新しいインターナショナルのための課題

FI16回世界大会議案
第四インターナショナルの役割と任務(国際委員会の決議草案)(下)

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 これは、われわれが第四インターナショナルの建設と、国家レベル、大陸レベル、国際レベルでの反資本主義的結集の政策との関係という問題にアプローチする際の枠組みなのである。われわれは、新しい国際的な組織結集という展望にとって有効な手段にするために第四インターナショナルをいかに強化し、変革するかを討議しなければならない。その成果はいまだ限定的であることは認めなければならないが、こうしたことは反資本主義左翼会議やその他の国際会議の中で、われわれがすでにスタートさせていることである。
 国際的レベルでは、われわれはこの政治的基礎の上に国際的合流と結集のための多くの会議やイニシアティブに参加した。ポルトガルの左翼ブロック、デンマークの赤と緑の連盟、スコットランド社会党と共に欧州反資本主義左翼(EACL)を形成した。われわれは英国SWP(社会主義労働者党)などの組織と共に活動した。イタリア共産主義再建党や「シナスピスモス」(ギリシア)のように時には「左」への政治的進化を見せた左翼改良主義組織も、こうした会議に参加した。またわれわれは、インドのムンバイやブラジルのポルトアレグレで開催された世界社会フォーラムのおりに、革命的、反資本主義的諸組織の会議を開催した。このレベルでわれわれは、ルラのPT(労働者党)と決裂したブラジルのPSOL(社会主義と自由党)との連帯の絆を作り上げた。われわれは、わがイタリアの同志たちがイタリア共産主義再建党の政策に対する反資本主義的オルタナティブを建設する努力を支援してきた。
 こうした幾つかの要素は、われわれが実行したいと考えている方針のタイプを示している。今年、パリやベレンで行われるようなさまざまな会議は、数多くの欧州の反資本主義的諸組織や潮流による共同行動と討論の必要性と可能性を示すものである。今や、戦略的・綱領的思考に関する公開の会合や会議、国際的な動員のキャンペーンやイニシアティブを通じた共同行動の政策を継続することが必要なのである。
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 第四インターナショナルとその各支部は、当面する綱領と諸要求、社会主義への過渡的綱領と諸要求の双方を擁護し、促進し、実現する路線において決定的に重要な役割を果たしてきたし、現在もなお果たしている。労働者とその諸組織の大衆的動員をめざす統一戦線政策、民族的・国民的ブルジョワジーとのあらゆるタイプの戦略的同盟にも反対する、労働者階級の統一と独立のための政策、一切の国際主義を放棄して国家と資本主義経済を管理するにすぎない、先進資本主義国での政権参加への反対、などである。
 第四インターナショナルは、革命的マルクス主義潮流の歴史を生きたものとし、「世界を理解」し、革命的活動家・潮流・諸組織の分析と経験に正面から対処し、同一の戦略的ビジョンや、革命的基盤に基づく広範な合流という選択を共有する諸組織、潮流、活動家を結集するために、有用な役割を果たしてきたし、現在も果たしている。「政治について考える」ことを可能にする国際的枠組みの存在は、革命家たちの関与にとって何ものにも代えがたい財産である。一貫した国際主義は、国際的枠組みという問題を提起しなければならない。
 しかし歴史的理由から言って、第四インターナショナルは、自ら分析してきたように、それ自身としてわれわれが必要とする新しい大衆的インターナショナルを代表する正統性を持っていないのである。したがって、反資本主義勢力の結集を前進させることが問題になるとき、とりわけ欧州やラテンアメリカでは、こうした新しい組織は、自らを第四インターナショナルと自認するあれこれの潮流を結びつけたり、そこに参加するということでは不可能である。その依拠する点が何であろうと、さまざまなモレノ派(アルゼンチン、ブラジルなどラテンアメリカ諸国を中心にした別のトロツキスト組織)やランベール派(フランスを中心にした別のトロツキスト組織)、SWP(英国の社会主義労働者党)などのさまざまな類のトロツキストにもこれはあてはまることである。しかし、第四インターナショナルとこれらの傾向の相違は、政治的立場以上に、各国支部と活動家の民主主義的同権と協力に基づいたものであるというところに存在しており、それこそわがインターナショナルの信頼の基盤なのである。
 これら他の国際的諸テンデンシーは「国際的分派」であり、とりわけ党内のテンデンシーの権利など民主主義的機能のルールを尊重しない「党分派」に基づく組織運営を行っている。こうした国際「トロツキスト潮流」の歴史的限界は、他の元マオイストや元スターリニスト潮流と同様に、現在、新しい国際的合流の結晶化の前進を妨げている。チャベスなどによる新しいインターナショナルの呼びかけは、同一の領域に位置づけられているわけではない。それらが根本的な政治問題を提起しているのは明らかだが、国家と諸組織の関係という問題をも提起している。
 現在の力関係においては、大衆的インターナショナルに向かって進む政策は、むしろ中心的な政治的諸問題――活動、特別のテーマ、議論――に関する、公開の定期的な会合という道をとるべきであり、それは反資本主義的で革命的な極の合流と登場を可能にする。数年のうちに形成される可能性があり、反資本主義的オルタナティブの探求に最も関与してきた諸セクターの戦闘性、経験、意識を表現する新しい反資本主義諸政党の中で、新しいインターナショナルの問題が提示されており、また提示されることになるだろう。われわれは、その問題が分岐・分裂をもたらすことになりそうなイデオロギー的ないし歴史的選択として提示されないように行動しているし、これからもそうし続ける。それは一方では国際的関与の課題での現実の政治的一致、他方ではさまざまな出自の潮流――各種のトロツキスト、リバタリアン(自由至上主義)、革命的サンディカリスト、革命的民族主義者、左翼改良主義者――を結集しなければならない新しい組織の複数主義という二重のレベルで提起しなければならない。
 したがって一般的には、新しい政党への具体的一歩を踏み出したときには、われわれはテンデンシーや潮流の権利を持つ新しい広範な反資本主義政党を提起し、またこの新党の中で第四インターナショナルの支持者はそれぞれの党の個別の特殊条件にしたがって決められるやりかたで、自らを組織することを提起してきた。左翼ブロック内のわがポルトガルの同志、赤と緑の連盟内のわがデンマークの同志、PSOL内のわがブラジルの同志は、第四インターナショナル潮流として、あるいは他の政治的傾向と共に階級闘争潮流として、それぞれに特有の方法で組織されている。

