社会的・経済的領域におけるプログラムで明確にされているかどうかを考慮しなければならない。

2.一方における根本的なエコ社会主義的オルタナティブの緊急性と他方における力関係および認識レベルとの深いギャップ

2.1. 人間と自然との間の全く異なった関係は緊急に必要なものである。この新たな関係は人間と自然との両方にとっていたわりのあるモデルに基づくもので、単に個人の行動における変化の結果ではないだろう。むしろ、それは人間相互の関係における構造的変化、つまり社会的存在の生産様式としての資本主義の全面的・世界的廃絶を必要とする。この全面的廃絶は、実は人間と自然の他の部分との間の物質交換を合理的・経済的に分別をもって管理するための必要条件である。科学と技術はこの管理を促進することができる。しかし、それらの発展が資本家の利益という命令に従属していないという条件の下においてのみだが。農村部と都会との間での二分状態は、エコ社会主義的意識の発展を難しくする。都市、とりわけ巨大な都心部は、生物多様性を文字通り食い尽くしている。共通資源の管理および人々と共通資源との関係?都市の住民は自分たちが消費する水や食べ物がどこから来るのか、誰がどのような条件の下で作っているのかを知らない?の双方で疎外状態がある。

2.2.  地球温暖化の危険値を一.五℃と定めたCOP21の決定は成功であり、運動を助けるものである。にもかかわらず、グリーン資本主義やパリ協定は、一般的には環境破壊の危険、とりわけ気候変動否定論の危険を取り除くことはできない。オルタナティブは、真の人間的必要を満たす世界規模の政策からのみ可能となる。何が必要かは市場によってではなく、人々の尊厳を自らの手に取り戻し、市場による疎外からの解放を可能とする民主的な討論によって決定される。このことにより資本主義に特有の生産第一主義的蓄積の非人間的論理を壊せるだろう。

2.3. このオルタナティブの鍵となる要求は以下の通りである。

1- エネルギー部門の社会化:これは化石エネルギー経済から抜け出し、核エネルギーを停止させ、エネルギーの生産・消費を劇的に減らし、エコロジー的・社会的責務にもとづいて再生可能で非集権的な効率的エネルギーシステムへの可能な限り速やかな移行を認める唯一の方法である。

2- 信用部門の社会化:これは巨額の長期投資の中に、エネルギー部門と金融部門が入り混じっていることを考えると、また、移行への投資のために必要な金融資源を確保するためにも必須である。

3- 自然資源(土地・水・森林・風・太陽光エネルギー・地熱エネルギー・鉱物資源など)および知的認識の私有の廃止

4- 貯蔵された全ての武器の廃棄、(武器など)不用な、あるいは有害な製品(石油化学製品、核エネルギー)の禁止、交換価値ではなく民主的に決められた使用価値を持つ製品の生産。

5- 人間にとって真に必要なものに活用でき、優れた機能とエコシステムによる再生可能能力に敬意を払うような資源の公的で民主的な管理。

6- ジェンダー・人種・民族・宗教・性的嗜好にもとづくあらゆる形態の不平等や差別の禁止。全ての非抑圧者の解放、とりわけ女性と有色人民の解放。

7- 余暇を破壊し、商品化されていない人間的活動を妨げるような、疎外カテゴリーとしての商品生産のために強制された労働時間の撤廃。

8- 都市と農村の人口を再均衡させ、都市・農村の対立を克服することを目的とした非常に長期的な社会・経済政策。

2.4. 客観的に必要なオルタナティブと社会的力関係や最近の意識レベルとの間には深刻なギャップがある。このギャップは、搾取され抑圧されている人々の生活条件と環境を守る具体的な闘いによってのみ埋めることができる。当面の要求を勝ちとることによって、広範な諸階層が急進化し、彼らの闘いが一つにまとまるだろう。そうした闘いが資本主義的論理と相容れない過渡的要求を定式化するだろう。

この戦略的な枠組みにおける鍵となる要求のいくつかは以下の通りである。

1- 化石燃料部門からの投資引き上げ:化石エネルギーやその燃焼に基づくプロジェクト開発への補助金停止。近年世界で支配的なエネルギー部門での官民連携に反対すること。

2- 資源略奪プロジェクト?特にシェールガス(フラッキング)のような新たな石油開発や(空港、高速道路など)化石燃料関連サービスへの大規模で不用な投資?に反対する動員。

3- 核エネルギーの停止。石炭・タールサンド・褐炭の開発に終止符を打つこと。(これら三つの要求は、気候災厄に対して動員するというわれわれの意思を表現する「石油を地中に、石炭を穴の中に留めておけ」というスローガンを用いた運動の中で提起することができる)

4- 持続可能な環境に関する大衆的な教育プログラムへの支援。

5- 資本家による土地・海洋・資源のいかなる私有の拒否。

6- 生殖能力に関する女性の決定を犯罪と見なそうとするあらゆる試みに反対する闘いをはじめとした女性の権利の防衛。要求にもとづく妊娠中絶と避妊の自由。その費用は社会安全・医療システムから支払われる。若者・病人・高齢者の介護を非女性化・非個人化すること。これらは社会的責任である。

7- ファーストネーション/先住民の自己決定権の承認。先住民のエコシステムに対する知識や持続可能な管理の承認。

8- 難民に環境災厄・気候災厄の犠牲者としての地位を与えること:難民に対して移動と居住の自由を含む民主的権利を充分に尊重すること。

9- 全ての個人に対して保証された社会的安全システムを確立すること。その中には適切な年金を含めること。

10- 多国間・二国間自由貿易協定の廃止:GATTからエコロジー技術を除外すること。

11- グリーン基金を債務ではなく供与するという約束(年1,000億ドル)を尊重すること。世界銀行によるのではなく、共同体と社会運動の監督のもとで、南の諸国の代表によるグリーン基金の公的管理。

12- 国際的な航空輸送・海上輸送への課税:この税収入は、環境債務の(部分的)補償として、直接に南の諸国に送られるべきであり、この税率は定期的に上げるべきである。

13- 南の諸国に対する環境債務の承認。(小規模所有者を除いて補償なしに)不公正で持続不能な発展モデルを押し付けるために帝国主義によって使われた公的債務の廃止。

14- 金融取引への課税。資本所有者やその相続者が移行のための資金を出すような再分配財政改革の実行。

15- 特許制度の廃止。とりわけ生命にかかわる特許およびエネルギー転換・貯蔵に関する技術特許の全面的停止。先住民のもつ先祖伝来の知識の盗用、特に薬品会社による盗用を終わらせること。

