第四インターナショナル第17回世界大会開催 ⑤

移住労働者に焦点当てて資本主義に対する正面からの挑戦

女性移民が果たしている役割

 前号に続いて「社会的激動・反撃・オルタナティブ」の議題について。
 グローバルな移住の波が、社会運動全体に関してどのような影響をもたらし、それがもたらす劇的変化についてどのように考えるべきか、という問題は、日本でも主に「外国人労働者」の問題として取り上げられてきたが、この間は、より広範囲な社会的変化の中での労働者民衆運動全体の課題として論じられるようになっている。
 第四インターナショナル世界大会の議案は、「女性の移民」がもたらす影響について分析している。
 「危機の最近の情勢下での女性移民は、経済の資本主義的グローバリゼーションに伴って、より深刻でより強まる抑圧にさらされてきた。そして、非常に多様なやり方で、女性の搾取に多種多様な影響を与えてきた。移民が発生する情勢は、世界中の人々の大きな部分が極端に貧困化し、権利を失っていることの表現である」。
 このようにして大会議案は、移民一般だけではなく、レイシズムの表現として移民女性がこうむる差別・迫害の問題に焦点を当てている。貧困・戦乱・独裁がもたらした難民の流れの中で、女性は固有の搾取・暴力に直面するのである。
 「女性は、組織犯罪や麻薬カルテルが非常に強力な国々では、女性を人身売買する国内的・国際的ネットワークの内部で、彼女らを売春ビジネスに使うカルテルによる誘拐・『失踪』のようなさまざまなリスクに直面している。別の場合には、人身売買は手引き人の家族全体がかかわる建前上の愛情関係のために女性を紹介するといった、より巧妙な仕組みで組織されている。さらにもう一つの方法は、売春させるための口実として、仕事の約束で女性をだますことである」。

フィリピンとメキシコの例

女性移民問題の分析と実践に関しては、この間、第四インターナショナルのアジアにおける最大の拠点として、マニラでのアジア学校の運営・組織化などで大きな役割を果たしてきたフィリピンの同志たちが果たしてきた役割が大きい。
「フィリピンの場合、一〇〇〇万人以上の人びとが国外で、サウジアラビアや他の中東地域のようなはるか離れた場所で働いている。フィリピン人労働者が家族に送金する財政収入は、国の外貨収入の中心的な部分となっている」。そうした海外で働くフィリピン人労働者の主力は女性である。
アジアにおけるフィリピンの例は、ラテンアメリカではメキシコが該当する。メキシコは自国からのアメリカへの移住労働だけではなく、仕事や「暴力からの避難」を求めてアメリカに向かうラテンアメリカの女性労働者の最終通過国であり、トランプ米大統領が公約として掲げてきた「壁の建設」という排外主義宣伝の対象となってきた。そしてメキシコの場合も同国の外貨収入のうち、移民からの海外送金が米資本による自動車輸出に次いで二番目なのだ。
「この送金収入は海外からの直接投資、観光収入、石油輸出よりも大きい。メキシコは、中国・インド・フィリピンに次いで、世界で四番目の送金収入がある経済なのである」。
他方、移民を「労働者階級の敵」として描き出すキャンペーンも、この間、右派によって意識的にかきたてられている。
「イギリスのブレグジット(EU離脱キャンペーン)」やドナルド・トランプによってアメリカで行われたように、ヨーロッパ諸国の中にはデンマークをはじめ、外国人嫌悪キャンペーンが『フェモナショナリスト』(女性擁護のふりをしてフェミニズムをイスラム嫌悪の論理に仕立て上げようとする言説)的言辞の形をとって行われた国もあった。『フェモナショナリスト』は、移民が目的地の国に元から住む女性の権利を侵すと主張する。『フェモナショナリズム』という言葉は、移民がLGBTコミュニティーの権利への脅威だと主張する人種差別右翼の『ホモナショナリズム』と密接に関係している」。
このような幾重にも重なった差別の構造が、とりわけ移民女性労働者への抑圧・弾圧(性的暴力)として降りかかっている現実を決議は強調している。

現代の過渡的綱領めざして

決議は、こうした状況の中で国際的な労働運動の国・地域・産業別に不均等な展開と、それが抱える課題そして方針について分析している。
「社会で生起するすべての問題――レイシズム、ホモフォビア(同性愛嫌悪)、女性に対する差別、住宅問題――を統合する能力、環境要因を統合する必要性も重要な責務である。雇用を守ることと有害な工場や生産物に反対する闘いとの間の緊張関係は、これらの矛盾を解決できるような体系的要求を求めている」。さらにその中で「権利のための闘いを越えて、社会の資本主義的枠組みに挑戦し、このシステムを打倒するプロジェクトを推し進める必要なプログラムを抵抗運動に提供する階級的アイデンティテイーを作り出すという差し迫った必要性」という、現代の「過渡的綱領」への挑戦が強調されるわけである。
この「反資本主義的過渡的綱領」への挑戦を、現代のグローバル資本主義システムとの闘いの中から、どのように創り出していくのか。言うまでもなく「オルタナティブへの挑戦」のためには、個々の挑戦を統合するための意識的な努力を新しいレベルで追求していかなければならない。
決議は、労働運動の不均等発展の中での課題、自己組織化と協同組合、農民の闘い、民主主義・社会的公正を求める運動の位置、社会における失業青年の位置、暴力・レイプ・「フェミニサイド」(女性へのジェノサイド)に反対し女性の権利を守ること、LGBTプラスの闘い、移民の権利を守る闘い、地球温暖化に反対する運動について個々に簡潔にまとめている。

解放を求める運動の政治へ

この議題についての締めくくりは「反資本主義戦略」についてである。しかし言うまでもなくわれわれは、この「反資本主義的オルタナティブ」が「打ち出の小づち」の一振りによって作り上げられるものではないことを知っている。
「民主主義と社会的公正を求める闘いは、自動的に抑圧システムを打倒する闘いへと導くものではない」――この共通の認識の上に立って、われわれは二一世紀のオルタナティブをめざす展望を、「世界社会フォーラム」に代表されるオルタ・グローバリゼーション運動を通じてつかみとろうとしてきた。しかしその結果はラテンアメリカ(ブラジルなど)に代表されるように決して肯定的なものではなかったことも確かである。
リーマンショックがもたらした世界資本主義経済の危機は、ギリシャのチプラス政権、スペインの「インディグナドス(怒れる者たち)」の運動と、ポデモス政権をもたらした。
しかしそれは資本主義の危機へのオルタナティブとしての役割を果たし得なかった。
決議は次のように述べている。
「社会的運動を通じて政治的変化が起こった様々な地域において、希望の兆候である力強い運動が発展するという状況の中で、社会運動は防衛的状況に直面している。今後数年間、カギとなる問題は、持続する攻撃に対して適切に反撃するために組織することだけでなく、資本主義に正面から挑戦することができる、解放を求める政治的運動を社会的動員に寄り添いながら作り上げる政治的能力でもあるのだ」。(つづく)
(K)

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