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 この運動の中で、われわれは一国レベルの党建設と、新しい国際的なグループ化との時期的不一致に直面している。現在の情勢の中で、あるいはここ数年のうちに、一連の諸国で新しい反資本主義政党が作られる可能性があるが、新しい国際的勢力の登場は、現段階では予見できない。新しいインターナショナルについてはなおさらのことである。新しいインターナショナルは長期に及ぶ共同行動と、さまざまな出来事と資本主義打倒の任務への共通の理解の結果としてのみ存在しうる。
 他方われわれは国際的合流の政策を確認する。それは第四インターナショナルの固有の責任を確認させるものであり、第四インターナショナルの強化を必要とする。われわれは、われわれと同一の政治的構想を共有する革命的諸組織のために、魅力のある民主主義的な組織的枠組みを示すよう追求できるし、現に追求している。この力学の中にフィリピンの同志たちが位置し、パキスタンの同志やロシアの同志たちが位置している。そして、明日にも、例えばポーランドやマリの同志たちも同じようになりうる。

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 実際のところ、われわれはさまざまな政治潮流が認める固有の役割を有している。われわれはおそらく、さまざまに異なった政治勢力を合流させうる唯一の存在である。このことはたとえばラテンアメリカにおいて、ボリバール主義プロセスの左派に属するベネズエラの同志たちがわれわれに語ったことである。それはまた、EACL(欧州反資本主義左翼)と他の潮流との関係の枠組みの中でも同様である。したがって次回の世界大会は、こうした勢力すべての会合への重要なステップとならなければならない。
 この大会は第四インターナショナルの大会であり、現段階において組織的拡大はないだろう。しかしわれわれは第四インターナショナルが、新しいインターナショナルの結集という展望において「ファシリテーター」としての役割を果たすことを望んでいる。

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 結果として、われわれ自身を強化し、そしてこの役割を果たすために第四インターナショナルのすべての機関を強化しなければならない。定期的会議、国際委員会、支部間の相互訪問と交流などである。インターナショナルがこの数年間に配置した活動の強化が必要である。第四インターナショナルの指導機関――ビューロー、欧州政治局会議――の定期的機能化などである。約三十の組織が出席し毎年開催されてきた国際委員会(IC)会議は、わが国際潮流の組織的連続性を保障するものでなければならない。
 約五百人の同志たちが参加して毎年開催されてきた青年キャンプは、わが欧州各国支部の青年活動の中心的役割を果たさなければならない。
 教育機関は新鮮な刺激を与えてきた。いまやわれわれは学校とセミナーの開催を保障し、経営と組織化の均衡を確保している。第四インターナショナルは、その会合と教育・研究機関を開放していかなければならない。教育・研究機関は、各支部のカードルの教育だけではなく、諸潮流とさまざまな国際的経験の交流に貢献する上で、中心的な位置を占めている。一連の国際的専門家に開かれた気候変動についてのセミナーは、その良い例である。他の会合と同様、それは反資本主義・革命的潮流が取り組んでいる不可欠の諸問題の綱領的な精緻化にとって、われわれがそのるつぼとなる必要性と可能性を指し示している。女性、青年、労働組合活動家たちの会合も他の人びとに開かれたものとなり、この展望の中で変革されなければならない。
 要約すれば、次の時期、新しい国際的勢力、そして新しいインターナショナルの建設をめざした方針において、国際的枠組みとしての第四インターナショナルは、革命的マルクス主義の不可欠な資産となっているのである。
(「インターナショナルビューポイント」09年3月号)

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