16- 公的研究の再組織:研究の産業への従属をやめさせること。

17- 食料主権の促進。農業改革による生物多様性の保護。

18- 遺伝子組み換え作物や除草剤を使わないエコでローカルな農業の配置。それを公共財として承認すること。

19- 工業的家畜飼育の廃止:食肉の生産・消費を強力に減らすこと。動物の幸福の尊重。

20- 広告の禁止。リサイクル・再使用・縮小の制度化:資本によって押し付けられた消費第一主義で浪費・エネルギー消費型モデルを終わらせること。

21- 基本的な必要に応じたエネルギー・水の無料提供。この限界値を超えた場合、基本的なアクセスを確保した上で浪費に対して闘うため、使用量に応じて強い累進課税を課すこと:無料の製品(基本的な食料品)や無料サービス(公共輸送・教育・医療など)の配分を拡大するための戦略を開発すること。

22- 移行の枠組みの中で閉鎖されることになる企業の労働者に対して、持続可能なインフラを建設するのに必要とされるオルタナティブな生産を提案する権利を保障すること。もし、その計画が非現実的であることがわかれば、労働者が再訓練・新たな仕事・引退を選べる社会的権利を保持すること。

23- 労働者と市民の監督のもと、利益に関係なくエコロジー的移行を実行することを通じて、仕事を生み出すような公共企業を発展させること(とりわけ次の分野において:発電、水の管理、建物の建造・分離・修理、「自動車」システムからの離脱を通じた人々の移動性、廃棄物のリサイクル、エコシステムの回復)。

24- 労働現場における、特に、職場の衛生・生産の持続性・生産効率などに対する監督を組織・行使する労働者の権利の保障。内部告発者の保護。

25- 賃金削減を伴わない、より低い労働密度での労働時間の削減。(特に、若者・女性・マイノリティの)比例的雇用の実現:公的部門の発展とともに、これが商品生産・エネルギー消費の減少と完全雇用・民主的移行とを調和させるための最善の方法である。

26- 土地投機をやめ、(共同体ガーデニングと都市農業を促進し、都市の枠組みの中に組み込まれた小生活圏を復活させることを通して)都市を「非人工化」し、公共輸送および(徒歩・自転車専用地域を拡大して)ソフト・モビリティを支援することで都市を自動車から解放することを目的とした都市地域の改革。

27- 戦略地政学的な目的のために、皮肉にも災厄を利用しようと考える大国が気候問題を軍事化することへの非難。

2.5. このプログラムは完全なものではない;それは具体的な闘いによって豊富化されているし、豊富化されるだろう。エコ社会主義的観点からすれば、この豊富化は、以下のような公正な移行における重要な手がかりによって導かれなければならない:環境的・社会的公正さ、共通だが差異のある責任、不平等に反対し生活条件の改善をめざす闘い、グリーン植民地主義と環境レイシズムを終わらせること、協同的解決策・国際主義・予防原則を優先すること。結局のところ、搾取され抑圧されている人々は、民主主義、非集権化、コントロール、公共財の協同所有・再所有による権限強化を発展させなければならない。何が公共のものかは、それを民主的に創り上げる社会的プロセスによって定義されるのであって、自然が「公共財」と私的所有物とをあらかじめ分けて作っているのではない。

上記の要求はそれゆえ宅配の解決策ではない:それらは、行動(生産・再生産・分配・消費)のあらゆる領域を変革し、文化的価値観の顕著な変化とともに達成されるような、反資本主義・国際主義・エコ社会主義・エコフェミスト的な展望に向けて前進する一般的な方法を示唆する。要求は別々に適用できるが、危機を終わらせることは統合された計画的な適用によってのみ可能である。これらの方策は全体として密接に結びついており、資本主義システムの通常の機能とは両立しえない。状況の緊急性を解決しようとするなら、他の方法はないのである。

3.賃金?労働・疎外・エコ社会主義

3.1. 搾取され抑圧されている人々だけが、環境を守る闘いを終わりに導くことができる。なぜならば、資本主義システムの廃絶は彼らの階級的利害に合致しているからである。にもかかわらず、資本は労働力を購入することによって、労働者を組み込んでいる。商品化と環境破壊はその結果である。資本主義的生産様式の「通常の」環境のもとでは、プロレタリアートの日々の存在は、労働者を直接的に、あるいは労働者の環境を傷つけることで間接的に骨抜きにするそのシステムの機能に依存する。この矛盾は、環境保護の闘いに労働運動を動員することを非常に困難にするとともに、決定的に重要にもしている。現時点では、大量失業、労働と資本の間の力関係の悪化をともなう経済を構造改革することを考えると、この困難は増加してきた。あるセクターは保護主義的な立場に、実は気候変動の否定に傾いている。実際のところ、ある場合には、気候防衛が資本家の攻撃の口実に使われているし、労働組合主義者は、この現実を疑うことによって、化石燃料部門での雇用破壊を防ぐことができるかもしれないという幻想を持っている。したがって、エコ社会主義的オルタナティブの議論を促し、左翼による階級協調との決別を発展させるのを手助けすることは、第一義的な戦略的重要性を持つ任務である。
地球を守り、地球温暖化と気候変動に反対する闘いには、先住民運動や労働運動だけでなく、近年強化され急進化してきたし、とくに気候運動の中で役割を増大させてきた社会運動をも含む可能な限り広範な連合が必要である。

