国際的民衆運動が直面する課題は何か

第四インターナショナル国際委員会決議

解説 PTの左翼的強化か新党か
ルラ政権への態度をめぐる論議と分岐の深化

DSの政権参加は
正しい選択なのか

 二〇〇三年一月、南米の大国ブラジルで、PT(労働者党)主導のルラ政権が出発したことは、軍事独裁体制に対する労働者・農民の大衆的な闘いの中から一九八〇年に結成された新しい民主主義的社会主義政党であるPTの勝利であり、ブラジル民衆の勝利であった。ルラ政権の誕生はまた、ポルトアレグレで開催された世界社会フォーラムに示される新自由主義的グローバリゼーションに対する世界的な民衆運動の発展に基礎を置いたものであった。
 しかしルラ政権のとった政策は、多くの点で前任のカルドゾ政権の新自由主義政策を継承し、巨額の債務の圧力の中でIMF・世界銀行の決定した枠組みに忠実なものとなっていった。この点は、大統領選挙でのブルジョア勢力との接近、PT主流派の右傾化によってすでにかなりの程度明らかになっていたことだった。PT内の有力な左派潮流である第四インターナショナル勢力(DS=社会主義的民主主義潮流)は、こうしたPT主流派の新自由主義的路線への批判を明確にしつつも、PTと自らを切断することを否定し、社会運動と結びついてルラ政権を下から統制し、PT自身の左翼的転換を有効に進めていくという観点から、ルラ政権の農業改革相としてミゲル・ロセット同志(前リオグランデドスル州副知事)を閣内に送り込んだ。
 DSのルラ政権への入閣は、同政権発足直後に開催された第四インターナショナル十五回大会でも大きな論争点となった。しかし、この時点で第四インターナショナルはDSの決定を尊重し、ロセット同志の入閣問題についての態度を問う特別の決議を採択しなかった(世界大会でのブラジルをめぐる論議については本紙03年10月13日号の平井純一「第四インター第15回世界大会の成果と日本における挑戦課題」(2)を参照)。

国際的に普遍的
性格をもつ論争

 しかしPT内の左右対立は、早くも二〇〇三年十二月にPT全国指導部がルラ政権の新自由主義政策に反対投票を行った三人の上院議員を除名処分に付したことによって激化した。除名された三人の中にはDSの同志であるエロイザ・エレナがふくまれていた(本紙04年新年号参照)。
 この状況の中で、エロイザ・エレナ同志をはじめとするDSの一部のメンバーは、PT内外の左派活動家とともに、PTにかわる新しい左翼社会主義政党の結成に踏み出した。それはPSoL(社会主義と自由党)に結晶化した。しかしこのエロイザ・エレナ同志らの新党結成路線はPTの左翼的強化を主張するDSの決議と対立するものであり、DS全国調整委員会は二〇〇四年二月七日の決議で、「PTを離党したすべての同志に再加盟を呼びかけ」た。
 二〇〇四年二月に開催された第四インターナショナル国際委員会は、DS多数派とエロイザ・エレナ同志の双方の出席の下で、ブラジル問題について論議し、国際討論ブレチンを発行して討論を継続することを決定した。この間のブラジルをめぐるPTならびにDS内論争の経過は本紙04年5月31日号、04年11月1日号を参照されたい。
 今年になってベンサイド、レヴィ、ルカの三同志は、DS指導部に閣僚引き上げを求める書簡を送っていた。
 今回の国際委員会決議も、DSがルラ政権から引き上げることを勧告する内容となっており、DS指導部はこの決定に反対している。新自由主義的グローバリゼーションに対する抵抗の拡大と、ラテンアメリカをはじめとした左派政権の相次ぐ誕生の中で、グローバル資本主義の枠組みを突破しようとする左翼オルタナティブを構想する上で、ブラジルの組織問題は普遍的性格を持っており、われわれはこの討論に主体的に関与していかなければならない。      (純)  

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