3.3. [労働組合の]左翼的セクターは、「エネルギー民主主義を目指す労働組合」「持続可能性を目指す労働ネットワーク」「気候雇用キャンペーン」などで、環境を守る闘いに参加している。これらのイニシアチブは、労働組合や組合員に大規模に職が失われるという恐れを解決すると約束する。重要な労働組合のイニシアチブの全ては、化石経済から抜け出す責任が、汚染企業と企業を保護し、補助金を出している政府にあると考える。そのようにして、労働組合の左翼セクターは、労働者が環境危機の深刻さに直面しているときに増幅され、統合されうる反資本主義的要求を展開する。たとえば、「エネルギー民主主義を目指す労働組合」は、エネルギーの社会化を擁護する。「公正な移行」という要求は、化石燃料の使用をやめることが必要であるという意識の表現であり、脱炭素化のコストを労働者が支払うことを拒否することを表現するものだ。親資本主義勢力が「企業の競争力を尊重する」という枠組み(ITUCのバンクーバー会議における「公正な移行」についての決議)の中にとどまることを主張して、これらのキャンペーンが急進化するのを制限しようとすることは明らかだ。さらに、気候雇用をめざすキャンペーンは、移行によって雇用が「増大する」ことに関して、ときには余りに楽観的な予測に基づいている。持続可能性は、生産を削減する必要性を創り出すのだが、この点を必ずしも考慮に入れてはいない。武器製造から石炭火力発電所に至るまで、有害な産業を閉鎖すること、そして自動車製造を大規模な公共輸送システムの生産と維持に転換することは移行における優先的方策である。そして実際のところ、移行は他の部門における雇用の増大を創り出すだろう。たとえば、環境優先の農場を擁護してアグリビジネスを廃止すること、そして民主的統制のもとで公共部門や共同体部門を発展させることは再転換のための可能性を提供するだろう。

われわれはまた、次の事実を考慮に入れなければならない。つまり、社会的必要に応じて行動を再組織することや不平等の削減が、特定の地域に限定されない目標であるという事実である。それらはグローバルな目標であり、南の諸国に課せられた損失を補填するための新たな雇用を含んでいる。しかし、物質的生産の世界的削減は必要である。労働者運動は、賃金喪失を伴わない労働時間削減を要求することで、これに答えを与えなければならない。労働時間の劇的な削減は「ずば抜けて優秀な」反生産第一主義的な要求である。それは「同時に人間の尊厳を尊重しながら、自然との物質交換を合理的な方法で管理する」最善の方法であるとともに、完全雇用と不用な浪費的生産および計画された陳腐化の禁止を調和させるものである。

3.4. 資本と労働との間の力関係の悪化は労働条件の悪化を招いてきた。もっとも不安定な労働者の健康は特に危険にさらされている。このように、職業病の増加に対する闘いは、資本が地球と労働者の両方を破壊しているという事実に対する労働者の自覚を高めるテコとなっている。この破壊は心理的社会的リスクの高まりを含んでおり、労働者を組織・監督する形態に起因するだけでなく、多くの労働者が資本の命令によって認識せざるをえなくなっている環境的ダメージにも起因している。労働者の健康を守ることはまた、しばしば困難ではあるが、汚染企業の労働者、この汚染から被害を受けている周辺の住民、環境保護運動による要求を一致させるテコでもある。アスベスト問題によって明らかになったことは、汚染工場の労働者、労働者の家族、地域社会が、彼ら/彼女らをこうした有毒生産物にさらしている冷淡なボスたちの犠牲者であるとき、激しい闘いが展開されうるということだった。

4.女性の闘いとエコ社会主義

4.1. 先住民、農民、若者は、環境保護の闘いの最前線にいる。そして女性はこれら三つのセクターの中で指導的役割を果たしている。この状況は、非本質主義的エコフェミニストが明らかにしたように、生物学的な性の産物ではなく、彼女らに特有の抑圧による産物である。家父長制は女性に対して「介護」と直接に結びつけられた社会的役割を強制し、女性を環境保護運動の最前線に立たせている。女性は南の諸国で食料の八〇%を生産しているので、直接に気候変動とアグリビジネスの惨害に直面している。女性は育児や家庭維持の仕事のほとんどを担っているので、直接に環境破壊の影響や彼女らの共同体の健康・教育への悪影響に直面している。

4.2. イデオロギー的レベルでは、女性運動は、女性の身体がいかに科学の名のもとに使われてきたか(強制不妊キャンペーンなど)を記憶している。道具主義的観点は支配と操作のもう一つの道具だった。

4.3. 女性の闘いはまた、闘いの統合に有利に働く、世界的な反資本主義的意識の発展に対して、特別で価値のある、かけがえのない貢献をしている。国連によれば、あらゆる種類の現代的な家族計画の方法を世界で少なくとも三億五千万ものカップルが利用できないでいる。二億二千万人以上の女性が基本的な生殖サービス?それによって生と死を分けうる(しばしば現実に分けている)?を受けられない。七万四千人の女性が毎年、グローバル・サウスにおいて不均衡に多く行われている闇中絶の失敗によって命を落としている。毎年、約二八万八千人の女性が妊娠や出産に関わって、避けうる要因で死んでいる。そしてその九九%が発展途上国で起きている。女性の身体を家父長制的に私物化することに反対し、無償家事労働の搾取に反対して闘うことによって、資本主義が自然の私物化、賃金労働を通じた労働力の搾取だけでなく、介護労働や労働力再生産という見えざる家父長制をも当てにしていることを女性は認識するようになる。これら三つの資本主義の柱に加えて、四つ目の人種にもとづく搾取が加わる。これら全ては、労働力もその一部である自然資源の私有という共通の特徴を持っている。(1)自らの身体、セクシャリティー、生殖能力をコントロールする権利を守り、(2)賃金労働市場および一般的には生産における性差別や人種差別に反対し、(3)家事労働の社会的認知と再組織を求める女性の闘いは、そのようにしてエコ社会主義的闘いの不可欠な一部である。女性の闘いは、解放の地平を深め、拡大する。

5.農業問題とエコ社会主義

5.1. 世界中で、農民・土地なき農民・農業労働者は、一般的には環境を守る闘い、特に気候を守る闘いにおいて、もっとも熱心な社会セクターである。この前衛的役割は、資本による野蛮な攻撃に起因する。資本は独立小農民を消滅させ、農業労働者・下請け労働者・(賃金に圧力を変えるために)失業者に置き換えることを望んでいる。工業的農業システムは、地域住民のために質のいい食料を生産するよりも、市場向けに低いコストで安価な商品を生産する。ビアカンペシーナのような農民組合は、組織的な意識向上の仕事を遂行している。その中には、土地を持たない人々が放棄された土地を占有するのを助けることも含まれる。

5.2. 賃金労働者とは異なり、小規模農民は資本に組み込まれてはいない。市場向けの生産は、農民に対して、生産第一主義的な目標と方法を押し付ける傾向にあるが、小規模農民は熱心に「よい仕事」をするという職人気質を持ち続けている。強力な資本主義者による敵対にも関わらず、小規模農民は、自分たちの生産手段の所有権を保ち、再所有するために結集している。しかし、アグリビジネスや大規模流通業者と直面すると、力のバランスが不利なために、他の社会運動、とりわけ賃金労働者や環境保護運動との連携を求めざるをえなくなっている。農業労働者、とりわけ超過搾取されているビザを持たない移民季節労働者には、賃金労働者のきわめて不安定な最底辺から抜け出る展望がほとんどない。雇用主の脅迫や抑圧にもかかわらず、組合を結成して、賃金と労働条件の改善を勝ちとった農業労働者も存在する。彼ら/彼女らの闘いは明らかに反資本主義的である。

5.3. 農業問題の重要性は、労働力における農民の割合だけで判断されるべきではなく、次の五つの明白な事実に基づくべきである。

5.3.1. 工業的農業・漁業生産様式は、人間の健康(肥満、心臓病、アレルギーなど)と環境保護にとって中心的で決定的問題である。それは資本の破壊力をあらわにする。消費者が態度を変えたからといってエコロジー的移行が実現するわけではないが、食料消費における選択は農業の新たな方向づけを支援することができるし、重要なエコロジー的影響を与えることができる。食料主権」の要求は、多国籍企業が食料を人民の闘いに対する武器として使用することをより困難にする。それは、反資本主義的意識を高める実践に基づいて、消費者と生産者を団結させることを可能にする。

5.3.2. 女性は、いわゆる「途上」国における農業労働力の四三%を占め、農業生産において重要な役割を果たしている。家父長制的差別は、農場規模や家畜飼育規模がより小規模なこと、機械化レベルが低いこと、(生産とは関係のない雑用だと考えられているもの、たとえば水汲みや薪集めの負担によって)収量が少ない割には仕事量がよりきついこと、訓練や金融へのアクセスがより少ないこと(しかしマイクロクレジットでは男性よりも重要な役割を果たしているが)などに反映されている。女性農民が女性として解放されることは、食料主権への挑戦とエコロジー的農業を推進する上で決定的条件の一つである。

5.3.3. 全体としての農業・森林セクターは、温室効果ガス排出の四〇%以上に責任がある。アグリビジネスもまた、生物圏汚染の重要な担い手である。その一方で、アグリビジネスによる工業的漁業や水質汚染は、水中環境における生物多様性喪失の主要な決定要因である。同時に、温暖化は土地の生産性を脅かし、CO2濃度の上昇が引き起こす酸性化は、水中のエコシステムの脅威となっている。

5.3.4. 主に自然保護区を創ることではなく、エコロジー的農業の発展によって、生物多様性の喪失は止められるだろう。さらに温室効果ガスの排出をゼロにまで削減することでは、もはや気候変動を抑制するのに十分ではない。きたるべき数十年間において、炭素を大気中から取り除かなければならない。利益の論理を前提とすれば、資本はジオ・エンジニアリングのような危険な技術や「エコシステム・サービス」の全面的私物化によってしか対応できない。小規模農業や合理的な森林(林業)は、社会的公正を尊重しつつ、この除去を効果的に安全に達成する唯一の手段である。このように生物多様性と気候の保護は、エコ社会主義的オルタナティブをめざす必要性を補強する。エコロジー的農業の決定的役割は、この全般的オルタナティブにおいて物質的基盤となる。

5.3.5. 環境にやさしい農業(漁業・林業)への移行は、エコ社会主義的社会を建設するための重要な条件である。この側面は生産者民主主義や一〇〇%再生エネルギーの使用と同じくらい重要である。しかし、環境保護型農業は工業的農業よりも労働集約的である。持続可能な林業への移行やエコシステムの回復/保護は、これらの行動に使われる人口比率の増加を必要とする。この挑戦に対する答えは、農業取引の改良、労働者の訓練、農村地域におけるインフラや個人サービスの整備、都市農園の建設といった長期的政策を必要とする。

6.先住民、ブエン・ビビール、エコ社会主義

北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアにおいて、先住民は最前線に立っている。先住民の闘いはしばしば農民や農村共同体の闘いと結びついているが、固有のものである。先住民は、自分たちが形成してきた、生活手段でもある環境との直接的な関係から、自分たちの社会的な生活を創り出す。結果として、先住民は、自然資源を略奪しようとする多くの資本主義プレーヤー、つまり石油・天然ガス・鉱山・木材・パルプ・食肉の多国籍企業、アグリビジネス、製薬会社、森林のエコロジー的守護者を装ってカーボン・オフセットに融資する者たちを阻んでいる。全ての資源略奪者は、一般的に政府や自治体と共謀して行動する。彼らは、先住民に対する強欲で新植民地主義的な侮蔑を隠すために、開発目標と環境保護の必要性に訴える。彼らとしては、先住民には一般的に先住民の暮らす環境の所有権や資源に対する法的権利がないのだ。先住民は、追い出しに対して闘う以外に手段を持たない。闘いを通じて、先住民は彼らの宇宙創造論を守り、伝えている。それは人類全体にとって貴重な財産であり、エコ社会主義を鼓舞している。資本主義が先住民を押しのけて、その資源と知識を横取りすることを目論んでいるので、先住民はエコバランス社会をめざす闘いにおいて前衛的役割を果たしている。都会に居住しているときでさえ、先住民は、差別を含む都会に特有の問題に直面しながらも、自分たちの共同体や文化との結びつきを保持している。先住民は、自らの闘いを強化するために、当然なことだが、同盟者を探している。

7.自主管理、コントロール、政治的展望

7.1. エコロジー的移行が必要とする生活スタイルや発展見通しの顕著な変化は、命令によっても技術的にも上から押し付けることはできない。それらは過半数の人々が、変化は避けられないもので、生活条件の大きな改善と両立でき、それゆえに望ましいと確信を得るならば初めて実行可能になる。これは時間・生産物に対するコントロールや疎外されない労働を際限のない物質的なものよりも貴重だと評価するという意識の根本的な転換を必要とする。それゆえ、環境破壊の深刻さとその要因についての大衆的な教育は不可欠である。資本主義者による欺まんに直面して、持続可能性を求める運動は、危機に瀕したエコシステムを守るとともに、行動的コントロールの民主的プロセスを促進し、移行の管理を引き受け、公的決定に介入し、生産や社会的再生産を肩代わりさえしなければならない。まさに本質的に、これらのプロセスは社会的権利や自己決定の民主的権利を求める被抑圧民族の闘いと結びついている。「もう一つの世界」を指し示すために、解放された人間関係や人間と自然の他の部分との解放された関係の創造を、実践の中で描くという問題である。もっとも闘いに熱心な社会的セクターの実践は、労働者運動の中にある保護主義と生産第一主義と闘うように労働者運動を励ます。

7.2. 化石燃料のダイベストメント(投資引き上げ)運動とトランジション・タウン運動は、活発に支援されなければならない。一般的には、労働者コントロール、市民コントロール、参加型管理、自主管理についての経験は、社会的承認と家事の分担を求める女性の闘いとともに、反資本主義的意識とその中核にあるエコ社会主義的次元を含むプロジェクトに有利に働く。エコロジー的協同農業の実験は、特にヨーロッパやラテンアメリカにおいて、これを証明しているし、労働運動に影響を与えている。多くの自主管理生産の実験は、解雇された労働者、排除され不安定な労働者、ビザを持たない移民や亡命希望者さえも含む。こうしたオルタナティブは、人々の生活や尊厳を傷つける、大規模で永続的な社会的排除への直接的な反響を提供している。それらはエコ社会主義戦略において重要な役割を果たす。なぜなら、それらは運命論を拒否し、連帯を創り出し、環境保護活動家のサークルを大きくするからである。

しかし、それらの一般化がエコロジー的破局の回避を可能にすると信じることは幻想である。構造的な社会的・経済的手段、とりわけ信用とエネルギーの社会化は、絶対に必要である。移行のイニシアチブは、社会的必要を満たすとともにエコロジー的制約を尊重しながら、民主的計画に基礎を置くものでなければならない。そのような相互関連なしでは、これらのイニシアチブは、非政治化という影響をもたらし、利益優先システムとの長期的な共存を引き起こすかもしれない。

7.3. 大規模な化石燃料インフラに対する闘いは、介入・統制・移行を目指す全体的な運動の中で鍵となる要素である。大衆的デモ、広場・鉱山の占拠、市民的不服従キャンペーンは、資本の「成長」「資源略奪主義」的力学に具体的に反対することを可能にする。これらの闘いは、そこに住み、その一部であるエコシステムや人間の共同体を防衛するのに決定的重要性を持っている。それらは気候を守る点でも戦略的に重要である。なぜなら現在のインフラのレベルは、化石燃料資本の発展におけるボトルネックとなっているからである。このように、それらは農民・先住民・若者・女性の闘いに橋を架ける基本的手段を構成するし、そこから労働運動に闘いに参加するよう促している。こうした抵抗の国際的ネットワークは、力のバランスを改善し、地域エゴによる非難を追い払い、要求の正当性を強化することを可能にする。いくつかの場合、このことは、資本主義の枠組みにとどまりつつ、続いて起こる急進化の基礎として作用する改革を強制することができる。

7.4. 社会運動とエコロジー運動の結合が必要とされるが、それは穏やかな妥協の集合ではなく、明確化と再編と急進化のダイナミックな過程である。そのようなプロセスには、社会セクター間のさまざまな対立、とりわけ生産第一主義と階級的に協調している労働運動のセクターとの対立が含まれる。必要な戦術的意味を証明し、エコロジー的移行が労働者にとって利益がある(特に雇用や健康の点において)ことを強調する一方で、保護主義と生産第一主義の影響下にある労働者運動に挑戦することは必要である。環境保護に熱心に取り組む社会セクターと生産第一主義を信じる労働者運動セクターとの間で対立する場合には、われわれは労働者の見方を変えるよう労働者を説得しようとする一方で、前者を防衛する。こうした場合、労働者と共同体双方の権利と福利を改善することを目的とする充実したプログラムにもとづくオルタナティブを提案できるよう努力しなければならない。彼らを支持した企業・政府の決定に対して弁済すべきではない。

7.5. 労働運動および他の社会セクターを、エコ社会主義的移行プログラムをめざす闘いに獲得することは、社会的必要と環境的抑制の両方を満足させる反資本主義構造改革の包括的プランをめざす政治的オルタナティブの出現によってのみ、究極的には達成可能である。そのような政治的オルタナティブなしには、そして社会運動の相互関連なしには、このことは常に絵に描いた餅に終わるだろう。環境保護運動は社会運動のために犠牲にされるだろうし、社会運動は環境保護運動のために犠牲にされるだろう。社会的動員を通じて資本主義に別れを告げるエコ社会主義的政府の創出は、エコ社会主義的緊急プログラムの土台となる。しかし一国ではエコ社会主義は実現できない。さらに、そのような政府の形成は、地球上から資本主義を一掃することを目指す永続的プロセスの一時的局面にすぎない。

8.技術、自主管理、非集権化

8.1.「コミューンは、ついに見出された労働者解放の政治的形態である」と、カール・マルクスはパリコミューンについて書いた著作の中で述べた。一九世紀において、資本主義は統一された集中的エネルギーシステムを次第に創り上げた。そのシステムの技術的・政治的支配は、大きな官僚組織と権限委譲の複雑なシステムを含んでいた。このシステムは明らかにソ連邦の官僚主義的堕落の要因ではないが(それはスターリニストの反革命の結果であった)、ある程度までそのことに有利に働いた。反対に、再生可能技術の柔軟性やモジュール形式は、社会主義的民主主義を保証するものではないが、反資本主義的構造改革のための新たな可能性を開くものである。これらは、非集権的で地域的な発展を目的とすることができるし、その地域で利用可能な再生可能エネルギー資源とその利用を、地域共同体が民主的にコントロールすることの周辺で組織されることができる。しかし、これらの可能性を実現することかどうかは、階級闘争次第である。アラブの石油君主制によって蓄積された富のほんの一部でも没収するだけで、太陽光エネルギーに基礎を置き、地域における社会的必要の充足にむけて方向づけられた中近東におけるオルタナティブな地域発展プロジェクトの財源に十分である。同様に、ラテンアメリカのいわゆる「進歩的」政府が、石油採掘収入の大きな部分を非集権的発展のもう一つのタイプを目指す社会的・エコロジー的移行プラン、つまり民主的で、共同体に基礎を置き、都市・農村間でより均衡のとれた、一〇〇%再生可能な移行プランに投資してこなかったことは悲しむべきことである。

8.2. 再生可能エネルギー技術はまた、構造的な政策と地域レベルにおける管理あるいは自主管理の経験との関係を変え、エネルギー自治の新たな可能性をもたらす。社会的技術は重要な役割を果たす。なぜなら社会的技術は、市場に代わる長期的に継続する自律的なオルタナティブを作り出すからである。これは共通資源と共同知見を守るのに貢献する。非集権的組織のネットワークに基礎を置く民主的エコ社会主義社会というプロジェクトは、このようにして信頼性を回復する。電気エネルギーの物理的特徴と貯蔵の困難性のゆえに、市場の命令に従属する現在のシステムよりも、非集権的で、結合された、相互補完的なシステムの中でより容易に管理することができる。食料主権とともに、この分野での闘いは、南の諸国にとって、帝国主義モデルに対するオルタナティブな発展モデルの一部としてとりわけ重要である。一般的には、地域の自己管理に基づく発展という新たな概念を唱え、地域と世界との間の結びつきを提供するためには、大陸・亜大陸のレベルが適当である。

9.環境破壊と科学者の社会的役割

資本家の対応策は、社会市場の法則を逃れられない自然の摂理同一視することによって歪められているがゆえに、環境保護的には不十分で、社会的には不公正である。この現実が科学者を闘いの舞台に参加させている。彼らの関与は、科学研究の分断が増えていること、および資本の必要性への従属が次第に強まっていることに反対してのことである。ますます多くの研究者が、必然的に社会運動との協同を伴う学際的な仕事の必要性を理解している。この文脈では、「知識」について再定義し、資本から解放するための機会が生まれている。科学者は、支配階級の特定のセクター内部で、特にドナルド・トランプによって体現される二つの反動的特徴、つまり非合理性と明確な事実の否定が台頭していることによって触発されている。エコ社会主義者は、科学者に対して正々堂々と意見を述べるよう励ます必要がある。それは社会運動を「科学」や専門家の独裁に従属させるという問題ではなく、批判を刺激する一方で、むしろ経験を社会運動の役に立てるという問題である。これによって、反資本主義的選択の信頼と正当性を大きく増加させることができる。特に、国際的な科学協力の経験は、国際主義を発展させ、深化させる際に、力強い資産である。

10.被災民の自己組織化

来るべき環境破局を回避する能力は、まだ不十分なままである。われわれがすでに目撃しているように、特に(洪水、台風など)極端な気候事象に起因する「人為的な」環境災害はそれゆえ、増えていきそうである。このことは無秩序・カオス状況を創り出し、(政治的・経済的・戦略地政学的)支配を目的として、投機家に利用されている。同時に、この同じ状況は、帝国主義の代弁者に対するオルタナティブである連帯ネットワークを作ろうとするイニシアチブにとっても、助けとなるかもしれない。援助、難民受け入れ、一般的には社会的生活の再建さえも自己組織化することは、社会的連帯を作るうえで決定的に重要である。そうすることでこれらのイニシアチブは大きな正当性を獲得できる。なぜなら、これらのイニシアチブはこのような状況下では不可欠な存在となり、しかも国際的援助よりも効果的だからである。
そのような展望は革命戦略としてのエコ社会主義的戦略の不可欠の一部である。より一般的には、資本主義が増大する環境危機に対応することができないため、われわれが屈服して廃虚に至るのか、自身を救い出すのかという選択肢が突きつけられている。

11.エコ社会主義と国際主義

11.1. エコ社会主義的緊急プランにおいて、生産と食料主権の地方化という要求は、自己組織化の一部であり、一方で資本主義グローバリゼーションと「自由貿易」の両方に反対し、他方で資本主義的保護主義と国家主権に根本的に反対するという国際主義的展望の一部である。特に先進国においては、極右が環境保護要求を国家主義まがいの対応へと転換させようとしているので、特に警戒すべきである。これらはいつも資本に有益であり、レイシスト、イスラム嫌悪、反動的伝統主義者のテーマとの結びつきを作る。これらの試みは非常にしばしば生産と食料主権の地方化の要求において見出される。それゆえこうした問題についての要求を注意深く組み立てることはきわめて重要である。

11.2. われわれは低コスト国への企業再配置に反対している。そして、われわれは一般的に生産の地方化を支持しているが、低コスト国に移転した企業を帝国主義本国へと再配置するという要求は支持していない。この考え方は、帝国主義国における労働者が仕事を再獲得するために、低コスト国の労働者が仕事を失うことを強いるだろう。搾取者に反対して異なる国々の労働者を団結させる代わりに、この要求は労働者を競争に追い込み、それゆえ市場における競争のための雇用主の圧力に直面して、労働者を武装解除する。生産の配置は、エコロジー的・社会的必要、とりわけ居住する地域に近いところで、万人の雇用や収入の権利にもとづく全く異なったプロジェクトの一部である。同様に、われわれにとって、食料主権とは、国家の主権ではなく、共同体ごとに歴史的に定義された地域レベルでの主権である。各地域は自身の歴史を尊重しなければならない。われわれは、共有資源を管理し、それらを競争や搾取を基礎とするのではなく、連帯と相互補完を基礎として交換するために、共同体間の連帯を擁護する。

11.3. 一般的に、「連帯に基礎を置いた左翼的保護主義」は、環境を保護しない低コスト国からの競争が先進国における産業雇用喪失の決定的要因であるという考え方を支持する。にもかかわらず、これらの雇用喪失の主要な要因は、労働日の増加、オートメーション、労働者がほとんど権利を持たず、低賃金である施設への外注であろうと、労働生産性が上昇したことである。その明確な解決策は労働時間の軽減だが、それは労働・資本間の力関係の悪化によって阻まれてきた。国同士の競争に基礎を置いたグローバル経済の時代遅れのビジョンを適用することにより、多国籍企業が今日の支配的な役割を果たしている一方で、「左翼保護主義」は労働・資本の対立から注意を逸らして、競争力を維持するための階級間共同戦線を指向する。「左翼保護主義」は国際主義者のふりをするが、先進国から南へのアグリビジネスによる低コストの輸出品の破壊的競争力?たとえば、アメリカ合衆国から船積みされたトウモロコシはメキシコにおけるほとんどのトウモロコシ農場を壊滅させた?や帝国主義支配の他の兆候については沈黙している。愛国主義の地位から始まるレイシスト的堕落の危険性は大きな影響を与える。実際のところ、先進国においては、低コスト国の競争に対して企業の競争力を自己防衛することにより雇用を守るのは、非合法な、あるいは外国からの労働者の競争と対抗することにより雇用を守ることに容易に転換しうる。彼らはいわば「国内の第三世界」を象徴しているからだ。極右が労働運動や環境保護運動を引き込みたいのは、まさしくこの致命的な罠の中である。

失業とエコシステムの破壊に対決できる近道はない。つまり、資本家とその労働力の間の共同戦線は不可能なのである。その代わりに、労働者は危機を克服するために団結と強さを見つけることができる連帯キャンペーンを発展させなければならない。

11.4. 搾取され抑圧されている人々の動員の結果として権力についたエコ社会主義の政府は、対外貿易の独占、資本移動のコントロールなどの方策を通じて、資本主義から抜け出し始めるだろう。しかし、このことは資本主義企業を国際的な競争から守ることを意味しない。まさにその反対に、それは、搾取され抑圧された人々を闘いへの参加を呼びかける一方で、反資本主義的政策を守るという問題である。そのような政策は、「保護主義」とは正反対である。というのも、「保護主義」は常にエコロジー的・社会的要求を、世界市場の中で各国の資本主義を強化するというニーズ、つまり究極的には自由貿易に従属させることを意味するからである。

11.5. エコ社会主義は国のレベルで始めることはできるが、世界的規模でのみ達成することができる。地球システムの合理的で将来に備えた管理は、世界的な民主的プラニングを求める。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IGBP(地球圏・生物圏国際共同研究計画)などの機関によって明らかにされた世界的な科学的業績によれば、世界的な民主的プランニングは可能である。それらの国際協力モデルは、社会運動から民主的に選出された代表によってもまた実行されうるだろう。実際、それは部分的にはビアカンペシーナのような組織によって今日でも遂行されている。

12 運動の状況

12-1 先住民族は長い間、地球のエコロジーと自然保護地域のもっとも効果的な防衛者であったし、地球の一体性と生物多様性の守護者でもあったし、今もそうである。多くの先住民族は資源の豊富な地域に住んでいる。部分的にはそれを先住民族が何世代にもわたって保護・保存していたからだ。このことによって先住民族は資源略奪産業や土地収奪の両方のもっとも重要なターゲットになっている。先住民族は五百年以上にわたって植民地化と闘ってきたし、植民地化とレイシズムの全ての形態に対して闘い続けている。カナダとアメリカ北部の先住民族は、アルバータにおけるタール・サンド採掘に奉仕するパイプライン建設に反対する闘いの最前線に立っている。スタンディング・ロック・スー部族を含む五〇の先住民組織が、二〇一六年にノース・ダコダ・パイプラインに反対して、条約に反対する協定に署名した。

コペンハーゲンでのCOP15における気候運動の敗北の後、二〇一〇年四月、ボリビア大統領エヴォ・モラレスは、先住民族を含む民衆の声を作るために、気候変動と母なる地球の権利についての民衆会議を召集した。先住民のコミュニティ、環境保護運動、農民組合など、三万五千人以上の人々がその会議に参加した。

地球を守り、地球温暖化と気候変動に対する闘いは、先住民の運動や労働運動だけでなく、近年力を増し、急進化しており、とくに気候運動においてますます大きな役割を果たしてきた社会運動をも含んで、可能な限り広範な連合を必要とする。350.org、Plane Stupid(訳注:イギリスでヒースロー空港の拡張工事に反対している直接行動ネットワーク)、Take the Power、そしてドイツのEnde Gelande運動(訳注:ガルツヴァイラー炭鉱の閉鎖を目指す草の根運動)のような組織は、重要な直接行動のキャンペーンを主導してきた。ビア・カンペシーナは、世界でもっとも大きな社会運動の一つで、七〇ヶ国で二億人以上の小農・中農・土地をもたない人々・女性農民・先住民族・移民・農業労働者を組織している。資本主義によるアグロ・ビジネスに反対して、アグロ・エコロジーを求める闘いは、農民たちのアジェンダにおいてますます中心となっている。「地球の友」や「グリーンピース」のような長年に渡って活動してきた組織は、近年成長し、急進化している。特にCOP21の準備段階において急進化したAvaaz(訳注:気候変動・貧困などさまざまな課題の取り組みをインターネットによって呼びかけるオンライン運動)や38 degrees(訳注:イギリスのオンライン運動)のような見事な動員能力をもつ新たなグループが姿を現わしている。ペルーのカジャマルカにおける金鉱山に反対する闘いやフランスのノートルダム空港の反対闘争のような国内的動員は、破壊しようとするイニシアチブを食い止めることができる。これらすべての抵抗行動は、ナオミ・クラインによってBlockadiaと命名されたが、「システムを変えよう、気候を変えるな」という闘いの最も重要な構成要素である。

気候変動に対する闘いへの労働組合の関与は、極めて重要である。そのような防衛局面においては、困難ではあるにしても。にもかかわらず、イギリスにおいて、主要な労組のほとんどとTUCが支持する百万ものグリーン・ジョブを要求するキャンペーンのようなイニシアチブによって、進歩が見られてきた。「エネルギー民主主義を求める労働組合」や「持続可能性を求める労働ネットワーク」のようなキャンペーンは、限界があるとしても、組合の中で信用を得ている。なぜなら、グリーン・エネルギーへの転換の結果としての仕事の喪失問題に取り組んでいるからである。

ヨーロッパ規模での急進左翼政党の中では、少なくとも公式にはデンマークの赤緑連合、ポルトガルの左翼ブロック、ノルウエーの社会主義左翼党、フランスの左翼連合などが自らをエコ社会主義者と定義している。

12-2 第四インターナショナルの関与

FIは二〇一〇年の前回世界大会で自らをエコ社会主義者であると宣言した。そう宣言したとき、FIは急進左翼の中でエコ社会主義者を名乗る唯一の国際的潮流となった。それは重要な決定だったが、作りあげるべきことへの最初のステップに過ぎなかった。それをもっとも強く提唱したのは、グローバル・サウスの貧困国の支部だった。これらの国々は極端な気象事象によってもっと大きな影響を受けるが、炭素排出という点ではほとんど寄与しておらず、気候正義に関していえばもっとも奪われている国である。これらの支部のいくつかは事実上すでにエコ社会主義者になっていた。

たとえば、かつてないほど頻繁に強力な台風に直面しているフィリピン・ミンダナオのFI支部は、長期にわたって、極端な気候事象に対して自分たちのコミュニティを守ることに関わってきた。彼らのコミュニティは、食料主権にもとづく農業方式の開発とモンサントのような多国籍企業の遺伝子組換え種子を追放することにも取り組んできた。その代わりに彼らのコミュニティは、自らの種子を収穫し、ローカル・コミュニティのために有機食料を生産している。

バングラデシュは、気候変動に関しては世界でもっとも被害を受けやすく、土地が低くて、もっとも影響を蒙る国の一つであり、すでに海面上昇や国土の広大な地域での土壌の塩化によって被害を受けているが、FIバングラデシュ支部は、気候変動と海面上昇に対する闘いに深く関わっている。支部は、気候変動に反対し、ブラジルのMSTの路線に沿った土地再分配を求める主要農民運動のキャンペーンに中心的に関与している。ビア・カンペシーナや他の組織とともに、支部は食料主権・農民生産者の権利・土地再分配を求めてキャンペーンを展開している。支部は、二〇一一年以降、気候キャラバンの組織化に強く関わっている。気候キャラバンは、気候変動と地球温暖化に反対して、バングラデシュ全土やネパール・インドにまでキャンペーンをおこなってきた。

パキスタンにおいては、FIの同志たちは、気候闘争でもっとも大事な局面にいる。二〇一〇年、国土の五分の一を壊滅的な洪水が襲い、何百万人が家を失った。二千万人が影響を受け、二千人が命を失った。千二百万人が自分たちの家に損害を受けるか、家を破壊された。五〇万頭の家畜が失われ、一万の学校が破壊された。

五人の同志が獄中にある。彼らは、土砂崩れがパキスタンのグリジット・バルチスタン地域のフンザ川をせき止め、家々を押し流し、一九人が亡くなったあと、村人たちを守ったのだった。土砂崩れは三つの村を水面下に沈めた全長二三キロの湖を作り、五百人に家を失わせ、二万五千人を立ち往生させた。五人の同志は依然として七年後の今日でも獄中にあり、彼らの解放を求めるキャンペーンが続けられている。

ブラジルでは、FIの同志たちがアマゾンを守り、破滅的なREDDs取引に反対する闘いに関わっている。われわれは気候運動の建設にかかわっている。二〇一五年、われわれはブラジルのフォルタレザで最大の気候デモを組織し、それから二つの他のデモで街頭に出た。二〇一六年には、ブラジルにおける最大の石炭火力発電所の一つの前で、350.orgによるブレイク・フリー・キャンペーンの一部として、また二〇一七年にはウォーター・マーチとともに。われわれは、水をめぐる対立問題について、とくにブラジル北東部の半乾燥地域において、先住民族、地域社会、環境保護グループとともに行動している。ラテンアメリカでは、FI組織はコチャバンバでの民衆サミットにもとづく動員に取り組んでいる。

ヨーロッパと北アメリカでは、FIの同志たちは、コペンハーゲンやパリのCOPにおいてであろうと、国内的な闘いであろうと、イギリスにおけるフラッキング、カナダにおけるタール・サンド、アメリカやカナダにおけるキーストーン・パイプラインに反対する気候動員にますます関わってきている。

12.結論:エコ社会主義と革命

不条理な資本主義論理?不合理な拡大、無制限の蓄積、いかなる代償を払ってでも利益を追求することにとりつかれた生産第一主義?は、人類をがけっぷちに立たせていること、つまり気候変動や環境破壊に直面させていることに責任がある。

資本主義の「破壊的進歩」からエコ社会主義に向けての動きは、歴史的プロセスであり、社会・文化・意識の革命的で永続的な転換である。この移行は、われわれに生産の新世界、平等主義的・民主的社会をもたらすだけでなく、金による支配、広告によって人工的に作り出された消費習慣、無制限の不用な商品生産を乗り越える、オルタナティブな生活様式、新たな文明をもたらすだろう。そして、マルクスが言っているように、労働時間の減少を伴う、自由の王国が始まるのだ。

そのようなプロセスは、圧倒的多数の人々による大衆行動を通じた社会・政治構造の革命的転換なしには起こりえないことを強調することは重要である。社会主義・フェミニズム・エコロジー意識の発展の中で、人民の闘いの集団的経験が、地域的衝突から社会の根本的変化に至る決定的要因である。

グリーン社会主義を、あるいはこのように言う人もいるが、ソーラー共産主義を夢見て、そのために闘うことは、われわれが具体的で緊急の改革のためには闘わないということを意味するものではない。「グリーン資本主義」に対するいかなる幻想も持つことなく、時間を稼ぎ、温室効果ガスの削減を手始めとして、進行中の破局に対する具体的手段を権力者に強制するようにしなければならない。

こうした緊急のエコロジー的要求は、われわれが資本主義市場に従ったり「競争の論理」を受け入れることによって自分たちの目的を限定することを拒否するという条件の下では、急進化のプロセスを促進する。

一つ一つの小さな勝利や部分的前進は、ただちにより高度のより根本的な要求をもたらすことができる。具体的問題に関するこれらの闘いは重要である。なぜなら、部分的勝利がそれ自身歓迎されるべきものであるからだけではなく、エコロジー的・社会主義的意識の成長に貢献し、下からの自立性と自己組織化を促進するからである。この自立性と自己組織化は、世界を根本的に転換させるために必要で決定的な前提条件である。これは、革命的転換が、搾取され抑圧された人々、つまり労働者、小農民、女性、先住民共同体、人種・宗教・国籍のために汚名を着せられている全ての人々の自己解放を通じてのみ可能であることを意味する。

システムの指導的エリートは、バリケードの後ろで身をすくめているのだが、それでも信じられないほどの力を持っている一方で、急進的反対勢力は大きくない。反対勢力がかつてない数の大規模な運動へと成長することが、資本主義的「成長」という破局的コースを止める唯一の希望である。このことによって、われわれは、より豊かな人間性をもつ望ましい生活形態や人間的尊厳・連帯・自由・「母なる自然」の尊重という価値観にもとづく新たな社会を創造することができるだろう。

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